医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

緊急事態宣言は効果があるという論文の結果

2021年05月20日 | 感染症
国際政治学者の三浦瑠麗は緊急事態宣言についてこんな発言をして批判されています。

最近も、緊急事態宣言の重要性を主張する尾身茂会長に対して、「尾身さんの発言は宗教指導者のようなもので、解釈のしようがない」と批判し、東京都知事の元秘書で都議会議員の尾島紘平氏に「尾身会長は医学者であり、科学者。少なくとも感染症に関して素人である三浦瑠麗さんが揶揄できるような対象ではない」「三浦さんこそ「コロナはただのかぜ」教の宗教指導者ではないか」と批判されました。

三浦は「もうみんな実態が分かってきてしまっているので。『頑張ってマスクをつけて生活はするけど、(感染者を)ゼロにはできないよね』って分かっている。そうすると、『2週間とりあえず延長してみたけれど何も変わらなかったね』となっておしまいになるので、政治的にも得策ではないっていうのが私の意見ですね」と持論を述べていました。

そこで、三浦瑠麗の主張は間違いであるという根拠を、私がお示しいたします。

新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の効果と経済的な影響について、東京大学大学院経済学研究科の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師のグループが「Covid-19 and Output in Japan」という論文で研究結果を公表しました。

日本でのCovid-19と経済活動 | Covid-19と経済活動 (covid19outputjapan.github.io)

このグループは過去の緊急事態宣言の発出と発症者数の関係を分析し、シミュレーションしました。

上の図にあるように、SIRDモデルという手法で解析しています。書かれているように、Stは疑いの数、Itは確定の数、Rtは回復した人数、Vtはtからt+1の間に新たにワクチン接種した人数、などと説明されています。

左の図の黒の縦線は緊急事態宣言の期間を表しています。緊急事態宣言により発症者数が減少しているのが分かります。

赤線は、先日緊急事態宣言を延長しなかった際の発症者数です。発症者は急減期に上昇し再度緊急事態宣言を発出しなければならなくなることを示したものです。

青線は緊急事態宣言を延長した場合(実際は既に延長されています)です、発症者の増加は緩やかになり、再度緊急事態宣言を発出しなければならない時期が来るかもしれませんが、ワクチンの効果も相まって発症数を抑制することができています。

黒線は緊急事態宣言を延長し、ワクチン接種が国民にすみやかに広がった場合です。ワクチン接種のスピードにも依りますが、この場合は次の緊急事態宣言の発出は免れることになります。

そして右の図は経済的損失を表したものです。単位は100 x ミリオン、つまり1億円です。緊急事態宣言を延長した青色や黒色のいずれの場合も、延長しなかった場合より損失は少なくなっています。

とにかく、緊急事態宣言でもなんでもいいですが、「人の流れを抑制する」ことが重要なのです。

三浦瑠麗は昔から緊急事態宣言は効果がないと主張していますが、いいかげん自身の考えは誤りであったと認めてほしいです。東大卒は幼少児から優等生で、間違いを犯し謝った経験に乏しいので、間違いを認めたら先生、お父さん、お母さんに叱られてしまうと思ってしまうのです。「ゴメンナサイ、誤りでした」と謝ってもそんなに怖いことにはならないと思いますよ、東大卒さん。

こちらが論文の原盤です。

Covid-19 and Output in Japan
三浦さん、学者のくせにその論文も読まずに批判するなんてひどいです。

三浦さん、最初は応援していたのに、最近は思想が歪曲してきて残念です。

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現状で反ワクチン医者は頭が悪いのだと思う

2021年04月28日 | 感染症
上の図は各国の新型コロナウイルス感染者の推移です。
これを見ると、イスラエルやアメリカや英国は多くの国民の接種で発症者が劇的に減少しています。
そして、日本国民も日本政府も凄く頑張っていることがわかります。

医者のサイトでは、
「ワクチンに反対が多いってなんなの?医師としてどうなの?」
「免疫抑制剤等の治療中の方々以外は、全員ワクチンを受けてほしい」
という賛成の意見の反面、

(カッコ内は私のツッコミです。ちょっと霜降り明星風です)
「止めた方がいいと思います。アレルギー体質、喘息発作持ちの人が打ってやっぱり喘息重積発作起こしてエピクイックのお世話になって入院しました」(アレルギー体質、喘息発作持ちの人だけやろ~~、あんた公衆衛生をもう少し勉強した方がええで~~)

「もう2回目は止められました。2回打たないと有効な抗体得られないし」(1回だけでも60%有効)

「2回打てば接種証明書がもらえて海外渡航がしやすくなりますがそのぐらいです」(あほか~~)

「蔓延終息のために敢えて自らを犠牲にする必要はないと思います」(統計の勉強を)

「ほぼ全員の副反応」(ほぼ安全)

「血栓症!」(アストラゼネカと混同してる)

「翌日休みも多数なんて、あなたが医者であれば今すぐ告発すべきでしょう」(統計学と公衆衛生学の勉強を)

こういう医者たちは、本当は頭が悪いのだと思います。これも福島原発事故と同じで10年経たないと頭が悪い医者には分からないのだと思います。
こんな科学的リテラシーのない医者、自分が病気になったら、自分の主治医になってもらいたくないです。

