名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(551);四間飛車に玉頭位取り(勝浦修)

2017-06-15 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番桐山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170615
昭和55年9月、勝浦修先生と第28回王座戦です。


大山先生の四間飛車に勝浦先生は玉頭位取りです。

大山先生は石田流に組み替える対抗策でした。

端角、当時の評価は両方あったと思いますが、今は居飛車が避けることがほとんどです。

勝浦先生は55歩~56飛くらいなら穏やかですが、銀を出るのは何でしょうか?

55角~74歩は珍しい構想です。大山先生は端桂から1歩得ています。

1歩得対玉の堅さという比較です。

大山先生は玉を固めませんね。

かなり薄いのですが、攻撃力を重視しています。

25桂を跳ねているので、3筋の歩交換の効果が大きく

銀を戻らせて

38歩。交換したら定番の手筋です。

銀を出て、45歩57銀39歩成、あるいは39歩成同角45歩57銀35銀(43銀)の方か、手は続きます。

勝浦先生は3筋を守るために銀桂交換を受け入れ

少し苦しいのですが、角をぶつけると

打ち込まれるだけなので損ですよね。

馬を引かれて困っています。

空間に銀を打たれては位がなくなりそう。

角を打ち込んで飛と交換しても

大山先生は4枚の攻めです。

これは一方的に終わるのかと思ったら、さすがは勝浦先生、鋭い寄せがありました。銀を捨てて

竜を切って飛を成り込みました。詰めろです。

詰めろが続いてうっちゃりが決まったかというところですが

詰みがありました。まあ危なければ83銀を取らないわけでしょうから、大山先生も承知の形作りですか。

端角は嫌な手で、大山先生のうまい序盤でした。薄い玉でもじっくり優位を広げていく、というのは現代ではまれな指し方ですから、是非後手をもって並べていただきたい将棋です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:勝浦修8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5八金(49)
14 7二銀(71)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 7一玉(62)
19 5七銀(48)
20 5二金(41)
21 7五歩(76)
22 3五歩(34)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 7七銀(68)
26 3二飛(42)
27 7六銀(77)
28 4二角(33)
29 2六飛(28)
30 1五角(42)
31 1六飛(26)
32 1四歩(13)
33 4六銀(57)
34 1三桂(21)
35 5五角(88)
36 2五桂(13)
37 7四歩(75)
38 5一角(15)
39 2六飛(16)
40 2四歩(23)
41 7三歩成(74)
42 同 銀(72)
43 7五歩打
44 5四歩(53)
45 6六角(55)
46 6二角(51)
47 2七飛(26)
48 6四銀(73)
49 8六歩(87)
50 7三歩打
51 8五歩(86)
52 7二玉(71)
53 5七銀(46)
54 3六歩(35)
55 同 歩(37)
56 同 飛(32)
57 3七歩打
58 3五飛(36)
59 4六銀(57)
60 3二飛(35)
61 6八金(58)
62 1三香(11)
63 7七桂(89)
64 3八歩打
65 8八玉(78)
66 3四銀(43)
67 3六歩(37)
68 3九歩成(38)
69 同 角(66)
70 4五歩(44)
71 3七銀(46)
72 同 桂成(25)
73 同 飛(27)
74 4四角(62)
75 7八金(69)
76 4三銀(34)
77 6六角(39)
78 同 角(44)
79 同 歩(67)
80 4八角打
81 3五桂打
82 3四銀(43)
83 2七飛(37)
84 6六角成(48)
85 6七金(68)
86 3三馬(66)
87 2三歩打
88 2五歩(24)
89 2八飛(27)
90 8六銀打
91 8四歩(85)
92 同 歩(83)
93 2二角打
94 同 飛(32)
95 同 歩成(23)
96 同 馬(33)
97 3七桂(29)
98 3九角打
99 6八飛(28)
100 7五銀(64)
101 2四飛打
102 4四馬(22)
103 2一飛成(24)
104 5一金(61)
105 5五歩(56)
106 7六銀(75)
107 同 金(67)
108 7五銀打
109 8六金(76)
110 同 銀(75)
111 8三銀打
112 同 玉(72)
113 5一龍(21)
114 同 金(52)
115 6三飛成(68)
116 6二金(51)
117 7四銀打
118 8二玉(83)
119 8三歩打
120 9三玉(82)
121 9五歩(96)
122 8七銀打
123 同 金(78)
124 同 銀成(86)
125 同 玉(88)
126 8九飛打
127 投了
まで126手で後手の勝ち


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20170615今日の一手(その524);寄せは駒の損得ではない

2017-06-15 | 今日の一手
20170615今日の一手

これも5月のR選手権から、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けのところから見てみると、実際は先後逆ですが

後手は73角と打ってから82に引いて桂を跳ねました。85には跳ねられないけれど、65歩同歩同銀同銀同桂、という狙いなのでしょう。受けるのもありますが、45歩65歩で攻め合いです。44歩に86歩同歩(手抜きもあった)85桂

とこちらに跳ねるのは読みぬけていました。25桂77桂成同金寄

というのは、後手の66歩から金をかわしているので先手が悪くはありません。37角成33桂成同桂49飛58銀で問題図。

☆ 形勢判断をします。
先手の2歩得(後手に持ち歩がないのでカウントする)で馬を作られています。ほぼ損得なしです。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。先手玉は上から攻められるのではなく、横から攻められそうなので、88に入っている方が良いですし、金2枚が並んでいる形は詰めろがかかりにくいのです。後手玉は33桂と跳ねているのがマイナスで、2筋を攻められていないので31よりも22玉のほうが良いですね。
先手の攻め駒は持ち駒角銀桂で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒桂1枚。場合によっては58銀は働きます。37馬は先手玉に向かっていないので数えません。

総合すれば先手有利です。

☆ 大局観として
攻め合いを考えれば先手の条件が良いです。玉が堅くて攻め駒3枚。もう1枚あれば寄せが見えてきます。44歩の拠点もありますし、何かありそう。
後手から見れば、37馬の存在が頼りで、49飛を追って少し粘れないかなあ、というところです。
要するに飛を逃げないで攻めの手段を探したいのです。


× 39飛と逃げれば馬取りですが、48馬29飛57馬

56の銀を取られてはいけません。


△ 飛を逃げるなら79飛でしょう。

29飛よりは守りに働いています。これが実戦で指した手です。飛を逃げるのでは自信がないなあ、と思っていました。66歩43銀に65桂が悪手。


65桂としないで、43同銀同歩成同金左55桂同馬同銀67歩成63歩

という攻め合いなら互角です。途中55桂は同馬と取ってしまうのが良いです。駒の損得ではありません。

戻って、65桂が悪手というのは同銀と取られてしまうからで、65同飛

で手番が渡ります。先手の攻め駒は4枚になったのですから、先手が有利。この後は32銀成同玉43金同銀同歩成同金44歩同金56桂

と快調に攻めて優勢、といいたいところですが、45飛なら攻防で後手もちなのかもしれません。飛を追う攻めしかなくて、48飛成~67歩成で寄せ合い負けかも。
幸い見逃してもらって、55馬44桂同馬56桂26馬に43銀

1枚捨てますが、43同玉21角32銀44歩

で寄り筋です。44同馬32角成同玉44桂43玉21角

で間接王手飛車。44玉65角成が必至で、45玉には49飛

と格好良く飛車を活用して詰ましました。

途中45飛の攻防手があるので56角

と打って45飛を防ぎ、62飛32銀成同玉34角43歩35桂

と少し曲線的に攻めるのが正しかったです。

後手の悪手に助けられただけで、飛を逃げるのは最善ではありません。


△ よくあるのは46角と打つ手。

この場合38馬と逃げられても、そこで79飛と逃げて、角を打っているのは得だというわけです。(だから気が付きにくい。)
49銀不成37角

というのも先手が得です。後手は銀を使って(遊んで)飛角交換ではよくないのです。

とすれば一度は36馬

とかわすのが正しく、先手は37歩くらい。46馬同飛35角73角64桂

というのはいろいろ駒がぶつかっていますが、互角の展開です。以下は62角成同金43歩成同銀同飛成同金55桂48飛

でしょうか。

37歩に27馬もあり

48飛59銀不成58飛49馬18飛75歩

これは後手よしか。


○ 何か攻めたいのです。35歩は飛車を捨てる手で

49銀不成34歩45桂33角

これは飛の丸損ですが、寄せ合いにはならないので攻めるだけでよいです。11角成~33歩成とできれば楽勝です。42金右には51銀ですし、43桂や43銀の打ち込みもあり、実は先手優勢に近いのです。攻め駒3枚でも34歩44歩の拠点が大きいのですね。

後手は桂を逃げられなくて、何か受けるのですが26馬

ならば33歩成同金34歩

桂を取れれば攻め駒4枚です。34同金46桂は簡単そうですし、ひねって44金33歩成32歩

なんていう受けは、22角41玉32と同玉33銀43玉36桂

がぴったりです。

他の受けは26馬のところで48飛

です。ここしか攻防で打てないのですが位置が悪くて、33歩成同金25桂34金59角

38飛成37角同竜73角

25桂の拠点があって飛を取れれば簡単です。


○ 他には43歩成

これは拠点の歩を捨てるので考えにくいのですが、43同銀同飛成同金左(左のほうが受けやすい)55桂

飛は銀と交換して4枚の攻めです。37馬が利いているので攻めにくいようなのですが、42金引43歩32金73角

92飛42歩成同金右43桂不成同金直37角成

馬を素抜いてしまえば有利です。


☆ まとめ
攻める手があれば優勢になる、ということは対局中もわかっていたのですが、ちょっと考えにくい手が正解でした。

35歩は飛を取らせるのですが銀が全くの遊び駒になります。34歩45桂33角

で寄り、というのは見えにくいですね。でも相矢倉ならよくあるのではないでしょうか。(飛を取らせても端を破るだけで優勢など。)

43歩成から飛を切って銀を取る攻め

というのも、拠点の歩を捨てるので考えにくい順です。でもこれは攻め駒4枚なのです。歩を成り捨ててある図で58銀と打たれたら喜んで飛を切りますよね。

自玉が堅い(攻められる形になっていない)という場合は、四枚で攻められるのならば駒の損得は関係ないのです。攻めが続くかだけ気にかければよいです。

何かありそうに思えても、35歩や43歩成が成立するようには見えず、46角は少し浮かびましたが馬をかわされてなんでもないと思い込んでしまいました。
飛を逃げるようでは形勢はほぼ互角。まあ1つ疑問手でももう一つ続けなければ悪くはならないのですが、やむなく3枚で攻めるのでは自信なしです。後手の悪手に助けられました。

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