水よ踊れ(岩井圭也 新潮社)
瀬戸和志は、13〜17歳まで香港で暮らし、その時知り合った梨励(レイヤン)のことが忘れられない。梨励は中国からの密入境者(小人蛇)で、スラム化したマンションの屋上に家族と暮らしていたが、和志が帰国する直前その屋上から飛び降りて亡くなっていた。和志はその真相を探ろうと、中国への返還直前の香港大学に留学するが・・・という話。
梨励の死の真相を知るために、死の直前に会っていたイギリス人を探すのが主筋になっているのだが、そのイギリス人の正体や梨励の死因は、あっけないほど平凡で、ミステリだと思って読んでいた私としてはかなり拍子抜けしてしまった。
都市論でもあり、香港の内実の描写もあるし、そうはいっても主人公の恋が物語の中心のはずでもあるのだが、どっちつかずになってしまっているかなあ、という印象。
ちょっと前に読んだ「チョンキンマンションのボスは知っている」は香港の場末?のマンションで暮らす異国人を描いたノンフィクションで、からっとして明るいイメージを抱いた。
一方、本書を読むと同じようなマンションやそこで暮らす人達が、救いのない暗い闇の底にいるように思えてしまい、その落差に驚いた。
瀬戸和志は、13〜17歳まで香港で暮らし、その時知り合った梨励(レイヤン)のことが忘れられない。梨励は中国からの密入境者(小人蛇)で、スラム化したマンションの屋上に家族と暮らしていたが、和志が帰国する直前その屋上から飛び降りて亡くなっていた。和志はその真相を探ろうと、中国への返還直前の香港大学に留学するが・・・という話。
梨励の死の真相を知るために、死の直前に会っていたイギリス人を探すのが主筋になっているのだが、そのイギリス人の正体や梨励の死因は、あっけないほど平凡で、ミステリだと思って読んでいた私としてはかなり拍子抜けしてしまった。
都市論でもあり、香港の内実の描写もあるし、そうはいっても主人公の恋が物語の中心のはずでもあるのだが、どっちつかずになってしまっているかなあ、という印象。
ちょっと前に読んだ「チョンキンマンションのボスは知っている」は香港の場末?のマンションで暮らす異国人を描いたノンフィクションで、からっとして明るいイメージを抱いた。
一方、本書を読むと同じようなマンションやそこで暮らす人達が、救いのない暗い闇の底にいるように思えてしまい、その落差に驚いた。