名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(547); 四間飛車に玉頭位取り(米長邦雄)

2017-06-11 | 大山将棋研究

☆ 昨日の復習

後手番板谷先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170611
昭和55年8月、米長邦雄先生と第28回王座戦です。


大山先生は四間飛車、米長先生は急戦のようですが

右銀を上がっても5筋の位を取れず、玉頭位取りです。

玉頭位取りと急戦両方というのは、やってはいけないという見本です。46を突くのは42角~64角に備えたわけですが

この振り飛車のさばきを抑えるのは大変です。

行きがかり上、4筋を攻めるしかなくて

大山先生の方は無理に動かれているのですからしっかり受け止めます。

角交換になり

自分だけ右桂を使えているので、米長先生が好調にも見えますが

桂を捨てて角飛交換ではうまくないですね。36歩にも25歩で効果なし。

37角を打たせて

後手を引いて

端で勝負するというのはひねり出した手順です。大山先生は馬を作れそうな大好きな展開になりました。

飛車をさばかれても47歩成が入れば優勢です。

攻め駒は4枚あるので、33桂~45桂と2手かけなくてもよいです。桂を打って、68銀には46角成か。
米長先生は48に銀を引きました。これは損ですが角を手に入れて

端を攻めれば形にはなっています。

46角も攻防のようでしたが、関係なく詰んでいました。

米長先生らしい奔放な序盤でしたが、思いつきでやってもだめなことが多いのですよね。持久戦で玉を固めるのと、急戦で攻めるのはミックスしてもうまくいきません。固めてから攻めるとか、相手が変な動きをしてきた(固める前に攻められそうになった)時に反撃を考えます。
その後はいかに米長先生でもうまくいきませんでした。こういう変則的(パラドックス)な指し方をされた時にはオーソドックスに組んで対応する(とがめる)のが一番良いです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄王位
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 3六歩(37)
18 7二銀(71)
19 6八銀(79)
20 4三銀(32)
21 5七銀(48)
22 5四歩(53)
23 7五歩(76)
24 3二飛(42)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 4六歩(47)
28 5二金(41)
29 7七銀(68)
30 4二角(33)
31 7六銀(77)
32 3五歩(34)
33 2四歩(25)
34 同 歩(23)
35 4五歩(46)
36 5五歩(54)
37 同 角(88)
38 5三金(52)
39 4八飛(28)
40 3三角(42)
41 3五歩(36)
42 4五歩(44)
43 3七桂(29)
44 5二金(53)
45 3三角成(55)
46 同 飛(32)
47 4五桂(37)
48 3五飛(33)
49 5三桂成(45)
50 同 金(52)
51 2六角打
52 3四歩打
53 6六歩(67)
54 3七角打
55 3五角(26)
56 同 歩(34)
57 4九飛(48)
58 4六歩打
59 9五歩(96)
60 2七角打
61 2九飛(49)
62 3八角成(27)
63 2四飛(29)
64 4七歩成(46)
65 9四歩(95)
66 5八と(47)
67 同 金(69)
68 4九馬(38)
69 6七銀(76)
70 4五桂打
71 4八銀(57)
72 5八馬(49)
73 同 銀(67)
74 4八角成(37)
75 9三歩成(94)
76 同 香(91)
77 同 香成(99)
78 同 桂(81)
79 9四歩打
80 5八馬(48)
81 9三歩成(94)
82 7一玉(82)
83 4六角打
84 6九銀打
85 投了
まで84手で後手の勝ち


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20170611今日の一手(その522);構想で勝負

2017-06-11 | 今日の一手
20170611今日の一手

5月のR選手権、翌日のA級本戦から私の将棋です。形勢判断とこの先の構想を考えてください。


一昨日の一手の回答
序盤から見てみます。

76歩34歩77角でスタートしたので手順が変わっていますが、角換わり模様。14歩や72銀がおかしな手に見えて、25歩と突きだしました。

飛車先を換えた時に72銀が飛の横利きを止めているので横歩を取ろうとしたのです。23歩(23銀には同飛成同金32角)34飛33銀36飛28角18香19角成27角

がどうかと思っていたのですが、ひとつ前の図の13角で当てが外れました。こういう欺し合いは、「両取り見えない病」が発症しやすいです。

馬を作られて(34飛33歩36飛57角成)

歩損ではないので指せないことはなかったです。さらには馬を消せて(26飛35馬28飛83銀26角)

互角以上に戻りました。そして問題図(26同馬同飛84銀)

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは少し先手のほうが堅いか。57歩がないので何とも言えないですが。
先手の攻め駒は26飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。(将来は95銀から86歩で3枚になります。)

