穴にハマったアリスたち

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「パラレルワールドへの疑念(ミラクルリープ)」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年12月20日 | ハグプリ最終回考察
ミラクルリープの側面から、パラレルワールドを考えてみる。

※以下では一旦「パラレルワールド」現象を前提に書きます。

【双子の世界】

元の世界ではミラクルリープは起きたんだろうか。


(「ヒーリングっど♥プリキュア」31話OPより)

リフレインの動機や存在には、はぐたんは直接は関わっていません。素直に考えるなら、おそらくは起きたと思われる。
また、彼以外にも時間の精霊はいるでしょうから、すこやか市の一件に限らず同様の現象は元の世界にも存在するはず。

ではジョージはミラクルリープを知っていたんだろうか。
あの現象は「過去をやり直す」には分かりやすい。知っていたなら試みるのでは。

パターンとして、とりあえず4つ考えられる。

(1)ジョージは知っていたし、試した
(2)ジョージは知っていたが、試さなかった
(3)ジョージは知らなかったので、試さなかった
(4)ジョージは知らなかったが、試した

順に見てみます。

(1)ジョージは知っていたし、試した

これは無理がある。
ミラクルリープは繰り返す毎に変化します。これを経験しての結論が「未来は変えられない」になるとは思えません。

いわゆる「特異点」や「歴史の修復力」により「野乃はな(仮)の死だけは変えられない」のだとしても、「未来は変えられるが、野乃はな(仮)だけ特別」と認識するはずです。
それを強引に横に置いたとしても、ミラクルリープ現象は、ジョージの望む「幸せな瞬間での停止」に近い。むしろ時間停止より理想的とも。だったらクライアスの目標は、時間停止ではなくミラクルリープになるのでは。

(2)ジョージは知っていたが、試さなかった

「試さなかった」というより「できなかった」が正確でしょうか。
ミラクルリープ現象は知っていたものの、時間の精霊を発見できず(もしくは協力を得られず)試せなかった。

ですがこれも不自然です。
ジョージにはまだ試していない改変(の可能性がある)手段があったのに、「未来は変えられない」と絶望するだろうか?

(3)ジョージは知らなかったので、試さなかった

この場合、問題となるのはルールーたちです。
未知の歴史改変手段が発見されたんだから、試さない理由はない。試すのであれば当然ジョージも誘うでしょう。
しかし未来に向かったルールーたちが、ジョージを気にしている様子はない。ということはこの仮説は厳しい。

(4)ジョージは知らなかったが、試した

このケースは(1)と結果的に同じ。


以上から(1)(2)(3)(4)全て行き詰まってしまいます。私の検討のいずれか(もしくは全て)が間違っているか、それとも前提とした「パラレルワールド」がおかしいのか。
「パラレルワールド」の否定が目的ではないので、もう少し足掻いてみる。

【置いてけぼりのジョージ】

(1)(2)(4)は劇中の描写と矛盾や齟齬を引き起こすので、深掘りしても先はなさそうに思えます。可能性があるとしたら(3)「ジョージは知らなかったので、ミラクルリープを試さなかった」。

ではなぜルールーたちはジョージに伝えなかったんだろうか。

●仮説1「伝えようとはしたがジョージが見つからなかった」

一番シンプルです。が、それでいいんだろうか…。
元の世界でリープによる改変が成功したとしても、今度は野乃はな(仮)によるジョージ探索編が始まってしまいそうです。

●仮説2「リープを起こす気がなかった」

よくある「過去は過去として受け入れよう」というやつです。
テーマとしてはよく見かけますが、ハグプリでは特には扱われておらず、ルールーがこの思考をしたかは疑問。

野乃さんはクローバー事件の際に「過去に戻って謝る」を試みています。やり直しそのものは、劇中では否定されていないのではなかろうか。

●仮説3「パップルが反対した」

ジョージ最愛の人の復活となると、パップルの心境は微妙でしょう。ただ彼女がそんな個人の事情を押し通すようにはちょっと見えない。

●仮説4「ジョージにミラクルリープをさせたくなかった」

リープしたからといって、野乃はな(仮)を救える保証はない。もしかしたら特異点だの何だので、そこだけは変えられないのかもしれない。
もしミラクルリープを試してそれが発覚した場合、ジョージは永遠に同じ一日を繰り返しかねません。だからジョージを誘わなかった。
でもこれだと、仮説1と同じく、成功した場合にジョージ探索編が始まってしまいます。

●仮説5「誘ったが断られた」

悟りを開き、毒気が抜けたジョージは、野乃はな(仮)との再会に執着しなかった、とか。
ありそうには思いますが、あれだけの大騒ぎを引き起こしておきながら、いざ可能性が出たら拒否なのはどうなんだろうか。

●仮説6「ミラクルリープは不可能だった」

リフレイン(や時間の精霊)の協力が得られず、実行できそうになかった。

私がこの状況なら、こっちの世界のリフレインに交渉し、あっちの世界のリフレインを説得できるような何かを貰うと思います。リフレインには負い目もあるので、協力はしてくれるんじゃないかな。
結果的にあっちの世界のリフレインに断られるかもしれないけど、出発前の時点では分からないはず。

●仮説7「時計の郷の存在に気づいた」

リフレインのお仲間を探そうとすると、「古い時計」を探し回ることになる。この条件はスプラッシュスターで遭遇した時計の郷と同じです。
時計の郷の砂時計を破壊すると、問答無用で時間が止まります。クライアスのトゲパワワ方式より、遥かに強力で効率的。仮説4と同様に、ジョージによからぬ手段を与えたくなかった、のかもしれない。

●仮説8「ミラクルリープには有効距離がある」

リフレインは直近の数時間を戻しただけ。賑やかだった半ドン時代にまでは戻していません。
「実は15年ほど戻しており、15年×99回のループだった。花寺さんたちが認識できていないだけ」の可能性もなくはないですが、かなりホラーだ…。(リフレインの「同じ一日を繰り返す」発言はどうとでも解釈できる)

時間の精霊であっても戻せる範囲に限界があるなら、「野乃はな(仮)は手遅れ」の可能性がある。
「射程距離まで、はぐたんでタイムトラベルし、それからリープ」で解決はしますが、これは元からある「タイムトラベルしてやり直さないのはなぜか」の問題にすり変わるだけ。

●仮説9「未来を救うと野乃はな(仮)を救うが両立しない」

単純なところだと「野乃はな(仮)が命を賭けて封印的なことをしたので、時間停止で済んでいる」とか「時間停止の原因は野乃はな(仮)。彼女を完全に倒さないといけない」とか。
特に後者(黒幕は野乃はな(仮))は、ルールーたちが未来のことをあまり語らなかった理由にもなる。

苦しいのは「野乃はな(仮)が闇落ちして黒幕になった」ではない点。それが理由なら闇落ち前にリープすればいい。
あくまで「野乃はな(仮)の存在そのものが諸悪の根元」のような形です。
キングジコチューのようなパターンとも違いますし、「存在そのものが生まれながらに悪(本人の性格や努力や言動と関係なく)」は、プリキュアコンテンツにそぐわないのでは。

●仮説10「未来は既に救った後だった」

映画「ミラクルリープ」は、ハグプリ最終回の後の話。あのルールーたちは未来(平行世界)に一度帰り、問題が解決したので戻ってきていた。

これなら最終回時にジョージを連れていかなくてもおかしくはない。ただ2030年時のえみるの行動が不可解になってしまう。再会できていたなら、トラウム研究室であの反応はなさそう。

●仮説11「ミラクルリープだとまた別のパラレルワールドが生まれる」

リープにより別の世界に分岐するので、どこかには「救われなかった野乃はな(仮)が残る」。だからリープによるやり直しに固執しない。

この場合、映画「ミラクルリープ」の時点で訳の分からないことになります。
99回のリープにより99個の分岐が生み出され、その分岐先でもリープしているので指数関数的に爆発していく。

平行世界が無限に生み出されてしまうと、フェルミのパラドックスと同種の問題が発生します。みんなどこにいるの?
(注:我々の住む現実世界ではこの問題は起きない。本来の「平行世界」には、「相互に情報のやり取りができない」が定義としてあるので)

何よりこの状態は「救われた未来」と「救われなかった未来」のような分岐を生み出すため、当初の懸念「救われなかった野乃はな(仮)が残るから」が些末になってしまう。

【孤独な世界】

他にも幾らでも出てはきます。が、発展はなさそうに思えます。やっぱり「平行世界を前提にするのが誤り」なような。
ここまでくると、何とかして平行世界説をフォローできるような道を見つけたいかもしれない。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「ルールーと再会する方法」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年12月13日 | ハグプリ最終回考察
私としては「単一世界・未来は不変」を支持していますが、「パラレルワールド」を仮定した場合を少し考えてみる。

【如何にして世界は分かれるのか】

よく言われるように、私たちが見ている夜空の星々は今まさに光っているリアルタイムの様子ではなく、タイムラグがあります。
光の速度は有限なので、はるか遠くで光ったその光が届くには何年もかかる。私たちが見ているのは過去の姿です。
仮に星が爆発して消滅したとしても、それを私たちが知るには一定の時間がかかる。
爆発したのが10光年先なら、その映像が届くのは10年後です。

さてそうすると疑問が生じます。
10光年先の星が爆発した。ずがん。
それから5年後、何者かによりタイムトラベルが行われ、星の爆発が食い止められたとします。
この時、「パラレルワールド」は生まれるのだろうか。

