医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

パキシルの陰に「うつ病患者百万人」、販売高の後に患者数増加

2011年12月16日 | 総合
前回、それは病気だ!と煽って異常だと思わせる人を増やせば、それだけ薬の処方が増えて製薬会社が儲かるということをお伝えしました。
今回は、その典型的な例をもう一つご紹介したいと思います。以前、以下のような新聞記事がありました。

(これより読売新聞より引用、一部省略)
うつ病患者が100万人を超え、この10年間で2.4倍に急増している。不況などの影響はもちろんだが、新規抗うつ薬の登場との関係を指摘する声も強い。安易な診断や処方を見直す動きも出つつある。

国の調査では、うつ病など気分障害の患者は、2000年代に入り急激に増えており、一概に不況だけの影響とは言えそうにない。患者急増との関係が指摘されているのが、新規抗うつ薬「SSRI」だ。年間販売高が170億円台だった抗うつ薬市場は、1999年にSSRIが登場してから急伸。2007年には900億円を超えた。

パナソニック健康保険組合予防医療部の冨高辰一郎部長(精神科医)によると、欧米でも、この薬が発売された80年代後半から90年代初めにかけ、患者の増加がみられた。冨高部長は「SSRIが発売されたのに伴い、製薬企業による医師向けの講演会やインターネット、テレビCMなどのうつ病啓発キャンペーンが盛んになった。

精神科受診の抵抗感が減った一方、一時的な気分の落ち込みまで、『病気ではないか』と思う人が増えた」と話す。田島治・杏林大教授が、学生にテレビCMを見せた研究では、見なかった学生の倍の6割が「気分の落ち込みが続いたら積極的な治療が必要」と答え、CMの影響をうかがわせた。

検査数値で測れる身体疾患と違い、うつ病の診断は難しい。このため、「抑うつ気分」などの症状が一定数以上あれば要件を満たす診断基準が普及した。田島教授が行った精神科診療所の医師に対する調査では、約8割の医師が、うつ病の診断が広がり過ぎていることに懸念を示した。

安易な投薬を懸念する声もある。抗うつ薬は、うつ病治療の柱とされているが、宮岡等・北里大教授は「薬なしでも自然に回復するうつ病も多い」と話す。

海外では、軽症には薬物療法ではなく、カウンセリングや運動などを最初に勧める治療指針も多い。渡辺衡一郎・慶応大専任講師は「日本でも、まず抗うつ薬ありきという認識を見直す時期に来た」と話す
(ここまで引用)

その製薬会社がやっている宣伝のサイト

http://utsu.jp/
あれ~、このサイトを監修している教授は、ゼチーアで同じ事をやっていた教授と同じ大学だぞ~

通常は、病気が増えてから薬の処方が増えますが、図をみると1999年、2000年とうつ病治療薬「パキシル」の処方が増えた後で、うつ病の数が増えています。それに本来なら、有効な薬の普及が進めばその病気は減少しないといけないのでは?

そういえば以前、この薬の説明会で製薬会社は「内科医でも処方しやすい薬です」と言っていて、はぁ~と思った覚えがあります。精神科医でも確定診断に難渋するというのに、内科医が診断していいの?と。

170億円台だった市場が今や900億円とは凄い。製薬会社の陰謀も、やり過ぎでシッポが出てしまったという感じです。

国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、その証拠はしっかりと残したいものです。

お勧め(Amazon)→なぜうつ病の人が増えたのか

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コメント (2)
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