名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(539);四間飛車に居飛車穴熊(劔持松二)

2017-06-03 | 大山将棋研究

☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170603
昭和55年5月、劔持松二先生と第28回王座戦です。(大山全集では第27回と書いてあるのですが、第28回の間違いでしょう。)


大山先生が四間飛車で、劔持先生は居飛穴に。劔持先生も振り飛車党ですが、居飛穴に痛い目にあって、逆をもってどうするのか聞いたのでしょう。

大山先生は54銀で66歩と突かせる形にしました。

ここまでがとりあえずの駒組み。先手が端を受けているので角の転回が間に合わなかったという感じです。

銀冠穴熊への組み替えを見せたので、大山先生が65歩と動くことになりました。

劔持先生はどう受けるのかと思ったら88角から65の位を取らせ、手順に穴熊を固めます。

64角には28角と合わせ

19香を取らせても飛をさばこうという指し方。

24歩同歩が入っていないので、13桂と受ける手がありました。

37角と合わせて受ければ、大山先生は角交換から44角

26香から桂を取りに行きます。

劔持先生としては桂香損ですから、と金が使えるかどうか。

合間に29飛で桂を打たせ

33角ねらいで と金を寄せていき

中央から攻める体制にもっていきます。

数を足して、47歩成にも53飛成ですね。54歩の受けに

角を切ってしがみつきます。6筋に歩が利くので受けにくい。

ここからは大山先生の受けのテクニック。まずは角を打ち

62と に金を引きます。(こういうのは見えにくい。)

馬を引き付け

13桂を攻められたら

ちゃんと逃げて

62歩に53金と寄って成銀を消しに行きます。

成銀を捨ててしがみつかれても

もう一度遠くから角を打ち

2枚の馬を使ってうまく受けました。

劔持先生は端から最後の突撃。

96同馬は98香で事件ですが、しっかり香を受けて

飛を取り、銀を埋めて投了図。

大山先生の受けの快勝譜です。穴熊が堅いままなので受けきりしか勝てないのですが、うまく受けるものですね。劔持先生も逆を持つので、うまく嫌味嫌味とつくのですが、届きませんでした。
後手をもって受けのテクニックを学べます。並べる時間がなくても、画面を逆にしてもう一度眺めてみてください。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:劔持松二7段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 2五歩(26)
14 3三角(22)
15 5七銀(48)
16 7二玉(62)
17 7七角(88)
18 5二金(41)
19 8八玉(78)
20 8二玉(72)
21 9八香(99)
22 7二銀(71)
23 9九玉(88)
24 5四銀(43)
25 6六歩(67)
26 6四歩(63)
27 8八銀(79)
28 7四歩(73)
29 7九金(69)
30 9四歩(93)
31 9六歩(97)
32 8四歩(83)
33 5九金(49)
34 7三桂(81)
35 6九金(59)
36 8三銀(72)
37 7八金(69)
38 7二金(61)
39 1六歩(17)
40 1四歩(13)
41 3六歩(37)
42 4五歩(44)
43 3八飛(28)
44 4四角(33)
45 4八飛(38)
46 3三角(44)
47 8六歩(87)
48 6三金(52)
49 8七銀(88)
50 6五歩(64)
51 8八角(77)
52 6六歩(65)
53 同 銀(57)
54 6五歩打
55 5七銀(66)
56 8八角成(33)
57 同 金(79)
58 6四角打
59 2八角打
60 同 角成(64)
61 同 飛(48)
62 6四角打
63 2六飛(28)
64 1九角成(64)
65 2四歩(25)
66 1三桂(21)
67 3七角打
68 同 馬(19)
69 同 桂(29)
70 4四角打
71 2九飛(26)
72 2六香打
73 4九飛(29)
74 2七香成(26)
75 2三歩成(24)
76 3八成香(27)
77 7九飛(49)
78 3七成香(38)
79 3三角打
80 同 角(44)
81 同 と(23)
82 4一飛(42)
83 2九飛(79)
84 2五桂打
85 5五歩(56)
86 同 銀(54)
87 4二と(33)
88 8一飛(41)
89 5九飛(29)
90 6四銀(55)
91 5二と(42)
92 4七成香(37)
93 6八銀(57)
94 4八成香(47)
95 5七飛(59)
96 4六歩(45)
97 4二角打
98 5四歩(53)
99 6四角成(42)
100 同 金(63)
101 5三銀打
102 4七歩成(46)
103 6七飛(57)
104 2八角打
105 6二と(52)
106 6三金(64)
107 同 と(62)
108 同 金(72)
109 5二銀成(53)
110 6四角成(28)
111 7五歩(76)
112 同 歩(74)
113 7七銀(68)
114 4六と(47)
115 1五歩(16)
116 5六と(46)
117 6八飛(67)
118 3七桂成(25)
119 1四歩(15)
120 2五桂(13)
121 6二歩打
122 5三金(63)
123 6一歩成(62)
124 5二金(53)
125 6二金打
126 同 金(52)
127 同 と(61)
128 7二金打
129 5二金打
130 1七角打
131 5三歩打
132 4四角成(17)
133 7二と(62)
134 同 銀(83)
135 6二歩打
136 7四馬(64)
137 9五歩(96)
138 同 歩(94)
139 同 香(98)
140 同 香(91)
141 9六歩打
142 同 香(95)
143 同 銀(87)
144 9一香打
145 9八香打
146 5七と(56)
147 4八飛(68)
148 同 成桂(37)
149 9五香打
150 9三歩打
151 8七銀(96)
152 8三銀打
153 投了
まで152手で後手の勝ち



