☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?
☆ 今日の棋譜20170623
昭和55年10月、田丸昇先生と第4回オールスター勝ち抜き戦です。

大山先生の四間飛車に田丸先生は左美濃。88玉の形のほうを好みます。

田丸先生は攻め将棋なので四手角ではまだるっこい、と飛銀で攻めるほうを選びました。

一度2筋に飛を戻って

銀を出てからまた戻る。手の損得はないのですが何をやっているのかわかりにくいでしょう。後手からの45歩を警戒した手順なのです。45歩同銀65歩あるいは45歩同銀85桂86角65歩というのをまともに食らいたくないので、この形にできるように工夫しました。

これも22角の利き筋を止めたという意味もあり、また左美濃なので58飛から攻めるという意味もあります。反撃を警戒しつつ、とりあえずは飛銀だけで攻めを考えなくてはなりません。

45歩には33歩というのも手筋。33同飛55銀なら中央を抑えているのでまあまあ指せます。

33同角35銀に43銀は微妙です。35で銀交換すると45の歩が浮いているというのを嫌ったわけですが

85桂に44銀というのは定跡に似ています。(角を逃げると66角で飛を素抜く筋がある。)

違いは54の拠点があることで、52銀と受けるようでは居飛車もちです。

55桂には44角。32飛成は55角で、打ったばかりの銀桂を取られるのではばからしいです。ということは桂馬を35から打てば良かったのかも。

ということで角の方を取りました。(こういう変化があるので、かなり前に35で銀交換していると話が違います。)

飛を抑えて桂を成れば、田丸先生がうまくやったようですが

26角から飛を逃げられるので

ここでは駒の損得も無く、互角のわかれです。

大山先生が先に食らいつきました。

田丸先生としては、振り飛車の守りの桂がないのがつけ目。73の地点を狙っています。85桂51歩23飛成43歩まではよいとして、39歩ではなくて86桂ならば詰めろ。63金43竜で金を狙えば勝ち筋でした。39歩は68竜同金同銀成で後手玉がまだ詰まないでしょう。怪しかったと思います。

大山先生は48竜と逃げ(ここでも86桂があった)57銀と打たせて39竜。これは銀を使わせてわからなくなりました。大山先生がうまくごまかした感じです。

田丸先生の86角が攻防(詰めろで自陣を強化)で、67銀を取って43竜は厳しそうです。63竜または64角から73銀が狙い。

84銀は玉を上に逃げ出そうという感じで大山先生らしい受けですが(62銀のほうが両方の受けになる)、55桂が追撃で、田丸先生が優勢です。

桂角を取られても、銀を取り返してまだ先手玉は詰まず。

後手玉に詰みがありました。
88玉型の左美濃で作戦負けにならないように指すのは難しいのですが、田丸先生がうまく指した序盤でした。中盤もうまくいったようなのですが、大山先生もうまく受けて飛を成りあったところは互角です。大山先生の55桂~67銀は確実ですがやや速度が遅い攻めで、銀を渡す形なので桂馬のいない美濃囲いは薄かったです。
オールスターだと持ち時間は短めなので、終盤の読みあいということになれば、若い田丸先生の方に分がありました。
田丸先生の快勝です。こういうのを見ると88玉の左美濃を指したくなるのですが、なかなかうまく指せないのですよね。(私が若いころ、これでよく負けていました。天守閣美濃は好きではなかったです。)
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:田丸昇6段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 4三銀(32)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 7七角(88)
18 8二玉(72)
19 8八玉(78)
20 7二銀(71)
21 7八銀(79)
22 5二金(41)
23 5七銀(48)
24 6四歩(63)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 3六歩(37)
28 7四歩(73)
29 6六歩(67)
30 6三金(52)
31 6七金(58)
32 7三桂(81)
33 1六歩(17)
34 1四歩(13)
35 3八飛(28)
36 3二飛(42)
37 3五歩(36)
38 2二角(33)
39 2八飛(38)
40 3三角(22)
41 4六銀(57)
42 5四歩(53)
43 3八飛(28)
44 2二角(33)
45 3四歩(35)
46 同 銀(43)
47 5五歩(56)
48 3五歩打
49 5四歩(55)
50 4五歩(44)
51 3三歩打
52 同 角(22)
53 3五銀(46)
54 4三銀(34)
55 3四銀(35)
56 同 銀(43)
57 同 飛(38)
58 8五桂(73)
59 4四銀打
60 7七桂成(85)
61 同 桂(89)
62 5二銀打
63 5五桂打
64 4四角(33)
65 同 飛(34)
66 6二金(63)
67 3三歩打
68 同 飛(32)
69 3四歩打
70 3二飛(33)
71 4三桂成(55)
72 2六角打
73 4五飛(44)
74 3四飛(32)
75 5二成桂(43)
76 同 金(62)
77 4一飛成(45)
78 3八飛成(34)
79 2一龍(41)
80 5五桂打
81 6八金(67)
82 6七銀打
83 8五桂(77)
84 5一歩打
85 2三龍(21)
86 4三歩打
87 3九歩打
88 4八龍(38)
89 5七銀打
90 3九龍(48)
91 8六角打
92 6三金(52)
93 6七銀(78)
94 同 桂成(55)
95 4三龍(23)
96 8四銀打
97 5五桂打
98 8五銀(84)
99 6三桂成(55)
100 8六銀(85)
101 同 歩(87)
102 6九龍(39)
103 7三銀打
104 9二玉(82)
105 8二金打
106 9三玉(92)
107 8三金(82)
108 同 銀(72)
109 8二銀(73)
110 投了
まで109手で先手の勝ち

