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おねがいマイメロディ 第1話~第5話

2011年04月18日 | アニメ・日曜朝 感想その他
「ジュエルペット サンシャイン」に触発されて見返してみた。

■おねがいマイメロディ 第1話~第5話

『魔法の国・マリーランドから、サンリオ生物がやってきた。魔法の力で、みんなの夢を叶えるために』

このあらすじを聞いたなら、10人中10人がこう思う。
ああ、マイメロディが魔法で夢を叶える話なんだろうな、と。
しかしながら実態は真逆。

『魔法で夢を叶えようとするのは、敵役のクロミさん』
『マイメロディは、それを阻止する』

この設定を思いついた時点で、勝ちだったんじゃなかろうか。

舞台となるのはいたって平凡な「夢が丘」の町。
そこに住む皆さまは、それぞれささやかな夢を持っておられます。

 『バイオリンが弾けたらイイナ!』
 『勉強ができたらイイナ!』
 『友達がたくさんできたらイイナ!』
 『おうちがキレイになったらイイナ!』
 『優勝できたらイイナ!』

しかしながらその平凡な夢は、悪夢へと変わるのです。
魔法の国・マリーランドがからやってきた夢先案内人・クロミさんの手によって。
彼女の持つメロディキーが振るわれる時、夢は魔法の力で現実に叶う。

 『優勝できたらイイナ!』
 →1回戦の対戦相手、食中毒で棄権
 →2回戦の対戦相手、学校が火事で棄権
 →3回戦の対戦相手、移動中に事故

そして呆然と立ち尽くすのです。
観客から「卑怯者!」と罵られ、物を投げ込まれながら。
夢を願っただけなのに、どうしてこうなった。

マイメロのやることは、この悪夢から目覚めさせるだけ。
直接的には何もしません。
多くの場合、励ますことすらしない。ただ単に、悪夢を覚ますだけ。

 『夢は魔法で叶えるものではない』

サンリオ様のテーマが強烈に異彩を放ちます。
普通に考えれば、「マイメロが夢を叶えて回る」話にするのが自然だし、コンテンツの売り上げにも寄与したんじゃないかと思う。
そこをあえてこの展開。考え出した方と、それにゴーサインを出したサンリオ様は凄い。

更に脅威なことに。
上記の「悪夢」に対し、「別にそれでいい」と考えて満足する人々も出てくる。
歪んだ夢の中であっても、それはそれでいい。
「マイメロ」第1期は、この辺り非常にダークです。
この手のアニメとしては、マイメロの勝率は決して高くない。人は、悪夢に溺れていく。

人々といえば、一般人の皆さまが格好いいです。



第2話で登場するクラスメートたち。その数、優に二桁を越える。
そのほとんどが、後に主役を張ります。
皆、心の中に夢やコンプレックスを抱えて生きておられる。



そして第2話にして、日常を脅かす怪異に遭遇。
全く状況の分からないまま(マイメロは事情を説明してくれません)立ち向かう彼らが、実に頼もしいです。
こういうノリはなかなかないですね。事情は良く分からん。が、何かが変だ。戦おう。

怪奇現象に遭遇しても、1話終わるごとに一般人の頭からは記憶が消去されていきます。マリーランドの謎魔法によって。
しかしながら人類を舐めてもらっては困る。
たとえ記憶を消されても、「何かがおかしい」ことを彼らは感知していきます。
やがて自分たちの街が、謎の存在マリーランドにより狙われていることを知った彼らのレジスタンスは、ちょっとした感動もの。
後に誰かが発言した「迂闊に夢を口にするな」(悪夢テロされるから)は、けだし名言。

伏線の回収も見事なシリーズでした。
ただのギャグ回と思いきや、それが最後に効いてきたりする。
悪夢に溺れたクラスメイトが、その数ヶ月後に立ち上がったり。強大なラスボスの心の奥底に「あの時」の思い出が刻み込まれていたり。

また「夢は魔法で叶えるものではない」というのは至極まっとうなテーマだけれど、同時に誰もが思うことにもちゃんと答えてくれてる。
つまり「そうはいっても、魔法が欲しい時がある」。
「死者との再会」のような、ぎりぎりまで頑張ってもそれでも魔法が欲しい思いも描いてくれてる。

正直に言って、似たようなテーマを扱ってもいた「ハートキャッチ」さんより、一歩先に進んでいたと思う。
「ハートキャッチ」さんはどうしても「プリキュアである」ことから離れられないので、「プリキュア」に主眼が当たってしまう。(それ自体は悪いことじゃない)
その点「マイメロ」は、より「ただの一般人」を主軸に据えることができた分、このテーマをやるには有利だったんじゃないかな。

そして忘れちゃいけない本編ヒロイン・夢野歌さん。



スペックが高すぎて困る。
愛らしいビジュアル。凶器そのもののマシュマロボイス。
そして何より、このやる気のなさ。

歌ちゃん:
 「マイメロ!早くなんとかして!」

これを上回る決め台詞があるだろうか。
「早く」「なんとか」「して」。
同時期に放送されていた「プリキュア」さんで例えると、こんな感じですよ。

 ウザイナーが現れた!
 →美翔さん、むんずとチョッピを掴む
 →そのままウザイナーに向けて投擲!
 →「チョッピ!早くなんとかして!」

もうね、芸術の域ですよ。これぞ、まさに「丸投げ」。
「夢は魔法で叶えるものじゃない」とか何とか、そういう次元以前の問題。
悪夢に対し、状況が全く分からないながらも徒手空拳で挑むクラスメートを横に、「早くなんとかして!」。
挙句には、大切な玩具に対しダメ出しはするわ、マイメロを容赦なく虐待するわ…。
サンリオ様が人間ヒロインに対して冷たいのは、歌ちゃんの大活躍のせいだと固く信じてる。


(左画像)
「おねがいマイメロディ」キャラクターソングシングル ハートの五線紙 / ときめきドキドキハッピーラブ

(右画像)
【約61%OFF!】定価4,980円おねがいマイメロディ 1/8スケール『マイメロディ&夢野歌』フィギュア


見返して思いましたが、こんなに凶悪なアニメが相手では、美翔さんも苦戦するわけです。
(正確には第1期と直接対決したのは美墨先輩。美翔さんの競合相手は、脂の乗った「マイメロディ」第2期)
おまけに同時期には、恐怖の「きらりん☆レボリューション」も。
美翔さんが殴り負けるのは必然でした。
こんな連中相手に、「プリキュアなんだから売れるのは当たり前」とばかりに増長していた美翔さんが、勝てるわけがない。

…で、そうなると北条さんのことが非常に心配になります。
悪い意味で、「SplashStar」の二の舞になっている予感がひしひしと。
本当に、大丈夫かな北条さん。

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