医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ロトリガを内服しても心筋梗塞、脳梗塞、死亡を減らすことはできない

2013年02月14日 | 生活習慣病
前回、魚肉に多く含まれるイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などのオメガ-3脂肪酸エチルをサプリメントとして摂取すれば、動脈硬化性疾患が減少するという「推測」のもとに、武田薬品工業株式会社からEPA+DHA製剤であるロトリガに健康保険が効く承認がなされたということをお伝えしました。

ロトリガの成分であるイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)を摂取して、死亡や心筋梗塞や脳梗塞が減るのかを調べる研究は多くなされていて、昨年、それらの研究をまとめて解析したメタ解析の結果が発表されましたので、ご紹介します。

Association between omega-3 fatty acid supplementation and risk of major cardiovascular disease events: a systematic review and meta-analysis
JAMA. 2012 Sep 12;308(10):1024-33.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

EPA+DHA製剤に関する研究で1年以上観察された20研究、68,680人において、EPA+DHA製剤を内服するグループとそうでないグループで、全ての原因による死亡、心臓病による死亡、突然死、心筋梗塞、脳卒中の発症に違いがあるかが解析されました。

その結果、内服した場合のリスクの倍率とリスク減少率は、

全ての原因による死亡、0.91~1.02倍、リスク変化率=-0.01~+0.02
心臓病による死亡、0.85~0.98倍、リスク変化率=-0.02~0.00
突然死、0.75~1.01倍、リスク変化率=-0.012~+0.006
心筋梗塞、0.76~1.04倍、リスク変化率=-0.007~+0.002
脳卒中、0.93~1.18倍、リスク変化率=-0.002~+0.004
です。

この論文の結論には、「EPA+DHA製剤を内服しても、全ての原因による死亡、心臓病による死亡、突然死、心筋梗塞、脳卒中の発症は減少しない。我々の結果はEPA+DHA製剤の内服を正当化することはできない」と記載されています。

この論文にも記載されていますが、以前の研究で唯一効果があった研究(DART study)は、悪玉コレステロール低下薬がまだ普及していない時代(1989年)の、心筋梗塞を発症して間もない患者を対象にしていたとあります。

↓従って、この辺に書かれている、動脈硬化予防、心筋梗塞予防ということは真実ではないということになります。
http://www.hakuraidou.com/info/omega3.htm

それなのに、なぜ厚生労働省は、ロトリガが中性脂肪を下げるというだけで健康保険が効くように日本で認可したのでしょうか。

仮に、効果の低い薬(真実性)を効果が高いかのように販売するとすれば、それは国民の不利益(公共性・公益性)になるので、止めていただきたいものです。

↓なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと、応援よろしくお願いいたします!
今は何位かな?「ブログランキング」
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする