【今秋のプリキュアさん】
今回も大泉学園にて、最速上映を見てきました。
映画を観終わっての感想は、ただ一言「やられた」でした。
プリキュアさん凄い。改めて思い知った。
暗くて何の画像か分かり難いですが、大泉にある東映アニメ様の社屋です。
相も変わらず誇らしげに灯りがついてる。あの方たちはいつ寝ておられるのだろう…。
このエネルギーが、あの作品を生み出してるんだろうな。
■映画「スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」
【0】
今からおよそ9年前。奇しくも黒白先輩がブラウン管で殴り合っていたその頃。
星空さんは寂しい幼女時代を送っておられました。
どうも人見知りなさるようで、いまいち社交デビューできないようです。
そんな折に巡り合った1冊の絵本。
「笑顔」がテーマのそのお話を読んで、星空さんも笑顔を浮かべてみました。
するとどうでしょう。お友達ができたではないですか。
星空さん:
「すごい!すごい!」
大喜びの星空さん、齢5歳にして人生の転機となった絵本を、それはそれは大好きになりました。
だけどこの本、最後の数ページが千切れてなくなってます。ヒロインが魔王に誘拐されたところで途切れてる。
これではお話がちゃんと終わらない。
そこで星空さんは思いました。
星空さん:
「あたしが続きを描いてあげる!」
【1】
時は流れて現在。
笑顔の大切さを学んだ星空さんは、人見知りどころか笑顔で殴打戦が出来るほどに成長なさりました。
あの可愛かった幼女は、もういない。
その星空さん、今日は世界の絵本イベントにお出かけです。
なんでも世界中の絵本が見られるそうです。アトラクションもいっぱい。
地味なジャンルなのに、壮大に金がかかってるイベントだ。
そこでふらりと入った上映アトラクション。
呑気に映画を眺めていたら、スクリーンから女の子が飛び出してきた。
その子を追いかけて、悪役っぽいのもやってきた。
事情は分からないものの、悪役っぽいのが金角・銀角と見抜いたスマイルさん達。
悪いオオカミさん達と同類と判断し、颯爽と宣戦布告。
とりあえず殴る。誤爆だったら後で謝ろう。
見かけと違い、なんでも吸いこむ瓢箪を駆使して戦う金角さんたち。なかなかテクニカル。
対するスマイルさんは属性攻撃の嵐。
それはもう執拗なまでにエレメントアタックですよ。
かつては技一発撃っただけで息が上がっていたスマイルさんですが、対フュージョン戦での醜態を反省したんでしょうね…。
至った結論は、必殺技を捨て、通常攻撃の全てに属性効果を練りこむことだった。
【2】
助け出した娘さんの名はニコさん。
曰く絵本の国の住人だそうです。
そうと聞いては星空さんは黙っていられない。早速、その魅惑の国に押し掛けることに。
絵本の国。そこは世界中の全ての絵本が集まった、まさに夢の国でした。
メルヘンランドの存在意義に亀裂が走る。
どういうことだこれ。ちょっと説明してくれキャンディ。
キャンディ:
「こんな国があったなんて知らなかったクル」
もはやこの仔豚に期待するのは止めよう。
絵本の国では、そこの登場人物になり切ることもできるとのこと。
もちろん星空さんはアクティブに挙手。はい!あたし、それやりたい!
よろしい。では何の絵本の、何の役をやりますか?
星空さん:
「あたしシンデレラがいい!」
そうですか。
「ピーターパンとウェンディ」でも「赤毛のアン」でもなく、「シンデレラ」を選択。
まぁ妥当な判断でしょう。楽しいですものね、「シンデレ…
ニコさん:
「…そう。『シンデレラ』が好きなのね」
ひぃっ!
めぐ姉が悪いめぐ姉の声出してる!
ほ、星空さん、ちょっと考えなお…
星空さん:
「うん!シンデレラ大好き!!」
あ、嗚呼。
何かよく分からないが、よくない回答をしてしまった気がする。
だけどそんなことには全く気付かず、星空さんは望み通りに「シンデレラ」の世界へ。
他の4人もそれぞれチョイスした物語へと飛んで行きました。
一人残されたのはニコさんは、ぼそりと呟く。
ニコさん:
「………うそつき」
【3】
念願かなって「シンデレラ」に参加した星空さんですが…。
コキ使われてるところにやってきたのは、魔女ではなく桃太郎でした。
はて?
