今月初めの石川県議会の一般質問で、ある議員が2月の定例会での「知事議案説明要旨」や、当初予算案などの「主要施策の概要」について「カタカナ英語を乱用している」と指摘し、「英語を使った言葉遊びで政策を目新しいものに見せ、さも革新的なものであるようなふりをするのはやめるべきだ。ふざけているのか、県民・議会を軽視しているのか、知識や教養を試しているのか、はっきりしてほしい」と批判したそうです。(YOMIURI ONLINE)
県が使っていたカタカナ英語の例は次のようなものです。
・エクスカーション5月29日から4日間、七尾市を主会場に行われる「世界農業遺産国際会議」で実施される参加者の現地視察。
・デスティネーションキャンペーン……JRが地元自治体などと実施する大型観光企画。
・シェイクアウト石川県…が7月に行う県民一斉防災訓練の名称。
・インバウンド会議……海外誘客を検討する会議。
・マーケットイン型商品……市場動向を見込んだ商品。
などなどです。
私はごく標準的な英語の素養しかありませんから、ここに挙げられている「英語」の意味は理解できませんでした。誰がこういう言葉を思いついたのか。若手の職員辺りかもしれませんが、小賢しい愚かしいことだと思います。これでは議員が批判したように、県民・議会を軽視しているのか、知識や教養を試しているのか、と思われても仕方がありません。
質問に対して県の総務部長が答弁し、「確かに『サポート』や『モチベーション』のように日本語でも十分、意味を表現できるような内容は、安易に外来語を使用することは注意しないといけない」と認め、「日本語を大切にしながら、県民にご理解いただけるよう、わかりやすい言葉遣いを心がけていきたい」と述べたそうですが、そつのない無難な答弁でしょう。
知事は「安易に外来語は使うべきではないとは思うが」としながら、「グローバル化がどんどん広がり、外国から入ってくる言葉もあり、的確に日本語で表現できないものも中にはある。どうしても使わざるを得ない場合もある」と説明したそうです。グローバル化が進み外来語が増えていっていると言っても、多数の県民に県の施策を発表する場合には、まず内容にふさわしい日本語を考えだして理解を得ることが大切でしょう。
国や自治体の文書や首相の演説などでカタカナ語が乱用されることにはこれまでにも批判がありました。いかにも高尚だと思わせるようで、誰に向かって言っているのかと疑問に思います。かつての私の上司で英語好きの人がいましたが、教師などに話す時にはよく英語の単語を挟んでいました。それだけならいいのですが、その後ですぐに日本語に言い換えるのには、いかにも衒学的で白ける思いがしたものです。
京都大学では主に1~2年生が学ぶ一般教養の授業の半分以上を英語で実施する方針を決めたとのことで、学内には批判もあるようですが、大学ならともかく、自治体では文明開化の時代に膨大な量の外国語が入ってきて、先人達がそれを今でも使っているような日本語にしたような真摯な努力をして、住民に理解してもらうように努力するべきです。