しばしば言われる便利な(しかし実態のよく分からない)「違う世界線に乗る」という現象は、「未来が変わった」あるいは「タイムパラドクス」を理由としています。
しかし上記の例では、地球にいる我々はいかなる影響も受けていない。
爆発の情報が届くのは10年後ですから、5年後にタイムトラベルが行われ、爆発を阻止されたなら、地球にいる人々は爆発の影響など全く受けていない。影響がないのだから未来は変わっていないし、パラドクスもない。
そのまんま普通に考えるなら、別の世界線に乗る理由がありません。世界は分岐しない。

ですがこれは誤りでしょう。というのも上記の例では5光年離れたところにある場所は、世界が分岐する。
分岐するということは、そこから5.000000…1光年離れた場所も何がしかの影響を受けるので、やはり分岐する。
これが続々と伝搬し、10光年先にある地球にも分岐の波が押し寄せ、最終的にはパラレルワールドに巻き込まれると思われます。

つまり「世界の分岐」とやらは、全世界が一気にすべて分岐するのではなく、きっかけとなった場所を起点に光速で分岐が広まっていくと予想されます。

もう少し具体的に考えてみる。
史実とは大きく異なりますが、あくまで例として下記の状況を考えてみよう。

はぐたんが飛来する前(つまりは世界が分岐する前)に、星奈さんを10光年先に配置します。
次に星奈さんが「14歳の野乃はなの元に、赤ん坊はいない」とプラカードを掲げます。はぐたんが飛来する前なので、これは明白な事実です。

そこに野乃14歳の元にはぐたんがやってきたとする。野乃Aと野乃Bに分岐する。
この分岐した情報が星奈さんに届くのは10年後。それまでの間、星奈さんは「野乃はなの元に、赤ん坊はいない」のメッセージを送り続けます。はぐたんの情報が星奈さんには届いていないので、プラカードはそのままです。

この星奈さんを見ても、野乃A(はぐたんが来なかった世界の野乃さん)は問題ない。何ら矛盾は起きません。
しかし野乃B(はぐたんが来た世界)は、奇妙な不一致に首をかしげるはずです。
そして10年後(もしくは20年後)、突如として星奈さんからのメッセージが「野乃はなの元に赤ん坊はいる」に変わる。星奈さんの元に世界の分岐が届き、星奈Aと星奈Bに分かれたのでしょう。

※この例は「10光年先に配置された星奈さんが、なぜ「赤ん坊はいない」を知っているのかを適当に処理しています。きちんとやるなら、年齢設定等をいじるべきですが、イメージしづらくなるので省略。おそらく他にも間違いがあります。とりあえずここで言いたいのは「星奈さんは、すぐには分岐しない」ことです。

【何万光年先の未来】

では仮に、まだ分裂していない星奈さんの元に、何らかの方法で光速を越えた野乃Bを送り込むとどうなるんだろうか。
「光速を越えられないからタイムラグがある」という話をしてるのに、「光速を越えよう」とか言い出すのは間抜けとしか思えませんが、あの子ら平気で瞬間移動とかするからとりあえず話を先に進めよう。

直感的には、野乃Bが送り込まれたその瞬間に、星奈さんも星奈AとBに分かれそうに思えます。分岐世界の情報が到達するので。
ではこの時、野乃Bが目撃するのは星奈AとBのどちらなのだろう?
※元の世界をA。分岐により生まれた世界をBとする。

(1) 野乃Bが移動したのだから、そこにいるのは星奈B
(2) 星奈さんは分岐前だったのだから、そこにいるのは星奈A
(3) 全く別の分岐が始まる。そこにいるのは星奈C

全く分かりません。が、直感的に(2)はなさそうに思える。思えるのですが、あえてそれを採用するのであればこの方法で、えみるは平行世界にいるルールーと再会できます。
平行世界の分岐の伝搬を、何らかの方法で光速を越えて追い抜き、そこから折り返して地球に戻ってくれば、未来(平行世界)に戻ったルールーが待っています。

この仮説の利点をいくつか挙げてみる。


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

①ルールーが残した言葉「未来で待つ」と整合します。
えみるがこの手段を使った場合、ルールーは地球で待つ形になりますし、高速移動によりえみるの時の歩みが遅くなるので、未来へのタイムトラベルになる。
平行世界説の最大の弱点の一つは、「ルールーは未来で待っていない」でしたから、これは朗報だ。

②ルールーがこの方法に気づくきっかけがある。ミラクルユニバースです。
宇宙に飛び出たルールーは、ミラクルライトを使ってすらすぐにはたどり着けない、天文学的距離を体感します。
このことから上記の「平行世界への分岐は、瞬時には行われないのではないか」に思い当たるかもしれない。

③劇中の描写と一致します。
ルールーらは未来への帰還を急いでいた。上記の状況であれば、平行世界との境目は光速で遠ざかっていきますから、出発が遅れれば遅れるほど帰還の難易度が上がる。
カエル列車が空に飛び立っていったのも、約1光年先にある境界を目指してすっ飛んでいったのだとしたら、納得がいきます。

しかしながらデメリットも強烈です。

【この空の向こう】

最大のデメリットは言うまでもなく「分かりにくすぎる」ことです。

先ほどは「未来で待つ」と整合するとは書きましたが、あくまで「もし平行世界だとしたら、これこれこういう可能性がある。これはルールーの言葉と整合する」の流れです。ルールーの言葉は思考のヒントになっていない。
「未来不変」説の「未来で待つと言ったのだから、未来にいるのだろう」とは思考手順が真逆すぎます。

えみるにヒントを与えるなら、「空の向こうにいます」とでも言うべきでしょう。普通の別れの言葉としても成立しますし。

実際、えみるは2030年の段階で地球にいます。違うんだ、えみる。ルールーと再会したいのなら、行くべきはトラウム研究室ではない。ララのロケットを奪って宇宙を目指すべきなんだ…!

また、そもそも「未来で待つ」の発言の意図が分からなくなります。
ルールーがえみるを連れて行かなかった理由としては、この移動方法が片道切符だからだと思われます。大人になってから、ゆっくりと決断して来て欲しかったとかでしょう。
しかしながら「待っています」と言ってしまったらプレッシャーです。仮にえみるが真相を理解したとしても、「待ってるみたいだけど、やっぱり行かない」は選び難いのでは。だったらこんな言い方をすべきではないし、する理由もよく分からない。

更に言えば、劇中の描写と矛盾します。
先ほどは「ミラクルユニバースの事件により、気づくことができる」としましたが、実態は逆でしょう。

状況から見て、ミラクルユニバースの舞台は地球から1光年以上先、つまりは分岐世界の向こう側にあると思われます。
もし上記の仮説が正しいのなら、ミラクルユニバースの時点で、元の世界への転移を果たしてしまいます。しかしそんなことは起きていない。

このことからルールーは「この世界は分岐しない(パラレルワールドは生まれない)」と確信したのかもしれません。

長々書きつらねましたが、とどのつまりこれは仮説「平行世界だとしたらこの方法で移動できる」からの、結論「しかし実際には移動できていない。よって平行世界ではない」なのかと思います。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「夢原さんの四季2回問題」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年12月06日 | ハグプリ最終回考察
来年春映画のご出演が決まり、大変にめでたいので逃げ続けてきた問題に向き合ってみる。

【プリキュア界の未解決問題】


(「HUGっと!プリキュア」36話より)

夢原さんは中2の時にココと出会い、プリキュアとなってナイトメアと戦いました。そして1年に渡る奮闘の末、パルミエ王国を取り戻された。
その後、中2の時にエターナルとの戦いに巻き込まれ、再び1年に渡り戦いに明け暮れました。

意味が分からない。この子らはなぜ進級していないのか。
きっちり四季が巡っているため、普通に見れば矛盾極まりない。

この問題は、時間に関する考察を全て無に帰してしまうので、何とか解決したい。

【仮説1】

「ナイトメア戦は1年かかっていなかった」、これが最も単純に思えます。
夢原さんは速攻でナイトメアを撃破したんだ。

(注:以下は劇中で「1年」に明示的に言及していない前提で進めます。見返していないので、全く確信なし。もし「ココ、1年間ありがとう」みたいな台詞を言っていたなら「1年とは文字通りの12ヶ月の意味ではない。9ヶ月を体感的に1年と呼んだ」等の小細工がいる)

「劇中時間が1年経過した」の根拠は四季が巡ったこと。それならば、あの世界では1年の間に、何度も春夏秋冬が訪れればいい。やけくそ気味ですが、あの世界ではむしろ自然かもしれません。

例えば「ハートキャッチ」終盤で、一帯が砂漠化しています。この影響の余波で、別地域では季節外れの熱波が襲っているかもしれない。
つまり「エターナル戦の最中に夏っぽい描写があった」としても、それは実は「劇中時間は12月。たまたま近くで南国っぽいプリキュア達が戦っており、異常気象が起きていた」可能性があります。これなら四季の描写が何であろうと、「あれは1年の間の出来事だった」と言い張れます。

劇中で「夏休み」や「クリスマス」といった時期が特定されるような発言もあったかとも思いますが、これもどうにかなる。
「異常現象で12月なのに真夏並の暑さになり、臨時休校がなされた。当代の学生達は、これを『夏休み』と呼んだ」とか。引き合いに出すのは不謹慎かもしれませんが、コロナによる休校などを経験した現在では、この状況はいかにもありそうに思えます。

この仮説を使えば、季節問題の大部分は解決できるんじゃなかろうか。たとえば「ミラクルリープ」も、実は11月の出来事なのかもしれない。どこかのプリキュアの戦いの影響で急に暖かくなり、たまたま桜が咲いただけ。
(同窓会のハガキとかに季節や何月かの記載があったかもしれませんが)

