名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

20150510今日の一手<その19>

2015-05-10 | 今日の一手
20150510今日の一手

2002年江南将棋同好会にて。Hさんは早囲いの矢倉を得意にされているのですが、ここからの先手の構想は?いろいろ考えてみましょう。



昨日の一手の回答

ベテランはそれぞれの方が得意な形を持っています。Mさんは相居飛車なら右玉にしてきます。
この局面、形勢判断は、駒の損得なしです。玉の堅さも何とも言えませんね。先手のほうが右金も近くにいるのでより固いのですが、銀を66に移動させられました。駒の働きは、飛角の働きが後手のほうが明らかにいいです。先手玉をにらんでいるのですから。ただ、32金や21桂は働きが悪いですから、この局面は後手が少しだけリードしている局面です。

先手の考え方はいろいろですが、作戦負けだから手待ちをして仕掛けてもらおう、桂馬は跳ねられたけれど、64歩と打っているのですぐにつぶされないのだから、千日手を選択するのもあります。(途中で気が変わって打開するのは最悪ですが。)

作戦負けなのに、45銀と攻めるのは一番いけません。苦しくなった相手の無理な動きをとがめるというのが作戦勝ちから勝利に結びつける一番効率のいい指し方なのです。45銀同銀同桂44角24歩同歩同飛66角で

66同金57銀67金引68銀成同金寄57銀なんていう展開はつぶされます。65桂の働きが素晴らしく、81飛の存在も大きいですね。

実戦は、35歩同歩26飛42角55歩同歩同銀右同銀同銀と進めて、

さっきの順よりはましなのですが、57歩から69銀という手筋があります。33角も味がいいです。ここからは、やや先手が悪いけれどチャンスもあるというくらいの局面が続いたのですが、先手玉は薄いのでやはり負けてしまいました。

65桂が働いているなら77桂でどうかとぶつけます。77同桂成同銀65歩66歩同歩同金(銀でも)64歩

桂馬の交換はどちらも守りの桂馬で同等のようですが、先手から66歩と打って傷を消すことができません。この局面も作戦負け解消には至りません。

じゃあ、ほかに何があるの?ですが、2002年当時は開発されていなかった指し方があります。穴熊への組換えです。後手からは動きにくいのですから、98香42金99玉52金左88金で

これは少し先手もちかなあと思います。先手玉の安全度が上がり、離れ駒はあるものの仕掛けも十分利きそうです。

右玉対策として、角交換していない形は菊水矢倉(しゃがみ矢倉とも)が有力です。

88玉を保留してこう組めれば、先手玉の上部が厚くなり、飛角のにらみも弱くなります。65歩から桂馬を使われることもないでしょう。2002年時点では知られていなかったのですが、
マイコミ将棋BOOKS 必ず役立つプロの常識 (マイコミ将棋ブックス)
に書いてありました。2009年の本です。

時代が変われば常識も変わってきます。問題の局面の形勢判断は後手有利で変わらないのですが、数手先まで考えると先手も悪くないのです。これを大局観といいます。
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将棋の上達法則(13)

2015-05-10 | 将棋上達法則
将棋に必要な能力、最後はメンタルです。心理的側面ですね。

だいたいの勝負事やスポーツあるいはビジネスでもそうかもしれませんが、相手は欲望と恐怖です。
大きな勝負になるほど、重要になってくるのですが、普段の対局でもあることです。

負けられない将棋で形勢が少し悪くなったら、負けたらどうしようと手が伸びなくなります。ただ受けるだけの手で長引かせようとするのが典型的ですね。秒を読まれて催促されてやっと指したけど悪い手を重ねて取り返しがつかなくなった、なんて想像をしただけで嫌ですよね。
少し苦しいかと思ったけれど、優勢になったら意識してしまい、決め手を指したつもりが、実は読みぬけて敗勢になるというのも思い当りませんか? あるいは相手の甘い手を見て、ラッキーと飛びついたら実は罠だったなんていうのもありますよね。

形勢がよくなれば、それを意識すると、勝ちたい、勝った、楽になろうと欲がでて、平常心ではなくなります。
形勢が悪くなれば、負けたくない、怖い、どう思われるだろう、で負けることから逃げようとして、外から見ればおかしな行動に出ます。

あるいは、どうせ将棋大会に出ても負けるからと(直接意識しないことが多いのですが)、天気が悪い、体調が悪い、次回でもいいじゃないかと敵前逃亡かもしれません。
さらにはどうせやっても才能がないから将棋なんて強くならない、ほかのことが楽しいよと、訓練をさぼる口実を探します。

特に恐怖は心理の底に隠れていることが多いので、無視しないでください。無視すること自体が恐怖から逃れようとしている行動なのです。

人間がやることですから欲望や恐怖には負けることが多く、私も考えてみれば(将棋に限らず)いろいろなことに覚えがあります。これらとうまく付き合っていくことが人間の成長なのかなあとも思います。
将棋をやって、欲望や恐怖にうまく対処できれば、実社会でも成功するのではないか?と単純な私は想像するのですが、それこそ欲望の甘い罠かもしれません。
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