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
まだ構想を考えるくらいの段階ではありますが、後手が攻勢を取ろうとしています。棒銀を受けるか、かわすか、攻め合いにするか、という選択肢です。角換わりでは棒銀はかなり足の速い攻め方なのですが、問題図では2筋と5筋の歩が切れているので、どちらからか攻めることができます。
なお、57角から馬を作られるとまずいですが、今は46角か68角で大丈夫です。(後手は84銀ではなくて57角で馬を再度作ることもできました。)


× よほど57歩と打ってしまおうかと思いました。

これでも悪くないかなあ、とは思っていたのですが見送りました。95銀に75歩なら44角

28飛86歩同歩同銀同銀99角成

というのは後手よしです。

95銀に88銀でも

86歩同歩44角28飛87歩

どんどん攻められて負けます。選ばなくてよかったです。


△ おとなしく受けるなら28飛

のほうですが、95銀88銀

で後手も2歩持つことになる、というのは互角です。この図は23歩57歩と打ちあったとしたら手の損得も無いようで、全くの互角になりそう。銀の位置がどうか、ということくらいです。


○ 少しは欲張って96歩と受けると

94歩16歩に95歩から攻めるのは早すぎます。74歩なら15歩同歩12歩同香45角

という攻め筋があるので、

後手はこれに注意してどこかで23歩

と謝っておくのでしょう。45角は2筋もこじ開けて狙うほどの手でもないので、48玉42玉39玉34歩56飛

でひねり飛車のような中飛車を目指します。これが棒銀をかわす構想です。


○ 96歩を受けないで16歩でも

95銀には56飛42玉75角

が結構厳しい狙いです。64角と合わせるしかなくて、同角同歩54歩同歩同飛

というのは気持ちよいです。

56飛に62玉なら26角(感想戦でもこの筋に気が付きませんでしたが)

これも44角と合わせるしかなくて、同角同歩65角

これが受けにくいです。歩得か馬を作るかはできそう。

56飛に52玉なら96歩

で86歩は怖すぎるので、84銀に26飛と戻し(28歩や28角を嫌う)これからです。まあこう進むなら最初に96歩のほうが含みが多いでしょう。


△ ひねり飛車狙いなら最初に48玉

でもよいわけですが、42玉16歩52金96歩94歩66銀34歩39玉

28歩や57角の筋に気をつけつつ組むことになります。


△ 攻めるなら24歩が普通でしょうか。

でも壁銀を相手にするので、34歩23角33金

では指し過ぎです。

23角とは打ち込めなくて、56飛に62玉

24歩を打っていると利かした感じなのですが、玉を右に持っていきにくくなっているので良し悪しがあります。(24歩を取られる、後で26歩など玉頭を狙われやすい。)5筋を狙っても52玉か62玉が可能(26角に35角)なのでこの先は難しくなります。75歩28角17香19角成

なら74歩同歩23歩成同銀55角

という一発狙いはあります。後手は28角を打たないで84銀など備えておいて、難しい展開です。


○ 実戦では1、2筋には触らず、56飛と回りました。

42玉が普通の受けで(75角はない)36歩52金37桂

で5筋を狙いました。74歩(~73銀)なら54歩同歩同飛53歩74飛狙い。よって28角に18香19角成54歩同歩71角

これで72飛には54飛~84飛~82飛成なので手応えありです。83飛53歩51金54飛

18馬45桂31金52歩成同金53桂成

で寄せました。


☆ まとめ
56飛と回るのは中原流の56飛

をイメージしています。これよりは5筋の歩が切れているわけですからかなり攻めやすいです。
私は角換わり愛好家ですが、相掛かりの将棋も知識として知っておくと、応用できるわけです。
後手のMくんはまだ小学生(だったはず)、経験が少ないと知識の引き出しも少ないので、読みの力では劣るベテランでも、構想の勝負になると有利になりやすいです。(13角を食らった時にはやってしまったか、と観念しましたが。)
飛角桂3枚だけでも、後手陣の弱いところを攻めるならうまくいくことがあります。84の銀も目標になったので、きれいに決まりました。(4局目て疲れていて、とても読み切れませんでしたが、何とかなる感覚はありました。)

24歩から2筋を攻める、というのは壁銀を相手にしている感じで、26飛が狙われやすい、57に空間がある、という状況では踏み込みにくいです。

16歩から15歩同歩12歩同香45角、というのは狙える筋で、後手に何か受けさせたら得かどうか、という判断です。34歩、52金、23歩、など受ける手もおかしな手ではないので、おまけ程度。

すこしゆっくりなら、玉をどう囲うか、というのを考えるべきです。左に行くと(すぐには王手飛車ですし)棒銀に近づきます。39に持っていく構想のほうが良いでしょう。それなら棒銀は怖くないです。銀交換でも構わないかもしれません。

96歩は突いておくほうが無難で、ゆっくり戦うならわかりやすいでしょう。ただし玉を左に囲わないことです。





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