【仮説2】

せっかくなので、最新映画「ミラクルリープ」を参考にしてみる。

ナイトメアとの戦いの後(例えば中2の12月)、ミラクルリープのような現象が起き、時間が巻き戻った(例えば中2の4月)。以前の知識を引き継いでいた夢原さん達は速攻でナイトメアを撃破(例えば中2の5月)。そこから改めてエターナル戦が始まった(例えば中2の5月~翌年2月)。

これならば四季が2回は巡らず、季節イベントも整合性が取れます。仮説1と両立もできるので、細かな矛盾はお互いに助け合える。

また、「四季が2回」以外の問題もついでに解決できます。

(1)ナイトメアとの戦いはピンキー回収の戦いでしたが、劇中描写では2回集めている。デスパライア様が使った1回と、シャドウ様が使った1回。

デスパライア様は明らかに願いを叶えているため、リープ説のような小細工をしない場合、シャドウとの一件のあと、何故かピンキーを逃がしてしまったことになる。まぁレモネでしょうね。彼女の怠慢により、シャドウのコンプリートは偶然阻止されましたが、その後うっかりピンキーをぶちまけて逃がしたんでしょう…。

リープ説の場合、デスパライア戦の解決後にリープが起き、巻き戻った世界でシャドウが集め、それをパルミエに持ち帰った(ただ心持ちの変化により、願いを叶えるのに拘りはしなかった)。

(2)「奇跡の魔法」のソルシエール戦に、ナイトメアは現れていません。
デスパライアとは最終的には分かりあえており、「恐ろしい敵」ではなくなっているので変ではない。とはいえ、エターナルの館長よりカワリーノさんの方がよほど恐怖ではないかとか、やっぱり疑問は残る。

リープ説なら、2回目の戦いが早期に終結しますから恐怖の印象はかなり薄れそう。記憶を覗いたソルシエール様も「何か変だな、この記憶」と眉をしかめてスルーしたのかもしれない。

(3)2回目のナイトメア戦が、敵味方ともに記憶を引き継いでいれば、戦わずに早期解決するかもしれない。その場合、後日談にてブンビーさんと働いていた「カワリーノさん似の社員」を、真実その通りカワリーノさんだとみなせる。公式に「別人」とされていた気もしますが。

以上のように、幾つかメリットがあります。が、デメリットもある。

まず、リープが起きたような描写がない。致命的です。
仮説1は「世界中に影響が及ぶ」ような戦いが描かれていますから根拠らしきものも出せますが、リープ説は「説明がつく」だけで根拠がない。
これでは、説の出来としては「突如現れた謎の神により、夢原さん達は若返ったのだ」とかと大差ない。
突破できそうなのは、さしあたりドリームコレットでしょう。デスパライア様の願いのかけ方が、何か「時間を巻き戻す」に関わるような願いの仕方だったならこじつけられる、かもしれない。

もう一点、リープ説だとナイトメア戦が史実から消えてしまう。これはファンとしてはかなり嫌だ。
夢原さん達はGoGo服を愛用しており、ただでさえ無印5は日陰に回っているのに、これではあまりに悲しい。

【春映画】

来年の春映画の告知映像では、懐かしのプリキュアバタフライが飛翔しています。演出や、あるいは夢原さんの口から、何か無印5時代への言及があるかもしれない。
映画の舞台は「未来体験のテーマパーク」のようだし、花寺さんたちも時間に関連した何かがありそうだしで、無印5から15周年の来年、新たな仮説を見つけ出せるかも。楽しみです。

【くどまゆ】

「5」「GoGo」の主題歌を歌われた工藤真由さんと、五條さん、松原さんによるライブが開かれました。観よう。

LLV MUSIC LIVE Vol.1~ミンナデツナガレ!~

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「ミラクルリープ」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年11月29日 | ハグプリ最終回考察
ミラクルリープの現象面を掘り下げてみる。

【リープする世界】

ハグプリ世界の「時間」の仕組みとして、考えられるのは概ね下記の3種です。

(1)未来は改変可能。改変するとパラレルワールドに分岐する(平行世界)

(2)未来は改変可能。ただし世界はひとつ。元の未来の消滅や、タイムパラドクスが起きる(歴史改変世界)

(3)未来は改変できない。(未来不変世界)

ミラクルリープで表出した事象は、直接にはこの3つのいずれも、決定的には肯定も否定もしません。

未知の現象なので分析はナンセンスとも思いますが、タイムトラベルやタイムリープでもないため、「未来を変える・変えない」には関与していないです。

イメージ:
「タイムトラベルやタイムリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その一点から別の点に移動する。
肉体ごと移動するのがタイムトラベル、精神だけの移動がタイムリープ。

「ミラクルリープ」
過去から未来に伸びる一本の時間の線があり、その線がぐるぐると1ヶ所で曲がり続けている。リープが終わったあとは、未来に向かって伸びていく。

※現代物理によれば「過去から未来に伸びる線」のようなものはなく、「過去と未来は同時に存在する」そうなので、上記はあくまでイメージとして。

あえていえば(1)平行世界は厳しくなります。
元々平行世界説は、ミラクルリープのように何度も同じ時間に戻るシチュエーションが苦手です。戻る度に「戻ってきた場合」と「戻らなかった場合」に分岐します(しなくても矛盾とまではいかないが説明が苦しくなる)から、「同じ時間を繰り返す」とやらが随分と曖昧になってしまう。

決定的な否定にはならないものの、現象としては「リフレイン(やミラクルン)が自分だけリープ」しても同じ状況が生まれますから、「実のところ、花寺さんさんらは同じ毎日を繰り返してはいない。平行世界の別人である」のような、「何だかな」な方向にも行きかねません。

【ララの落下法則】

(2)歴史改変や(3)未来不変は、どちらが正しいとも(ミラクルリープの現象からは)いえない。

先に書いたイメージでいえば、リープの後は時間の矢印が未来に向かって進んでいきます。
歴史改変なら以前とは違う方向にいく。未来不変なら同じ方向にいく(ぐるぐるとリープしていたことが元から正史)。

どちらの世界設定が正なのかは、リープの描写からは分かりません。

花寺さんの経験した3回のループは、毎回基本は似ているけれど、変化しています。この変化は、前回のループの知識を花寺さんが持っていたから。また、リフレインやミラクルンの動きにより、大小はともかく、何らかの影響はあるでしょう。
「同じ1日」は繰り返しておらず、その意味では「歴史改変」にも思える。ただし、上述のとおり「99種類の異なる土曜日を繰り返した後に未来に進む」ことが「正史」であり、何も未来は変わっていないとも言える。

一方、些細なプロセスは違っても、結局は同じといえば同じになっています。
ワープしたララは繰り返し星奈さんの上に落下していた。野乃さんは毎回顔面から転倒していた。
何度繰り返そうとそれが起きるなら、「歴史の復元力」的なものがあり未来は変わらないともいえる。

(※但し「だから未来不変」ではない。「未来不変でも齟齬がない」の根拠は、先にも書いた「土曜日を99回繰り返すのが、元々の歴史だった」としても矛盾がないから)


もちろん、単に起きやすいことが起きただけで、リープを1万回やれば9997回はララが星奈さんの上に落下するが3回は外れる、なども観測できるのかもしれない。復元力だのではなく、ただの確率の問題なのかも。

よって歴史改変か未来不変かは、ミラクルリープの現象からは分からない。

【つまりシャウトすればいいのです!】


(ヒーリングっど♥プリキュア」29話OPより)

そもそもどちらなのかを特定する意味はないのかもしれません。
劇中人物にとっては、いずれにせよ全てに確信を抱くのは不可能ですから、本人の主観で納得がいくなら、それで十分といえます。

では、えみるはこのミラクルリープ現象から、何を読み取るんだろう?

生憎と彼女にとっては、今回の事件は「何だか分からん女に呼び止められ、行った先で謎の敵に掌底を見舞い、でかい奴に一撃喰らってぶっ倒れ、ライトを振った」だけのことです。我々にとっては大事件でも、えみるにとっては日常ですね。ろくでもない生活だ。

したがって、えみるが事件の概要を知るのは、小学校跡での花見の時でしょう。
これまた私らの感覚では大勝利を肴に一日中でも宴をしそうですが、プリキュアさんらは大して話題にすらせず、何か趣味のこととかで盛り上がってそうだ。あの子らおかしい。

ただそうは言っても、彼女たち自身のエピソードは話しそうです。たとえば、花見の最中にララが星奈さんと衝突、それを見て「そうそうリープした時も、ひかるちゃんの上にずっと落ちてたんだよ」とか。
この時は聞き流したとしても、2030年、トラウム研究室に行くかどうかの岐路にたったとき、えみるは思いだし、考え悩むかもしれない。

以前の記事で書いてきたように、劇中人物たる愛崎えみるの認識では、ハグプリ世界は歴史改変か未来不変かのどちらかに絞られる(平行世界は、ルールーの言葉「未来で待つ」と矛盾するので棄却される)。
もしも歴史の改変が可能なら、トラウム研究室に行くタイミングにより未来が変わってしまい、ルールーと再会できなくなる恐れがある。だから「いつトラウム研究室に行くか」はとてもとても厄介だ。

悩むえみるにとって、ミラクルリープの体験はもしかしたら救いになるかもしれない。

はな先輩は、毎回毎回、顔面から倒れこんでいた。仮にこの世界が歴史改変可能な世界だったとしても、「いかにも起きそうなことは、繰り返してもやはり起きる」。言い替えると「自由に振る舞ったなら、その結果は、おそらくは元々の歴史と同じだ」とも言える。

