名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

20150519今日の一手<その28>

2015-05-19 | 今日の一手
20150519今日の一手

16日の名南将棋大会、TさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

いわゆる飯島流引き角戦法と呼ばれる戦法に先手は(多分)四間飛車から中飛車にして中央を攻め、後手は75歩で反撃です。
わたしは「I島流引き角戦法」に反感があります。昔の週刊将棋に連載があって、書籍化されました。
B級戦法の達人プラス
1997年に最初の本が出版されています。「平美濃返し」という名前でした。考案者がわかりません。アマチュアの将棋愛好家のはずですが、これについての言及がなしに自分が考えたように本を出版してしまうI先生の人格を疑います。(もしI先生が考案者なら土下座します。)さらにはI先生の本の内容が怪しいところがあり、この戦法はお勧めしません。

ともあれ、アマチュアにも愛好者は見かけます。この出題図は居飛車が成功しています。
形勢判断は、駒の損得はなし。後手玉は先手玉に比べて圧倒的に堅いです。後手の攻め駒は82飛と手駒の角ですが、77桂を攻めているので73桂も働きそうで、3枚はあるとしていいでしょう。持ち歩が2枚あって、うまく使えれば攻撃力としては十分になります。先手の攻め駒は飛車、手持ちの角、54歩、と3枚なのですが77桂はまだ攻撃に参加していません。55銀があるために54歩と59飛がかえって働きにくくなっています。55銀は前には進めませんから、現時点では遊び駒であるともいえます。形勢は後手よしです。

後手よしですから、次の一手としては正解が存在しません。どうにか互角に戦える順はないか、相手が間違ってくれる順はないか、悪くても粘って長期戦に持ち込む順はないかと検討するしかないのです。
次の一手として出題するのは意地悪かもしれませんが、現実に形勢が悪くなることはあり、そういうときにどう指すか考えてみましょう。

一番自然なのは75同歩ですね。76歩74歩77歩成73歩成同銀(78と もある)77金68角66角59角成同金となりそうです。

後手は79飛とか56歩とか56桂とか攻めてきます。攻め味が少ないのがつらいですが、受ける展開を苦にしないなら、これを選びます。

66銀とすれば、76歩65桂同桂同銀77歩成同金68角66角59角成同金

さっきと比べて74桂が残りますし、66角の利きが通り、すぐには無理ですが34桂の嫌味があります。反面65銀が浮いているのをつかれるかもしれませんし、後手の右銀が守備駒として働くかもしれません。少しは攻め味を見て脅しておかないと受けきれないと見ればこれを選びます。

勝負手は56飛で、89角があるので悪手なのですが、気が付かれないと思うならこれにかけます。
89角には69角しかなくて、78角成同角79金69角打は粘れるかもしれませんが、

86歩同歩同飛87歩78角成同角76飛66銀85桂なんてやってこられたら投了です。


この3択ですかね。相手の顔を見て決めます。

さて、実戦は66歩に58歩89飛でひっくり返しておまけの図です。

76角(65や54でもいい)は見えましたか?合駒角しかありませんから43角は同角成同金32角ですね。
22飛は32角成同飛23飛成です。と金も作れるので大優勢。

この引き角には、相手がやってくるとわかっていれば、

先手中飛車で中央突破ができます。

おとなしく普通の振り飛車から向い飛車で受けて、

こういう図でも悪くありません。この攻め方でうまくいくなら、羽生の頭脳の先手三間飛車対策で左美濃から引き角棒銀で千日手を狙う、なんて書かれるわけがないのです。86歩同歩88歩は85歩でうまくいきません。


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将棋の上達法則(21)

2015-05-19 | 将棋上達法則
少しそれますが、棋譜をつける方法について書いておきます。

テクニック(知識)やコントロール(形勢判断、大局観)を訓練するためには、棋譜をつける習慣を身につけましょう。また、自分がどれだけ強くなったかも振り返ることができます。

単に棋譜をつけろと言っても、すぐにすべての人ができるわけではありません。先崎先生が奨励会級位者のころは帰ってから並べられなかったと聞きます。周りの人に聞いてみると、棋力に比例してできるようになるわけでもありませんでした。記憶力の問題でもないような気はします。

どうしても棋譜並べができない人だったとして、人間は才能が欠如しているとその近くの能力でカバーするものなので、別のすごい才能があるのかもしれませんから、悲観することではないのですが、代替の方法はあります。
名南将棋大会に参加される方でも、手帳に対戦相手や、レーティング点数、先手後手、をつけている方は意外におおいです。だからもう少し膨らませて、戦型や勝因敗因も書いてみたらどうでしょうか。図面用紙に気になる局面を書いておくとより進化しますね。相手に断わって携帯で写真を撮っておくのもいいと思います。
対局しながら棋譜をつけていらっしゃる方がいて、いつも感心します。

棋譜がなぜつけられるのか、つけられないのか、ずっと疑問に思っていたのですが、昨日思い当りました(ひらめきですね)。棋譜並べをすれば棋譜が付けられるようになると。
記憶の才能ではなく、棋譜並べの習慣があるかどうかで決まるのではないでしょうか。
プロの棋譜(新聞とか将棋年鑑とか専門誌とかにあります)を少し考えながら並べて、終わったら最初からできるだけ見ないで並べます。これができるようになれば自分の棋譜はつけられるようになります。一日4局とか指して、全部は難しいかもしれませんが(10年以上やっているので私はほとんどできます)1局はつけられるように、手帳に覚えを書いておいて家で清書すればいいのです。

私の棋譜は2002年からあります。この時にパソコンの将棋ソフト(柿木将棋IV)を買って、これが棋譜をつけるのに便利だったのです。家に帰ってから棋譜をつける時は、時に先手後手を間違ってみたり、変化を間違ってみたりします。手書きの棋譜は修正するのが面倒で嫌になるのですが、ソフトなら(慣れれば)すぐに修正できます。印刷すれば手書きよりきれいです。さらにその時に考えたことをコメントで書いておくことができます。変化を棋譜の中に枝分かれさせることもできます。さらにはソフトに検討させることもできるのです。やりだすとどんどん訓練の効率が上がりそうです。

将棋アンテナ棒銀くん
にまとめがありますが、
Kifu for Windows
が柿木さんのHPから無料でダウンロードできますし、
柿木将棋IX
は1080円です。

将棋ソフトはもちろん大学の後輩の山下君が作った
AI将棋 Version 18 for Windows
を勧めますが、
激指は廉価版が手に入れやすいのでこっちでもいいです。

携帯やスマホで棋譜をつけるアプリもあるようですが、残念ながら私は詳しくありません。方法を検索してみてください。そういえば対局が終わったらスマホやタブレットで棋譜をつけている方もみえました。
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