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新型コロナワクチンの副反応

2021年02月21日 | 感染症
以前、治験段階での新型コロナワクチンの副反応についてお伝えしました。

新型コロナワクチンの副反応・有害事象

その後、米国で接種が始まり、リアルワールドでの状況が明らかになってきました。
先日、米国疾病対策センター(CDC)が発表した副反応の発症率は、

接種部位の痛み 70.7%
倦怠感 33.4%
頭痛 29.4%
筋肉痛 22.8%
寒気 11.5%
発熱 11.4%
関節痛 10.4%
吐き気 8.9%


私も日本でもこんな感じだろうと予想しています。

日本では、日本感染症学会が「COVID-19ワクチンに関する提言」を発表しています。
以下のサイトから誰でもダウンロードできます。

https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=43

ワクチンは2回接種しないといけないのですから、この提言に掲載されている2回目の接種時の副反応の発症率がワクチンの種類別に掲載されている図を上に示しました。

また、少しまとまりのない資料ですが、2月12日国立感染症研究所から「新型コロナワクチンについて第1版」が発表されました。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/10170-covid19-36.html


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新型コロナワクチンの有効性の論文

2021年01月28日 | 感染症
新型コロナワクチンを接種するべきか、副反応のリスクはどうか、そろそろ決断しなければならない時期となりました。

そこで今回は、ファイザー社の新型コロナワクチンの効果の論文をご紹介したいと思います。

Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine
N Engl J Med 2020; 383:2603-2615
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)


研究では新型コロナワクチンを接種した、21,720人と、プラセボ(偽薬)を接種した21,728人が比較されました。上の図はその結果ですが、横軸を見ると4ヶ月間観察されました。年齢の中央値は52歳でした。アジア人種は全体の4.2%でした。

結果は、新型コロナワクチン接種群で発症は8人、偽薬投与群で162人でした。

                         発症率(4ヶ月間)  発症率(1年間に換算した場合)
新型コロナワクチン接種群      8/21,792人   0.004%      0.012%
プラセボ(偽薬)を接種した群   162/21,729人   0.7%       2.1%

しかしこれはアメリカ、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ共和国の4カ国で行われたもので、さらに現在アメリカでのこれまで1年間の発症率は10%弱なのに対して日本の発症率は1年間で0.3%なので、必ずしもこの結果が日本に当てはまるとは限りません。

そして、この研究はワクチンの接種の有無と発症の有無を比較するという単変量解析です。もちろんどちらの群に入るのか無作為に割り当てていますので、参加者のバックグランドはだいたい揃ってきますが、どういう人で発症が多かったのかというようなサブ解析ができません。

発症者は手洗い・マスク着用という感染対策が十分でなかったのかもしれません。

そこで、ワクチン接種群は感染対策が十分であった人が全体の4分の3、反対にプラセボ(偽薬)を接種した群は感染対策が十分であった人が全体の4分の1として、私が統計ソフトを使用して解析してみました。約4万人のデータを私一人で打ち込むのは大変ですから、解析の結果は多少変化しますが、規模を10分の1に縮小して、「発症」を目的変数とする多重ロジスティック解析を行いました。

結果は以下のごとくです。
                 発症のオッズ比    95%信頼区間      P値
ワクチン接種            0.062        0.008~0.472     p=0.007
マスクなどの感染対策        0.076        0.025~0.233     p<0.001

これは何を示すかといったら、マスクなどの感染対策はワクチン接種とほぼ同等に発症予防対策になるという意味です。

全体の4分の3対、4分の1というのはあくまでも私の仮設ですが、これらから、ワクチンは有用であり、(逆にマスクなどの感染対策と同様に有効であり)マスクなどの感染対策もワクチン接種と同等に有用であると言えると言うことです。

手洗いやマスク着用や密を避けることをしっかり守れる人はワクチンは必要ないかもしれません。それだけでワクチン接種と同様の効果があるのですから。

これは、ファイザー社は研究を遂行するのによくインチキをしますので、ファイザー社がインチキをしないで正直に結果を報告しているという仮定のものです。

私は今回ファイザー社を信頼してワクチンを接種することにしました。もし今後ファイザー社がインチキしたことがわかりましたら、また報告させていただきます。

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新型コロナ感染は気温とほとんど関係ない

2021年01月21日 | 感染症
先日NHKで、ある耳鼻科の医者が、「新型コロナ感染は気温が低いと咽頭の温度が下がって咽頭の免疫力が低下し感染しやすいため、喉の保温が大切だ」と言っていましたが、私は一般的なウイルス感染には言えるけれど、新型コロナウイルス感染に関して言えば、その意見は間違っていると思います。

上の図を見て下さい。これらは先日の同じ日の状況ですが、北海道は人口が多いからだとして、東北地方が現在かなり気温が低い時期なのに、人口で補正したとしても感染者がかなり低いです。その反面、比較的暖かい九州や沖縄で感染者が比較的多いことの説明がつきません。

左の図を見ると、感染者が多いのは人の接触や人の動きが多い太平洋ベルト地帯に集中しています。一般的なウイルス感染には気温の低さは易感染性に関係はあるけれど、新型コロナウイルス感染の場合、多変量解析で色々な因子を入れて解析すると、気温の低さなどというのは危険因子から消えてしまうほど小さな因子なのだと思います。

では何故、新型コロナウイルス感染では咽頭の状態は関係がないのでしょうか考えてみました。新型コロナウイルスの入った飛沫は、マイクロ飛沫と呼ばれるように通常の飛沫感染より小さく、直接肺胞近くまで吸い込んでしまい、咽頭の状態など関係ないからでは?という仮説が浮かび上がると思います。そうすると新型コロナウイルス感染の肺炎は末梢からが多いということも説明がつきます。

学会などでは、新型コロナウイルス感染をどうしても「空気感染」に分類したい学者も存在します。昨年11月に日帰りバス旅行中の観光バスの中で12名のクラスターが発生しましたが、感染者の座席分布を見ると既感染者の周囲に限定されています。「空気感染」なら、バスの乗客にまんべんなく感染すると考えた方が妥当です。また、「空気感染」ならパチンコ店内や電車の中で次々にクラスターが発生するはずですが、それもありません。やはり新型コロナウイルス感染は「空気感染」とは言えないと思います。