細部は変わっても、大筋は同じ。これと「未来不変」の境い目はいまいち分かりませんが、定義に拘る意味は、えみるにはない。

このことから、

「未来不変なら研究室にいつ行ってもよい。行ったときそのタイミングが、元々からの正史」
「歴史改変だとしても、いかにも起きることは繰り返しても変わらず起きる。だから私が行きたいと自然に思ったそのタイミングなら、多少の変化はあっても歴史は変わらない」

と、えみるは考えるのではなかろうか。
「自分の思うままに動けば、自ずと正しい」は、えみるの価値観とも合致しますから、納得はしやすそう。ギュイーンとソウルがシャウトしたときに研究室に行けばよいのです。

ララが毎回、星奈さんの上に落ち続けてくれたおかげで、えみるの迷いが少し晴れそうです。体重を受け止め続けた星奈さんや、毎回転倒してくれた野乃さんらに感謝しよう。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「星奈ひかるのリフレイン」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年11月22日 | ハグプリ最終回考察
新しい一次資料が供給されたので、ハグプリ考察を続けてみる。

【時計の針】

映画「ミラクルリープ」にて、リフレインは「永遠に繰り返す一日」として「土曜日」を選択しました。ストーリー上の理由は不明。
リフレインが「半ドン」(昔は土曜日が休日ではなく、午前中のみ学校や仕事があった)に言及していることから、彼なりに「過ぎ去った日々」の象徴として「土曜日」を選んだのかもしれない。

「半ドン」のような現実世界の過去のシステムに言及されるのは珍しいように思う。あえて持ち出しただけあって、テーマ的には重要です。

リフレインは「土曜の午前中を繰り返す」ことを選択しましたが、奇しくもこの日は午後から同窓会が予定されています。もしも永遠に午前を繰り返したなら、午後の同窓会が起きなかった。
リフレインが望んだあの賑やかだった日々は、過ぎ去った「午前」ではなく、未来の「午後」にあった。

「未来からの学び」「未来からの恩寵」はヒープリさんの切り札のようにも思えます。「半ドン」はとても面白いアイデアだったと思う。

なお一緒に映画を見た我が子は、「半ドン」をフィクション世界の架空の制度と認識していたようです。
言われてみればそうだ。「ここには昔、大きな木があってね」とか「20年前までお祭りがあったんだよ」のような話と、同じといえば同じだ…。

【土曜日】

私らの住むこの世界の「半ドン」と同じである保証は全くないのですが、それを言っていたら考察の進めようもないので、そこは潔く無視し話を進めてみる。

今回「半ドン」という特徴的な仕組みに言及があったことにより、作中年代が特定できそうです。これはハグプリ考察において非常に重要です。なんかもう重要過ぎて、映画劇中で「半ドン」の単語が出た瞬間、目頭が熱くなって乾いた笑いがでそうになったぐらい。もはや病気。

さて、週休二日に移行したタイミングを確認したところ、1992年から「第2土曜は休み。それ以外は半日登校」、95年から「第2と第4土曜は休み」を経て、2002年から今の体制になったようです。今となっては当たり前に土曜休みだけど、移行から完了まで10年もかかったのか…。

では花寺父母は何年生まれなのだろう?ひいては、劇中時間は何年だろう?

①中学2年生の娘がいる。
②口ぶりからして、彼らは週休二日の移行時期を経験している。

アニメキャラクターは見た目では年齢の判断がつきませんが、①番目の条件から素直に考えるなら、30代後半から40代前半ぐらいかと思われます。切りよく40歳としてみよう。

次に②番目の条件。
結論ありきで考えると、ヒープリ劇中時間の候補となるのは「2004年(プリキュア開始年)」「2018年(プリキュア15周年)」「2033年(30周年)」の三つです。

2004年だと仮定すると、花寺父母は1964年生まれ。週休2日への移行は1992年なので、この年代は土曜休みをまったく経験していません。②の条件に反するので棄却。

2033年だとすると、花寺父母は1993年生まれ。今度は逆に半ドンを全く経験していない。故に棄却。

残る2018年の場合、生まれは1978年。小学校までは半ドン、中学生から週休2日を経験し始める世代です。これはかなり劇中描写に合致している。
無論、「2018年ではなく、2016年」等の細かな揺れの有無は保証できませんが、これらを見る限り、劇中時間は「2018年」(少なくとも2004年や2033年ではない)と予想されます。
というかまぁ、要するにリアルタイムと同じ「2020年」付近というだけなのでしょうけれど。

【揺蕩う星奈】

ハグプリ世界は素直に受け止めるなら2018年です。よって、花寺さんと野乃さんは同時代の人物だ。
さてそうすると、論点は残る1組、星奈さんだ。スタプリ世界は西暦何年だろう?

スタプリ最終回にて、星奈さんはキュアグレースに遭遇しています。
しかし「ミラクルリープ」では、二人は「初めまして」の会話をしている。これは如何なることか。

まず、スタプリ最終回では「キュアグレース」として会っている。「花寺のどか」ではない。
そのため「ミラクルリープ」の星奈さんが、花寺さんのことを知らなくても問題はない。ラテ様のことを知らないのは不自然といえば不自然ですが、犬畜生などすべて同じに見えるといえば見える。星奈さんが忘れていたとしても不自然ではないと思う。

ですが花寺さんの「ミラクルリープ」での反応は、ややおかしい。彼女は「他にプリキュアがいる」ことに驚いています。「スタプリ最終回」⇒「ミラクルリープ」の時系列であったなら、少なくともスタプリ組の存在は知っていますから、あの反応には違和感はあります。

疑念を抱いて見返してみると、スタプリ最終回は絶妙にいやらしい描写をしています。


(「スター☆トゥインクルプリキュア」49話より)

スター:「あなた、もしかして…」
グレース:「うん!わたしはキュアグレース!」
スター:「キュアグレース、キラやば~!」
フワ:「ありがとうフワ~」
グレース:「やっぱりぬいぐるみじゃないんだね」
(中略)
グレース:「よかったねラテ。ありがとう」
スター:「あっ。ねぇキュアグレースってもしかして…」
(邂逅終了)

「もしかして」ってなんだ?
メタ的には「もしかして次のプリキュアなの?」ですが、劇中で考えるなら他に何かあるはず。
これを踏まえて、以下、考えてみる。

●仮説1「スタプリは2018年の出来事である」

一番シンプルです。というかこれ以外を疑う理由が基本的にはない。
引っかかるのは2点。「ミラクルリープ時点で、なぜ花寺さんはキュアスターを認識していないのか」「最終回で星奈さんは何を言おうとしたのか」。
説明がつかないので、とりあえず横に置きます。

●仮説2「スタプリは2018年より前(仮に2004年)の出来事である」

要するに花寺さんが何らかの事情で2004年にタイムトラベルしていた。
この場合「ミラクルリープ」時点の花寺さんが、星奈さんのことを知らなくても矛盾はない。ただ「何らかの事情」ってなんだ。
また、星奈さんが何を言おうとしたのかも不明です。「もしかして未来から来たの?」だとしたら、どんだけキラヤバい洞察力してるんだこの子。

今後ヒープリにて「過去に戻る」かのようなエピソードが出てこないとも言い切れませんが、現時点ではこの説は厳しいように思う。必然性がない。

●仮説3「スタプリは2018年より後(仮に2033年)の出来事である」

この状況を作るためには、2つ仕掛けがいる。

まず星奈さんらを2018年(19年)に行われたミラクルリープや、ハグプリ最終回に出演させないといけない。
先ほどの「花寺さんがタイムトラベルした理由を説明できない」と違い、星奈さんは説明(こじつけ)が可能です。
蛇使い座のプリンセスとの決戦において、宇宙が巻き戻ったかのような描写があるので、これを拡大解釈し「スタプリ一行は過去から現代(2033年)まで戻る途中だった」とすればいい。
(シチュエーションはだいぶ違いますが、SF小説「故郷から10000光年(故郷へ歩いた男) 」を彷彿とさせる)

劇中では一瞬で描写されていますが、蛇使い座との決戦⇒宇宙消滅⇒プリキュア再起動⇒最終決戦の過程で星奈さんは宇宙の歴史を歩みなおしていたんだ。
まぁこれだとフワやプルンスがいることの説明がつかないので、何か更に仮説を重ねる必要がありますが。

もう一点。「キュアグレースってもしかして」の後に何が続いたのかです。
実はスタプリ最終回のグレースさんは、2代目グレースなんじゃなかろうか。

「2代目」ならば、これまでの矛盾の説明がつきます。
ミラクルリープ時点では花寺さんは会ったことがなかった。だから知らなかった。
スタプリ最終回時点のグレースは、オリジナルの花寺のどかではなく、キュアアースと同様に複製されたグレースだった。だから初対面かのような振る舞いをした。

それならばスタプリ最終回での星奈さんの最後の言葉は「もしかして、のどかちゃんとは違うの?」等でしょう。目をキラキラさせながら言う台詞ではないですが、星奈さんはキラやばいのでおかしくはない。

自分で書いておいて無理を感じるし、そもそも何でこんな仮説を考えなきゃいけないのかよく分からないのですが、「スタプリ最終回のグレースは、2代目グレースだった」はちょっと応用が効きそうな気がする。
ただ「2代目グレース」説を使うなら、仮説1も説明できるんですよね。わざわざ「スタプリ組は過去に戻っていた」を使わなくても済むので、仮説1の方がずっと良い。仮説3のメリットは「スタプリを2033年の話にできれば、30周年の時に扱いやすくなる」ことぐらい。

