名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(553); 四間飛車に天守閣美濃引き角棒銀(真部一男)

2017-06-17 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番中原先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170617
昭和55年9月、真部一男先生と第36期棋聖戦です。


大山先生の四間飛車に真部先生は74歩を突いてから天守閣美濃。

引き角棒銀になりました。

大山先生は4筋を狙っています。真部先生は7筋の歩を交換して

53角~62銀と少しでも強化するのですが

46金から35歩と、一気に攻めつぶそうとしています。

44歩と取り込みが利いて

飛車をまわり

57角成をみせられても構わずに3筋をこじ開けます。35同歩には34歩。34同玉は45銀で終わりで、構わず36歩には33歩成同金35桂で一気に寄せようということでしょう。

真部先生は飛車の素抜き筋を消して、77飛成から35歩で対応します。これで34歩はちょっとやりにくい。

大山先生は金で取り返して、57角成に銀を引いて引き締めます。

34歩には43歩成で早い投了図です。43同銀(同金でも)に24金同玉43飛成同金21飛で寄りです。

しばらく大山先生は引き角棒銀を苦手にしていましたが、このところはしっかり対策ができたみたいですね。先手番だということもあり、3,4筋から攻めつぶしてしまいました。後手は組上がりで作戦負けなので、工夫できるかどうか。左美濃の引き角棒銀が指しにくくなりました。
先手をもって並べておくと良い棋譜です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:真部一男7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八銀(39)
12 5二金(61)
13 3九玉(48)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 5四歩(53)
17 6七銀(78)
18 7四歩(73)
19 2八玉(39)
20 2四歩(23)
21 5八金(69)
22 2三玉(32)
23 4六歩(47)
24 3二銀(31)
25 4七金(58)
26 4四歩(43)
27 3六歩(37)
28 4三金(52)
29 2六歩(27)
30 8五歩(84)
31 7七角(88)
32 3一角(22)
33 8八飛(68)
34 7三銀(62)
35 6五歩(66)
36 3三桂(21)
37 3七桂(29)
38 9四歩(93)
39 5六銀(67)
40 7五歩(74)
41 同 歩(76)
42 同 角(31)
43 7六歩打
44 5三角(75)
45 4五歩(46)
46 6二銀(73)
47 4六金(47)
48 7二飛(82)
49 3五歩(36)
50 同 歩(34)
51 同 金(46)
52 3四歩打
53 4四歩(45)
54 4二金(43)
55 3六金(35)
56 7六飛(72)
57 4八飛(88)
58 7三桂(81)
59 4六飛(48)
60 7五角(53)
61 3五歩打
62 7七飛成(76)
63 同 桂(89)
64 3五歩(34)
65 同 金(36)
66 5七角成(75)
67 4七銀(56)
68 4八歩打
69 3九金(49)
70 3四歩打
71 4三歩成(44)
72 投了
まで71手で先手の勝ち


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20170617今日の一手(その525);端攻めの怖さ

2017-06-17 | 今日の一手

20170617今日の一手

5月13日の名南将棋大会から、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さを比較するのは難しいのですが、後手の美濃囲いは横からなら堅いです。上から攻められそうなので堅いとは言えません。先手玉は薄いけれども、上部には厚いです。とりあえずは少し後手のほうが堅いとしておきます。
先手の攻め駒は89飛68角で2枚。
後手の攻め駒は34飛44角で2枚。

総合すれば互角か後手もちか。

☆ 大局観として
何回か出てきましたが私は左玉です。後手は最初から三間飛車、私は57の銀を引いてけん制したので少し後手の手が進んでいる感じです。
じっと待っていると1筋を攻められるかもしれませんし、そろそろどこかから動きたいところです。何か攻める手を探しましょう。


△ 1筋から順番に見てみます。詰められている端ですが、16歩同歩12歩同香13歩

素直に応接してもらえば香を取れます。17歩成同香25桂15香14歩12歩成15歩

と進めば角を成れますからまあまあでしょう。

詰められている端ですから、後手は手を抜いて36歩が普通の応手です。

36同歩同飛37歩26飛27歩25飛15歩16歩

というのは端攻めを逆用された感じ。16同香には26歩ですね。あまりうまくいっている感じではないです。

途中26飛に27歩と謝るのがしゃくなので、37銀で反発します。

34飛35歩24飛(角交換もある)15歩

で互角の戦いです。


△ 2筋から動くなら24歩

22歩と受けてもらえるなら得だと見ます。36歩(同歩同飛37歩26飛のねらい)23歩成37歩成同桂36歩24と

はどうでしょうか。35飛同角同角に34飛

で角を取れそう。でも37歩成同金44角打

で案外に難しいです。飛と角2枚の交換くらいにはできるのですが、58飛で返されます。

飛を打たないで34と

から角を追って21飛くらいでややよしでしょうか。

ではやはり後手は22歩が正着か。

22歩を打たせたのは得ですが、持ち歩が減ったからつまらないような感じもあります。


△ 22歩と打てば

この と金作り(香取りにいく)は受けがないです。35歩21歩成24飛11と28歩でも27香

がぴったり。(28歩ではなく27歩は39銀で受かる。)