同じく別の絵本で遊んでいた青木さんたちも、本来とは違った物語が展開していきます。
竜宮城には孫悟空。鬼が島に一寸法師。青木さんより浦島太郎を選ぶ犬・猿・雉。
何でしょうかこれは。しかも何故か唐突に襲ってきた。
豹変した桃太郎やシンデレラから身を守るため、有耶無耶の内に交戦開始。
そこに牛魔王や鬼らが助けに割って入ってきた。
偶然にも悪役ばかりのその助っ人さんは、暴れる浦島太郎らに呼び掛ける。
自分たちの物語に戻って、話を進めてくれ。
そうしないと、いつまでたっても物語が終わらないじゃないか。
ニコさん:
「それでいいんだよ」
やってきたニコさんは言う。
ハッピーエンドもバッドエンドもいらない。
ずっと終わらない物語をやっていればいい。
エンディングが破られてた、ニコさんの物語のように。
ここに来て、ようやく星空さんも思い出しました。
あ。あの子、子供の頃に読んでた絵本の子だ。
懐かしいな~。元気してた~?
ニコさん:
「………。」
元気なわけがありません。
何故なら星空さんが約束を破り、続きを書いてあげなかったから。
おかげでエンディングを迎えることができなかったニコさんは、延々と魔王に苦しめられることに。
許すまじ、星空みゆき。
今回の犯行は、その一念によって為されたものでした。
【4】
状況を飲み込んだ星空さんは顔面蒼白。
しまった。確かに忘れてた。いや、続きを書こうと、頑張るには頑張ったんだよ?
でもですね。5歳児の画力は、イメージを具現化するにはちょっと足りませんでした。
しかしてそれがこんな事態を招くとは。
今度の敵の狙いは、不思議世界でも不思議アイテムでもプリキュアでもなく、単なる一個人としての「星空みゆき」。
たまたま偶然、プリキュア能力持ってて良かった。本当に良かった。
さしあたり命の危機は脱したものの、とにもかくにも謝らないと。
落ち込んでいてもスマイルが逃げるばかりなのです。
そこで一行は、ニコさんの待つ魔王の城へ。
ニコさんは無論、逃げも隠れもせず、正面から迎撃に出ます。
当然だ。彼女の主たる狙いは世界征服でもなんでもなく、星空さんを撃破すること。
ここまで私的な理由で戦ったプリキュアが、かつていただろうか。
【5】
ニコさんの魔王パワーで操られた孫悟空らは、青木さんらが応戦。
例によって属性攻撃が唸りを上げる。接触したその瞬間に、炎や雷撃や風圧や氷が叩きこまれます。
プリキュアVSプリキュアやったら、案外スマイルさんが相性的に上位に行くんじゃなかろうか。
戦線はニコさん側が優勢になるものの、プリキュアさん達は倒しても倒しても立ち上がってくる。
星空さんもズタボロになりながらもニコさんの所に辿りつきました。
そして謝ろう。ごめんなさい!ぶっちゃけ忘れてました!本当にごめんなさい!
星空さん:
「ありがとう」
「あのとき笑顔を教えてくれて」
確かに忘れてしまってた。
ですが、あの時笑顔の大事さを学んだおかげで、今の星空さんはある。
星空さんが笑顔満載娘に育ったこと自体が、彼女がニコさんを真に忘れてたのではないことを物語ってます。
こうも直球に謝られると、ニコさんとしても怒りのやり場がない。
まぁ冷静になってみれば、5歳児に無茶な要求をしすぎてたのかもしれない。
ちょっとニコさんに迷いが出始めた。
だけどそこに真打ちの魔王様が降臨。
彼曰く、ニコさんの憎悪エネルギーにより力を増幅し、終りのない絶望の世界を作るそうです。
どんだけ憎まれてたんでしょうか星空さん。記憶にないだけで、実はページ破ったの星空さんだったりしないでしょうね。
【6】
表に出てきた魔王により、ニコさんは閉じ込められてしまいました。
その彼女を助けようと、先ほどの牛魔王さんたちも奮闘。
彼らの行動は奇妙と言えば奇妙。だって彼らは悪役です。正しく物語が進行したら、倒されてしまう役回り。
でも物語が終わらないよりは、ずっといい。
終わらせるために、彼らはニコさんを救出に向かう。
そんな彼らを見て、ニコさんも動き出した。
終わらせよう、この物語を。
いつまでも終わらないメルヘンなんて、ないんです。
ニコさん:
「待ってるだけじゃダメなんだ」
「わたし、ここから出なきゃ!」
ニコさんらの行動を受けて、プリキュアさん達も総攻撃態勢。
プリンセスフォームが起動し、ペガサスとフェニックスが爆裂アタック。
しかし魔王様の砲撃の前に、割とあっさりと打ち負けてしまいました。
辛うじてプリンセス形態は維持したものの、星空さんらは戦闘不能に。
これでは物語が終わりません。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、宙ぶらりんが続いてしまう。
だからニコさんは呼び掛けた。
ミラクルライトを振ってくれと。
この「スマイルプリキュア」の物語を終わらせるために。
【7】
ここで選択肢が発生する。
ずっと星空さんの活躍が見たければ、ライトを振らなければいい。
戦闘には負けるでしょうけど、それはそれでお話は続きます。
敗退した星空さんのその後を描いた「スマイルプリキュア セカンドシーズン」が見られるかも。
リベンジフォームを身にまとい、かつて失ったスマイルを取り戻すために戦う星空さんとか。見たい。
でも物語は終わらせないといけない。
いつまでもいつまでも苦しい戦いを続けさせるのは気の毒なのです。
だからライトを振る。星空さんとお別れすることになると分かっていても。
星空さん:
「笑顔で包む愛の光・ウルトラキュアハッピー!」
ただでさえゴージャスなプリンセスフォームから、更に多段変身したせいで、全身の羽毛がとんでもないことに。
性能もケタ違いです。接触面から属性攻撃を叩きこむわけですが、星空さんのそれは「ハッピー」。
触れたそばからハッピーエンドに追い込まれていく。終わりをもたらす究極天使が、そこにいた。
立っているだけで大地に花咲かせ、ハッピーエンド空間を作り出す超ハッピー様は、魔王様の攻撃も歯牙にもかけずに強制終了。
無事に元の魔王様の姿に戻すことができました。
思えば彼も被害者です。
物語が終わらないせいで悪役としての仕事をし続けた結果、こんな暴走を招いた。
5歳児の星空さん、つくづくとんでもないことをしてくれたもんだ。
【8】
立ち往生してしまったニコさんの物語は、こうして終わりを迎えました。
破られたページは復活。だけどそこには何も描かれていません。
未来にあるのは白紙のページ。
メルヘンにはいつかは終わりがきます。ページは無限じゃない。
だけどそこにエンディングを書き込むのは、他ならぬ自分自身。
それは辛くて勇気がいるのかもしれないけれど、笑顔があれば突破できる。
そして終わらせることで、次の物語に続いて行くんだ。
牛魔王さん達を見る限り、ウルフルンさん達も倒されることを望んでるのかも。
悪役が仕事を放棄したら、お話が進みません。
悪には悪の矜持がある。
【エンディング】
スイートさんと同じくイメージソング+ダンスEDの構成。
イメージソングは破壊的です。
歌詞の詳細は覚えてませんが、こんな感じ。
『心に描いてみて 自分だけの物語』
『不安に負けないで みんなここにいるから』
「スマイル」さんのテーマを見事に表現してたように思う。
【感想】
これまでに、ごちゃごちゃとやっていた考察は、概ね間違ってなかった、と思う。
メルヘンはいつか終わる。しかし楽しかった時間は無駄じゃない。
でもこれじゃ解答としては道半分だった。
「メルヘンはいつか終わる」じゃない。
「メルヘンはいつかは自分で終わらせる」だった。
言われてみれば。
ウェンディはネバーランドを追い出されたのではないし、アンはケイティと引き離されたのではない(厳密に言えば戸棚を撤去されてますが、本質はそこじゃない)。
彼女らは、自分で選んでメルヘンを終わらせてる。その気になれば、ずっとメルヘン世界にも居られたのに。
毎年、ミラクルライト演出は本編にがっちりハマってます。
「スイート」さんでは共通体験を表現していたし、「ハートキャッチ」さんでは「事情を知らない通りすがりにもできることがある」(何せ観客は、何故花咲さんらがパリにいるのかすら知らない)を体現してた。
じゃあ今回の「スマイル」さんは…と思っていたのですが。
ミラクルライトを振ると、お話が終わっちゃうんですよね。
メルヘンを終わらせるのは、自分たち自身なわけだ。
「メルヘンはいつかは終わる」ではなく、「私ら自身が終わらせている」。
極論を言えばバッドエンドでもいいんでしょう。ちゃんとお話が終われば。
(実際、「ハッピーエンドもバッドエンドもない」との説明に、星空さんは衝撃を受けていた)
話が終わりさえすれば、次の白紙のお話を始めることができます。
緑川さん問題の「家族はいつかバラバラになる」も。
「バラバラになる」ではなく、「自らバラバラにする」が回答なんでしょう。
最初に独立して巣立っていくのは、自分だ。
それがハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは白紙ですが、何はともあれ次のお話に進められる。
いつまでも子供時代の家族のままで過ごす方が、よほど苦しい。
「エンド」を恐れるのは、確かに「プリキュア」的じゃなかった。
永久に続く物語よりも、終わりと始まりを繰り返すことを選んだのが「プリキュア」さん。
「メルヘンはいつかは終わる」と落ち込むのは筋違いだった。「終わらせる」んだ、むしろ。
【公演終了後】
自然と拍手が沸き起こってた。
と、思ったら、次回作の予告。
正直言って、完全に忘れてた。
予告されたのは「NewStage2」。
前作「NS」は「オールスターズ」ものとして完璧すぎたので、次回が作れるか不安に思っていたのですが、そのまんま「NS2」のようです。
内容が気になる。これで来年の春まで頑張る理由ができた。
【大泉学園】
会場はTジョイ大泉さん。恒例の展示も行われてました。
開演前は台本の中身は公開されてなかったのですが、終演後、即行で再セッティングされてました。
遅い時間だと言うのに、スタッフ様の対応が機敏。ありがとうございます。
東映アニメ様のミュージアムにも展示があるようでしたけど、さすがに今日は閉館。
冒頭に書いたとおり、働いている方々は普通にいるようでしたが。ありがとうございます。
…といったところで、引き続き舞台挨拶回に行ってみる。
(追記)→行ってきた。舞台挨拶&ちょっとだけ感想2周目
今回も大泉学園にて、最速上映を見てきました。
映画を観終わっての感想は、ただ一言「やられた」でした。
プリキュアさん凄い。改めて思い知った。
暗くて何の画像か分かり難いですが、大泉にある東映アニメ様の社屋です。
相も変わらず誇らしげに灯りがついてる。あの方たちはいつ寝ておられるのだろう…。
このエネルギーが、あの作品を生み出してるんだろうな。
■映画「スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」
【0】
今からおよそ9年前。奇しくも黒白先輩がブラウン管で殴り合っていたその頃。
星空さんは寂しい幼女時代を送っておられました。
どうも人見知りなさるようで、いまいち社交デビューできないようです。
そんな折に巡り合った1冊の絵本。
「笑顔」がテーマのそのお話を読んで、星空さんも笑顔を浮かべてみました。
するとどうでしょう。お友達ができたではないですか。
星空さん:
「すごい!すごい!」
大喜びの星空さん、齢5歳にして人生の転機となった絵本を、それはそれは大好きになりました。
だけどこの本、最後の数ページが千切れてなくなってます。ヒロインが魔王に誘拐されたところで途切れてる。
これではお話がちゃんと終わらない。
そこで星空さんは思いました。
星空さん:
「あたしが続きを描いてあげる!」
【1】
時は流れて現在。
笑顔の大切さを学んだ星空さんは、人見知りどころか笑顔で殴打戦が出来るほどに成長なさりました。
あの可愛かった幼女は、もういない。
その星空さん、今日は世界の絵本イベントにお出かけです。
なんでも世界中の絵本が見られるそうです。アトラクションもいっぱい。
地味なジャンルなのに、壮大に金がかかってるイベントだ。
そこでふらりと入った上映アトラクション。
呑気に映画を眺めていたら、スクリーンから女の子が飛び出してきた。
その子を追いかけて、悪役っぽいのもやってきた。
事情は分からないものの、悪役っぽいのが金角・銀角と見抜いたスマイルさん達。
悪いオオカミさん達と同類と判断し、颯爽と宣戦布告。
とりあえず殴る。誤爆だったら後で謝ろう。
見かけと違い、なんでも吸いこむ瓢箪を駆使して戦う金角さんたち。なかなかテクニカル。
対するスマイルさんは属性攻撃の嵐。
それはもう執拗なまでにエレメントアタックですよ。
かつては技一発撃っただけで息が上がっていたスマイルさんですが、対フュージョン戦での醜態を反省したんでしょうね…。
至った結論は、必殺技を捨て、通常攻撃の全てに属性効果を練りこむことだった。
【2】
助け出した娘さんの名はニコさん。
曰く絵本の国の住人だそうです。
そうと聞いては星空さんは黙っていられない。早速、その魅惑の国に押し掛けることに。
絵本の国。そこは世界中の全ての絵本が集まった、まさに夢の国でした。
メルヘンランドの存在意義に亀裂が走る。
どういうことだこれ。ちょっと説明してくれキャンディ。
キャンディ:
「こんな国があったなんて知らなかったクル」
もはやこの仔豚に期待するのは止めよう。
絵本の国では、そこの登場人物になり切ることもできるとのこと。
もちろん星空さんはアクティブに挙手。はい!あたし、それやりたい!
よろしい。では何の絵本の、何の役をやりますか?
星空さん:
「あたしシンデレラがいい!」
そうですか。
「ピーターパンとウェンディ」でも「赤毛のアン」でもなく、「シンデレラ」を選択。
まぁ妥当な判断でしょう。楽しいですものね、「シンデレ…
ニコさん:
「…そう。『シンデレラ』が好きなのね」
ひぃっ!
めぐ姉が悪いめぐ姉の声出してる!
ほ、星空さん、ちょっと考えなお…
星空さん:
「うん!シンデレラ大好き!!」
あ、嗚呼。
何かよく分からないが、よくない回答をしてしまった気がする。
だけどそんなことには全く気付かず、星空さんは望み通りに「シンデレラ」の世界へ。
他の4人もそれぞれチョイスした物語へと飛んで行きました。
一人残されたのはニコさんは、ぼそりと呟く。
ニコさん:
「………うそつき」
【3】
念願かなって「シンデレラ」に参加した星空さんですが…。
コキ使われてるところにやってきたのは、魔女ではなく桃太郎でした。
はて?
同じく別の絵本で遊んでいた青木さんたちも、本来とは違った物語が展開していきます。
竜宮城には孫悟空。鬼が島に一寸法師。青木さんより浦島太郎を選ぶ犬・猿・雉。
何でしょうかこれは。しかも何故か唐突に襲ってきた。
豹変した桃太郎やシンデレラから身を守るため、有耶無耶の内に交戦開始。
そこに牛魔王や鬼らが助けに割って入ってきた。
偶然にも悪役ばかりのその助っ人さんは、暴れる浦島太郎らに呼び掛ける。
自分たちの物語に戻って、話を進めてくれ。
そうしないと、いつまでたっても物語が終わらないじゃないか。
ニコさん:
「それでいいんだよ」
やってきたニコさんは言う。
ハッピーエンドもバッドエンドもいらない。
ずっと終わらない物語をやっていればいい。
エンディングが破られてた、ニコさんの物語のように。
ここに来て、ようやく星空さんも思い出しました。
あ。あの子、子供の頃に読んでた絵本の子だ。
懐かしいな~。元気してた~?
ニコさん:
「………。」
元気なわけがありません。
何故なら星空さんが約束を破り、続きを書いてあげなかったから。
おかげでエンディングを迎えることができなかったニコさんは、延々と魔王に苦しめられることに。
許すまじ、星空みゆき。
今回の犯行は、その一念によって為されたものでした。
【4】
状況を飲み込んだ星空さんは顔面蒼白。
しまった。確かに忘れてた。いや、続きを書こうと、頑張るには頑張ったんだよ?
でもですね。5歳児の画力は、イメージを具現化するにはちょっと足りませんでした。
しかしてそれがこんな事態を招くとは。
今度の敵の狙いは、不思議世界でも不思議アイテムでもプリキュアでもなく、単なる一個人としての「星空みゆき」。
たまたま偶然、プリキュア能力持ってて良かった。本当に良かった。
さしあたり命の危機は脱したものの、とにもかくにも謝らないと。
落ち込んでいてもスマイルが逃げるばかりなのです。
そこで一行は、ニコさんの待つ魔王の城へ。
ニコさんは無論、逃げも隠れもせず、正面から迎撃に出ます。
当然だ。彼女の主たる狙いは世界征服でもなんでもなく、星空さんを撃破すること。
ここまで私的な理由で戦ったプリキュアが、かつていただろうか。
【5】
ニコさんの魔王パワーで操られた孫悟空らは、青木さんらが応戦。
例によって属性攻撃が唸りを上げる。接触したその瞬間に、炎や雷撃や風圧や氷が叩きこまれます。
プリキュアVSプリキュアやったら、案外スマイルさんが相性的に上位に行くんじゃなかろうか。
戦線はニコさん側が優勢になるものの、プリキュアさん達は倒しても倒しても立ち上がってくる。
星空さんもズタボロになりながらもニコさんの所に辿りつきました。
そして謝ろう。ごめんなさい!ぶっちゃけ忘れてました!本当にごめんなさい!
星空さん:
「ありがとう」
「あのとき笑顔を教えてくれて」
確かに忘れてしまってた。
ですが、あの時笑顔の大事さを学んだおかげで、今の星空さんはある。
星空さんが笑顔満載娘に育ったこと自体が、彼女がニコさんを真に忘れてたのではないことを物語ってます。
こうも直球に謝られると、ニコさんとしても怒りのやり場がない。
まぁ冷静になってみれば、5歳児に無茶な要求をしすぎてたのかもしれない。
ちょっとニコさんに迷いが出始めた。
だけどそこに真打ちの魔王様が降臨。
彼曰く、ニコさんの憎悪エネルギーにより力を増幅し、終りのない絶望の世界を作るそうです。
どんだけ憎まれてたんでしょうか星空さん。記憶にないだけで、実はページ破ったの星空さんだったりしないでしょうね。
【6】
表に出てきた魔王により、ニコさんは閉じ込められてしまいました。
その彼女を助けようと、先ほどの牛魔王さんたちも奮闘。
彼らの行動は奇妙と言えば奇妙。だって彼らは悪役です。正しく物語が進行したら、倒されてしまう役回り。
でも物語が終わらないよりは、ずっといい。
終わらせるために、彼らはニコさんを救出に向かう。
そんな彼らを見て、ニコさんも動き出した。
終わらせよう、この物語を。
いつまでも終わらないメルヘンなんて、ないんです。
ニコさん:
「待ってるだけじゃダメなんだ」
「わたし、ここから出なきゃ!」
ニコさんらの行動を受けて、プリキュアさん達も総攻撃態勢。
プリンセスフォームが起動し、ペガサスとフェニックスが爆裂アタック。
しかし魔王様の砲撃の前に、割とあっさりと打ち負けてしまいました。
辛うじてプリンセス形態は維持したものの、星空さんらは戦闘不能に。
これでは物語が終わりません。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、宙ぶらりんが続いてしまう。
だからニコさんは呼び掛けた。
ミラクルライトを振ってくれと。
この「スマイルプリキュア」の物語を終わらせるために。
【7】
ここで選択肢が発生する。
ずっと星空さんの活躍が見たければ、ライトを振らなければいい。
戦闘には負けるでしょうけど、それはそれでお話は続きます。
敗退した星空さんのその後を描いた「スマイルプリキュア セカンドシーズン」が見られるかも。
リベンジフォームを身にまとい、かつて失ったスマイルを取り戻すために戦う星空さんとか。見たい。
でも物語は終わらせないといけない。
いつまでもいつまでも苦しい戦いを続けさせるのは気の毒なのです。
だからライトを振る。星空さんとお別れすることになると分かっていても。
星空さん:
「笑顔で包む愛の光・ウルトラキュアハッピー!」
ただでさえゴージャスなプリンセスフォームから、更に多段変身したせいで、全身の羽毛がとんでもないことに。
性能もケタ違いです。接触面から属性攻撃を叩きこむわけですが、星空さんのそれは「ハッピー」。
触れたそばからハッピーエンドに追い込まれていく。終わりをもたらす究極天使が、そこにいた。
立っているだけで大地に花咲かせ、ハッピーエンド空間を作り出す超ハッピー様は、魔王様の攻撃も歯牙にもかけずに強制終了。
無事に元の魔王様の姿に戻すことができました。
思えば彼も被害者です。
物語が終わらないせいで悪役としての仕事をし続けた結果、こんな暴走を招いた。
5歳児の星空さん、つくづくとんでもないことをしてくれたもんだ。
【8】
立ち往生してしまったニコさんの物語は、こうして終わりを迎えました。
破られたページは復活。だけどそこには何も描かれていません。
未来にあるのは白紙のページ。
メルヘンにはいつかは終わりがきます。ページは無限じゃない。
だけどそこにエンディングを書き込むのは、他ならぬ自分自身。
それは辛くて勇気がいるのかもしれないけれど、笑顔があれば突破できる。
そして終わらせることで、次の物語に続いて行くんだ。
(左画像) 映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ! オリジナル・サウンドトラック (右画像) 映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ! テーマ曲収録シングル |
牛魔王さん達を見る限り、ウルフルンさん達も倒されることを望んでるのかも。
悪役が仕事を放棄したら、お話が進みません。
悪には悪の矜持がある。
【エンディング】
スイートさんと同じくイメージソング+ダンスEDの構成。
イメージソングは破壊的です。
歌詞の詳細は覚えてませんが、こんな感じ。
『心に描いてみて 自分だけの物語』
『不安に負けないで みんなここにいるから』
「スマイル」さんのテーマを見事に表現してたように思う。
【感想】
これまでに、ごちゃごちゃとやっていた考察は、概ね間違ってなかった、と思う。
メルヘンはいつか終わる。しかし楽しかった時間は無駄じゃない。
でもこれじゃ解答としては道半分だった。
「メルヘンはいつか終わる」じゃない。
「メルヘンはいつかは自分で終わらせる」だった。
言われてみれば。
ウェンディはネバーランドを追い出されたのではないし、アンはケイティと引き離されたのではない(厳密に言えば戸棚を撤去されてますが、本質はそこじゃない)。
彼女らは、自分で選んでメルヘンを終わらせてる。その気になれば、ずっとメルヘン世界にも居られたのに。
毎年、ミラクルライト演出は本編にがっちりハマってます。
「スイート」さんでは共通体験を表現していたし、「ハートキャッチ」さんでは「事情を知らない通りすがりにもできることがある」(何せ観客は、何故花咲さんらがパリにいるのかすら知らない)を体現してた。
じゃあ今回の「スマイル」さんは…と思っていたのですが。
ミラクルライトを振ると、お話が終わっちゃうんですよね。
メルヘンを終わらせるのは、自分たち自身なわけだ。
「メルヘンはいつかは終わる」ではなく、「私ら自身が終わらせている」。
極論を言えばバッドエンドでもいいんでしょう。ちゃんとお話が終われば。
(実際、「ハッピーエンドもバッドエンドもない」との説明に、星空さんは衝撃を受けていた)
話が終わりさえすれば、次の白紙のお話を始めることができます。
緑川さん問題の「家族はいつかバラバラになる」も。
「バラバラになる」ではなく、「自らバラバラにする」が回答なんでしょう。
最初に独立して巣立っていくのは、自分だ。
それがハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは白紙ですが、何はともあれ次のお話に進められる。
いつまでも子供時代の家族のままで過ごす方が、よほど苦しい。
「エンド」を恐れるのは、確かに「プリキュア」的じゃなかった。
永久に続く物語よりも、終わりと始まりを繰り返すことを選んだのが「プリキュア」さん。
「メルヘンはいつかは終わる」と落ち込むのは筋違いだった。「終わらせる」んだ、むしろ。
【公演終了後】
自然と拍手が沸き起こってた。
と、思ったら、次回作の予告。
正直言って、完全に忘れてた。
予告されたのは「NewStage2」。
前作「NS」は「オールスターズ」ものとして完璧すぎたので、次回が作れるか不安に思っていたのですが、そのまんま「NS2」のようです。
内容が気になる。これで来年の春まで頑張る理由ができた。
【大泉学園】
会場はTジョイ大泉さん。恒例の展示も行われてました。
開演前は台本の中身は公開されてなかったのですが、終演後、即行で再セッティングされてました。
遅い時間だと言うのに、スタッフ様の対応が機敏。ありがとうございます。
東映アニメ様のミュージアムにも展示があるようでしたけど、さすがに今日は閉館。
冒頭に書いたとおり、働いている方々は普通にいるようでしたが。ありがとうございます。
…といったところで、引き続き舞台挨拶回に行ってみる。
(追記)→行ってきた。舞台挨拶&ちょっとだけ感想2周目