何にせよ、今後のヒープリさんの展開が非常に気になります。
来年の春映画では、よりにもよって「四季2回問題」を抱えている夢原さんと共演なさるようですので、更に予想外の何かを見つけ出せるかもしれない。

【蛇足】

スタプリ最終回を見返したら、「ミラクルリープ」のCMやってた。不思議な感覚だ…。
事情が事情なので不謹慎かもしれないけど、この現象そのものが時間ネタとリンクしてて何とも凄い。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「最終回に起きたこと」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年10月25日 | ハグプリ最終回考察
いよいよ来週「ミラクルリープ」の公開なので、ひとまずこれまでをまとめてみる。

【愛崎えみるは如何にして研究室を訪問したか】


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

これまで考えてきた結果、私の中では下記に至りました。
(以下、私の妄想に過ぎず、全ての文章に「おそらく~だと思う」がつくのですが、冗長なので省略します)

前提:ハグプリ世界は「未来不変」かつ「単一世界」である。
「未来世界の時間停止は自然現象なのでクライアスを倒しても解決しない」「野乃はなの死は解釈の余地がある」ので、タイムパラドクスはそもそも起きていません。
「本来の世界では死んでいたが、歴史が変わったので救われた」といったシナリオは特には必要ない。

2030年:
野乃はなとジョージの間に、はぐたん誕生。同時期にルールーも誕生。
野乃はなが我が子を「はぐたん」と確信できたのは、あの時の彼女は2043年からタイムリープ(コミックス版参照)してきていたから。

2038年頃:
野乃はな及びはぐたんが死亡。悲嘆したジョージは彼女らを救うべく幾度か過去に戻り、改変を試みるも悉く失敗。この世界は「未来不変」であると悟り、2018年に放浪する。

2018年:
ハグプリ第1話。2043年から、はぐたんが飛来する。それを追いかけてクライアスも出現、やがて放浪中のジョージも合流。

2019年:
野乃さんとの戦いを経て、ジョージは再び放浪。ルールーやトラウムらは2043年へ。

2030年:
えみる、トラウム研究室に行き、ルールーの起動に立ち会う。
えみるが「このルールー」と「あのルールー」が同一人物だと確信できたのは、予言されていた相田マナの結婚が実現したことなどから「未来不変」と認識できたから。

2033年:
トラウムが2044年から襲来。成人した魔法つかい・アラモードチームが参戦するオールスターズ戦が起きる。このトラウムはその後、2018年に行き、36話を展開。そこで散る。
同時期、2019年から旅立ったルールーらが2033年を経由し、2043年へ。
これらの観測から、いよいよ未来不変が確実になったため、えみるや33年トラウムらは本格的に活動を開始。44年トラウムが持ち込んだ技術やクライアスの残骸を元に、後のクライアスの礎となる技術開発に乗り出す。

2038年頃:
19年から放浪してきたジョージにより、死んだと思われた野乃母子が救出される。その際にジョージは闇化。
野乃さんはアカルイアスを盛り立てて、ジョージの救出や、やがて起きる世界的な時間停止現象に備える。

2043年:
ついに発生した時間停止現象に立ち向かうため、ポジティブ思考の集まりであるアカルイアス社は奮闘。自戒と自虐を込めて社名をクライアスに変更する。
これに呼応してキュアトゥモローらも出現。トゥモローの気づかぬ間に「トゲパワワに支配される→オシマイダーに変化させる→それをプリキュアが浄化→アスパワワを取り戻す」の奇妙な回復体制が構築される。

2043年夏頃:
クライアスの首領が母と知ったトゥモローは、ショックから敗北。これをハリーが救出し、何故か存在していた2033年へのワームホールを使い過去に移動する。
2033年に到着後、はぐたんの奇跡パワーにより出現した2018年へのワームホールを乗り継ぎ、ハグプリ第1話に至る。

2043年秋頃:
19年からトゥモロー帰還。母の真意を知り、和解。
戻る際に2018年-33年をつなぐワームホールを高速移動させ、2033年-43年を繋ぐホールに成長させる。これが何故か存在していたワームホールの正体。

同43年秋頃:
クライアス社に突撃をかけたルールーらの元に、クライアスについていた愛崎えみるも合流。ルールーの「未来で待つ」の成就。25年の時を経て、再び発動するキュアマシェリとキュアアムール。

2044年:
闇化したジョージとの決戦。一連の過程の最中に、野乃さんは2030年に一度タイムリープ。

2044年決戦終了後:
えみるのプリハートを託されたトラウムが2033年へ。そこから2018年にプリハートを送り込む。存在しないはずの5個目のプリハートとして18年に出現。
その後、トラウムはオールスターズ戦を戦い、散る。

私なりの根拠の詳細は下記
・「オシマイダー療法」
・「時をかける野乃はな」
・「ジョージの巡礼」
・「えみるの戦い」
・「時間への挑戦」
・「相田マナの結婚」
・「パラレルワールドへの疑念」(テーマ面)
・他、一覧

※考察を続けるに連れて変化した部分もあるので、一部、異なったことを書いている個所があります。

【振り返り】

ひとまず自分としては一旦の整理はできました。最早ハグプリ最終回に疑問はない、すっきりと納得できる…は言い過ぎにしても、かなりクリアになった。

ただ、考えたら考えた分だけ綺麗に思考が広がったので、まだまだ何かあるのかもしれない。
最後に少し書いた「2004年への拡張」や「トゥモロー視点での検討(彼女はどうすれば未来不変だと気づけるのか)」など、掘り下げれば新たな発見がありそうです。

元々のきっかけは「えみるは研究室には行けないはずだ」。
パラレルワールドや歴史の改変が可能な世界だったら、そこにいるのはルールー2号機です。この恐れがある以上は、えみるは研究室に行けない。
同様に、野乃さんが我が子を「はぐたん」かのように接するのは不気味だ。

これの解消のため、2019年の最終回直後に私が考えたのは「43年に黒幕が必要⇒はぐみとはぐたんが同一人物なのか確信を持てなくなった野乃はなが闇落ちした」とか「歴史改変を警戒するえみるは研究室に行けないはず⇒最終回のえみるは何らかの死期を悟ったのでは」等でした。今振り返るととてもとても浅はかだった。考えればそれだけ先に進める。奇しくも「なんでもできる、なんでもなれる」にも通じることのように思います。思考を止めなければ、未来は開けるんだ。

最後に蛇足ながら、一連の記事を書くために読んだ・観たものを記載します。読み返した・再視聴したものもあれば、こんな機会がなければ読まなかったものも多数ある。ハグプリさんがもたらしてくれたものは大きかった。
更なる発見があるはずの、来週公開「ミラクルリープ」が本当に楽しみです。
(※別記事に独立させました)

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「はぐたんの見た世界、他」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年10月17日 | ハグプリ最終回考察
前回に続き、雑多なネタを書き殴ってみる。

【名と体】

パップルの名前の由来はバブル。ダイガンは団塊の世代。ですが、2018年基準の劇中の年齢描写は微妙に噛み合わない。

バブル期(1990年前後)に20歳だったなら、2018年では48歳。
団塊の世代は1948年頃の生まれなので、2018年では70歳。

どちらも劇中イメージから15歳ほどずれています。そして「15」はかなり気になる数字です。
仮にハグプリ本編を2004年(プリキュア放送開始年)とすれば辻褄が合う。もしくは何らかのギミックを追加し、「クライアスは2004年から来ていた」とするとか。

【小動物たちの戦い】

リストルやビシンの背景がはっきりしません。
描写が断片的に複数話に分散しているので見落としがあるかもですが、経緯は「謎の疫病が広がる→クライアスの元で手術を受ける→助かったのは三匹だけ→故郷も消失」。でもこれだけだとすっきりしない。

まず、クライアスは悪さはしていない。疫病の原因がクライアスだとか、手術は嘘だったとかではないです。したがって、ビシンがリストルを裏切り者扱いしたのは不可解。仲間を売って一人だけ助かろうとしたとかではないはず。むしろ逆に、自分が率先して(おそらくは非常に危険な)手術の実験台になっただけでは。

ビシンのハリーへの執着や、ハリーの怪物化も不明。不明なだけで矛盾はないので特には問題はないのですが、何があったのか謎です。

最終回を見るに、ハリーらは2030年には既に存在し、おそらくはヒトの家と思われる空間で、ペットと思しき犬と仲良くしています。ここから何がどうなれば、ハムスター自治区や疫病に繋がるんだろう?いっそ「元々は普通のハムスターだった。それが逃亡したり捨てられたりして「自治区」ができた。トラウムの実験により喋ったり思考できるようになった」とかだろうか。
トラウムとしては「疫病から救う」のような意識は特にはなく、たまたま見つけたハムスター(後のリストル)を、気まぐれに実験にかけたらああなった。知恵を獲得したリストルは、仲間を救うために(御大層な疫病というか、野生環境で当たり前に存在する病気が蔓延していた)仲間をトラウム研究室に誘導した、トラウムも悪気なく実験を続けた、とか。

【トラウムへの出資】

最終回の研究室のシーン、よくよく見ると建物の入り口付近にアカルイアス社のロゴが見えます。素直に考えるなら、トラウム研とアカルイアス社は何らかの提携をしているのでしょう。
そうすると細々と疑問がわきます。

・トラウムへの出資を、野乃さんは知っているのか知らないのか
・誰がいつ、出資を指示したのか
・研究テーマは指定しているのか

「野乃さんらとは全く関係なく、アカルイアス社員がトラウム研究室を見出して提携、「ルールー」というアンドロイドの研究を始めた。野乃さんがそれを知ったのは、後日の報告書で」であれば、えみるが研究室を訪問するハードルがかなり下がります。「未来不変」も確信しやすくなる。

あるいは「野乃さんが精力的にトラウムを探し出し、アンドロイド研究を積極的に推奨した」のであれば、野乃さんは「未来不変」や「アカルイアスがクライアスになる」ことをかなり強く確信していると推測されます。野乃さん(または、はぐたん)はタイムリープ能力を持っている(コミックス版)ので、2043年から不定期に2020年代や30年代に戻ってきていて情報の受け渡しがなされている可能性もあり、「トラウムに積極的に出資した」なら、多少の傍証にはなるかもしれない。まぁただ単に「えみるが喜びそうだから」ぐらいの軽いノリの可能性もありますけれど。

【ハリーの輪廻】

ハリーはなぜ「ビューティハリー」を経営したんだろう?

