穴にハマったアリスたち

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小説「モダンタイムス」(伊坂 幸太郎) 感想

2009年02月23日 | 小説・本
例によってサンデー連載中の漫画「魔王」の原作本を読みました。

■モダンタイムス - 伊坂 幸太郎

誤解を避けるために(?)最初に書きますが、この人の小説自体がお勧めかというと私的には微妙です。
ただ漫画版「魔王」のアレンジぶりはかなり上手いと思う。
「魔王」「グラスホッパー」「モダンタイムス」等々、この作者さんの小説を組み合わせ、独自のストーリーを展開しておられる。
きっちり原作を活かしつつ、漫画としても面白いというのはかなり凄いと思うので、その側面から応援したいです。
オールスターズもの大好きですし。

ストーリー。
「魔王」でお馴染みの安藤くんの遠縁に当たる主人公さんは、ある時唐突に酷い目に。
いったい何でこんな目に合わないといけないのか。
けれど返ってくるのは「あんたを痛めつけるのが仕事だから」「よく分からんがそういうシステムになってるらしい」。
そんな答えばかり。

世の中には明確な「悪の親玉」や「悪の組織」なんてない。
誰もが自分の仕事や領分の中で行動してるだけ。
その行動の結果が全体としてどんな意味を持ってるのかなんて誰も分からないけれど、とにかく世の中そうなってる。

…というお話。

扱ってるテーマ自体は特に違和感はないです。
こういった「個々人は社会というシステムの一部であって、全体を理解している人はいない」というのは、社会に出ると実感します。
いわゆる「社会の歯車」とはちょっと違う。なんというか「何でそうなってるのか分からないけど、とにかく長年そうなってる」ことばかりというか。

お話の展開上、それが怖いことかのように小説内では表現されてましたが、私の考えは「世の中適当だなぁ」「だから私も適当でいいや」。
学生さんの中には「社会は厳しい」と思ってる方もいるかもしれませんが、はっきり言ってぬるいです。
何故そんなので上手く行くのか皆目不明ですが、まぁ適当でいいというのは良いことだと思う。

微妙に本筋とは無関係ながら、劇中で「赤信号」の話が出てました。
「明らかに車が来ない状況で、赤信号に従うべきか」。
小説中では特に強調して主張はされませんでしたが、「ルールにやみくもに従うのではなく自分で考えよう」という方向でした。

で、個人的には「赤信号に従え」がポリシーです。根拠は三つ。

一つ。現実に交通事故の最も多いケースは、高齢者の信号無視や勝手な道路横断です。当然その人たちも「安全だ」と思ったから渡ったわけで、つまりは「明らかに車が来なくて安全」という個人の判断自体があてにならない。

二つ目。「守る意味がない」と思えるほどの些細なルールすら守れない人間は、重要なルールを守れるわけがない。個人の裁量でルールを曲げ始めると、際限がなくなります。

三つ目。単純にプライドの問題。大したメリットもないのにわざわざリスクを抱えるのは格好悪い。(ここでいうリスクには交通事故の他、信号無視を目撃した他者からの評価の低下とか、そういうことも含む)

…まぁそういうことも含めて「まず考えよう」というのが、作者さんの「魔王」から一貫した主張なので「反論」したいわけではないですけれど。
「結論がどうなるかは別として、まずは考えろ」というのには共感してます。
他にもネットやら何やらに対する作者さんの主張にも思うところはあるけれど、長文になりそうだったので省略。


(左画像)
モダンタイムス (Morning NOVELS)

(右画像)
魔王 4―JUVENILE REMIX (4) (少年サンデーコミックス)


小説の感想だか何だか分からない駄文になりましたが、最後に一つだけ気がかりなこと。
漫画版「魔王」は上手い具合にあちこちからネタを引っ張ってきてるのですが、「モダンタイムス」のヒロインさんがまだ未登場です。
もしも彼女の設定が詩織さんに引き継がれたら…!と思うとドキドキが止まりません。安藤弟さんの最大の武器は、実は真横に潜んでる。
コメント (2)
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