名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

20150501今日の一手<その10>

2015-05-01 | 今日の一手
20150501今日の一手

これも東海団体リーグでAさんと。私は角換わり愛好家です。先手でも1手損で角換わりにしました。定跡とは先後が逆で、また25歩ではなく26歩37桂の形です。定跡(羽生森内戦がもと)では93角なのですが、思い付きで新手(この局面がないでしょうけれど)を指しました。この局面、どんな手が考えられてどう進むか考えましょう。












昨日の一手の回答

手の広い局面です。歩の損得もなく、馬は作りました。玉の堅さは後手(下)なのですが、先手玉(上)は上部に厚くまとまっています。互角の局面です。後手(下)の手番ですから、どう指すか方針を決めます。

まずは自分だけ馬を作っていますから、27角成を阻止することを考えます。28飛しかありません。36歩同歩38歩で困りますね。

36歩に48金とか我慢するのもないことはないけれど、飛金が離れて遊びます。先手の厚い陣形とぶつかるのは得策ではありません。

実戦では角を交換する手しか思い浮かびませんでした。72歩です。76歩68銀72角同馬同飛63銀成に上部を厚く67金としたら74角で「両取り見えない病」です。

67金は疑問手、74歩か73歩で少し良いような気がします。ここから52角54銀73成銀と微妙な応酬ですが、少し悪く、結局力負けしました。

でも途中でもう少し良い手がありました。

角を交換せずに82馬から香車を取りに行く手がありました。これなら27角成とされても91馬でリードできますね。つまり方針としては、「馬を作らせてもと金を作るか桂香を拾いに行く」です。

この方針に気が付けばもっとスマートな手が見えます。問題の局面から85銀として76歩を回避します。27角成に74歩で72歩を強制します。(72歩はいやだと63馬とひきつけても84銀で72歩を強制です。)82馬と侵入できて、93桂76銀61飛と一旦は桂香とも守られるようですが、95歩で十分です。

前の図より遊び銀が玉を固め、桂香を拾ってと金が作れそう。これは大正解ですね。

感想戦では、Sさんに問題図から73銀成同桂同馬61飛46桂で困るといわれました。また「両取り見えない病」と2重のショックでしたが、76歩68銀から27角成でどうでしょうか。あるいは27角成で69銀のほうがいいかもしれません。

もとの73銀成というのが遊んでいる桂馬を相手にするので46桂を打てたとしてもよくはなりません。安心しました。

手の広い局面は大局観というか、方針決定が優劣を分けます。27角成を避けにくいならと金を作る。阻止されたら桂香を拾うという組立てが理解していただけましたか?
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将棋の上達法則(5)

2015-05-01 | 将棋上達法則
昨日は目標をもつことについて書きました。考えていただけましたか?
ここで注意点があります。大事なことです。
(外部要因のある)結果を目標にしない
です。

私は大学時代はイレギュラーでした。2年の時に団体戦地区大会での最終戦、勝てば優勝というところで抜擢され、これに負けてしまいました。チームも負けです。地区大会では常勝でしたから、何十年ぶりかの敗北で、それから負けていないとか、もう聞くのも嫌なので覚えていません。3年になってからは理系は実験が忙しいからといって部室に行く時間が少なくなり、部内リーグから外れたのでイレギュラーです。負けることの恐怖が強くなってしまい、逃げたかったのでしょうねえ。今思えばよくわかります。
それから10年くらいたって東海団体リーグに参加し、2005年からは社団戦にも参加するようになりました。けれど当然ながら今でも負けるととてもきついです。

言いたいことがわかるでしょうか。将棋での勝利を目標にすると、達成できないときにつらいのです。相手のいることですから、ノーミスで負けることもあるかもしれません。また、心のどこかで相手のミスを期待するでしょうし、それは自分の心が悪いほうを向いていくと思うのです。自分でコントロールできないことなので、ただただストレスがたまるのです。

とはいえ、プロなら結果を期待されます。将棋のプロの話だけでなく、なにか職業を持ったら仕事の成果を求められます。その成果が自分の努力だけで達成できるのならいいのですが、自分とは関係のないなにかに左右されることのほうが多いですね。これは大きな問題です。
・・・ここから書いていくととても長い脱線になりそうなので話を元に戻します。

あなたの目標はなるべく具体的な方がいいです。成功の姿をイメージできるもののほうが達成しやすいです。けれど、自分の力だけでできることにとどめる事が大事です。
初段になりたい、という目標が、将棋世界の初段コースで一定の成績を収めることならいい目標です。これは結果を目標にしてはいるのですが、自分の努力だけで達成できるのですから。
初段の免状獲得大会で優勝することなら悪い目標です。
初段がアマ連1400点ではないかと書きましたが、1400点達成を目標にするのはいい目標ではありません。
1400点の人と対局していい勝負ができるようになることならいい目標です。

名南将棋大会でも5割の勝率を目標にされる方がいて、どう言おうか困るのですが、勝率よりは勝ち数を目標にされるほうがまだいい方法です。今年は10勝する、20勝するというのは積み重ねでできますから。けれどできれば勝利や勝率を目標にされないことです。年に12回全部出場して48局をすべて楽しむ、毎回終わったら充実感を感じるというのが(私の希望も含めて)最高の目標設定です。

勝っても負けても単純に楽しいならいうことはありませんね。でもこれは自分が向上していることが前提なのではないかとも思うのです。だからこのシリーズは「上達法則」としています。必勝法ではありませんよ。

長くなってきたので今日はここまでとします。
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