ウルトラ・ダラー (手嶋龍一 新潮社)2006.4.22
北朝鮮の偽札作りの作成プロセスと偽札で得た資金で買おうとしたものをめぐって、BBC記者をカバーとするイギリスのスパイが(とても優雅な生活を日本で送りつつ)活躍するという話。
先日、ある新聞の書評で、この主人公には実在のモデルがいて、BBC記者という設定どころか、名前まで小説の中のそれと同じだったと、著者と旧知の芸者さんが書いていました。
本のカバーにも「これを小説と言っているのは著者だけだ」と書いてあって、かなり実話に近いことを強調しています。
この本の中では、日本側のもぐら(裏切り者)は外務省の高官なのですが、この本のモデルが誰かであるかは、あまりにも明白にわかるように書いてあり、かつ、あまり同情の余地のないワルモノとして設定されています。「いくら小説という前提とはいえ、ここまで書いていいのか」と心配になるくらいでした。
たくさんの情報をもりこもうとし、さらに上流階級のスノッブな日常の描写もたくさんあって、やや散漫な感じは否めません。ここに書かれている情報のクオリティの高さは読む人が読めばわかるのかもしれませんが、元NHK記者の著者の情報源はそれなりに格上の階層のはずで、情報の確度が高いことの裏返しとして「公表しても全く問題ないこと」しか書かれていないような気もします。
北朝鮮の偽札作りの作成プロセスと偽札で得た資金で買おうとしたものをめぐって、BBC記者をカバーとするイギリスのスパイが(とても優雅な生活を日本で送りつつ)活躍するという話。
先日、ある新聞の書評で、この主人公には実在のモデルがいて、BBC記者という設定どころか、名前まで小説の中のそれと同じだったと、著者と旧知の芸者さんが書いていました。
本のカバーにも「これを小説と言っているのは著者だけだ」と書いてあって、かなり実話に近いことを強調しています。
この本の中では、日本側のもぐら(裏切り者)は外務省の高官なのですが、この本のモデルが誰かであるかは、あまりにも明白にわかるように書いてあり、かつ、あまり同情の余地のないワルモノとして設定されています。「いくら小説という前提とはいえ、ここまで書いていいのか」と心配になるくらいでした。
たくさんの情報をもりこもうとし、さらに上流階級のスノッブな日常の描写もたくさんあって、やや散漫な感じは否めません。ここに書かれている情報のクオリティの高さは読む人が読めばわかるのかもしれませんが、元NHK記者の著者の情報源はそれなりに格上の階層のはずで、情報の確度が高いことの裏返しとして「公表しても全く問題ないこと」しか書かれていないような気もします。