蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ポピーのためにできること

2023年07月31日 | 本の感想

ポピーのためにできること(ジャニス・ハレット 集英社文庫)

イギリスの小さな町で私設劇団を運営するマーティン・ヘイワードは、劇団員にメールを送って、孫娘のポピーが難病に冒されその治療費が必要になったと、援助を求める。劇団員のサラたちはサイトを立ち上げたり、パーティを企画して募金を募ろうとするが・・・という話。

劇団員だが仲間外れになりがちな看護師のイザベル、同じく看護師のサム、マーティンの妻:ヘレン、息子のジェイムズなどの間でやり取りされたメール、事件の担当弁護士のメモや新聞記事などで構成され、地の文がないという凝った趣向のミステリ。殺人事件がなかなか起きないのに、先が読みたくなるテクがすごい。

殺人のトリックとか犯人の意外性とかはあまりないのだが、犯人の複雑心理状態から生じた動機が丁寧に説明されて納得性が高いのがよかった。


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