名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(558);三間飛車に天守閣美濃引き角棒銀(勝浦修)

2017-06-22 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20170622
昭和55年10月、勝浦修先生と第39期名人挑戦者リーグです。


大山先生の先手三間飛車に勝浦先生は天守閣美濃です。

4枚美濃の流行はまだ先です。引き角棒銀になりました。

三間飛車スタートだったので56歩を突いているわけですが、それでも大山先生は4筋からの攻めを狙っています。

勝浦先生は銀を使うことを優先しました。4筋を攻められたら

桂を捨てて応急処置。77角の利き筋をそらしに行きます。

大山先生は3筋を突き捨てて控えの桂ですが、今日は強気ですね。

勝浦先生も力強く応接し

飛角をそらして

桂馬を取り返したところで、角をぶつけられて困りました。逃げても66角の味が良いので交換するのですが

87銀が取り残されています。玉頭(桂頭)を攻めるのは勝負手。

大山先生は25歩は相手にせず、角の打ちあいから

飛をさばいて好調です。87銀と54銀の差が大きいです。

勝浦先生はなんとか銀を使って、互角に持ち込めるか。

飛を切られ、角をかわされてがっかり。それでも52飛は良い返し方で、質駒ができました。

玉頭を攻めて桂を取りに行きます。

36玉を期待したのですが、あっさり収められて、角に逃げられました。これで逆転はなく

飛を追われて切るしかなくなって

投了図。清算すると33角成の詰み筋です。

まだ天守閣美濃から米長玉経由で銀冠にするのは広まっていなかったのでしょうが、角筋を避けておくほうが安心です。互いに美濃囲いだと小さな差が大きくなるのですよね。攻めの銀の位置の違いが大きかったです。だからこの戦型は流行らなくなりました。その昔羽生の頭脳に後手番ならこれで千日手ねらいだ、と書いてあったのですが、4筋攻めは気をつけなければいけません。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:勝浦修8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 5八金(69)
16 5四歩(53)
17 2八玉(38)
18 1四歩(13)
19 1六歩(17)
20 7四歩(73)
21 3八銀(39)
22 2四歩(23)
23 4六歩(47)
24 2三玉(32)
25 5六歩(57)
26 3二銀(31)
27 3六歩(37)
28 4四歩(43)
29 4七金(58)
30 4三金(52)
31 2六歩(27)
32 3一角(22)
33 8八飛(78)
34 7三銀(62)
35 6七銀(68)
36 3三桂(21)
37 3七桂(29)
38 9四歩(93)
39 9六歩(97)
40 2二玉(23)
41 6五歩(66)
42 6四歩(63)
43 同 歩(65)
44 同 銀(73)
45 4五歩(46)
46 同 桂(33)
47 同 桂(37)
48 7五歩(74)
49 3五歩(36)
50 6五銀(64)
51 6八飛(88)
52 3五歩(34)
53 2七桂打
54 6四角(31)
55 3七歩打
56 3四金(43)
57 7五歩(76)
58 6六歩打
59 同 銀(67)
60 7六銀(65)
61 8八角(77)
62 6七歩打
63 4八飛(68)
64 8七銀(76)
65 6五銀(66)
66 7五角(64)
67 7九角(88)
68 4五歩(44)
69 5七角(79)
70 同 角成(75)
71 同 金(47)
72 2五歩(24)
73 5四銀(65)
74 7三角打
75 6六角打
76 3三金(34)
77 6四歩打
78 同 角(73)
79 4五飛(48)
80 4四歩打
81 6五飛(45)
82 5二桂打
83 4五歩打
84 7六銀成(87)
85 6四飛(65)
86 同 桂(52)
87 5五角(66)
88 5二飛(82)
89 5三角打
90 2六歩(25)
91 3五桂(27)
92 2七歩成(26)
93 同 玉(28)
94 2五飛打
95 2六歩打
96 3五飛(25)
97 6四角成(53)
98 3四飛(35)
99 3六歩(37)
100 2五歩打
101 3七銀(38)
102 6八歩成(67)
103 3五歩(36)
104 同 飛(34)
105 4六金(57)
106 3七飛成(35)
107 同 玉(27)
108 2六歩(25)
109 4四歩(45)
110 2五桂打
111 3六玉(37)
112 3五歩打
113 同 金(46)
114 3四銀打
115 4三歩成(44)
116 投了
まで115手で先手の勝ち