素直に考えるなら、ネズミの彼にとってヒト向けの服飾店は敷居が高い。事実、開店時にはセンスのズレを指摘されています。仕入れや場所の問題もある。
もちろん、ハリーがその方面に興味があったんだとしても、何ら変ではない。結果的にビューティハリーはそこそこ繁盛していますから、選択は間違ってなかった。が、なぜ?は浮かびます。

同じ問題はジョー岡田のソリティアや、ナッツハウスにだって言えるのですが、ハリーの場合、「未来から来ている」のが気になります。
仮に2043年のハリーが「2018年に戻った自分は、なぜか服飾店を経営した」記録を知っていれば、必然的にビューティハリーを開くでしょう。
あるいは最終回で2043年に戻る際に、店の権利書や仕入れ先情報一式を持参し、未来に戻った後、何らかの手段で2018年第1話時点に権利書等を送り込むでもいい。これで第1話のハリーは、何故かおあつらえ向きに用意された権利書を使って出店できる。「最初にその権利書を得たのは誰か」という王道のパラドクスです。

話をもっと広げるなら、何度か触れたように2004年まで遡るのも手です。
たとえば「21話の黒白先輩は2004年(MH服なので2005年の方が適切か)から来ていた」「事態を把握した雪城さんは、2018年に備えて店の権利書を手配しておいた」等。
前回書いたように、来海「エリカ」さんが関わっているなら、選ばれたのが服飾店なのも納得がいきます。

…色々と適当にネタを見ていくと、意外に「2004年」がキーとして頻出します。
ぶっちゃけ偶然やこじつけでしかないとは思うのですが、体系的にまとめれば新たな発見があるかもしれない。

【はぐたんの見た世界】


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

トゥモローさんには、はぐたん時代の記憶があるんだろうか。
普通は1歳の記憶はないでしょうけれど、もし忘却していたら「ハグプリ」の1年は、トゥモローさんから見たら無いも同然。それはちょっと寂しすぎるし、最終回の「ママ…」の呟きにつながらない。
では記憶があるとしたら、それはそれで大変です。ハリーにオムツを換えて貰ってたような記憶も残る。思春期の娘さん的にはなかなか酷だ。

ハリーを父親と誤認しないかも心配です。野乃さんをママと呼ぶなら、ハリーはパパだ。ただ、はぐたんは「ママ」とは言っても「パパ」とは言っていない。
制作的には、おそらくは「ハリーをパパと呼ばせてしまうと、中学生女子を侍らせた一夫多妻みたいに見える」ので、意識して避けたんだろうと思う。ですが物語的には不自然です。ではもしかして、はぐたん時代にもトゥモローとしての記憶があったんだろうか。故にハリーはハリーだと強く認識し、「パパ」とは呼ばなかった。逆にいえば「ママ」と呼んだ野乃さん(の他に、薬師寺さん達にも「ママ」と呼び掛けてはいますが)は本当に彼女の母親だった可能性が高まります。
はぐたんの言動は乳児のそれそのもので、10代女子の記憶があるようには見えません。が、肉体の乳児化により行動や思考に制約がかかっていたとしたら、それほどおかしくないのでは。幼い脳で思考に霞がかかる中、上手く動かせない口で一生懸命に何かを訴えていたのかもしれない。

想定する前提によりパターンが無数にあるのですが、一例として「はぐたん時代にもトゥモローの記憶があった」かつ「意識して「ママ」と呼び掛けていた」かつ「世界が「分岐世界」なのか「未来不変」なのかを正確に把握していた」のであれば、「ママと呼んだのは、この世界が「未来不変」であることを伝えるため」等も導けます。分岐世界だったら、はぐたんの実母はこの世界の野乃はなではないので。
ハリーたちが未来に帰る決断をできた理由は、実はこれかもしれない。「なぜ、はぐたんはハリーをパパと呼ばないのか」「なぜ、はぐたんは(特に高い頻度で)野乃はなをママと呼ぶのか」に思い至れば、トゥモローの必死の情報伝達「未来は不変だ。だから救いに戻ろう」だと気づけるかもしれない。

もしそうなら、未来への帰還を急いだ理由も推測できます。はぐたんの記憶維持(人格維持ともいえる)にタイムリミットがあると気づいたから。
このまま普通に成長させてしまうと、普通の人が1歳児の記憶を失うように、はぐたんもトゥモロー時代の記憶を失ってしまい「別人」になってしまう。

尤も「じゃあ何で未来に戻れば急激に元の姿に戻れるのか」等、別種の疑問は湧きます。トゥモローの乳児化は、ジョージの呪いとかそんなのではないので、そもそも何で復活できたのかも良く分からない。
「トゥモローが乳児になったのは、タイムトラベルの穴を開いたから」「その穴を閉じて力を回収すれば元に戻れる」「しかしそれをやると未来に帰れなくなる」「だからまずは未来に戻ろう」とかかしら。最終回で野乃さんらに行った説明とは食い違いますが、誤魔化した理由も幾つかは思いつきはします。

また別の視点でいえば、最終回の「ママ…」のシーンを見る限り、トゥモローは「野乃はなが実母」だと確信しているように見えます。何がどうなれば、その確信に至れるのだろう?
「はぐたん時代の記憶が残っている」はほぼ必須として、

・「トゥモローは自分の母親が誰かを知っている」
(小さいころに死別し、親が誰かも知らずに育った、といった仮説は消える)
・「未来不変だと認識している」
(歴史が変わったり分岐するなら、あの野乃はなは別人。単なる「1年弱世話になった同年代の人」でしかない。もちろんその人を「ママ」と呼んでもおかしくはないのですが、あまりなさそうに思える)

等々が推測されます。

私が疑問を抱いたきっかけは、えみるだったので、えみる視点で考察を進めましたが、トゥモロー視点で進めてみればまた違う発見(もしくは今の仮説を更に補強する発見)がありそうな気がします。
如何せん前提として考える条件が多数ある上に、それぞれに決め手がないので発散してしまいそうですけれど。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「エリカとの出会い、他」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年10月11日 | ハグプリ最終回考察
「ミラクルリープ」までは更新しようと思い早数ヶ月。いよいよ公開日が迫ってきたので、まとめ的に「考えはしたけど今一つ何も得られなかった」ネタを並べてみる。

【マザーの正体】


(「HUGっと!プリキュア」20話より)

プリハートやらミライパッドさんやらから出てくる謎の女性。正体は不明。

この手の話は考察してもほとんど益がないように思う。ヒントがなさすぎるので何でもかんでも言ったもの勝ちになるし、正体が分かったところでそこから話が膨らまない。
「未来で神化した野乃はなだ」とか「世界の母である」とか、まぁどうとでも言えますが、否定も肯定もできないまま「だから何だ」で終わってしまう。「ハートキャッチ」のオーケストラさんのように、「良く分からない何か」で良いと思う。

【トラウムの人生】

トラウム初登場回で「30歳を過ぎた大人に仲間なんていない」と述べています。なんで「30歳」なんだろう?
おそらくは「大人=社会人」の連想から、「20歳では早すぎる」「25歳では語呂が悪い」ので「30歳」。それだけのことでしょう。

が、無理にこじつけを図ってみよう。

トラウムの年齢は60代~70代のように見えます。
仮に2043年に70歳ごろだったとしよう。そのトラウムが30歳なのは2004年。初代プリキュアの放送開始年です。何かを妄想できるんじゃないかしら。

【ずぶ濡れのジョージ】

ジョージは傘が嫌いだそうです。野乃さん曰く「空が見えなくなるから?」。
これに彼は明確な返答をしておらず、虚を突かれたような微妙な反応だけ見せています。

一般的なイメージとして「空」は自由や広がりや夢を意味するかと思います。「空が見えなくなるから嫌」=「自由がないのは嫌」は、彼の目指す時間停止とだいぶ違う。

これは「別れ際の挨拶が「またね」なのは、未来を信じているからだ」と同様の、彼の本心の現れなのか。
あるいは「そもそも雨が降ってるのだから、空は見えない」=「空が覆い隠されるような状況を見るのが嫌」=「希望が失われるのを見たくない」の意味だろうか。

【全人類プリキュア化】

最終回にて人類みなプリキュアになっています。ですがこれは色々と面倒な問題をはらんでいる。

あの瞬間に、脳死状態や今まさに死亡しようとしていた人、胎児もいたはずです。その人たちはプリキュアになったのだろうか。
この現象を突き詰めると「人の生死の境」の問題にぶち当たってしまいます。怖い。

