4人の孫で一番年下のサキの誕生日に、いつものようにバースデイカードと、プレゼント代わりにほんの少しの小遣い程度のものを入れて贈りましたら、電話が来ました。
私は独り住まいで、電話に出たら私に決まっていますから、サキは「オジイ?」とも尋ねずに「あれありがとう」と言いました。この子は小さい時から無口で、いつもゆっくりした物言いをします。「ああ、着いたか。おめでとう」と言いますと、もう一度「ありがとう」と言いました。高校2年生になっているので「17になったのか」と聞きますと「うん、17歳」と言いました。そう言われると改めて大きくなったものだと思い、最近の時代小説の読みすぎ過ぎのためでもないでしょうが、昔なら18だ、もう嫁に行く年頃になったなと、埒もないことを考えたりしました。もちろん本人は嫁どころではなく、ボーイフレンドもいないようで、いたっておっとりして高校生活を楽しんでいるようです。
バスケット部に入っていますがあまり上手ではなく、試合で時折出してもらえる程度だと父親(私の次男)は言っていました。それでも嫌にならずに続けているようです。小学生の頃から勉強は好きでコツコツやっていましたし、今は兄のハルカが講師をしている学習塾に毎日のように通っているようです。来年は早や大学受験ですが、どんな希望を持っているのか、何を目指しているのか聞いたことがありません。
大学3年になるハルカと同じで、母親に似たのか無口ですが、兄妹の仲はとてもいいようで、家では2人はよくサキの部屋で喋っているようです。喋ると言っても2人ともベラベラものを言う方ではありませんから、一体どんな様子で話をしているのだろうと面白く思うことがあります。兄と違って家事もよく手伝うようです。小学生の時から毎年律儀に年賀状をくれ、可愛いと思っていたのに、もう17歳の娘盛りになってしまったのかと、昨年は、16歳かと思った程度でだったのに、今年はいささか感無量のものがありました。
妻の葬儀の最後の別れをする時にサキはぐっすり眠ってしまって母親に抱かれていたくらい幼かったから、もうサキにとっての妻の記憶は「パッチャン」という呼び名くらいでしょう。それだけに私も年を取ったものだと思います。孫の成長は楽しいものですが、その分だけ自分が齢を重ねることになります。正直言って年を取っていくことは体のあちこちが弱りますし、あまり嬉しくないことですが、孫の成長を考えるとそれもいいではないかとも思っています。
(朝の散歩から)
近所にある水田に水が張られました。2、3日中に田植えが始まるでしょう。