名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(541);四間飛車に玉頭位取り(宮田利男)

2017-06-05 | 大山将棋研究

☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170605
昭和55年6月、宮田利男先生と第7回名将戦です。


大山先生はほとんど四間飛車ですね。宮田先生は玉頭位取りに。矢倉が好きな居飛車党だったと思います。玉頭位取りはそういうタイプにあっている感じがします。

大山先生は銀の支えが間に合っていないだろうと反発しました。

激しい玉頭戦の始まりです。

宮田先生が制したようですが

飛の応援をもってきて大山先生が盛り返します。

3,4筋は大山先生の勢力が多いです。宮田先生も飛角を使ってけん制していきます。

「歩が三つぶつかれば初段」と30年前に原田先生が言っていました。ここで44歩と合わせて4つ目、全面戦争です。

34銀は助からないので代償があるか。

銀をぶつけるのも結構厳しくて、ここで銀の取り合いになりました。

玉頭戦になったら、持ち駒よりも盤上の駒のほうが働いているのです。持ち駒を使って相手の金銀を剥がしていく手が有効になります。さばく感覚とは反対ですね。

駒の損得はほとんどないのですが、玉のまわりにいる駒が多いので、大山先生が有利です。

宮田先生の55角から56銀というのはなかなかの手なんですが、後手玉が薄くて

71角成から33歩で寄せが見えてきました。(71角成に飛車を見切って47銀打~36銀不成が勝負手に見えますが、34飛で抜かれてしまうんですね。)

飛をさばけばほぼ寄りです。

34同玉は35金同銀41飛成です。

もう一つ好手があれば寄りです。飛を切って

挟撃。これで投了でした。44歩には33銀でしょうか。

玉頭位取りでも先後の差が結構大きくて、後手番で玉頭位取りに組み上げるのは大変なのです。互角の中盤戦だとは思うのですが、何か1手違う感じです。41の金が42にあればかなり違いますね。そのままわずかな差が詰まらなかった、という将棋でした。
厚みや玉頭戦の感覚を得るために並べておくとよいです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:宮田利男5段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5二金(61)
13 2八玉(38)
14 5四歩(53)
15 3八銀(39)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 4二銀(31)
19 4六歩(47)
20 5三銀(62)
21 5八金(69)
22 3五歩(34)
23 4七金(58)
24 3三銀(42)
25 3六歩(37)
26 同 歩(35)
27 同 金(47)
28 4四銀(53)
29 4五歩(46)
30 3五歩打
31 4六金(36)
32 5五銀(44)
33 4七金(46)
34 3四銀(33)
35 5六歩(57)
36 6四銀(55)
37 4六金(47)
38 4四歩(43)
39 同 歩(45)
40 5三銀(64)
41 4八飛(68)
42 4四銀(53)
43 4五歩打
44 5三銀(44)
45 6七銀(78)
46 8五歩(84)
47 7七角(88)
48 4三金(52)
49 6八角(77)
50 8六歩(85)
51 同 歩(87)
52 6四歩(63)
53 3六歩打
54 6五歩(64)
55 5五歩(56)
56 4四歩打
57 同 歩(45)
58 同 銀(53)
59 3五歩(36)
60 4五歩打
61 3六金(46)
62 6六歩(65)
63 同 銀(67)
64 6七歩打
65 5七角(68)
66 5五銀(44)
67 3四歩(35)
68 6六銀(55)
69 3三銀打
70 同 金(43)
71 同 歩成(34)
72 同 角(22)
73 3五角(57)
74 5五角(33)
75 3七銀(38)
76 5六銀打
77 7一角成(35)
78 8六飛(82)
79 3三歩打
80 同 玉(32)
81 4五金(36)
82 同 銀(56)
83 同 飛(48)
84 8八飛成(86)
85 5八歩打
86 4四銀打
87 3四歩打
88 4三玉(33)
89 2五飛(45)
90 2四金打
91 5五飛(25)
92 同 銀(66)
93 4五歩打
94 同 銀(44)
95 2二角打
96 投了
まで95手で先手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170605今日の一手(その519); 棋風から

2017-06-05 | 今日の一手
20170605今日の一手

5月のR選手権予選で、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが、後手に持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は54銀と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は81飛と持ち駒角で2枚。

総合すれば先手が指しやすいです。

☆ 大局観として
直前に飛をぶつけられたところで

交換して十分だったのですが、86歩と謝って81飛で問題図です。

玉が堅いので、駒得を図るか、攻め駒を増やすかと考えます。
64歩の拠点があって、活用できそうです。
73桂の頭も狙えそうです。
これらは駒得になるかもしれない。

攻め駒を増やすなら89桂を使うとか飛をさばくとか。(直前に飛交換しておけば飛をさばいたということになったのですが。)

後手からは55角が嫌な感じです。64の歩は取られたくはないですね。でも55角の時にも自玉が堅いので、飛取りを無視して63歩成とかできそうなので、攻めの手が多いのです。


△ よい手ではないかもしれないけど、最初は63歩成から考えますよね。これが実戦の順です。

72角が生じるので金で取るしかなくて、63同金同銀成同銀62金に44角

私もこれを考えていました。金銀入れ替えたら何かありそうで。でも両取りがあって悲鳴を上げそうです。63金88角成73金では足らないので、72角同銀同金88角成81金

