「婚活」、要するに結婚活動と言うことですが、おそらく中学や高校のクラブ活動である部活から派生した語の「就活」はもう普通語になり、さらにそれから派生した「婚活」は今では目新しいことばではなくなりました。考えてみると変なことばなのですが、それまで仕事が忙しかったり、独身生活を楽しんでいた若い人たちが「適齢期」を過ぎかけて相手探し、相手選びに目を向けて動くと言うことのようですが、本人よりは親の方が焦ってしまったりあきらめてしまったりする例は身近でも見聞きします。「結婚したくなった時が適齢期」などと本人はいたって呑気に構えていますから親、特に女の子どもの親は落ち着かないのでしょう。
古新聞を回収に出そうとして整理していますと、ある日の新聞の一面の出版広告に「親のための子供の婚活応援ガイド」というのがありました。「親のため」には傍点が打ってあります。こんなガイドブックもあるのかと思って見ますと、著者は日本仲人協会という初めて聞く会の副理事長とやらで、「仲人歴30年の著者が明かす、絶対に結婚できるテクニック」という惹句がありました。何とはなくいかがわしい感じもするのですが「TV放送後問い合わせ殺到につき緊急重版出来!」ともあります。真偽のほどは確かではありませんが、本当なら子どもの結婚の遅れにやきもきしている親が多いのかも知れません。結婚は子ども本人のことで、親がその婚活を「応援」するのは余計なことだと思いもするのですが、親としてはそうもいかないのかも知れません。
中国の大都会、北京や上海でも高学歴のためなどで婚期を逸したか逸しかけている子女のために親が奔走するようで、そのような親達は朝から公園に出かけて互いに、日本で言うのようなものを見せ合ってこれと思う相手を探すのですが、なかなか思うようにはいかないようです。西安出身で今は上海の日本の企業に勤めている女性の邵利明(シャオ・リミン)もいつのまにか30も半ばを越し、親も焦り出してそのような婚活に出かけているようですが、なかなかうまくいかないらしいです。電話で話しても、肝心の本人があまり積極的ではなく、西安で探したらどうかと言っても、西安のような地方都市では30を過ぎた女性にはチャンスはないとのことです。父親が回族、母親が漢族で、背丈もまずまずありますし、容姿もよい美人なのですが、やはり30も半ばを越すと厳しいようです。東京の旅行会社に勤めている上海人の施路敏(シ・ルミン)ももうすぐ30歳になり近頃はちょっと悩んでいます。
私の一番年上の孫娘は今年幼稚園に就職しましたが、電話して「就活は終わったのだから、今度は婚活だね」と鎌をかけても全然興味がなさそうで、「それよりもオジイが長生きしてよ」という、嬉しいようなつれないような返事でした。22歳の今は、それが普通なのでしょうが、幼稚園という女性ばかりの職場でチャンスも少ないだろうし、後5年もすればどうなっているのか、この子の花嫁姿だけは見たい、欲を言えばひ孫の顔を見たいととかねがね思っていますから、いささか気にはなります。
(朝の散歩から)
オシロイバナ
ヒイラギナンテン