前に書いた記事の続きと言うか派生。
ふと見かけて悶々としたので、書いてみる。
(1)『児童性犯罪者の多くは漫画やアニメを見ていた。
だから漫画やアニメを見ると性犯罪に走る』
これへの反論として、下記のようなのを良く見かけます。
(2)『犯罪者の多くは米を食べている。
だから米を食べると性犯罪に走る。
これと同じくらい馬鹿げた理屈だ』
この論法は的外れだと思ったので、それについて。
(念のために書きますが、説(1)は馬鹿馬鹿しいほどに間違ってると思う。
ただ、理屈が通ってないのは落ち着かないので、あえて書く)
仮説(1)を主張する人としては、根っこには「漫画やアニメには児童に対する性的なシーンが含まれる。だから犯罪を誘発する」があると思われます。
「知識として知っているから」「関係性の高いものに興味があるから」、それを実際にやってしまうという理屈。
まぁそれ以外の様々なこじつけも、後付けで幾らでもするんでしょうけど、とりあえずは。
従って「米を食べる」例を出すのなら、対応する犯罪は「おむすびの万引き」等です。
常識的に考えれば、わざわざ「おむすび」を狙って万引きする犯罪者(パンでも麺でもなく)は、過去に米を食べたことがあるでしょう。
よって「米を食べることと、おむすびを万引きすることには関連性がある」と言えます。
「米を食うと犯罪者になる」は、この意味においては正しい。
以上により、論(2)による反論に対して再反論されるのは必然だと思う。
彼らの脳内では「ある物に興味があったら、それに関連する物にも興味を持ち、暴走する可能性がある」なんだから、「米と性犯罪は全く関係ない」もしくは「おむすびを万引きする人は米を食った事があるだろうから、反論になってないじゃないか」と納得しないはず。
(もっとも、規制賛成派からは「極端だ」「屁理屈だ」といった、「実は何がおかしいのか分かってないんじゃないか?」と思いたくなる再反論しか見たことないですけれど)
(1)に反論するのなら、「漫画と実在の人物には関連性がないことを示す」か「漫画よりも実在の人物に近いものがあることを示す」の方が適切だと思う。
・「漫画と実在の人物には関連性がないことを示す」
⇒漫画と実在の人物は関係がない。だって紙ですよ紙。
「米を食ったらサカナの万引きをする」くらいおかしい。
「米を食ったらおむすびを万引きする」なら理解できるけれど。
「漫画を読んだら、自慰が流行する」は理解できるけど、
「漫画を読んだら、性犯罪をする」は意味不明。だって紙なんだから。
・「漫画よりも実在の人物に近いものがあることを示す」
⇒確かに素敵な子を見ていたら、性的に興味を持つのも理解できる。
そして当然ながら、漫画よりも実写ドラマ。
実写ドラマよりも現実の異性の方が、関連が高いのだから影響は大きい。
よって漫画が危険ならば、漫画よりも先に実写ドラマや現実の異性との接触を禁止すべき。
前者を否定しようとすると、後者で自分の首を絞めることになる。
後者を否定しようとすると、必然的に「漫画を読むと性犯罪に走る」を否定せざるを得なくなる。
「漫画の方が、実在の異性よりも実在の異性との関連が高い」ことを証明するミラクルな方法があれば別だけど。
よって「米を食べていた」の例よりも、「実写ドラマや映画を見ていた」の方が反論としては適切じゃなかろうか。
「実在の異性との接触」まで行くと「禁止するのは非現実的」との反論が予想されるので、「実写ドラマや映画」。
…あれ?規制賛成派としては、「実写ドラマや映画も禁止するのは非現実的」「だから(影響力は低いが)漫画を禁止せよ」のスタンスなのかしら?
まぁそれを言いだしてしまったら、単なるマイノリティの迫害だと自白するようなものなので、自爆極まりないですけれど。
(そもそも漫画が少数派である保証もないですし)
といったわけで、「理屈を思いついたけど、実際に使う機会がなさそうなので吐き出してみる」的記事、終わり。
【蛇足】
別視点から。
「犯罪者の多くは米を食べていた」を、
「多くの人が米を食べているんだから、原因とみなすのはおかしい」ではなく、
「米を食べない人も犯罪を行うから、米と犯罪には関連はない」の観点で使ってるのなら、ちょっと話は変わる。
本当に関連性があるかどうかを検討するのならば、「○○をしていた人」だけを調べても無意味。
「○○をしない人」と比べる必要があります。
(占いの的中率を調べるには、「当たった占い」だけではなく「外した占い」も調べないといけないのと同じ)
「犯罪者は米を食べていた。しかし米を食べない人も犯罪をする。よって米は関係ない」
⇒「犯罪者は漫画を読んでいた。しかし漫画を読まない人も犯罪をする。よって漫画は関係ない」
ただ、この方向性で言おうとすると「本当に漫画を読まない人も犯罪をするか」を調べる必要が出てくる。
(常識的に考えて、刑務所に入るような粗暴な不良や親父が、プリキュア大好き人間の集まりとは思えないですが)
またわざわざ「多くの人が該当する米」を例に出してる都合上、「多くの犯罪者が漫画を読んでいる」かのような錯誤をしやすい構成になってるのも、どうかと思う。
例えとしてはあんまり良くないのかなと。
ちなみに「米を食う」ではなく「犯罪者は空気を吸っていた。だから空気が悪い」の例えになると、また話が変わってくる。
「空気を吸わない人は死ぬ=犯罪をできない」ので、確かに空気と犯罪には関連性がある。
ただし空気を禁止すると、犯罪よりも酷い自体になるので、禁止できない。
漫画に置き換えると、「漫画を読まないと死ぬ」…はさすがに言いきれないので、「漫画を読まないとコミュニケーションに難が出る」とか「他者への興味を失う」。
⇒「性犯罪をするには他者に興味を持つ必要がある」
「他者に興味を持つには、漫画を始めとしたフィクションとの触れ合いが必須」
「漫画を禁止すれば他者への興味が薄れるので犯罪は減るが、それによる損失は犯罪よりも大きい」
「だから漫画をやり玉に挙げるのは間違っている」
というスタンスになると思う。
なんというか、かなり回りくどい論法になってしまう気がする。
【蛇足2】
結局は「なんで漫画と犯罪に関連があると思うのか」を、規制賛成派から出してもらわないと、ちゃんとしたことは言えないですね。
データや統計が出せないのはもう分かってるので、せめて「どうして感覚的にそう思ったのか」は知りたいです。
ふと見かけて悶々としたので、書いてみる。
(1)『児童性犯罪者の多くは漫画やアニメを見ていた。
だから漫画やアニメを見ると性犯罪に走る』
これへの反論として、下記のようなのを良く見かけます。
(2)『犯罪者の多くは米を食べている。
だから米を食べると性犯罪に走る。
これと同じくらい馬鹿げた理屈だ』
この論法は的外れだと思ったので、それについて。
(念のために書きますが、説(1)は馬鹿馬鹿しいほどに間違ってると思う。
ただ、理屈が通ってないのは落ち着かないので、あえて書く)
仮説(1)を主張する人としては、根っこには「漫画やアニメには児童に対する性的なシーンが含まれる。だから犯罪を誘発する」があると思われます。
「知識として知っているから」「関係性の高いものに興味があるから」、それを実際にやってしまうという理屈。
まぁそれ以外の様々なこじつけも、後付けで幾らでもするんでしょうけど、とりあえずは。
従って「米を食べる」例を出すのなら、対応する犯罪は「おむすびの万引き」等です。
常識的に考えれば、わざわざ「おむすび」を狙って万引きする犯罪者(パンでも麺でもなく)は、過去に米を食べたことがあるでしょう。
よって「米を食べることと、おむすびを万引きすることには関連性がある」と言えます。
「米を食うと犯罪者になる」は、この意味においては正しい。
以上により、論(2)による反論に対して再反論されるのは必然だと思う。
彼らの脳内では「ある物に興味があったら、それに関連する物にも興味を持ち、暴走する可能性がある」なんだから、「米と性犯罪は全く関係ない」もしくは「おむすびを万引きする人は米を食った事があるだろうから、反論になってないじゃないか」と納得しないはず。
(もっとも、規制賛成派からは「極端だ」「屁理屈だ」といった、「実は何がおかしいのか分かってないんじゃないか?」と思いたくなる再反論しか見たことないですけれど)
(1)に反論するのなら、「漫画と実在の人物には関連性がないことを示す」か「漫画よりも実在の人物に近いものがあることを示す」の方が適切だと思う。
・「漫画と実在の人物には関連性がないことを示す」
⇒漫画と実在の人物は関係がない。だって紙ですよ紙。
「米を食ったらサカナの万引きをする」くらいおかしい。
「米を食ったらおむすびを万引きする」なら理解できるけれど。
「漫画を読んだら、自慰が流行する」は理解できるけど、
「漫画を読んだら、性犯罪をする」は意味不明。だって紙なんだから。
・「漫画よりも実在の人物に近いものがあることを示す」
⇒確かに素敵な子を見ていたら、性的に興味を持つのも理解できる。
そして当然ながら、漫画よりも実写ドラマ。
実写ドラマよりも現実の異性の方が、関連が高いのだから影響は大きい。
よって漫画が危険ならば、漫画よりも先に実写ドラマや現実の異性との接触を禁止すべき。
前者を否定しようとすると、後者で自分の首を絞めることになる。
後者を否定しようとすると、必然的に「漫画を読むと性犯罪に走る」を否定せざるを得なくなる。
「漫画の方が、実在の異性よりも実在の異性との関連が高い」ことを証明するミラクルな方法があれば別だけど。
よって「米を食べていた」の例よりも、「実写ドラマや映画を見ていた」の方が反論としては適切じゃなかろうか。
「実在の異性との接触」まで行くと「禁止するのは非現実的」との反論が予想されるので、「実写ドラマや映画」。
…あれ?規制賛成派としては、「実写ドラマや映画も禁止するのは非現実的」「だから(影響力は低いが)漫画を禁止せよ」のスタンスなのかしら?
まぁそれを言いだしてしまったら、単なるマイノリティの迫害だと自白するようなものなので、自爆極まりないですけれど。
(そもそも漫画が少数派である保証もないですし)
といったわけで、「理屈を思いついたけど、実際に使う機会がなさそうなので吐き出してみる」的記事、終わり。
【蛇足】
別視点から。
「犯罪者の多くは米を食べていた」を、
「多くの人が米を食べているんだから、原因とみなすのはおかしい」ではなく、
「米を食べない人も犯罪を行うから、米と犯罪には関連はない」の観点で使ってるのなら、ちょっと話は変わる。
本当に関連性があるかどうかを検討するのならば、「○○をしていた人」だけを調べても無意味。
「○○をしない人」と比べる必要があります。
(占いの的中率を調べるには、「当たった占い」だけではなく「外した占い」も調べないといけないのと同じ)
「犯罪者は米を食べていた。しかし米を食べない人も犯罪をする。よって米は関係ない」
⇒「犯罪者は漫画を読んでいた。しかし漫画を読まない人も犯罪をする。よって漫画は関係ない」
ただ、この方向性で言おうとすると「本当に漫画を読まない人も犯罪をするか」を調べる必要が出てくる。
(常識的に考えて、刑務所に入るような粗暴な不良や親父が、プリキュア大好き人間の集まりとは思えないですが)
またわざわざ「多くの人が該当する米」を例に出してる都合上、「多くの犯罪者が漫画を読んでいる」かのような錯誤をしやすい構成になってるのも、どうかと思う。
例えとしてはあんまり良くないのかなと。
ちなみに「米を食う」ではなく「犯罪者は空気を吸っていた。だから空気が悪い」の例えになると、また話が変わってくる。
「空気を吸わない人は死ぬ=犯罪をできない」ので、確かに空気と犯罪には関連性がある。
ただし空気を禁止すると、犯罪よりも酷い自体になるので、禁止できない。
漫画に置き換えると、「漫画を読まないと死ぬ」…はさすがに言いきれないので、「漫画を読まないとコミュニケーションに難が出る」とか「他者への興味を失う」。
⇒「性犯罪をするには他者に興味を持つ必要がある」
「他者に興味を持つには、漫画を始めとしたフィクションとの触れ合いが必須」
「漫画を禁止すれば他者への興味が薄れるので犯罪は減るが、それによる損失は犯罪よりも大きい」
「だから漫画をやり玉に挙げるのは間違っている」
というスタンスになると思う。
なんというか、かなり回りくどい論法になってしまう気がする。
【蛇足2】
結局は「なんで漫画と犯罪に関連があると思うのか」を、規制賛成派から出してもらわないと、ちゃんとしたことは言えないですね。
データや統計が出せないのはもう分かってるので、せめて「どうして感覚的にそう思ったのか」は知りたいです。