一昨日は年に一度の熊谷歌舞伎見物でした。
演目は「義経千本桜 川連法眼館の場」「歌舞伎十八番の内 毛抜き」「四代目市川猿之助襲名披露口上」でした。
会場は熊谷会館、夜の部は5時開演でした。
今日の舞台は少し雰囲気が違います。何故かと思ったら、歌舞伎特有の定式幕ではなく、祝幕が掛けられていたからです。親友の福山雅治さんから襲名のお祝いに頂いたもので、澤瀉屋(おもだかや)ゆかり役者の隈(くま)取りを重ね合わせてデザインしたものだそうです。
最初の出し物が義経千本桜、次に口上、お開きが毛抜きです。これは昼の部の舞台が千本桜で終わっているので、設営を考えてのことなのでしょう。川連法眼館の場は佐藤忠信に化けた狐がその正体を暴かれ、静御前に切られそうになります。この狐忠信の出現にちょっとした仕掛けがあります。昨日は花道の揚幕の前で「出があるよー」と大きな掛け声がかかります。当然、視線は揚幕に注がれますが、狐忠信は舞台正面の階段から転がり出るように出てきます。一瞬のトリックですね。この「出があるよー」の掛け声は義経千本桜特有のものだそうです。
ここから狐忠信がその素性を明かします。
その昔、桓武天皇の御代のこと。天下が旱魃となって雨乞いをするため、大和の国の千年生きながらえているという雌狐と雄狐を狩り出し、その生皮を剥いで作った鼓を打つとたちまち雨が降りだした。その雌狐と雄狐の皮で作った鼓とは初音の鼓、自分はその鼓にされた狐の子だというのである。
猿之助の狐忠信は所作も狐言葉も最高でした。会場の都合で宙乗りは有りませんでしたが、源九郎狐は桜の木に登って幕となり、満員の観客は大喜びでした。
口上と毛抜きは省略させていただきます。