名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

20150506今日の一手<その15>

2015-05-06 | 今日の一手
*日付が間違っていたので過去記事を訂正しました。4/31と書いてしまったのが原因です。予約投稿で前日に書いているので気が付きませんでした。すみません。


20150506今日の一手

2002年の朝日アマ全国大会でYさんと。形勢判断と次の一手を考えてください。















昨日の一手の回答

自慢話ですみませんが、私の棋歴の中で一番の時です。大昔になってしまいました。このときはまだ将棋ソフトで棋譜をつけていなくて、アマ連の西村理事長に決勝の棋譜を送ってくれと頼まれて、思い出しながら書き出したものです。若い時は勢いがあるもので、実力がなくても勝てる時があるのです。
先手の私は銀矢倉から76銀右と盛り上がり、後手は65で銀交換してきたところです。駒割りは損得なし、玉の堅さも同等。違いがあるのは先手だけ桂馬が使えていることで、先手番です。となればかなりの作戦勝ちで、攻撃陣が働き出せば優位に進められます。ここでは45歩しかありません。

45同歩には53角成同金45桂が気もちいいので取れません。45歩と突いて先手の飛角桂がいっぺんに働き出した事がわかります。

それ以外の手は、24歩同銀とつき捨てるかどうかですが、45歩同歩53角成同金45桂の時に銀にかわされていることになりますから、突き捨てないほうがいいでしょう。
66歩は75飛でもつまらないし、攻めるためには歩がほしいのでもったいないです。すぐに受けなくてもまだ大丈夫です。
66銀や76銀はもう一手66歩とか65歩とか入れないと安定しません。
76銀打ならとりあえず一手で済むのですが、攻撃力が低下します。あまりゆっくりしていると27銀とやってくるかもしれませんし、ここはほかの手は考えなくてもいいでしょう。

実戦は86歩同歩56歩と味をつけられました。歩を入手したので攻めが続きやすくなり、66銀打と手を入れます。57歩成同金62飛65歩73桂と進みます。

57歩成と清算したのと、62飛の位置が悪く、2手の疑問手で先手のリードが広がります。76銀もやりたい手ではありますが、金銀の連携が切れてしまうのでここは攻めたいところです。
44歩同銀に54歩が気持ちのいい手。この手を厳しくした57歩成と62飛が疑問手です。同金しかなくて、55歩で技ありです。


以下は55同銀53角成同金71角52飛55銀87歩同玉39角47飛65桂41銀と激しい順になるのですが、先に銀を取って後手玉に迫っているので優勢です。うまく寄せきることができました。

スランプの時には自分の勝った将棋を並べるのだという米長先生の教えを守って、昔の将棋を引っ張り出しました。勢いがあります。手が伸びています。このところ角換わりに戦型が片寄っているので、しばらくは昔の将棋を題材にします。
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将棋の上達法則(9)

2015-05-06 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力の続きです。

パワー=「読み」という話を書きましたが、次はスピードです。「直感、感覚」が該当します。読まない能力ですね。パワーとスピードあわせてふつう使う意味での才能と言っていいでしょう。
読みの力に優れていれば、ある程度有力だと思う手を組み合わせて先を読めばいいのです。

スポーツの初心者なら、筋力がついたら早く動けるようになったということはあるでしょう。でも筋力を鍛えたら体の動きが鈍くなったということもありそうです。体重も増えるのですから。
直感がまったくないと必要ない手を考えるし、直感だけで読めなければすぐ後の相手の良い手を見逃しそうです。
直感が優れていれば読みの必要がなくてすぐに結論を出してしまうでしょう。読みに自信があれば、変な手に見えるけれど実は素晴らしい手だということが多くなるかもしれません。一方を鍛えれば他方が弱くなる気がします。あちらが弱ければこちらでカバーしようということもでてくるでしょう。

最初は読みと直感は相補的に成長するけれど、あるレベルを超えると干渉して片方が伸びにくくなるということかもしれませんね。
将棋で「筋がよい」というのは直感に優れていることで、「筋が悪い」というのは読みが優れていること、とも言えます。どちらがいいというのではなく、どちらの才能が目立つかということです。

加藤一二三先生が「直感精読」と揮ごうされますね。実は深い意味があることだと思うのです。私の想像でいえば、加藤先生は「神武以来の天才」ですから、筋はよく、直感力に才能があります。だから多くの定跡も作り出してきたのです。ところが大山先生がはだかります。正しいと思う手だけでは勝たせてもらえません。加藤先生は悩んで長考派になってしまいました。外から見て長考の意味が分からないことが多いので、大山先生につぶされたという評価になります。こだわりができて、それが棋理に合わない順なのに繰り返して負けている時代がありました。でも長い目で評価してみれば、確かな実績を残しました。読みを意識して鍛えているので衰えが少なかったのだと思うのです。自分の進む道が正しいのだという姿勢に感動します。
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