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新型コロナワクチンの副反応・有害事象

2021年01月16日 | 感染症
新型コロナワクチンの副反応はどうなのかという先月公表された論文をご紹介します。ニューイングランドジャーナルに掲載されました。

Safety and Immunogenicity of SARS-CoV-2 mRNA-1273 Vaccine in Older Adults
N Engl J Med 2020; 383:2427-2438
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数☆☆☆☆★)


研究は新型コロナワクチンの接種を受けた56歳~70歳の20人と70歳以上20人を対象としました。

25μgと100μgの用量の異なるワクチンをそれぞれの人が28日間あけて2回接種しました。順番は20人ずつランダムに設定されました。

結果は、上の図のように、一回目の接種で全身倦怠感は20~30%、頭痛も20~30%、接種部位の痛みも含めると60~80%の副反応がありました。長い目でみれば、たいしたことは無いと言えばたいしたことは無いですが・・・。

二回目の接種では、さすがに副反応が多くなりました。
関節痛は10~30%、全身倦怠感は60~70%、発熱は10~30%、頭痛は30~70%に認められました。
全身倦怠感が数日続けば、仕事に差し支えるかもしれません。

さらに、先日発表された内容では、米国で2020年12月14〜23日に初回投与されたファイザーのワクチンで、1回目の投与が189万3,360人(女性117万7,527人、男性64万8,327人、性別不明6万7,506人)に実施され、4,393例(0.2%)に有害事象が報告されました。
そのうち21例(11.1例/100万回)がアナフィラキシーを発症しました。
21例中4例(19%)が入院し、17例(81%)が救急科で治療を受けました。
全員が退院し死亡はいませんでした。

日本国内での一般のアンケートでは、早く接種したいが40%、他人が接種したのを様子をみてから接種するが40%、接種しないが20%でした。

医療従事者である自分が、優先だからといって真っ先に接種するかどうか?う~ん、微妙ですね。

西村経済再生担当大臣や菅総理が接種する様子を放映してくれたら、皆が接種するかもしれません。

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新型コロナとインフルの合併症の違いの論文

2020年12月30日 | 感染症
街頭のインタビューで「コロナもインフルエンザと同じでしょ」と発言する若者もいる中で、新型コロナとインフルエンザの合併症を比較した興味深い論文が発表されましたのでご紹介します。

Comparison of the characteristics, morbidity, and mortality of COVID-19 and seasonal influenza: a nationwide, population-based retrospective cohort study.
Lancet Respir Med. 2020 Dec 17:S2213-2600(20)30527-0. doi: 10.1016/S2213-2600(20)30527-0.


(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

この調査はフランスで行われました。新型コロナに感染して入院した患者89,530人と、昨シーズンにインフルエンザに感染して入院した患者45,819人が比較されました。

年齢の中央値は68歳と71歳でほとんど変わらないですが、インフルエンザで入院するのは子どもと高齢者が多く、18歳未満と81歳以上で53%を占めました。一方、新型コロナで入院する患者は中高年が多く、51歳以上が77%でした。

上の図で違いが顕著なところには赤線を施しましたが、入院前の状態として新型コロナではインフルエンザに比べて「高血圧症」「糖尿病」「過体重」「肥満」といった生活習慣病(動脈硬化のリスク)の状態が多かったのが特徴です。相撲界で新型コロナが怖いから引退したいという力士が現れるのも頷ける話です。

日本の芸能人がコロナ感染が原因で死亡している理由の1つである「喫煙」に関しては検討されていませんが、フランスには「喫煙者」はもはや少ないのでしょう。私の英会話の先生はフランス人で、今回のコロナ禍で帰国しましたが、その後そのご両親がご無事であることをお祈りしています。

その反対に「心不全」はインフルエンザで入院する患者に多かったです。不思議なことに「慢性呼吸器疾患」もンフルエンザで入院する患者に多かったです。

入院した後の合併症ですが、「急性呼吸不全」「肺血栓塞栓症」「全身性血栓塞栓症」「人工呼吸器装着」「集中治療室の入室」は新型コロナで圧倒的に多かったです。
入院した場合の院内死亡率はインフルエンザが5.8%であるのに対して、新型コロナでは16.9%で、これも新型コロナが圧倒的に多かったです。

ただ、この調査はフランスで行われたものですから、発症率がフランスに比べて圧倒的に少ない日本にそのまま当てはめることはできないという調査の限界はあると思います。

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10月から65歳以上へのインフルエンザワクチン優先接種が始まりましたが・・・

2020年10月04日 | 感染症
上の図は日本臨床内科医会会誌の2019年12月号に載っていた図です。
「インフルエンザワクチンの有効性と安全性」
日本臨床内科医会会誌 2019;34:14

過去10シーズンについてインフルエンザワクチンを接種した人と接種しなかった人のインフルエンザの罹患率を年齢別に示したものです。

ご覧いただくとわかるように、各シーズンともに統計学的に40歳以上でワクチンの効果を認めていません。
学校や職場で多く人に接する若い人たちだけに有効であることを示しています。
ただ、個別には高齢者でも多くの他人に接する人には有効でしょう。

インフルエンザワクチンを接種すれば症状が軽くなるという話もききますが、私は半信半疑です。皆さんも冷静に考えてみて下さい。「まだウイルス量が少ない発症さえも抑制できないのに、発症して体内で何万倍にも増殖したウイルス量状態である症状を軽くすることなどできるのだろうか」ということです。百歩譲って、それは抗インフルエンザ薬が存在しなかった時代の期待です。

