1月4日に毎日新聞朝刊くらしナビ・ライフスタイルに掲載された記事を
2回に分けて紹介したいと思います。
ガラスの天井3 女性と政治
公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センターが、統一地方選の年ごとに
調べた、地方議会への女性議員の進出状況によると、女性議員の割合が初め
て10%台にのったのは2007年。前回11年の選挙後では11.1%と、少しずつ上昇
しているとはいえ、地方参政権を得てからすでに70年近くたち「50%に達する
にはあと何十年かかるのか」と、久保公子事務局長はため息をつく。
地方政治への女性参画がこれほどまでに進まないのはなぜなのか。
●応援できない事情
豊かな自然に囲まれ、パウダースノーが売りのスキー場など、海外からも
多くの観光客を集める国際的な観光地、北海道ニセコ町。人口5000人弱の町に、
昨年度は約157万人が訪れた。
この町の議会で唯一の女性議員、斉藤うめ子さんは、この地をついの住み家
として8年前、神戸から移り住んできた。
移住してきて最初にあった統一地方選(07年)で、町議選は無投票。
女性議員はゼロだった。「男女平等」を会話に持ち出すと、町の開放的な
イメージとは裏腹に「男女平等になってどうするの」「男性を外で立て、
家で女性が実権を握るものでしょう」と、町の女性たちに言い返され、驚いた。
「自分が議員になって、この町の状況を変えるしかない」。10年秋に、
次の町議選に出ることを決意した。
最初に立ちはだかった壁は、家族である4歳年上の夫。普段は男女平等を尊重
していたはずだったが、選挙への決意を告げると「実力も能力もないのに、
立候補してどうするんだ」と批判された。反対を振り切り、自分の蓄えから
選挙費用を出し、立候補した。
そもそもが「よそ者」で「女」。自治会の役員をしたこともなく、支援団体もなく、
地域の顔役が議員をつとめるこの地域で、周囲には全く無謀な闘いにみえた。
「恥をかくだけ。立候補はやめた方がいい」と知人からは面と向かって諭され、
町を歩けば「あなたを応援したら地域でやっていけなくなる」「口をきけば、
あなたを応援していると誤解される」とまで言われた。
立会演説会に来たのは元々の支援者3人だけ。「票読み」は全くできなかった。
しかし、ふたを開けてみれば189票を取り、11人中7位で当選。選挙後、
複数の男女から「あなたに入れたのよ」と打ち明けられた。当選までの壁は分厚く
みえたが、自分の知らないところで「女性」や「よそ者」への期待があることを感じた。
「女性議員がいることで少しずつだが町の意識が変わると思う」。斉藤さんは
再選を目指し、今春の統一地方選に向けて準備を進めている。
2回に分けて紹介したいと思います。
ガラスの天井3 女性と政治
公益財団法人市川房枝記念会女性と政治センターが、統一地方選の年ごとに
調べた、地方議会への女性議員の進出状況によると、女性議員の割合が初め
て10%台にのったのは2007年。前回11年の選挙後では11.1%と、少しずつ上昇
しているとはいえ、地方参政権を得てからすでに70年近くたち「50%に達する
にはあと何十年かかるのか」と、久保公子事務局長はため息をつく。
地方政治への女性参画がこれほどまでに進まないのはなぜなのか。
●応援できない事情
豊かな自然に囲まれ、パウダースノーが売りのスキー場など、海外からも
多くの観光客を集める国際的な観光地、北海道ニセコ町。人口5000人弱の町に、
昨年度は約157万人が訪れた。
この町の議会で唯一の女性議員、斉藤うめ子さんは、この地をついの住み家
として8年前、神戸から移り住んできた。
移住してきて最初にあった統一地方選(07年)で、町議選は無投票。
女性議員はゼロだった。「男女平等」を会話に持ち出すと、町の開放的な
イメージとは裏腹に「男女平等になってどうするの」「男性を外で立て、
家で女性が実権を握るものでしょう」と、町の女性たちに言い返され、驚いた。
「自分が議員になって、この町の状況を変えるしかない」。10年秋に、
次の町議選に出ることを決意した。
最初に立ちはだかった壁は、家族である4歳年上の夫。普段は男女平等を尊重
していたはずだったが、選挙への決意を告げると「実力も能力もないのに、
立候補してどうするんだ」と批判された。反対を振り切り、自分の蓄えから
選挙費用を出し、立候補した。
そもそもが「よそ者」で「女」。自治会の役員をしたこともなく、支援団体もなく、
地域の顔役が議員をつとめるこの地域で、周囲には全く無謀な闘いにみえた。
「恥をかくだけ。立候補はやめた方がいい」と知人からは面と向かって諭され、
町を歩けば「あなたを応援したら地域でやっていけなくなる」「口をきけば、
あなたを応援していると誤解される」とまで言われた。
立会演説会に来たのは元々の支援者3人だけ。「票読み」は全くできなかった。
しかし、ふたを開けてみれば189票を取り、11人中7位で当選。選挙後、
複数の男女から「あなたに入れたのよ」と打ち明けられた。当選までの壁は分厚く
みえたが、自分の知らないところで「女性」や「よそ者」への期待があることを感じた。
「女性議員がいることで少しずつだが町の意識が変わると思う」。斉藤さんは
再選を目指し、今春の統一地方選に向けて準備を進めている。