先手番大山先生の次の手は?
☆ 今日の棋譜20170623
昭和55年10月、田丸昇先生と第4回オールスター勝ち抜き戦です。

大山先生の四間飛車に田丸先生は左美濃。88玉の形のほうを好みます。

田丸先生は攻め将棋なので四手角ではまだるっこい、と飛銀で攻めるほうを選びました。

一度2筋に飛を戻って

銀を出てからまた戻る。手の損得はないのですが何をやっているのかわかりにくいでしょう。後手からの45歩を警戒した手順なのです。45歩同銀65歩あるいは45歩同銀85桂86角65歩というのをまともに食らいたくないので、この形にできるように工夫しました。

これも22角の利き筋を止めたという意味もあり、また左美濃なので58飛から攻めるという意味もあります。反撃を警戒しつつ、とりあえずは飛銀だけで攻めを考えなくてはなりません。

45歩には33歩というのも手筋。33同飛55銀なら中央を抑えているのでまあまあ指せます。

33同角35銀に43銀は微妙です。35で銀交換すると45の歩が浮いているというのを嫌ったわけですが

85桂に44銀というのは定跡に似ています。(角を逃げると66角で飛を素抜く筋がある。)

違いは54の拠点があることで、52銀と受けるようでは居飛車もちです。

55桂には44角。32飛成は55角で、打ったばかりの銀桂を取られるのではばからしいです。ということは桂馬を35から打てば良かったのかも。

ということで角の方を取りました。(こういう変化があるので、かなり前に35で銀交換していると話が違います。)

飛を抑えて桂を成れば、田丸先生がうまくやったようですが

26角から飛を逃げられるので

ここでは駒の損得も無く、互角のわかれです。

大山先生が先に食らいつきました。

田丸先生としては、振り飛車の守りの桂がないのがつけ目。73の地点を狙っています。85桂51歩23飛成43歩まではよいとして、39歩ではなくて86桂ならば詰めろ。63金43竜で金を狙えば勝ち筋でした。39歩は68竜同金同銀成で後手玉がまだ詰まないでしょう。怪しかったと思います。

大山先生は48竜と逃げ(ここでも86桂があった)57銀と打たせて39竜。これは銀を使わせてわからなくなりました。大山先生がうまくごまかした感じです。

田丸先生の86角が攻防(詰めろで自陣を強化)で、67銀を取って43竜は厳しそうです。63竜または64角から73銀が狙い。

84銀は玉を上に逃げ出そうという感じで大山先生らしい受けですが(62銀のほうが両方の受けになる)、55桂が追撃で、田丸先生が優勢です。

桂角を取られても、銀を取り返してまだ先手玉は詰まず。

後手玉に詰みがありました。
88玉型の左美濃で作戦負けにならないように指すのは難しいのですが、田丸先生がうまく指した序盤でした。中盤もうまくいったようなのですが、大山先生もうまく受けて飛を成りあったところは互角です。大山先生の55桂~67銀は確実ですがやや速度が遅い攻めで、銀を渡す形なので桂馬のいない美濃囲いは薄かったです。
オールスターだと持ち時間は短めなので、終盤の読みあいということになれば、若い田丸先生の方に分がありました。
田丸先生の快勝です。こういうのを見ると88玉の左美濃を指したくなるのですが、なかなかうまく指せないのですよね。(私が若いころ、これでよく負けていました。天守閣美濃は好きではなかったです。)
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:田丸昇6段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 4三銀(32)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 7七角(88)
18 8二玉(72)
19 8八玉(78)
20 7二銀(71)
21 7八銀(79)
22 5二金(41)
23 5七銀(48)
24 6四歩(63)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 3六歩(37)
28 7四歩(73)
29 6六歩(67)
30 6三金(52)
31 6七金(58)
32 7三桂(81)
33 1六歩(17)
34 1四歩(13)
35 3八飛(28)
36 3二飛(42)
37 3五歩(36)
38 2二角(33)
39 2八飛(38)
40 3三角(22)
41 4六銀(57)
42 5四歩(53)
43 3八飛(28)
44 2二角(33)
45 3四歩(35)
46 同 銀(43)
47 5五歩(56)
48 3五歩打
49 5四歩(55)
50 4五歩(44)
51 3三歩打
52 同 角(22)
53 3五銀(46)
54 4三銀(34)
55 3四銀(35)
56 同 銀(43)
57 同 飛(38)
58 8五桂(73)
59 4四銀打
60 7七桂成(85)
61 同 桂(89)
62 5二銀打
63 5五桂打
64 4四角(33)
65 同 飛(34)
66 6二金(63)
67 3三歩打
68 同 飛(32)
69 3四歩打
70 3二飛(33)
71 4三桂成(55)
72 2六角打
73 4五飛(44)
74 3四飛(32)
75 5二成桂(43)
76 同 金(62)
77 4一飛成(45)
78 3八飛成(34)
79 2一龍(41)
80 5五桂打
81 6八金(67)
82 6七銀打
83 8五桂(77)
84 5一歩打
85 2三龍(21)
86 4三歩打
87 3九歩打
88 4八龍(38)
89 5七銀打
90 3九龍(48)
91 8六角打
92 6三金(52)
93 6七銀(78)
94 同 桂成(55)
95 4三龍(23)
96 8四銀打
97 5五桂打
98 8五銀(84)
99 6三桂成(55)
100 8六銀(85)
101 同 歩(87)
102 6九龍(39)
103 7三銀打
104 9二玉(82)
105 8二金打
106 9三玉(92)
107 8三金(82)
108 同 銀(72)
109 8二銀(73)
110 投了
まで109手で先手の勝ち