またちょうど偶然、開腹手術中だったり、トイレで下痢に苦しんでいたり、泥酔して爆睡していたような人たちもいたはず。どうなったんだろう?
これも真面目に私たちの私生活に絡んでいきます。たとえば「地震が起きた。津波が来る。全力で今すぐに逃げろ」のような状況で、たまたまシャンプーつけて髪を洗ってる最中だったりする可能性もあります。果たしてその時に、どれだけ機敏に外に飛び出せるんだろうか。似た観点として、「虫歯の治療に行かなきゃ。でも面倒くさいなぁ」と先延ばしにしていたらコロナ騒動が発生、治療に行けなくなったとかも。
常在戦場は無理としても、イレギュラーへの覚悟は常に頭の片隅に置いておかないと、いざが起きた時に動けない。今この瞬間に人類総プリキュア化に巻き込まれ変身してしまっても、ちゃんと即座に戦いに赴ける心構えでいたい。

【エリカとの出会い】

漫画版書き下ろしによれば、野乃さんは小学3年生の頃「超イケてるオトナのおねぇさん」に出会い、強い憧れを抱きます。
ここからハグプリの物語が始まったともいえる、極めて重要な人物ですが、野乃さんによれば、

・仕事はオシャレなデザイナーさん、とかかも
・近所でときどきみかけた
・名前はエリカっていってたかな

「エリカ」さんと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、言うまでもなく「来海えりか」さんです。カタカナとひらがな表記とで相違はありますが、野乃さんの記憶はかなり曖昧だったと描写されているので大きな問題ではなし。

では彼女は来海さんなんだろうか?
確かに来海さんは「イケてるおねぇさん」だ。彼女は齢14歳にしてパリのファッションショーに出展する力の持ち主です。親や姉の威光を否定はできないにしても、パリに下宿して製作したのは事実。その他、部活動やら何やら、アレな性格が目立ちはするものの、彼女はかなり「イケている」。そのアレな性格も、大人になるとむしろ格好良いのでは。

ではもし本当に「来海えりか」さんご本人だったとすると、時代設定が気になります。
ハグプリ本編を2018年とすると野乃さんが小3なのは2013年。エリカさんの年齢ははっきりしませんが、適当に20代前半としましょう。2013年に20代前半なら、ハートキャッチ本編は2004年付近です。初代プリキュアの放送開始年だ。
それならば下記が自然に思えます。

・初代~アラモードまでは2004年の物語。ハグプリ以降は2018年の物語
・21話で黒白先輩が現れたのは、瞬間移動ではなくタイムトラベルだった。他、彼女らが出会う話では時間移動が絡んでいる
・36話で魔法つかい・アラモードが大人なのは2018年時点では28歳だから。この2チームだけ同時代からやってきたのは、トラウムがマホウ界等を襲撃していたから

私のこれまでの仮説とは異なりますが、これはこれで妄想のし甲斐がありそうです。先ほどの「トラウム30歳」とも絡めて、何かは作れそうな気がする。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「オシマイダー療法」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年10月04日 | ハグプリ最終回考察
未来で何が起きていたのかを考えてみる。

【誰がために】

ジョージの言葉を信じるのなら、2043年で起きていた時間停止はクライアスの仕業ではありません。未来の人々はクライアスとは無関係に絶望し、アスパワワがトゲパワワに変換され、その影響で時間が止まっていっています。
ハグプリ視聴者(および野乃さん達)にとってはかなり意外ですが、クライアスは時間停止の手段は(第1話時点では)持っておらず、未来の破滅には直接には関わってはいないのです。
では何をしていたんだろうか。


(「HUGっと!プリキュア」46話より)

未来では人々が絶望し、停止しています。逆にいえば、動けているクライアスの面々はアスパワワに満ちているとも言えます。実際、クライアスの皆様は上昇志向が強く、社名に反してむしろアクティブです。

さてそうすると、キュアトゥモローらは何と戦っていたんだろう?
別視点でいうと、クライアス社はなんでオシマイダーなんて物騒な生物兵器を開発したんだろうか。

視聴者観点では当たり前の光景ですが、冷静になってみれば、クライアスがオシマイダーで攻撃してくる経緯が分かりません。
彼らは(ジョージの言葉を信じるのなら)悪の組織ではありませんから、オシマイダーで世界を征服しようとしていたとか、そんな背景はないはず。なんでオシマイダーなんて擁しているんだ?
まぁ地域規模の地上げとか恐喝とかで用途はあるにはありそうなので、深く悩むようなところではないのかもしれませんが。

対峙するトゥモローさんも奇妙といえば奇妙です。
クライアスが単なる(ちょっとばかしあくどい)会社だったとして、プリキュアに変身して対抗するような存在ではありません。
どういう経緯でプリキュアが出現したんだろう?

さっぱり分からないのですが、強引に考えるなら、発想が逆なのかもしれません。
「オシマイダーがいたからプリキュアが出現した」のではなく、「プリキュアを出現させるためにオシマイダーを開発した」。

オシマイダーは微妙に矛盾をはらんでいます。あれの出現原理はアスパワワをトゲパワワに変換する際のエネルギーを使ってどうこうするものと思われますが、これは時間停止と同じ流れです。ですがオシマイダー化すると時間停止を乗り越えられます。そして描写を見る限り、プリキュアにより浄化してもらえばアスパワワを取り戻せます。
ということは、勝手に絶望して時間停止しようとしている人がいたら、無理やりオシマイダーにし、プリキュアを呼び浄化させれば時間停止を防げます。デザトリアン療法ならぬオシマイダー療法です。

パップルらがこれを意識してやってるようには見えませんが、対プリキュア以外にもオシマイダーには用途はありますから、「その辺で時間停止している奴の有効利用」として支給されても疑問は持たないはず。
オシマイダーの使い道は(従来の敵組織と比べて)かなりスケールが小さく、目的だけを見るならプリキュア案件ではない。だけどオシマイダーの原理は、目的に見合わぬ深刻な性質なのでプリキュアが発現。そして「オシマイダーに変化させて浄化させる」ことを目的とした戦いが、当事者たるパップルやトゥモローの知らぬままに行われていたんじゃなかろうか。

では誰がそんなことを意図したかといえば、素直に考えるなら野乃さんでしょう。
アカルイアス社を率いていた彼女は、ついに表面化した時間停止現象に対抗すべく、かつての自分たちの戦いをヒントにオシマイダー療法を思いついた。
幸いにしてアカルイアスの社員は極めて前向きな人たちが揃っていたので、時間停止の影響も受けにくかった。
そこで表面的には若干の社風変更をし、本質は「アカルイアス」のままなれど「クライアス」社に改名。今は非常時だからを理由に、多少の暴力的な営業に切り替え、その手段として社員にオシマイダーを支給。プリキュアの出現を待つ、といった流れです。
これなら「クライアスが時間を止めたのではないけれど、クライアスとトゥモローが戦う」状況を引き起こせます。

【間を繋ぐもの】

この仮説は3つ利点がある。

(1)
「何がどうなればアカルイアスがクライアスになるのか」を説明できます。
「未来は不変・世界は一つ」説を採用する場合(かつ「アカルイアスがクライアスになった」とする場合)、あの愉快な会社が何で悪の会社になったのかの理由付けがいります。
上記の流れなら突然脈絡なく悪の組織になったわけではないので、納得できるんじゃなかろうか。
「アカルイアス社員だからこそ、時間停止に負けなかった」「時間停止に負けなかったのでクライアス社員として働けた」のは説明として綺麗だと思う。

(2)
戦いの背景が上記であれば、「何も知らずに戦っていたトゥモローが、敵の首領が実は母親だった」と知り、愕然とするエピソードがありそうです。
具体的にはこんな感じ。

[イメージ]
クライアス幹部と戦うトゥモローさん。
そこに唐突に表れた野乃さん。

トゥモロー:「あぶない!今のうちに逃げて!」

慌てて庇うトゥモローさんに対し、野乃さんは全く動じず。
それどころかゆっくりと近づいてくる。

野乃さん:「あなたは本当に素敵な娘ね」
クライアス幹部:「遅いぞ、会長」
トゥモロー:「…え?」

[イメージ終了]

要するに23話です。そしてこのショックが尾を引いてトゥモローさんは敗北する。
まぁ本名「はな」のままだと色々とまずそうとかあるので、小細工はいるでしょうけれど。

この流れだったなら、ハリーが野乃さんらに、はぐたんの親の話をしていないことの説明がつく。
普通であれば、赤ん坊がやってきたなら「親はどうしているのか」は話題になるはずですが、ハリーはその話をしていません。少なくともカメラの回っているところでは。
本体が中学生とはいえ、野乃さんらは明らかに赤ん坊として扱っていますから、これは不自然といえば不自然です。
もし上記の経緯があったなら、(野乃さんが母親だと気づいていなかったとしても)デリケートな問題なので伏せても不思議はないのでは。

(3)
上記の流れを前提にするなら、はぐたんがやってきたのが2018年だったことにも納得がいきます。
彼女が単に助けを求めただけなら、自分が生まれた2030年などに行くほうが自然に感じます。しかしきっかけに母親への不信感があったなら、それを解消できる2018年(同年代かつオシマイダーと戦っている時代)に飛ぶのはおかしくない。尤も2018年の野乃さんがオシマイダーと戦っているのは、はぐたんがやってきたからなので、鶏と卵に陥るのですけれど。

【世界の止まり方】

ハグプリ世界では「時間停止」が4つある。

(1) 未来世界で起きた自然発生的な時間停止
(2) 23話で行ったミライクリスタルの反転による停止
(3) 24話などの(オシマイダーなどによる)絶望からの停止
(4) 36話のトラウムの新発明(と思われるもの)。最終決戦で使われたのは、おそらくはこれ

