4月20日に図書館にリクエストしてから約3か月、やっと読むことが出来ました。
この小説の長い題名から、色彩を持たない意味も想像出来ず、意表を付かれた感じがしました。
高校生時代の仲良し五人組のうち、多崎だけが苗字に色が付いていなかったのです。他のメンバーは赤松、青海、白根、黒埜でみんな色が付いた苗字なのです。大学に進んでから、結局、多崎が濡れ衣を着せられて、仲間から追放され、五人組も自ずと解散になってしまいますが、その追放された訳を聞き出すため、16年後に友人を訪ねて回ります。
最後に訪ねた友人の黒埜は結婚して、フィンランドのヘルシンキの近くに住んでいます。そこを訪ねて大体の真相が分かるのですが、肝心な事は分かりません。読者の推理にお任せという感じです。
村上文学(小説)には音楽がつきものですよね。前作のIQ84では、ヤナーチェクのシンフォニエッタでしたが、今回の作品ではリストのピアノ独奏曲「巡礼の年」です。それもロシアのピアニスト ラザール・ベルマンが弾く、レコードがお勧めなのです。「巡礼の年」はフジ子・ヘミングのCD「ラ・カンパネラ」の中に一曲だけ入っていました。「泉のほとりで」という曲名ですが、この本が出る迄は、こちらの方がメジャーだったのでしょう。
近所のTSUTAYAにもラザール・ベルマンの3枚組CDが置いてありましたので、早速BGMに流して一気に370ページを読了です。
水戸黄門や大岡越前がお好きな方には、少しフラストレーションが溜まる本ですが、クラッシックと推理小説ファンにはお勧めの本です。