少し古い本なのですが、レスターブラウンの翻訳で有名な枝廣さんが書かれた本 『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?』を読みました。
問題解決手法の一つで、アメリカで流行っている(いた)らしい。
問題が起こると、その原因を突き詰めていき、それらをループで結ぶというもの。その影響力を同(プラス)と逆(マイナス)で表し、頭を整理していきます。たいがい問題は複雑で、さまざまな要因や原因が絡み合っているので、それらを書きだすとたくさんのループがさまざまなところで組み合わさって出てきます。
そして、その中でレバレッジポイントを見つけ出すわけですが、このポイントがポイント。これがわかれば、問題はだいたい思う方に向かっていく、のではないかと思うのですが… (なかなか全ての原因や要因を見つけ出すのが難しいかもしれないです)
システム思考という名前がついています。
このやり方で面白いと思ったのは、同と逆の影響が同じループ上に発現し、それで最終的にループになってつながる、と言う点。ふーむ、
例えば、先日起こった痛ましい自動車事故ですが、あれも集団登校の生徒たちが歩くのに都合がよいようにと道路端の溝にふたをして道幅を広げたそうですが、その結果かえって、車がスピードを出して走るようになった、と原因の一端を話されていました。(もちろん直接の原因は無免許居眠りという悪質なものでしたが)
このような予期せぬ影響もこのループを使うと少しは予期できたかも、です。
そして、同のループは自己強化ループ、逆のループはバランスループとなり、自己強化ループでだんだんとその影響が強まると、逆のループが反作用を効かせて影響が反対に出てきて、抑えられる、と言う具合に働きます。この二つのループはたいがいどこかでつながっています。
この思考の良い点は、問題が出てきたときに人を責めない、もしくは自分を責めなくてよい、つまり客観的に物事を見ることが可能になる、そうです。
この思考は新しいものというよりは、今までに培われてきた先人の知恵をアメリカチックに整理したものと言えるかもしれません。
著者自身もあとがきで書いておられるように、「因果応報」「回りまわって」「ツボ」などというように昔からある考え方で、「急がば回れ」「風が吹けばおけ屋が儲かる」などという諺にもあります。
それでも、改めてこのように考えると一見どうしようもない状況がすっきりと整理されて、どう対処すればよくなるか、がわかってくれば大したものです。
何度もこの本を読んで身に着けたいと思います。
なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方 | |
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