後手は36歩しかないです。

手順に2筋に回られてはいけないので、21歩成37歩成同銀25桂(36同歩同飛37銀34飛21歩成25桂でも同じ局面)

11と37桂成同金28歩

桂を取られて銀香交換ではぱっとしないです。ただし桂香歩で8筋を攻めることはできるのでそんなに悪いこともなし。


× 3,4筋は手がないですが、55歩は手筋。

55同銀56歩66銀同金同角55銀

やりたい手順ではないですが、駒得にはなります。これが怖ければ55歩同銀に57銀から56歩を狙います。

55同角が本筋で

57銀36歩56銀37歩成55銀

と取り合うと、38と54銀同飛

これは後手よしです。

あるいは56銀に44角と引いて

36歩に55銀同銀同角

というのも後手よし。


△ 常識的には57銀で

(一度引いた銀ですが)24飛27歩16歩同歩17歩に55歩

から56銀を狙うことはできます。まあ後手が端攻めの前に飛を引いておけばよい話ですが。
この端は28金で受けられる(43銀65歩16香66銀21飛28金18歩成同香17歩同桂)

形ですから、角の利きが止まっても大丈夫ではないかと思います。歩や桂香をもらって玉頭で反撃するのが楽しみです。


△ 先に65歩でも

同じような意味です。57銀~66銀とする予定。36歩同歩同飛37歩26飛27歩21飛

これは持ち歩が1枚になるので玉頭から攻めにくくなります。1筋を攻めてもらえばありがたいですが。


× 8筋を狙うと言っても、持ち歩が2枚しかないので、歩の手筋は利かず。85銀では

2歩持っていれば84歩同歩83歩同銀84銀で銀交換できる(得だとも思えませんが)とはいえ、前と同じように1歩使わされると空振りです。


○ 実戦は95歩とこちらの端攻めです。

95同歩93歩に同玉

と妥協せずに受けられました。端を詰めて謝るなら先手の得です。ここで強攻します。95香94歩同香同玉99飛95歩82歩

93桂81歩成同銀85桂

感想戦で気が付きましたが、65に跳ねれば詰めろですから簡単でした。でも96香に(飛取りを受けてしまったのですが)同飛同香73桂成

これは感想戦で触れたけど気がつかず。74成桂と引けるから詰めろなんですね。飛1本では受けにくいです。

それを逃して97歩

からは難しく、84歩96歩85桂86歩64桂

以下後手玉はどんどん逃げ出してしまい

反撃が厳しくなりました。最後にチャンスがあったのですが

32金(42金同金同玉34桂から追っていく)の詰めろで勝ち筋。39金が66桂で受けになっていなくて負けました。


☆ まとめ
盤面の右から動くのは、桂香をもって(特に香と歩)87香~84歩同歩85歩と玉頭から反撃して勝つのが理想です。

16歩は取ってもらえそうにないですが、68角の利きでけん制しているのでなんとかなります。48に銀を引いた手を生かす展開です。

24歩は受けられたらどうしようか、と思うのですが、受けなければ34飛を取る展開が期待できます。

22歩は香を取りに行って後手の攻めをせかせます。


55歩とか65歩とか57銀とか、中央から動くのは前に銀を引いた手を生かしていない(問題図だけではわからないですが)のであまりうまくいきません。55歩は自分から動いて無理をしている感じが強く、65歩や57銀が本筋ではあります。

左からすぐに動く手がありました。8筋は持ち歩が足りませんが、95歩から端を攻めれば、89飛68角77桂99香で4枚の攻め駒になります。端攻めは攻め駒を増やしやすいのです。香が攻め駒になるのは当然で、桂も働くことが多く、飛角あるいは銀の応援があればあっという間につぶせるかもしれません。持ち駒も利用しやすいでしょう。

デメリットは反撃を食らうこと。先手玉からも近いですから、反動はあります。ただ後手玉は82ですからより厳しいわけです。
また、端を攻めても逃げ出されて効果なし、ということはあるわけですが、これは早い段階で端を攻めることが解決策です。問題図では中盤ですから、玉を逃げ出すとか手を抜くとか謝るとか、はやりにくいのです。あるいは詰めろになる時に(相手玉が端に逃げたら)攻めるのもよい手です。
この中間の時に端を攻めると効果がなかった、ということがあります。




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