高齢者はワクチンよりも(現在皆が新型コロナウイルス感染予防でやっているように)感染を早期に見つけることが重要で、抗インフルエンザ薬があるのですから、早く使用するというのがワクチン接種などより、よほど有用と思われます。これで11月に若い人たちに対するインフルエンザワクチンが不足してしまったら本末転倒です。

高齢者にインフルエンザワクチンが有用でないという傾向は日本だけでなく米国でも同じです。

感染症のワクチンの効果を現す指標の代表的なものはVE(ワクチン・エフィカシー)で、以下のように計算されます。
VE(%)=(ARU−ARV)÷ARU×100
ARU=attack rate in unvaccinated=ワクチン非接種群における発病率
ARV=attack rate in vaccinated=ワクチン接種群における発病率

MMWR62(7): 119-123
Interim Adjusted Estimates of Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness - United States, February 2013

2012年12月3日~2013年1月19日にU.S. Influenza Vaccine Effectiveness(Flu VE)ネットワークに登録された咳を伴う急性呼吸器疾患により医療機関を受診した2,697例(男1,582女1,115)を対象に、A型およびB型インフルエンザウイルス感染症に対するワクチンの有効性(VE)を分析した。ここでは5ヵ所 [シアトル(ワシントン州)、マーシュフィールド(ウィスコンシン州)、アナーバーおよびデトロイト(ミシガン州)、ピッツバーグ(ペンシルバニア州)、テンプル(テキサス州)] のネットワークデータを使用した。2,697例のうちインフルエンザ陽性例(rRT-PCR法)は1,115例(41%)であり、うちワクチン接種例は367例(33%)、インフルエンザ陰性例(1,582例)では793例(50%)であり、全体での接種率は1,160/2,697例(43%)であった。男女別では男性:435/1,092例(40%)、女性:725/1,605例(45%)、年齢別では65歳以上の高齢者にて高かった(205/290例、71%)。インフルエンザAおよびB型ウイルスに対するVE(年齢、地域、人種/民族、健康状態および発症からネットワーク登録までの日数により補正)は全体で56%と算出され、A(H3N2)ウイルス感染例(n=546)におけるVEは47%(95%CI=35-58%)であり、年齢別では6ヵ月~17歳:58%、18~49歳:46%、50~64歳:50%、65歳以上:9%と65歳以上の高齢者にて有意に低値であった。B型ウイルス感染例(n=366)におけるVEは67%(95%CI=51-78%)であり、年齢による有意な相違は認めなかった。以上、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBに対するワクチンの有効性は65歳以上の高齢者にてA(H3N2)に対して低く、高齢者ではワクチン接種の有無にかかわらず抗ウイルス薬の投与が推奨される
(国際医学情報センターより引用)

65歳以上のVEはたった9%です。
「インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBに対するワクチンの有効性は65歳以上の高齢者にてA(H3N2)に対して低く、高齢者ではワクチン接種の有無にかかわらず抗ウイルス薬の投与が推奨される。」とやんわり書かれています。

健康な高齢者はインフルエンザワクチンの接種よりも、かかったかなと思ったら早めに診察・検査をして、可能性がありそうなら抗インフルエンザウイルス薬を早めに内服する方がいい、という事ですね。

こんなことエビデンスを見れば明らかなことです。

以前から何度も書いていますが、(私は高齢者ではないですが、インフルエンザワクチンが効果が無い年齢ですから)毎年私はインフルエンザワクチンを接種していません。

ただ、今後高齢者に不都合があれば政府の無策が猛烈に批判されてしまうので、個人的には政府の気持ちは理解できます。

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BCG接種は新型コロナウイルスに効果があるという論文は今のところない

2020年10月02日 | 感染症
最近、結核に対して免疫をつけるBCG接種がウイルス性呼吸器感染症の予防効果があるという論文が発表されましたので、ご紹介します。この研究は二重盲検ランダマイズという素晴らしい研究です。(接種した医者自身も患者自身も本物のワクチンか偽物か知らされていないのです。)

6.19MBなので少し重いです。

Active: Randomized clinical trial of BCG vaccination against infection in the elderly.
Cell 2020. doi: https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.08.051.


なんらかの理由で入院した高齢者198人が退院する際にBCG接種する群と偽薬を接種する群にランダムに分けて、退院後1年間の、呼吸器感染症、消化器感染症、尿路感染症の発症率が比較されました。インフルエンザ感染が結果を修飾するのを防ぐためか、接種2週間後に全例にインフルエンザワクチンが接種されました。

高齢者にはインフルエンザワクチンなど効いていないのですけどね。

最終的に、BCG接種する群は72人(平均80歳)、偽薬を接種する群78人(平均80歳)でした。

結果は、上の図にあるように全ての感染症は偽薬接種群が42%であったのに、BCG接種群で25%と感染が抑えられました。

ただ、その内訳を見ると、抑制できたのは「ウイルスが原因と思われる全ての呼吸器感染症」だけであり、細菌が原因と考えられる呼吸器感染症や消化器感染症、尿路感染症の発症は抑制できませんでした。

私のブログをいつも見て下さっている賢明な皆さんであれば既にお分かりかと思いますが、日本では全員にBCG接種されていますので、今後の日本に役立てられる結果ではありません。むしろ、それでは日本人はこれまで欧米人と比較して「ウイルスが原因と思われる呼吸器感染症」が本当に少なかったのかという検証がひつようです。

そして、この研究ではBCG接種は「全てのウイルス」が原因と思われる呼吸器感染症に有効なのであり、新型コロナウイルスに有効ということを示したわけではありません。

現に、以下の研究が最近発表されています。

BCG vaccination in infancy does not protect against COVID-19. Evidence from a natural experiment in Sweden
Clin Infect Dis 2020 Aug 23;ciaa1223.doi: 10.1093/cid/ciaa1223.


スエーデンでは1975年に「有用性の根拠がない」という理由でBCG接種が中止されました。そこで、BCG接種が中止される前後で、接種した1,026,304人と接種していない1,018,544人の新型コロナ感染の発症が調査されました。ご存じのようにスエーデンは新型コロナウイルス感染が非常に多かった国です。

結果は新型コロナ感染の発症はBCG接種をしても1·0005倍(95%信頼区間: [0·8130-1·1881] 倍)で接種していない人と差はなく、新型コロナ感染での入院も1·2046倍(5%信頼区間: [0·7532-1·6560] 倍)と接種していない人と差はありませんでした。

BCG接種は新型コロナウイルスに効果があるという論文は今のところありません

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今シーズンはインフルエンザは流行しないです(オーストラリアのデータから)

2020年09月16日 | 感染症
この冬のシーズンに向けて、「インフルエンザで発熱して受診する患者全員に新型コロナの検査も行わないといけないのか?それでは医療従事者が危険すぎる」ということで、各地方の医師会は戦々恐々としています。

しかし、私はこれだけ新型コロナウイルス感染予防に留意しているのだから、インフルエンザの発症数は凄く減るのではないかと考えています。

その根拠を示します。

上の図は、すでに新型コロナウイルス感染の始まりから、初の冬のシーズンを迎えた南半球のオーストラリアのデータです。

9月中旬(日本でいうと3月中旬)までのデータを発表していますが、インフルエンザは例年に比べてほとんど発症していません。

日本でも同様になるのではないかと思います。当たり前のことです。マスク着用・手洗い・密を避ける等、これだけウイルス感染予防に留意しているのですから、インフルエンザの発症は例年の10分の1以下になるのではないでしょうか。

どうか各地方医師会の皆様、安心して下さい。

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新型コロナウイルスワクチンの有効性を証明するにはどのような研究が必要か(帯状疱疹ワクチンを例に)

2020年07月09日 | 感染症
前回、「子宮頚癌ワクチンも接種しないで、新型コロナワクチンに期待しているバカな国」ということについてお伝えしました。


それでは、新型コロナウイルスワクチンの有効性を証明するにはどのような臨床研究が必要か、ということを帯状疱疹ワクチンの有効性を示した論文を紹介しながら解説したいと思います。

帯状疱疹は発症したらできるだけ早く薬物治療を開始しないと、その後チクチクとした神経の痛みがいつまでも続きます。

Efficacy of an Adjuvanted Herpes Zoster Subunit Vaccine in Older Adults
N Engl J Med 2015;372:2087-96
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)


この研究は時間的に「前向きの研究」で、ランダム化二重盲検研究です。

過去に帯状疱疹を発症したことのない50歳以上の参加者を、帯状疱疹ワクチンを接種する群7,361人と、プラセボすなわちワクチンの入っていない生理食塩水を注射する群7,436人にランダムに2群に分け(本人はどちらの群になったか知らないし、医者もその人がどちらの群か知りません)、その後1年間の帯状疱疹の発症率が「年齢別」に調べられました。
(正確にはワクチン群7,698人とプラセボ群7,713人ですが、途中で脱落者がいたのでこの数字になりました)

結果は上の図のごとくです。
プラセボ群はどの年齢層(50-59歳、60-69歳、70歳以上)も発症率は1,000人あたり約9人ですが、ワクチン接種群は1,000人あたり約0.3人と、劇的な効果がありました。

帯状疱疹の発症率は50歳を超えてくると、毎年1%もあるのですね。単純計算だと10年で10%です。

発症率1%/年の帯状疱疹でさえワクチンの有用性を証明しようとするとこういう研究が必要になるのに、罹患率0.1%~1%の新型コロナウイルスワクチンの有用性を証明するには、前回お伝えしたように様々な困難が立ち塞がります。

というか、新型コロナウイルスワクチンの有用性を「厳密」に証明することなどほとんど不可能で、「姑息的」な「ごまかし」を使わないと、新型コロナウイルスワクチンの有用性を証明するのは難しいでしょう。


作家、百田尚樹先生の「バカの国」、興味深いです。私もパクらせていただいております。
バカの国(新潮新書)

「帯状疱疹ワクチンも接種しないで、新型コロナワクチンに期待しているバカな国」



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新型コロナウイルスワクチンに期待するなら、同様に子宮頚癌ワクチン接種を

2020年06月30日 | 感染症
上の図は左がマイルドな子宮頚部細胞異形成、右がシビアーな子宮頚部細胞異形成の発症率です。
1990年に生まれた女性以前は子宮頚癌ワクチンが接種されなかったのですが、子宮頚癌ワクチンの接種が開始され、1991年に生まれた女性以降から徐々に効果が高まり、紫ラインの非接種群より黄色ラインの接種群の方が、子宮頚部細胞異形成が約3分の1になっていることがわかります。

ご存じのように、現在新型コロナウイルスワクチン完成が期待され、開発に成功したらほとんどの問題が解決されるかのように加熱報道されています。

私は以前、インフルエンザワクチンはほとんど効いていないということをお伝えしました。

性質が知り尽くされているインフルエンザウイルスでさえこの結果ですから、新型コロナウイルスワクチンは私の私見では発症を予防できる効果はないと思います。発症したあとに症状を軽くする効果は期待できると思います。

でも、よく考えてみて下さい。「症状を軽くする効果」を証明するにはあと5年はかかります。
以下に理由を述べます。

(1)まず、この研究は「ワクチンを接種した群と接種しない群両方に、新型コロナウイルスを漂わせた家に1ヶ月間ぐらい住んでもらい、発症率や症状の重症度を調査する」方法ができません。当たり前のことです。ワクチンを接種しようがしまいが、人々は新型コロナウイルス感染に相当の注意を払っており、その有病率は0.1%ぐらいです。それに対してインフルエンザの有病率は平均5%もあります。研究方法としては新型コロナウイルス感染よりインフルエンザ感染の方がワクチンの有用性を証明することが断然簡単です。そんなインフルエンザワクチンでさえ、このありさまです。

(2)この効果を証明する医学研究の方法は、厳密には時間的に前向きでなければなりませんが「前向き研究」であれば、まずこの研究に参加する人を募り、参加した人をランダムに「接種する群」と「接種しない群」に分ける必要があります。皆さんだったらこの研究に参加するでしょうか、という問題があります。アメリカが多くの臨床試験でやっているように参加者に10万円ぐらい研究協力金を支給するのなら、まだ可能性はあります。

(3)それなら厳密ではなくなるけれど過去を振り返る「後ろ向き研究」で、接種した人と接種しなかった人を比較し、発症率や症状の重症度を調査する必要があります。それこそ5年かかります。そして「後ろ向き研究」では、たとえ接種した群の発症率が低くても、それは「ワクチンを接種するなどという人々は他にも発症予防に十分留意していて、それが発症を低下させたのではないか」などの交絡因子を除外することが難しいです。数字をあつかう医学研究では交絡因子の排除はそれほど難しくありませんが、「発症予防への留意度」をどのように評価するか(数値化するか)という困難もつきまといます。

本日、大阪の企業が、新型コロナウイルスワクチンの治験を30人で始めると報道しました。30人では統計学的に副作用の有無さえ証明するのは不可能です。

現在、私たち人類は、このように有用性も証明されていない、副作用もどれくらいあるか分からない新型コロナウイルスワクチンに殺到しなければいけない状態に陥っているのです。

以下は、それなら、若い女性は子宮頚癌ワクチンも接種して下さいという話です。

子宮頚癌は罹患すれば女性の闘病生活に大きく影響し死亡率も高い疾患です。日本では実際には接種と関連がない症状が過熱報道され、ネットなどで反ワクチン活動などが広がり、未だに子宮頚癌ワクチン接種率は非常に低い状況が続いています。しかし、国民は冷静な情報収集と判断が必要です。

私は以前、こんな騒動で日本から子宮頚癌ワクチンがなくなってしまうのではないかと危惧し、私の娘やその友人たちには速攻で規定どおり3回接種させました。私は教え子を子宮頚がんで亡くすという辛い体験もしています。

海外では接種が開始され長期間経過したため、その有用性が徐々に明らかになってきています。
海外では子宮頚癌ワクチンの有効性は広く受け入れられているため、「接種しない」群を人為的に設定するのが倫理的に難しく、新型コロナウイルスワクチンの臨床研究方法で前述したように、「後ろ向き研究」しか不可能です。

Prevalence of cervical disease at age 20 after immunisation with bivalent HPV vaccine at age 12-13 in Scotland: retrospective population study
BMJ 2019;365:1161
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)


子宮頚癌ワクチンの接種率が高いスコットランドでは、1988~1996年生まれの女性138,692名を対象にした調査で、グレード3以上の子宮頚部病変が89%、グレード2が88%、グレード1が79%減少したことが報告されています。特に、17歳で接種した人よりも12~13歳での接種した人の方が有効性は高く、若いうちの接種がより有効であることも示唆されています。

もちろん癌になるまで待っているわけにはいかないので、細胞が異形成を起こしてくることで評価している論文です。

そして昨年、ついに日本でもその有効性を示す結果が発表されました。
20歳~24歳の1,814人を対照に接種群と非接種群を前向きに比較したところ、HPV16/18型感染率が有意に低下しており(p=0.01)、子宮頚癌ワクチン有効率は91.9%でした。
(J Infect Dis 2019;219:382-390)


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PCR検査を拡充させなくても、強力なロックダウンをしなくても、第1波は収まった

2020年06月04日 | 感染症
岩田健太郎はクルーズ船での対応をさんざん批判していた。しかしコロナウイルス感染の第1波は結果的に収まった。岩田健太郎は、自身が当時批判していた相手に謝罪してほしい。

TBSも岩田健太郎を利用して盛んに国の方針を批判していた。この小川彩佳も当時一生懸命コロナ対策していた人々に謝罪してほしい。「自分たちが間違っていました。申し訳ありませんでした」と。

岩田健太郎は4月23日にこんなことも言っていた。

「2週間と少し前、政府は「8割の外出をやめることで、2週間後には感染者を大きく減らします」というプランを発表しました。指数関数的な感染者増加、いわゆるオーバーシュートという事態を避けなければならない、と。しかし、欧米と違って日本は、強力なロックダウンという方針は取りませんでした。その後の経過を振り返ると、半分はよかった、しかし半分はダメだったと、私は評価しています。
オーバーシュートは起きていません。これはよかったですよね。ただ、当初のもくろみ通りに患者数をどんと減らせているかというと、これはできていない。少し減ってきていますけれど、大きく減ってはいません。つまり「悪いシナリオは回避できたけれど、良いシナリオにもならなかった」ということです。
東京では、新規感染者数は横ばいに近い推移ですが、これをどう評価すべきか?私は、まずい状況だと考えます。COVID-19(以下、新型コロナ)は、経過が長い病気なんです。軽症者からもなかなかウイルスがなくならないし、重症者も呼吸不全のまま、人工呼吸器につないで何週間も治療しなければならないような長期戦になる。
そんな長期戦の中で、東京だと毎日100人以上の新規感染者が出て、入院者も増えていく。加えて、医者や看護師が感染するという院内感染もあちらこちらで起きています。すると、患者数は増える一方で、医療サイドのマンパワーは減っていく。このダブルパンチが医療崩壊を招きますから、東京の「新規感染者数横ばい」というのは、決して許容できません。やはり大きく減らす必要がある。もっと強力な外出規制を実行しないとダメだということです。
第2波という言葉も出てきていますが、日本の場合、第1波すら抑え込めていません。こんな状況で、感染者が非常に少ない地域限定ならともかく、全国一斉に緊急事態宣言を解除するなどということは考えられないでしょう。しかし、「延長する」というのも違う。私は「もっと強力なロックダウンをする」という方針に転換すべきだと考えます。」




PCR検査を拡充させなくても、強力なロックダウンをしなくても、第1波は収まった。

岩田健太郎は、当時一生懸命コロナウイルス感染対策をしていた人々に謝罪してほしい。
「私の見解は間違っていました。申し訳ありませんでした」と

今、第2波が起きようとしていて、彼らはまた「後出しじゃんけん」で意見を言いだしている。「後出しじゃんけん」だから、今度は当たるのかもしれない。でも岩田健太郎はもう何も言わないでほしい。

岩田健太郎はウイルス感染の専門科でもなんでもない。自己愛性人格障害(疑)か演技性人格障害(疑)だ。

こういう人たちって、私たちにとっての公益性・公共性・真実性を毀損していませんか。
彼らが4月に言っていたことを忘れないように、ここに書きとどめておきました。

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「PCR検査を皆に行うのは有益でない」ことは、頭が悪い人には理解できないと思う

2020年05月14日 | 感染症
新型コロナウイルス感染の統計が徐々に明らかになってきています。
理解することを容易にするために数字は簡単に近似して考えてみます。これまで新型コロナウイルスに感染した人は約1万5千人で治癒した人が約5千人ですから、現在の感染者は約1万人です。日本の人口を約1億人とすると、有病率は0.1%です。

これが日本全体を母集団とした有病率です。PCR検査の感度(真の感染者がPCR検査で陽性と出る確率)は約70%です。百歩譲って80%とします。特異度(真の非感染者がPCR検査で陰性と出る確率)は99%です(有病率10%以上だったクルーズ船下船時の検査で陰性でも下船後濃厚接触がないのに陰性的中率=200\200+8910=2.1%の確率で陽性が判明・発症した原因です)。

このPCR検査を日本全体を母集団として行った場合が上の図の左です。(本来は縦軸と横軸は逆ですが、この方が理解しやすいのでこうしています)
理解しやすいように1万人の母集団で考えてみます。有病率は0.1%ですから、真の感染者は10人、非感染者は9990人です。PCR検査の感度は80%ですから、陽性に出るのは8人、陰性に出るのは2人です。同様に、PCR検査の特異度は99%ですから、陽性に出るのは9990人の内100人、陰性に出るのは9890人です。

さて、この母集団ではPCR検査の陽性は108人です。しかし、図を見てわかるように実際に感染しているのはたった8人です。陽性的中率(PCR検査で陽性だった人が本当に感染している確率)はたった7%なのです。つまり皆に網羅的にPCR検査を行うと93%の人は感染していないのに感染していると判断され、病院や軽症者用のホテルに収容されることになります。こんなこと皆さん嫌ですよね。それにこんなことしていたら病院の病床やホテルの部屋がすぐに満員になり確実に医療崩壊を起こします。これがPCR検査を闇雲に行ったニューヨークで医療崩壊が起きた理由です。

一方、医者が判断して「この人は怪しそうだ」という人に限ってPCR検査したとします。その際の有病率は正確にはわかりませんが、仮に10%まで上がるとします。それが上の図の右です。
理解しやすいように1万人の母集団で考えてみます。有病率は10%ですから、真の感染者は1000人、非感染者は9000人です。PCR検査の感度は80%ですから、陽性に出るのは800人、陰性に出るのは200人です。同様に、PCR検査の特異度は99%ですから、陽性に出るのは9000人の内90人、陰性に出るのは8910人です。

さて、この母集団ではPCR検査の陽性は890人です。そして図を見てわかるように実際に感染しているのは800人です。陰性的中率(PCR検査で陰性だった人が本当に感染していない確率)は98%に低下しますが、陽性的中率(PCR検査で陽性だった人が本当に感染している確率)は89%まで改善します。つまり医者が判断してこの人は怪しそうだという人に限ってPCR検査を行えば本当に感染している人に絞って病院の病床やホテルの部屋に収容することができ、ニューヨークで起きたような医療崩壊を防ぐことができるのです。

その一方で、陰性的中率(PCR検査で陰性だった人が本当に感染していない確率)が98%というのは陰性と出ても2%の人を見逃して市中に逃していることになります。これが現在感染者が未だに多少出ている理由の1つです。

ニューヨークで起きたような医療崩壊を防ぐためにも、医者が判断してこの人は怪しそうだという人に限ってPCR検査した方がよい理由がここにあります。

頭の悪い人たちは、「皆にPCR検査しろ!」と言いますが、このようなことが理解できていないのです。


福山哲郎もその一人で、日本人に帰化したものの、どうして元朝鮮人に日本をかき乱されなければならないのか、本当に腹が立ちます。

【福山哲郎 国会】尾身氏への恫喝質問で批判殺到中

頭の悪い人たちは、「PCR検査を増やさないから死亡するのだ!」とも言いますが、これも誤りです。これも私が新型コロナウイルス感染を魚の油EPA製剤エパデールの研究での「死亡」から再考するで示しました。医療従事者なら誰でもわかることですが、確実な治療法はなく、原因不明の肺炎で危篤になっているのに新型コロナウイルス感染を調べないことなどなく、新型コロナウイルス感染の死亡者数を見逃すことなどないからです。

ここにも詳しく解説されていました。

新型コロナウイルスPCR検査は国民全員に行うべきなのか
PCR検査の特性と限界 | 公益社団法人神奈川県医師会
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査の意義をEBM的思考で考える

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精神・人格異常(その25)舛添要一の場合

2020年04月28日 | 感染症
新型コロナウイルス感染騒動では人々の人格が浮き彫りになっています。「性格・人格異常」の本を30冊以上読んだ私にとって大変興味深いことになっています。

大阪府知事がいまだに開店しているパチンコ店名を公表すると言った時に、「人権」という伝家の宝刀を取り上げ批判した、政治学者の三浦瑠麗、爆笑問題の太田光のような偽善者も浮き上がらせました。

先日、岩手県盛岡市の職員が市税の納付猶予を希望した事業者が提出する書類の名前の記入例に「滞納太郎」と記載されていた問題で、制作した担当者は「他人がそんなに不快になるとは思わなかった」とコメントしました。

私の腹立たしいブログを我慢して長年読んで下さっている方は、すぐに気がついたと思います。
この担当者、何だと思いますか?

そうです、この担当者は「アスペルガー症候群」です。私は断言します。

アスペルガー症候群は「対人コミュニケーションの不器用さ(ちぐはぐさ)」、「反復的な行動や趣味のこだわり」を特徴としています。そして「他人の気持ち・空気が読めない」を特徴としています。
普通の精神の持ち主なら、「滞納」でもないのに提出例に「滞納太郎」と書かれていたら不快に思いますよね。アスペルガー症候群はそれがわからないのです。

私はこれまで、批判の意味で「人格障害」を分析してきたわけではありません。このようなことを防ぐためです。
あらかじめこの盛岡市の職員が「アスペルガー症候群」と周りの職員から認識されていたら、この職員をそういう部署に置かないようにすることができ、こういう問題は起きなかったでしょうということです。しかし、ここでも冒頭で書いた「人権」を振りかざす政治学者の三浦瑠麗、爆笑問題の太田光のような偽善者が立ちはだかります。

はたしてそうでしょうか。私たちは心臓の拍動の異常で意識を失ってしまう患者に「植え込み型除細動器」を皮下に植え込み、それでも意識を失ってしまう人は、職場で車の運転に従事させないようにします。それと同じです。

私がこういうことを書いている理由は、「皆さんの職場・学校にこういう人いませんか?いたら早く診断し、周りで情報を共有し、対策をとって下さい」と言いたいからなのです。

こういう対人関係がちぐはぐな人、舛添要一も同じです。
舛添要一は、自分の別荘に行くのに税金を使っていたり、ホテル三日月に家族と泊まるのに税金を使っていたり、税金でチャイナドレスを買っているのがばれて、訳のわからない言い訳をしていました。税金でチャイナドレスを買った言い訳は、「自分は柔道をやっていて、普通の服だと書道をするときに腕が引っかからないチャイナドレスが便利なのだ」でした。ホテル三日月に家族と泊まるのに税金を使った言い訳は「会議をしていた」でした。
彼は、想定外のことを指摘されるとパニックに陥ります。

先日、ある番組で日本にとって最悪だったアメリカの大統領2人は?というクイズがありました。歴史に少し詳しい者なら、太平洋戦争を仕掛けたルーズベルトと原爆を投下したトルーマンであるのは明白なことですが、舛添要一はクイズの正誤を度外視して自分の知識を自慢しようと、「皆さんは知らないと思いますが(私は知っています)」とわざわざハーディングを取り上げていました。

舛添要一は「アスペルガー症候群」であるとともに「自己愛性人格障害」でもある、私にとって大変興味深い例です。

舛添要一は先日、「女優の岡江久美子さんが、発熱してすぐにPCR検査をしていたら手遅れにならなかったのにと思うと残念だ。医療崩壊などの間違った理由をつけてPCR検査をサボってきた政府の責任は重い。早くドライブスルーのPCR検査を導入せよ!」と主張しました。 
この主張に対して、ネット上では
「岡江さんの逝去を理由に持論の主張は控えて下さい」
「検査でコロナ治りません」
「亡くなった方を政権批判に利用するような事止めた方が良いのでは」と苦言を呈するコメントが次々と投稿されました。でも舛添要一はいつまでたっても「他人がそんなに不快になるとはわからない」「俺の意見は正しい」のスタンスです。

今のところ、新型コロナウイルス感染の特効薬はないのですから、PCR検査を極限的に増やしても、「将来軽症になる人にうつす軽症の患者」を発見するだけです。新型コロナウイルス感染が少しでも疑わしい人はPCR検査を受けなくても、自宅で2週間おとなしくしていて下さい、そして少しでもいつもと違って症状が重いなと思ったら専用の医療機関を訪れて下さいというのが、ほとんどの医者が思っている正しい対応です(お断りしておきますが、中等症以上の患者は別問題ですよ)。
舛添要一の出る幕ではないのです。こういう元知事って、私たちにとっての公益性・公共性・真実性を毀損していませんか。

長くなりますので、続きます。

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