名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(564); 三間飛車に位取り(桐山清澄)

2017-06-28 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番米長先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170628
昭和55年11月、桐山清澄先生と第13回連盟杯争奪戦です。


桐山先生が三間飛車で

大山先生は6筋の位取りです。

いつもなら平気で飛車先を切らせるのですが、今回は38飛。

桐山先生の34銀がおかしい手で、手順に銀を出られて

43銀と引いて2手損、大山先生は銀を出て、34歩には33歩で銀交換できます。それで指しやすかったのだろうと思いますが

最初のチャンスは見送る、で銀を引いたのですが、桐山先生の方から仕掛けました。

歩を突きだされて

大山先生の飛は2筋へ。

自陣角から46歩は強い反撃です。

でも金が浮いているので馬を作られて

馬のほうが大きそう。1筋の位を取るのも働いた手で

歩を垂らされても我慢して馬を引きます。

大山先生は激しくいくのですが、66角の位置が悪かった。

角を取られて駒損です。

大山先生は歩切れなのも痛くて、飛交換に応じるしかありません。

角歩3と金の交換で馬も作られています。右桂は使えたのですが、手を作りにくいです。

桂取りを心配しつつ攻めねばなりません。

べたべた打って

桂は取り合い

4枚で攻めているのですが、馬と竜の利きがあるので攻めにくいです。底歩も利いて

馬を取っても成銀を払われて攻め駒は3枚になりました。

手は続くのですが

先手玉にも手が付きました。

素直に寄せ合って、投了図。金を取れば詰みで、98玉に62歩くらい。後手玉に詰めろが続かないということで投了です。

互いに序盤がおかしいのではないかと思うのですが、馬を作ったところでは桐山先生が少し良いでしょう。行きがかり上大山先生は激しく動いたのですが、66角の位置が悪いとは。
後手をもって受け方を学んでおくところでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:桐山清澄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 5六歩(57)
6 3二飛(82)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 7一玉(62)
15 5八金(49)
16 5二金(41)
17 2六歩(27)
18 4四歩(43)
19 6五歩(66)
20 4三銀(42)
21 6七金(58)
22 1四歩(13)
23 6八銀(79)
24 3六歩(35)
25 3八飛(28)
26 3七歩成(36)
27 同 銀(48)
28 3四銀(43)
29 4六銀(37)
30 4三銀(34)
31 3五銀(46)
32 3四歩打
33 4六銀(35)
34 8二玉(71)
35 2五歩(26)
36 4五歩(44)
37 5七銀(46)
38 8八角成(22)
39 同 玉(78)
40 3五歩(34)
41 7七角打
42 4四角打
43 同 角(77)
44 同 銀(43)
45 2四歩(25)
46 同 歩(23)
47 2八飛(38)
48 2二飛(32)
49 6六角打
50 4三金(52)
51 4六歩(47)
52 同 歩(45)
53 同 銀(57)
54 4七角打
55 7八金(69)
56 3六角成(47)
57 4五歩打
58 3三銀(44)
59 5七金(67)
60 4二飛(22)
61 3七桂(29)
62 1五歩(14)
63 3二歩打
64 4一飛(42)
65 4八飛(28)
66 1四馬(36)
67 4四歩(45)
68 同 銀(33)
69 3一歩成(32)
70 同 飛(41)
71 5五銀(46)
72 同 銀(44)
73 4三飛成(48)
74 6六銀(55)
75 同 金(57)
76 3二馬(14)
77 4六龍(43)
78 4一飛(31)
79 同 龍(46)
80 同 馬(32)
81 4五桂(37)
82 3一馬(41)
83 4三飛打
84 5二銀打
85 2三飛成(43)
86 4九飛打
87 3二銀打
88 4二馬(31)
89 4三金打
90 5一馬(42)
91 2一龍(23)
92 4五飛成(49)
93 4四桂打
94 4三銀(52)
95 同 銀成(32)
96 4一歩打
97 5二銀打
98 同 馬(51)
99 同 桂成(44)
100 4三龍(45)
101 6一成桂(52)
102 同 銀(72)
103 3二角打
104 4七龍(43)
105 4一龍(21)
106 同 龍(47)
107 同 角成(32)
108 7四桂打
109 6七金(66)
110 6六桂打
111 7九金(78)
112 4九飛打
113 3二飛打
114 7二銀打
115 6三馬(41)
116 7八金打
117 投了
まで116手で後手の勝ち

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20170628今日の一手(その531);中央を厚く構える

2017-06-28 | 今日の一手
20170628今日の一手

6月10日の名南将棋大会から、IさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀と金の交換で、わずかに先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は36飛97角と持ち駒金で3枚。
後手の攻め駒は55角と持ち駒銀で2枚。52飛もすぐに働きそうです。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
先手のわずかな駒得ですが、持久戦にしてよし、と言えるほどの差ではないです。もう少し戦果が欲しいです。
先手の鳥刺しで、直前に79の角を端に使って、後手に持ち駒の銀を打たせました。また、3筋の歩を切って33に歩を打たせていること、右桂を跳ねたことは先手の得です。
後手は56の垂れ歩が主張、中央からの攻めを狙っています。今すぐ57銀と打たれるのならまだ対応できますが、何かの拍子に中央から攻められて受けがない、ということも考えられます。中央を何とかしておきたいです。
なお、95歩同歩同香は、64角同角95香で2枚換えなので、怖くはないです。