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20170603今日の一手(その518);3枚の攻めを受ける

2017-06-03 | 今日の一手

20170603今日の一手

5月7日の名南将棋大会から、FさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみます。

後手番です。玉の堅さがかなり違うので後手の作戦勝ち。しかし46歩同歩55銀は無理をしたのですが65歩

で事なきを得ました。56歩から銀を追われたら歩切れではまずい形でしたが。(こういう疑問手をとがめないとやや悪くなるものです。)65同歩同銀に66歩

後手の攻めに勢いがついてきました。68金46銀47歩に67歩成

打ったばかりの拠点の歩を成り捨てるのは損です。67同金に77角成同金なら

55銀からやり直し、になったかもしれません。

実戦は77同桂と取り66歩で問題図。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩がないので、少し先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうがかなり堅いです。
先手の攻め駒は88飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は46銀と持ち駒角で2枚。42飛も数えてよさそうで、実質は3枚です。

総合すれば後手が指しやすいです。

☆ 大局観として
まだ後手玉に手がついていないので、寄せ合いにはなりません。しばらくは受けて、受けきりか寄せ合いに持っていきたいです。これが受けきれるかといえば、66歩が取れるかどうかにかかっています。取れなければ拠点になるので受けにくい感じ。

そもそも先手の28銀というのがひどい形なのです。後手は四間飛車なのに2筋方面を守っているのですから。多分58にいた金を67に上がらされたのもよい感じはしませんね。(46歩同歩同飛47歩66飛の筋を受けたということでしょうが。)
金無双(二枚金)はそのまま戦いになると面白くありません。矢倉や銀冠に組みなおすとかを考えます。早く組みあがるので先攻して有利な形を作るという考え方もあります。でも問題図では一丸ひどい形で強攻された(許した)わけです。

まあ局面だけ見てどう受けるか考えましょう。66歩を取って指せるか。逃げなければならないとしたら形勢が悪化しているでしょう。受けきりは望めないので、少し犠牲を払って寄せ合いにもっていくことを考えておきます。


× 46歩67歩成ではだめですね。

後手の攻め駒が4枚ですから、これは除外します。


× 66同金が本線。

とはいえ危ない形です。47銀成同金46歩

と突っ込んでくるでしょう。46同金同飛が金取りで、56銀にも49角

これは詰んでいますね。

46歩に48金では心もとなく

47角39玉69角成

でもかなり受けにくいです。

あるいは59角

が77桂取りになっているのも痛く、43歩同飛25角は攻防ですが47歩成

から47同金同飛成同玉77角成

まだ飛金取りですから勝てません。

46歩に48歩

が最後の希望です。後手は歩切れなので、47歩成同歩に46歩を打てません。でも49角同玉47飛成
と強攻されて(角損ですが)48銀38金59玉48金同飛同竜同玉68飛

66金だけならともかく、77桂まで取られるのは痛いです。58角66飛成67金と受けても47歩

で終わっています。(47同玉46銀48玉67竜同角47金以下)


× ということで実戦では68金と引いたのですが

飛の横利きが消えたので、47銀成同金49角48玉46歩

ならば決まっていました。

実戦の79角も厳しいですが

78飛68角成同飛67金

では少し重いです。実戦では先手のTさんは諦めてしまって形作り(74歩57銀成73歩成同銀74歩48成銀同玉57金打39玉68金直)

