名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(545); 四間飛車に居飛車穴熊(加藤一二三)

2017-06-09 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20170609
昭和55年7月、加藤一二三先生と第7回名将戦です。


大山先生の四間飛車に加藤先生は居飛穴です。負けても関係なくて、自分が納得するまでは続けるのですよね。

大山先生は56銀の形で、少し居飛穴は弱体化しています。今なら51角~73角~32飛という指し方でしょうか。加藤先生は72飛で千日手含みの揺さぶりです。

大山先生は構わず45歩同歩同銀。角を交換してもらえれば61角~34銀があります。よっておとなしく44歩で

7筋の歩交換を許し、55歩があるので78歩と備えます。これで加藤先生は手を作りにくいのです。普通は74飛~64歩ですが、あまりやりたくない気もします。

76飛~86歩同角(86同歩は85歩か)に55歩、苦心の手順です。55歩よりは88歩77歩86飛同歩89歩成かも。

銀を引いて飛を追われ、角と交換することになったのですが

手順に香を取っても、それ以上はありません。このわかれは振り飛車が良さそう。

加藤先生は4筋から攻めて

桂馬を得て

王手飛車の筋ですが

飛車を切られて桂損で金当たりでは駄目でしょう。

香を打ちあっての寄せ合いですが、穴熊が薄すぎます。ここで角を逃げても仕方なく

飛角の取り合いで

そのまま一直線で大山先生の勝ちです。

本譜の攻め方は居飛穴が飛桂だけで攻めるのでうまくいかなさそう。どこかで45歩から決戦できるのならよいのでしょうが。大山先生からあまり難しい手はないのですが、こういうのが自然に勝つということでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:加藤一二三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 5三銀(62)
15 6七銀(78)
16 3三角(22)
17 3八銀(39)
18 2二玉(32)
19 4六歩(47)
20 1二香(11)
21 5六銀(67)
22 4四歩(43)
23 5八金(69)
24 5二金(61)
25 3六歩(37)
26 4三金(52)
27 1六歩(17)
28 1一玉(22)
29 4七金(58)
30 2二銀(31)
31 3七桂(29)
32 8五歩(84)
33 7七角(88)
34 3一金(41)
35 1五歩(16)
36 7四歩(73)
37 6五歩(66)
38 7二飛(82)
39 4五歩(46)
40 同 歩(44)
41 同 銀(56)
42 4四歩打
43 5六銀(45)
44 7五歩(74)
45 同 歩(76)
46 同 飛(72)
47 2六歩(27)
48 7三桂(81)
49 7八歩打
50 7六飛(75)
51 9八香(99)
52 8六歩(85)
53 同 角(77)
54 5五歩(54)
55 6七銀(56)
56 7四飛(76)
57 6六銀(67)
58 8五歩打
59 7五銀(66)
60 8六歩(85)
61 7四銀(75)
62 8七歩成(86)
63 8一飛打
64 9八と(87)
65 7七桂(89)
66 5六歩(55)
67 同 歩(57)
68 2四角(33)
69 4六歩打
70 4五歩(44)
71 同 桂(37)
72 5四銀(53)
73 4八飛(68)
74 4四歩打
75 5三桂成(45)
76 同 金(43)
77 9一飛成(81)
78 4五歩(44)
79 同 歩(46)
80 6五桂(73)
81 3一龍(91)
82 同 銀(22)
83 6五桂(77)
84 4六歩打
85 3七金(47)
86 6五銀(54)
87 同 銀(74)
88 4七香打
89 2五香打
90 6九飛打
91 2四香(25)
92 4八香成(47)
93 2三香成(24)
94 1六桂打
95 2七玉(28)
96 3八成香(48)
97 3三角打
98 投了
まで97手で先手の勝ち




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20170609今日の一手(その521);堂々と受ける;追記あり

2017-06-09 | 今日の一手

20170609今日の一手

これも5月のR選手権予選から、私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは少し後手のほうが堅いです。(84歩の存在を考えると差は小さいです。)
先手の攻め駒はありません。ただし駒がぶつかっているのですぐに増えます。
後手の攻め駒は34飛13角45銀で3枚。

総合すれば後手有利です。

☆ 大局観として
先手不利にも見えるかもしれませんが、84歩の存在(継ぎ歩に垂れ歩の手筋)があり、玉の堅さがあまり違わないから互角だと思っていました。美濃囲いは上部からの攻めには弱いのです。
左玉なので、右翼を攻められるというのは歓迎ですし、38にいた金を寄せられたので手ごたえがありました。

ここからは受けるか、逆に寄せを目指すか、中間の攻め合いにするか、方針が分かれます。この手を指せば受け、攻め、攻め合いというのがわかりますか?

後手からは66歩同金46銀同歩57銀と攻める手があります。これを受け入れるかどうか。
先手から45銀と取れば角交換+銀交換での攻め合いになりそう。
先手だけ攻めようとするなら、生け贄を指し出して、その間に攻めます。