× 56飛がうまそうですが、77角成

で飛角交換ではまずいです。


△ 57歩と合わせるのが第一感です。

57同歩成同銀に56歩

先手を持ったら、この歩をうっかりしそうで、56同銀には37角成同飛56飛

で、歩を入れたら駒損でもないですが、後手に飛をさばかれていますから、やや苦しいです。

56歩には同飛と取って

37角成52飛成同金22飛61銀打21飛成

でどうにか互角。後手玉は堅いですが、76桂から銀を取って53歩の筋で寄せを狙います。

後手は56歩と打つ以外にも95歩同歩96歩と角を追っておくのもありますし、何か待っていても互角です。


× 攻めるなら24歩同歩26飛

が軽い攻め方なのですが、57歩成同金37角成

で2枚換えで竜を作られたら悪いです。36飛は3筋から動かしにくいのです。

飛を動かせないなら22歩

として、22同飛なら54金

でまあまあ指せそうです。

22歩には13桂21歩成25桂

として、25同桂に19角成で後手が指しやすいでしょう。56歩が光っています。


× 実戦は53歩と叩いて

53同飛に気持ちよく45桂と跳ねましたが、54飛に46歩と手が戻ります。

ここで57銀同銀同歩成同金77角成

飛の横利きがあれば他の受け方もできたのですが、この順は避けにくいです。77同桂57飛成79角27竜39飛76銀

先手玉がかなり薄くなったので後手有利。ただし寄せを少し間違え、先手玉が上部脱出してかなり紛れましたが、どうにか勝ち切りました。


× 54歩のほうが難しくて

54同飛に57歩同歩成同銀

ならば、飛が浮いているので、56歩には同飛と取れます。後手は歩をもらったので端を攻めて角を追っておく

のもあるのですが、美濃囲いなのでリスクもあります。

後手はあえて56歩を打って同飛65銀打36飛56歩48銀

と抑え込んでしまうのが良さそうです。34歩68金上33桂

で遊んでいる駒が減っていきます。74歩~75歩~76歩とゆっくり攻めることができますね。


× 中央を守るなら79角と戻りますが、65銀

と使われるのがしゃくで、後手が指しやすいです。


○ ということで、じっと68金上が本筋。

65銀打ならば35飛

54銀36飛65銀左35飛・・・というのは千日手ですが、互いに動きにくいので仕方ないでしょう。

後手は千日手がつまらないと思えば、54飛と浮くくらい。

34飛とぶつけるねらいもあります。半面、57歩同歩成同銀56歩同飛

の時に、37角成とはできません。

互いに手が難しくて、全くの互角です。


× 後は持ち駒の金を打つ手ですが、35金は

45の歩を取ろうという狙いです。でも27銀26飛57歩成同金37角成

と強攻されて怖いです。竜を作られても銀を取れるので駒得にはなるのですが、かなり味が悪いです。
また、強攻せずに27銀26飛に38銀成というのも嫌な感じです。


× 66金は悪手で、66同角同歩57銀

でまるでだめです。


△ 43金も空振りになるとひどいのですが

51飛なら53歩でまあまあ。54飛とさせると飛にひもが切れるので、57歩同歩成同銀に56歩が利かず、34飛

とぶつけるのでしょう。ここでは飛交換はできず、35歩に27銀(これも34歩とできない)56飛35飛

これで後手よしにも見えるのですが、27銀よりは43金のほうが使えます。55飛同銀53角成37飛成52金

これは後手玉が危ないです。先手優勢か。26角と打つこともできますね。


☆ まとめ
後手が中央を狙っているので、中央を手厚くするのが本筋でしょう。

57歩と合わせて、56の歩を消去するのが第一感なのですが、57同歩成同銀56歩と打つ手があり、かなり難しいです。
とすれば68金上が本筋。一つ上がると中央が手厚くなります。ただし形勢は互角で、千日手かもしれません。

56飛や79角も中央に向かっていますが、悪手でした。
実戦の53歩や控えて打つ54歩も、後手に歩を渡すのが難点で、あまりうまくいきません。

24歩から攻めるのは歩しか渡さないのでリスクは小さいはず、でも36の飛を動かしにくい事情があり、反撃がきついです。

持ち駒の金を使うなら43金が一番のようなのですが、ここに金駒を打つのは(後続がないから)通常は疑問手です。後手が甘く見ていると実は難しい、という勝負手みたいな感じです。


もとは鳥刺しの将棋なので、厚みで指す戦型ではないのですが、歩を使う軽い攻めはうまくいきませんでした。中央から攻められているので、その弱点をカバーするのが最優先でした。

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