名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

20150521今日の一手<その30>

2015-05-21 | 今日の一手
20150521今日の一手

16日の名南将棋大会、NさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

















昨日の一手の回答

Tさんは玉頭を攻められたのですが、筋のいい振り飛車党ですから45歩同飛と飛車筋を変えて飛車を目標にします。ここはさすがだと思ってみていました。
形勢判断をします。先手が1歩損です。玉の堅さは、後手玉に手が付いていない分だけ堅いです。先手玉は4枚の矢倉ですが、傷があります。どちらの攻め駒も全部配置についていませんから、攻撃力はこれから。先手の角の方が働いているのですが、後手の角は13角ですぐに働いてくることに注意します。総合して、この局面は互角か、少し後手がリードしているかも知れません。
先手は13角がくる前に何とかしたいところです。正解は多くはありません。

実戦は55歩としました。85飛は気になりますね。でも13角で35歩と受け、同飛の局面はどうでしょうか。

後手は2歩得になりました。飛角銀が働いてきて、先手の角の働きも弱くなりました。これでは後手が有利です。以下は54歩同金46銀右32飛75歩と暴れたのですが、しっかりいなされました。

85飛は気になるものの、13角を許してはだめです。といって、すぐに46歩や46銀右や46銀左では85飛で空を切ります。指しにくい手ですが、26歩の一手でした。

36歩は気になりますが46銀右85飛25歩87飛成77角

これは87飛成も持ち駒歩だけなので大したことがなく、銀を得したので先手が指せるでしょう。

となれば銀を逃げるしかありません。
34銀なら飛車を3筋に生還されることがないので、97桂としておいて36銀を狙います。13角46歩75飛同飛同歩44角。

これは34銀を目標にできそうだし、角の働きも違います。85桂で左桂が使えるので先手よしですね。

14銀も指しにくいのですが、飛車を戻すことができます。26歩14銀97桂35飛、もう一回45歩で

36歩46銀右32飛44角。

この図は44同角とは取ってくれなくて、24歩から25歩を狙ってまだ少し後手がリードかも知れませんが、先手も十分戦えます。44角では44歩からじっくり指すのかもしれません。

この問題は13角を簡単に許さないで強く戦うことがポイントでした。
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将棋の上達法則(23)

2015-05-21 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力 最後は6 メンタル です。精神力と日本語でいうと少しずれる気がします。

ある意味一番重要なのですが、その重要さに気が付かない能力です。欲望と恐怖のことだという話はしましたね。

訓練方法はメンタル要素を意識して対処することです。これしかありません。

欲望の対策は最悪をを考えることです。

苦労してやっと優勢になりました。勝ちが見えました。攻めても守ってもよさそうなときは迷いますね。優勢な理由が、自分の攻めが速いから、なら最悪なことは躊躇して自陣に手を入れたつもりが堅くなっていなくて手駒を減らしただけです。攻撃力が下がり攻めが遅くなると優勢ではなくなりますね。だから攻めます。攻めが切れないように確実な手がいいか、駒を捨ててでも急ぐか、決断してそれだけ考えます。
優勢な理由が、自玉が堅いから、なら自玉の安全が第一です。もっと安全にする手を考えつつ手堅く攻めます。安心して攻め合ったら相手の好手で頓死筋ができたなんて最悪です。
優勢な理由が駒を得したから、ならばもっと得をしようと欲張ると危ないことが多いです。駒得が速度に負けることがあるのです。得した駒を自玉を固めるほうに使って、局面をゆっくり長期戦の方向にもっていきます。

やっと優勢になったと思うとそれまでフル活動していた脳は休もうとして気を抜きます。疑問手や悪手を指しやすくなります。ここが持ち時間を使うところなのです。対局相手から見れば、失敗したと思うところで考えられたら、後悔している時間かもしれません。二重に有効です。

こういう心理は後から振り返りやすいように、棋譜をつけてコメントを残しておきます。メンタルは対局でしか訓練しにくいので記録しておくのです。まだ棋譜が付けられないのでしたら、手帳に対局中の気持ちとその時選んだ指し手を書いておきます。
「優勢になったと思ったら甘い受けの手を指してしまった」とか、「勝ちが見えて手堅くいこうと思ったら悪手だった」とか、詳しく書いたほうがいいです。

恐怖の対策は、自分が恐怖していることを意識することです。
恐怖は気が付きにくいのです。実は心の底では気が付いているのですが、それを認めることはもっと怖いので、気が付かないふりをして自分自身をだまします。なのでとても難しい問題です。

名南将棋大会で3連敗したら、4局目のまえに、今日は調子が悪かっただけ、もう歳だから考えられない、強い人には勝てない、など理由を考えだしませんか?だから負けても仕方ない、そう思ったらその通りのことが起きます。まず4連敗しますね。4連敗したらやる気が起きません。逃げたくなります。毎日解いていた詰将棋も今日は休み。負けた棋譜なんてつけたくないから振り返らない。マイナスの方向に考えが向いていることに気が付いてください。
そう、あなたは自分が感じている恐怖に負けているのです。ほとんどは敵前逃亡です。恐怖なんて認めません。だって今日は○○なだけだから。
まず恐怖しているのだと認めましょう。今どういう状況か考えて、まずは応急処置をしておきます。対局中で、頭に血が上っているのならどうにか落ち着かせます。やる気がなくなっているのならもう一回チャンスはないか考えます。方策がないのなら負けを認めてから次の対局に備えます。
その次はどうしたらいいか自分に聞きます。冷静になってからですよ。敗因分析をして、対策を立てて、訓練するのです。歳をとっても脳は成長します。恐怖から逃げたら戻ってこれません。

注意しておきます。
怒りも恐怖とつながっています。自分の恐怖を隠したいので怒り出すのです。病気などで体力がなくなると怒りっぽくなりますね。自分の弱さを他人にも自分にも見せたくないのです。ほんとに強くて恐怖がなければ怒る必要がないのです。いつもにこにこしていられます。不安を怒りにして周りにぶつけている人がいれば、ああこの人は何かにおびえてわめき散らしているのだなあ、と思うとかわいそうですね。
逆に自己否定してしまって、自分をダメだと思い込んでぼやいても、これも恐怖から逃げているのです。恐怖を感じていることを認めて、自分の弱さを認めて、自分の過去のすべてを肯定的に受け入れられるようになってから、やっと恐怖を克服できるのです。
さらには欲望も恐怖とつながっているのですが、あまり言うとややこしくなるのでやめておきます。

幸い私たち(のほとんど)は将棋のアマチュアで、負けても死にませんし、大金を取られることもありません。だからかえってメンタルの問題は気が付きにくいかもしれません。負けたらメンツというか、自分が相手より弱いことも認めることになる、世間(とは誰ですかね)から弱いのだと思われる。悪手を指すとかっとなったり、顔が紅潮したり、ぼやいて自虐的になったり、相手の態度に怒り出したりする。そんなことありませんか?

将棋なんてただのゲームだから、逃げ出してもかまいません。でも将棋でも対応できないのに、仕事上の事とか、人間関係のトラブルとか、避けられないことに対していつも逃げるわけにいきません。そういうことの訓練と思って、メンタルの部分にもとりくんでみませんか。

こう書いている自分が恥ずかしいくらい私もメンタルは弱いのですが、まずは向き合おうと思っているのです。

対局に負けても心の底から相手に感謝してありがとうございましたといいたいですね。
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