○ 素直な65同歩は

堂々とした受けの手です。84飛には85銀34飛84歩としておいて

82歩と謝ったら45銀と取ります。後手の応手もいろいろありますが、57歩成

が一番良さそう。57同角同角成同金上45桂56金直

これは先手が受けきった感じです。

後手は82歩の余裕がなくて66歩

から攻めるのでしょう。66同金46銀同歩57銀同金同歩成同角45桂

と桂を跳ねるのは気持ちよいですが、79角と引いて案外に手がなく、58金くらい。83歩成同銀82歩

受けきりは狙いにくいですが、反撃が利きます。82同玉と呼んで84歩72銀83銀71玉72銀成同金83歩成同金54銀

長い手順ですが、形を乱して上から攻める感じで先手優勢です。

後手の84飛は効果が薄いので66歩

からすぐに攻めるほうでしょう。前と同じ手順で、66同金46銀同歩57銀同金同歩成同角45桂79角58金

85飛82歩で歩切れにさせて、67銀打57桂成58銀同成桂67銀

57銀56金68銀成同角同成桂同玉38角83桂

2枚換えになると後手の攻めが鈍りますから、反撃して寄せに行けば先手優勢です。

後手は45桂を控えて47金

のほうが駒を渡さない攻めです。79角46金85飛82歩

これで先手が悪くないはず、なんですが次の手がわかりません。変に攻めて後手の飛が4筋に移動すると56金同金79角成同玉49飛成、という怖い筋があります。最善手不明ですが、先手ややよしくらい。


△ 65同銀と取れば

66歩とたたかれることはないです。84飛に76銀と

我慢できるかどうか。65同歩84飛の局面と比べると2手損なのです。それにこだわらなければ互角です。

普通は我慢できなくて45銀と取りそう。

57歩成同角同角成同金上45桂

56金直57歩68金に86歩85歩87角

という怖い筋があります。67玉58銀同金同歩成に35角

でなんとか受けが利いて、難しい勝負です。


× 85飛と出て

82歩を打たせれば気分が良いところですが(後手からの84飛が無くなる)、66歩同金82歩には89飛くらい。

やはり46銀同歩57銀同金同歩成同角45桂

と攻められて、79角58金67銀打57桂成58銀同成桂67銀に57歩

最初に65同歩と取る変化に比べて、後手の持ち歩が2つ多いのです。これは受けきりにできず、攻めるのも気持ち悪いですから後手有利。


○ 実戦では65同桂

これで攻め駒を増やした、ということになります。角銀は交換できるので3枚、あとは89飛を使えれば、というのが理想です。ただし64歩で桂を殺されますからその間に攻め切れるかどうか。
64歩45銀68角成同金45桂に43角

ここで33飛もかなり有力(変化が難しいけれど飛車を捨てて攻め合いに持ち込む)でしたが、44飛が実戦で、61角成同玉53金に52銀

まで進めて、案外難しい、と考えこみました。金を打つ前に83歩成同銀を入れておくのだったか(83に打ちこむことを考えて見送った)とかも思いましたが、54銀とかぶせておけば寄りでした。
そこを筋よく行ったつもりで、63金同銀右53銀71角

飛は取れても形勢不明です。(44銀不成65歩43金44角同金57銀45金86桂)と進んで

いまさら逃げていられないので86同飛同歩21飛(保留するのが正しかった)41歩54桂に89角

激しい攻め合いです。でもこの角が実は悪手とは思いませんでした。(87角なら後手有利か。)89同玉68銀成に83角

で後手の合駒が悪く、71玉に35角82玉68角

で逆転です。以下も易しくはないのですが、私の勝ちに終わりました。スリリングで面白い将棋でした。Tさんありがとうございました。


× 最後は45銀と取る手です。

68角成同金45桂に46銀

と受けるくらいなので駒損になります。57歩成同銀同桂成同金右84飛85銀

で34飛か、あえて24飛で35角と打たせるか、というのは互角です。駒損なのは気になりますが、83歩など反撃の筋もありますから。

追記;コメントがあり、45銀68角成に同玉でどうかと。

45桂56金66歩

45金は56角でだめですが、67歩と合わせて受けるか、66同金として84飛に(83歩成同銀56角の筋がある)46銀

と持ち駒は盤面に打って受けます。これなら駒損にならないからまあまあですね。45桂を取る楽しみがあります。

後手は角を換えないで45同桂

もあります。13角成同香に56金と受けますが、66歩

が取れません。68歩84飛85銀24飛35角44歩

飛角交換を誘い、45桂に支えを作る味が良さそう。24角同歩に82歩同玉74銀

という攻め筋はありますが、後で76銀と打たれると危ないです。

こういう感じ。


☆ まとめ

素直な応手は65同歩ですが、66歩と叩かれて46銀から攻められても大丈夫か、という読みが必要です。感覚的には受けていても84歩の存在が楽しみなのですが。
76に銀がいる形なら84飛には85銀と返せるわけで、その筋は怖くないです。そこまで考え合わせると65同歩が正着でしょう。こういう堂々とした受けで勝ちたいと思っているのですが、つい相手のねらい筋ははずしたくなるので避けてしまうのですよね、反省です。

65同歩に比べて65同銀は利かされた感じが強く、84飛と払われるのがしゃくに障ります。ですが2手損を気にしなければこれから。

85飛は82歩と受けてもらえるなら得ですが(受ける意味では得で、攻めるなら83への打ち込みをやりにくくなるから攻めるには損なのかと考えていました)、66歩同金で後手の持ち歩が2枚増えます。受けている時には相手の持ち駒を意識することが必要です。歩1枚でも、あるいは金銀の違いくらいでも、得をした方が受けやすいのです。だから細かい違いを気にしています。

45銀と先手から取るのは、後手の56歩の拠点が生きそうなので、あまりやりたくはないです。後手から46銀と取らせて同歩の形で13角の筋が止まるので受けやすくなります。

実戦の65同桂は攻め駒を増やす手です。ただし桂馬は殺されるので、その間に手を作れるかを読む必要があります。一目は何とかなりそうなのですが。





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