と進みました。飛金交換は仕方なくても、その金が81にあるのですから悪いです。遊び駒を考えるのは難しいかもしれませんが、攻め駒飛銀だけ、と思えばよいでしょう。後手Oさんは73の桂も活用して4枚の攻めになり、明快な寄せ合い1手勝ちになりました。

62金がだめなら64歩です。

64同銀なら63角84飛85歩

で飛交換なら先手よし。82飛74角成55角87飛

ならば先手も悪くありません。

64歩に55角がどうかなのですが、

強く63歩成88角成53銀

これは攻め駒4枚になりそう。先手有利です。


△ 63角は俗手で

一応は数の攻めです。後手はすぐに取るわけにはいかず、55角、逃げ場所は87かな。99角成72角成同金63歩成

63同金同銀成44馬73成銀78角

をどう見るかなのですが、馬が厚いので後手もちだと思うのです。


○ 36角は有力で

数の攻めです。52金左には63歩成同金直同銀成同金64歩

後手は72銀を残す取り方しかできなくて、36角のにらみが大きいです。

後手は81飛をかわす、35歩45角を入れて61飛

と受けるべきです。63歩成同金同銀成同銀64歩54角

というのが綱渡りの受け。63歩成45角62銀31飛53と44角

は難しい局面ですが、先手は攻めるだけでよいので勝ちやすいか。(46歩34角42と同銀68飛62角45金とか)

36角に55角もあります。

64歩を取られてはいけないので、63歩成88角成62と89馬に43銀成

が軽くて、43同金72角成86飛73馬

というのは先手玉の堅さが生きます。これは先手優勢。


△ 75歩も後手の弱点をついています。

84飛の受けは85歩で十分。66角87飛99角成74歩55馬

63歩成同金同銀成同銀73歩成同馬

というさばきあいです。これは馬も手厚いので形勢互角。
手順中73歩成を先にすれば(73同金63歩成同金同銀成同銀)55馬の形なので46角と合わせる、などの工夫はできます。


○ 55角を防いで56歩は

79角を誘っています。87飛35角成に75歩

なら受けにくいだろうと。44馬63歩成同金同銀成同銀64歩同銀74歩

馬を作られましたが桂得になるので99馬73歩成同銀なのでしょう。馬の位置が悪い(これまでは香を先にとって自陣に引いていた)ので、先手はこちらの方が得なのです。


△ 自然な手は77桂です。

55角を手抜きにくくなって、87飛64角65桂

53歩73桂成同角45銀55角

左桂をさばいたけれど、99角成を許したくはなく、どう指そうかと悩むところです。後手陣に嫌味が減っているので、少しだけ先手が悪いのかもしれません。


× 85歩は

謝ったところなのでまた突きだす人はいませんが、問題図だけ見たら考えます。
55角に63歩成同金同銀成同銀77角では66銀

が嫌なので、

清算せずに77角と合わせて、64角84歩52金右

は先手が少し良かったことを思えば、形勢互角ですがつまらない感じです。


○ 先に77角と打ってしまえば

44角と合わせたら63歩成から清算して55金か、黙って85歩か、で少し得な変化。33角成から63銀打もあるので、後手は44歩と止めておくのが普通でしょう。そこで85歩なら51飛

くらいか。63歩成同銀同銀成同金84歩で、79角にも83歩成

と攻め合います。88角成同角87飛に73と

桂を取るのが利きそうです。73同金に97角(62銀狙い)72金86角打

として、88歩狙い。89飛成には24桂同歩42角成同銀23銀

と格好いい寄せ方があります。こういう変化も一例で、77角から85歩というのは有力なのです。



☆ まとめ
55角の飛取りを無視できる変化になれば先手よしの可能性が高いです。(先手よしだから踏み込むとも言えますが)先手玉が堅いから、というのが理由です。

拠点の歩が消えるので63歩成は良い手だという感じはしませんが、両取り筋があるのでこの手から読むのではないでしょうか。清算して64歩とたたいて馬を作る、というのは悪くはありません。銀と金の交換で、やや後手の守備力が落ちるので馬を作りやすくなっています。

63角は筋悪の見本みたいなのですが、重い攻めのほうが受けにくいということはあります。ただしこの場合は後手に55角があるのでやりにくそう。

36角は狭いところの自陣角ですが、81飛をにらんでいるので有力です。

75歩から桂を取りにいく筋もあり、後手は66角から香を取れるのでよい勝負。

77桂は振り飛車らしいけれど、55角で少しつまりません。

じっくり指そうと思えば77角と打ち、8筋の歩を伸ばしていきます。いつでも63歩成があるので、遅いようでも有力なのです。(この筋で勝てることは少ないのですが。)


結局は棋風によってどれを選ぶか、意見が違うところだと思います。
軽く攻めるなら63歩成か75歩
重くても確実な感じが良ければ63角
角が好きなら自陣に36角
本筋を追うなら77桂
誘ってさばくなら56歩
自陣の嫌味を消すなら77角
というところでしょうか。

棋風は、感覚派か思考派か(さらには狭いところを読むか、相手の応手も含めて広く読むか)、というところから始まって、経験(同じような筋を読んだ、筋の良い手を学んだ)で強化されていくのでしょう。
棋風で手を選んだら、
目についたから、だけで選んでいるうちは級位者ですが
しっかり読んで裏付けを取るか、
本筋かどうか。勝ちやすいかどうかを比較検討するか、
ということになります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする