医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

免疫学的な定量的便潜血検査は高リスク群の大腸ガン検出に有用

2007年08月05日 | 消化器
仕事が忙しく、ブログの更新が遅れまして申し訳ありません。
医者って、シベリアンハスキーと同じで、カッコはいいけど所詮は労働犬なんです。
これを書き終わったら病棟に行ってきます。



さて、大腸ガンの検診に便潜血検査が行われますが、陽性であっても大腸ガンである可能性は低く、スクリーニング法としての効率は決してよくありません。

そこで、便潜血が陽性か陰性かではなく、便の中にヒトのヘモグロビンがどれだけ含まれているかという定量的な方法で効率を上げようという論文が発表されました。

A quantitative immunochemical fecal occult blood test for colorectal neoplasia.
Ann Intern Med. 2007;146::244.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)



大腸ファイバー検査を受ける予定があり、ヒトのヘモグロビン量を調べる免疫学的便潜血検査に同意した連続する外来患者1,000人が対象とされました。

3回の排便で得た便検体のヘモグロビン量を測定し、もっとも高い値を大腸ファイバー検査の結果と比較しました。

1,000人のうち91人に大腸ガン(17人)と進行腺腫(74人)が発見されました。ヘモグロビン量の閾値を75ng/mLに設定した場合、大腸ガンを発見できる感度は94.1%、特異度(ガンではない場合にヘモグロビン量75ng/mL以下である確率)は87.5%%でした。大腸ガンや進行腺腫(を含めた全ての悪性新生物を発見できる感度は67%、特異度は91.4%%でした。

研究の限界として、便検体の採取法は統一されているものの、検体量は便の性状に依存すること、研究対象者が大腸ファイバー検査を受ける予定があるという、大腸ガンのリスクが高い人であることが挙げられています。


研究の限界に示されているように、1,000人のうち91人に大腸ガンと進行腺腫が見つかるというのは、研究の対象が非常に高リスクな群であったことは間違いないでしょう。大腸ガンを発見できる感度は94.1%、、特異度は87.5%%というのはすばらしいのですが、高リスク群でない場合の結果が必要だと思います。



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なかのひと

コメント (1)
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