視聴者としては、かなり分かりにくい。野乃さんがそうだったように、「未来社会で時間を止めたのはクライアス」と考えるのが普通ですから、素直にそうすれば良かったはず。(2)のミライクリスタル式もいらない気がするし、(3)と(4)を分ける意味も感じません。

しかし「分かりにくいことをわざわざやっている」からには理由があるはずです。というか理由をこじつけた方が面白い。
とりあえず(1)からは上述の推測が導けるし、(4)からは「36話トラウムは、2043年よりも先の未来から来ているのでは」と推測できます。(2)や(3)も突き詰めれば何か発見があるかもしれない。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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「歌よ響け、この空に」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年09月27日 | ハグプリ最終回考察
前回からの続き。

えみるが苦しんでいたのは、特定の誰かからの分かりやすい抑圧ではなく、もっと漠然とした回避しようのない制約だったように思います。

他の劇中人物とも比較してみよう。
未来社会で時間が止まったのは、(ジョージの弁を信じるなら)特定の悪者がいたからではなく、各自がそれぞれ避け得ない挫折に直面したから。
ジュロスの悩み「加齢」は解決不可能(偏見は改善できますが、加齢そのものは無理)、チャラリートの悩みも本人が頑張るしかない。パップルは多少は他者が関わっていますが、「悪」がいたのではない。
ビシンやリストルは故郷を襲った何らかの危機(誰かを憎んではいないことから、イメージ的には環境変化?)が原因で、これも他者からの偏見による抑圧ではない。
トラウムの娘やジョージの「最愛の人」の死も、分かりやすい特定の「悪」が原因ではなさそうです。(ジョージの件は偏見やら抑圧やらも絡んでいそうですが、「社会を憎む」方には振れていません)

ミデンの苦しみも、クローバーの苦悩も、避けられない不運であって、他者の理解不足や古い価値観のせいではない。

これらを見ると、解決可能な偏見や抑圧ではなく、解決不可能な制約への悩みに思えます。

たとえばアンリくんの悩み。
整理すると3点ある。

(1)成長による体の変化。声変わりなど
(2)足の故障
(3)交通事故による足の麻痺

選手を諦めた直接の原因は(3)ですが、元々は「(1)により時間の猶予がなくなったこと」で、「そのせいで休養期間をおけず、(2)なのに無理して最後の大会に出ようとした」。

(1)は性同一性障害とかそういった話ではないでしょう。声変わりに言及したシーンでは「何でもできると思っていた」と振り返っています。なんでもできると思っていたのに、現実には「成長」という避けられない制約が存在した。そのことへの悩みと思われます。「嫌でも大人にならざるを得ない」とか「ある仕事についたら、別の仕事につく未来は消える」とかと同一の悩みです。
これは偏見や抑圧の問題ではなく、解消は不可能。だからプリキュア化して叶った夢は「足が治る」ではなく、「せめて最後をちゃんと終わりたい」という儚くも素敵な夢だった。

(強いていえば(1)は彼自身が作り出した制約です。声変わりしたり骨格が変わってもスケートはできる。「それは若宮アンリではない」と決めつけたのは彼ですから、もし(3)がなければ「制約を受け入れて、演技の方向性を大きく変えた」未来があったのかもしれない)

(アンリくんは「みんなの求めている若宮アンリにはなれない」と拒絶していましたが、最後には「みんなが望む若宮アンリ」を見せています。「スケートが好きだったのは、みんなの笑顔が見たかったから」とも。あえて極言すると、アンリくんは抑圧に抵抗するというより、大衆に迎合する決着をしています。もちろん「自分の夢と周囲の夢が幸せな一致をした」からの結果ですから、「迎合」という表現はおかしいですが)

えみるも同様で、避けられない制約が問題に思えます。「抑圧された(「女の子がギターなんて」)からシャウトしたかった」のではなく「シャウトしようとしたら抑圧された」のですから、まず何か「シャウト」したかったきっかけがある。

彼女はどちらかといえば、自由過ぎて何をしてよいのか分からなくなっていたのではなかろうか。
ここでいう「自由」とは、「多様性の尊重」とかも含みます。良いか悪いかは別として、「勝ち組」「負け組」がはっきりしていた方が、やるべきことは明白です。
「なんでもなれる」と言われてしまうと、「なんになればいいんだ?」と迷ってしまう。判断基準は全くなし。

理想を言えば「自分がやりたいことをやればよい」のですが、自分がやりたいことを具体化できる人の方が少数派でしょう。小学生なら尚更です。
純朴な思い付きで「〇〇屋さんになりたい」と口にできる年齢を過ぎ、かといって具体的な進路を考えられるほどの材料もない。
身近な年長者はことごとく特徴的で参考にもならず。多様性を尊重すると、分かりやすいアドバイスも受けられない。
これは現実の視聴者の姿も反映しているように思えます(現役幼児から見た少しお姉さんの立ち位置でも、20歳(初代を5歳ごろに見ていた人が20歳)の手前くらいの人の立ち位置でも)。

めちゃくちゃな喩えを使うなら、野原に連れていかれて「さあ好きなことをしなさい」と言われても途方に暮れる感じ。
「虫が好き」「花が好き」とか具体的に趣味があればそれをやればよいけれど、まっさらな状態では困ってしまう。
そしてそんなときの「正解」の一つは、「とりあえず、がむしゃらにその辺を走り回る」じゃなかろうか。目的は後から見つければいい。まずは走る。そうすればその内、何かは見つかるはず。「走るのは自分の好みじゃないな」とかそういうのも含めて。

えみるの言う「ギターは自由なのです」「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!」は正にこの状態に思えます。何をしたいのかよく分からないが、とりあえずシャウトするんだ。そしてシャウトすることそのものが好きになり、目的を見出したのでは。

そう思うと、ツインラブへの評価「アイドルなのかロックなのか中途半端」(33話)も分かります。
えみるがやっていたのはロックではなく、迸る彼女の「自由」な疾走です。故に特定のジャンル名は付かない。
分類しようとしたら中途半端になるのは必然だ。そして中途半端を恐れずに、自分と未来を信じる。

彼女たちの代表曲「LOVE&LOVE」からもうかがえます。
「抑圧への抵抗」という観点でもおかしくはないのだけど、力点は「自由に走る」ことにある。
誰かのせいにしてそれと戦うのではない。自分の大好きや夢を叫ぶ。

ルールーと惹かれあったのも分かる気がします。
友情に理屈を持ち込むのも野暮ですが、ルールーもまた「何をやりたいのか分からない」娘ですから、二人は似たもの同士です。
それもあったからこそ、ルールーが「やりたいことを見つけたから」と未来に帰る決意をしたとき、悲しみながらも受け止めたのでは。

【輝ける未来】

以上を念頭に2043年の戦いを考えてみる。

それぞれの理由で悩み、時間停止に陥っている人々を、トゥモローさんは救おうと奮闘なされた。
描写がないのでどうやって救おうとしたのか分かりませんが、「明日には意味がある」「目標を持とう」のような方向で試みたように思えます。野乃さんからの継承とか、40周年の肩書とか、色々と大義を抱えている子なので。
ですがそれでは何をやっていいのか分からない人たちは救えない。多様性を重んじていると、意味や目標も見出しづらい。「全部正しい」と言われたら、何をやって良いのか分からない。
私は勝手に2043年のテーマを「親離れ・子離れ」と予想しているのですけど、その観点でいえば「子育てという強い目標が一旦終わり、目標を見失った」ような状況です。

ここを突かれて中盤以降に敗北。そしてそれを我らがえみるが救援するような展開とかどうかしら。

[イメージ]
「明日には意味がある」と訴えるトゥモローさん。それを嘲笑う敵幹部。どんなに叫んだところで、みんな目的なんて見つけられないんだ。
そんなことないと否定するも、振り返れば倒れこんでいる人々ばかり。廃墟と化した街中で、「今」に意味を見いだせずフリーズしていく。
何をやればいいのか。何が正しいのか。「全てが正しい」多様性の中では、それを具体的に指し示すのは困難だ。なんでもできるが故に、なにもできなくなっていく。

そこに突如差し込むスポットライト。そして響き渡る歌声。
仰ぎ見れば、25年ぶりに再会した えみる(37歳)とルールーの歌う姿が。

その歌に何の意義があるのかはさっぱり分からない。
分からないが、倒れこんでいた人たちの胸に何かが宿る。
遠い昔に聴いたあの歌。ああそういえば、昔ここでナイトプールとかやったんだっけ。

「…楽しかったよな」
「ああ。またやりたいな」

あの町内イベントに、ご立派な意義なんてなかった。でも楽しかったじゃないか。
目的なんて後からこじつければいい。
かつて時間停止を破ったあの歌声に導かれ、人々がまた立ち上がる。
[イメージ終]


(「HUGっと!プリキュア」24話より)

「2018年当時、御大層な意味のなかったナイトプールが、時を経て大きな意味を持つ」というのは、「HUG」のテーマとも、(勝手に予想している)2043年シリーズのテーマとも噛み合うんじゃなかろうか。
極めて漠然とした、なんだかよく分からないけどとりあえず楽しいことを、とりあえずやってみる。そうすれば目指したい方向や、やりたいこと、何らかの目的も見えてくる。見えてくれば、更にそれを元に楽しいことができるはず。
「目標を定めてそこを目指す」と「とりあえずやってみてから目標を探す」の両輪は大事です。
私としては、えみるさんがギュイーンとシャウトしたソウルを、そのように受け止めてみます。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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