で終わったのですが、

67金には46歩

68金64歩62金引74歩同歩55角

となれば勝負、というか逆転しているかもしれません。後手の67歩成~58とよりも早く攻めてしまえばよいです。

途中64歩に54金なら84歩同歩25角

が攻防ですし、後手の79角以下の攻めが重かったのでしょう。


○ 66歩を取れないなら56金しかありません。

47銀成同金67歩成

までは必然でしょう。怖いのですが64歩は多分入ります。54金には25角が攻防


なので62金引に55角と攻防に打ちたいのですが

49角48玉58と

58同飛同角成同玉88飛68銀67歩

これは歩合いができなかったのがひどいです。

なお説明が前後しますが、64歩を手抜いて後手が49角から攻めると

この67歩を同玉と取って47飛成に63歩成は逆転です。

歩合いができるように64歩を入れなくても38飛

があるので改善していません。

さて横道が多くなりましたが、飛先を止めておかなければいけないようです。43歩から

連打するのが普通ですが、43同飛44歩同飛45歩に84飛

歩切れで飛をぶつけられたら悪いです。

いろいろ困りましたが、腹をくくって64歩62金引に44歩

じっと守っておいて、77と86飛67と に55角

の反撃でどうか。桂銀交換でも と金を作られているので駒損ですが、飛を抑えたこともあり、かなり改善しています。59角87飛58と74歩

後手からの48歩~49歩成などの攻めには、39銀と戻したり、27歩から27玉を見せたりでしのぎながら、寄せ合いに持ち込みます。


× 残りの候補は76金です。

これなら77桂を守っているのですが、47銀成同金46歩同金同飛47歩に79角

48飛57角成46歩48馬同玉67歩成

これも角損で強攻されて、と金を作られて詰めろ。受けはなさそうです。


☆ まとめ
後手から見ると、攻め駒3枚でも攻めが続くか、というところでした。
攻め駒4枚なら攻めが続くの例外は少ないです。4枚の連携が悪い(違うところを攻めている)とか、玉を逃げられて遅すぎる(入玉された)とかくらい。
攻め駒3枚では切れるか、といえば切れないこともあります。相手の守りに不備があるときには3枚でも攻めが続くことも多いです。結局は3枚で攻めているうちに4枚目の攻め駒ができることもあります。
ただしこの見極めは難しいです。本譜は後手Mさんが作戦勝ちとはいえ無理気味に攻めたのをとがめきれずに(65歩ではなく56歩、77角成を同金、最後は飛取りで諦めてしまった)言い分を通してしまいました。いつもこういう攻めでうまくいくという経験ができてしまうと、薄い攻めを好むようになってしまうのです。(私もこういう傾向があります。)
近年の相居飛車の将棋などは3枚でも嫌味を突いてうまく攻めるということが多くなってきた(ソフトの影響もある)と思うのですが、対抗型でも玉を堅く囲って、飛角桂で攻めれば十分だということも多いですね。変に慣れるとスランプになるので諸刃の剣です。

さて、問題図では受けるしかないのですが、基本的には受けるほうが読みの量は少なくてもよいです。66歩と打たれたら、66同金でどうか。十字飛車の筋で悪いと思ったら56金しかないです。
47銀成同金67歩成でも悩みますが、桂取りを避けられないなら寄せあいにしたい、でも49角が危険だと気が付いたら、64歩62金引が入るかどうか(これは攻めの手)を悩んで、後は43歩か44歩か45歩か、もしかすると25角か、というくらい。歩の数が不安なので間を取って44歩かなあ、という感じです。先に銀をもらっているので、77桂を取られる(しかも飛当たり)のは仕方ない、と腹をくくれるかどうかだけです。

受けるほうが楽なもので、攻めるほうは駒損を伴うのでしっかり読む必要があるのです。後手から見たら、最初の仕掛けのところで読みますし(銀が死ぬので見送る)、67歩成から角交換で決戦、というのは片道切符なので切れたら終わりそうです。問題図の66歩の手ごたえが良いから指せる、だけでは不十分で、66同金には十字飛車の筋、金をかわしたら47銀成同金67歩成以下攻めが続く、と読む必要があるでしょう。
自然な手で形勢が良くなっている感じがあれば、あまり読まなくても指せます。でも実戦の3枚で強引に攻めるという展開はかなり読む必要があります。


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