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20170622今日の一手(その528); 詰めろの選択

2017-06-22 | 今日の一手
20170622今日の一手

6月10日の名南将棋大会から、TさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


昨日の一手の回答

難しくないので、と書きましたがいかがでしたか?手はいろいろあります。
☆ 形勢判断をします。
歩歩と飛銀の交換で、竜 と金の作り合いです。先手の大きな駒得ですが、終盤の寄せ合いなので重視しません。
玉の堅さは(相手の駒がないとして)同程度。
先手の攻め駒は66竜を数えなくても、持ち駒に飛角金銀銀と5枚あります。
後手の攻め駒は48金39と 持ち駒角で3枚。

総合すれば先手が有利です。

終盤の寄せ合いでは何手で詰めろがかかるかを数えたほうが正確です。先手玉はまだ詰まなくて、38と18玉39角で詰めろ。1手分ですから2手すきです。
後手玉は、後で書きますが、1手で詰めろがかかります。現状は2手すき。
互いに2手すきで先手番ですから、先手が有利です。

☆ 大局観として
先を読むだけですが、要するに後手玉にどうやって詰めろをかけるか、という問題です。
後手の攻め駒は3枚ですが、38銀を助けにくいので4枚で攻められているようなもので、受けは難しいです。2手すきの玉を1手受けて3手すき以上にする、というのでもよいのですが、持ち駒を使うと後手玉への詰めろが難しくなります。攻める手を考えるほうが簡明です。
なお、先手玉はもう一枚渡すと詰んでしまいます。(38と18玉17銀同玉39角26玉のところで何か1枚あれば詰み。)駒を渡さないで詰めろをかける、という条件です。


× 実戦は47銀打でしたが38と

と銀を取られて、38同銀39角18玉38金

これは17銀と打っても同角成で詰むので必至です。(実戦は38同銀と取らずに18玉47金以下の負け。)


△ 83角なら38との時に角成で取り返せるので受けになるのですが、74角

と合わせられて無効です。(同角成同歩で他の手を探すことになる。)


× 受けの手筋は49銀

なんですが、38と18玉39角17銀49金

と詰めろが続いて負けです。手は稼げませんでした。


○ 詰めろをかけようと思えば、そんなに難しくはなくて61竜

と潜れば詰めろです。これが詰めろだと読み切るのは秒読みだと難しいですが、83角(竜取り詰めろ)に21銀22玉31角

と追っていくのはわかりそう。持ち駒が多いので32金と打っても詰みます。

後手が受けるとしたら、38金18玉51銀とかですが、66角

で詰めろ。44角同角同歩63飛53角65角22玉51竜

という感じで、後手に持ち駒を使わせると、先手玉に詰めろがかかりにくくなるので、それらしい手(王手で合駒を請求するとか、詰めろとか)を指していけば勝ちです。


○ 61飛と打っても

詰めろなので勝ち筋。これは似たような変化になります。


× 71飛だと

(2枚飛車もできるので)ついここから打つ方が良いのかと思ってしまいますが、38金18玉17銀同玉44角
で飛を取られると詰めろになるので負けです。


× 55角でも詰めろですが

これは38金18玉44銀

と受けられると角に当たります。でも44同角同歩61飛が詰めろ。51角63竜

とやっていけば先手が勝ちそうです。

でも44銀ではなく22銀

と下から受けられると難しそう。それでも61飛は詰めろのようなのですが、29と

と桂馬を手に入れられると先手玉は詰めろ。42金同玉64角に53桂の合駒で詰みがないようです。


△ 他には13銀と捨てて

銀を渡すと先手玉が詰めろになりますが、13同香12飛22銀11銀で銀を使わせて詰めろ。でも38金18玉21銀

で千日手で引きわけです。


☆ まとめ
比較的易しい問題でしたが、それでも実戦で秒読みだと間違えそうです。受けもあるようなところだと余計に間違えるのですよね。

受けに目が行くと負けそうです。49銀などいかにも間違えそう。

後手玉に手掛かりがないので、大駒を打って詰めろにならないか、と考えます。
詰めろをかければよいのだ、と気が付いたら61竜を考えそうですが、
竜で上部を抑えているような気もするし、71飛と打ってしまいそうです。これは王手飛車の筋で負け。落とし穴があります。
55角も打ち得な気がするのですが、22銀と受けられると負け。

落とし穴にはまりませんでしたか?


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