医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

インフルエンザワクチンはあまり効いていない

2015年10月03日 | 感染症
10月になり、皆さんの自治体や職場でもインフルエンザワクチンの申し込みが始まったのではないでしょうか。

以前、将来のその時に達したとき、過去の情報が誤りであることが証明されることは多くあり、その情報を流した機関は責任をとるべき体制がないと、いいかげんな情報があふれかえるということを、従軍慰安婦に関する朝日新聞の誤った情報の件でお伝えしました。

従軍慰安婦

そこで私は、「そういえば昨年のインフルエンザワクチンが有効であったかどうかの情報をほとんどマスコミから聞いたことがなく、本当にインフルエンザワクチンが有効なのかよく分からない」と思い調べてみました。

私の2011年のブログでも、インフルエンザワクチンが有用という論文はそれほどないこともお伝えしています。

意外に効いていなかったインフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンの有効性のデータはウイルスのタイプの選択などで刻々と変わりますので、できるだけ最近のデータを探すことにしました。また国が違っても事情が異なりますので参考になりません。調べてみたら素晴らしい日本の論文がありました。

Effects of vaccination and the new neuraminidase inhibitor, laninamivir, on influenza infection
PLoS One. 2014 Apr 3;9(4):e92601. doi: 10.1371/journal.pone.0092601
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この研究ではインフルエンザワクチンを接種したか、実際にインフルエンザになったかをアンケート用紙に答えるかたちで行われました。合計4,443人の回答が得られました。別の疾患でクリニックに来院した人にアンケートしていますので、一般の人口構成より罹患率が高いという研究の限界は仕方がありません。

対象は小学生以下、14歳~65歳、65歳以上の3群に分けて調査されました。2007年~2008年の冬、2008年~2009年の冬、2009年~2010年の冬、2010年~2011年の冬の結果が得られました。

上に示したのがその結果ですが、これらの4シーズンで、インフルエンザワクチンが効果があったのは、2010年~2011年の14歳~65歳の群だけでした。他のシーズン、他の年代ではインフルエンザワクチンは効果がありませんでした。

一番上に示されている、2007年~2008年の小学生以下の年代ではワクチン接種群ではインフルエンザにかかった率が35%、接種していない群ではその率が48%で、これは調査した人数が少ないため統計学的なパワーが足りないだけではないかという意見も聞こえてきそうですが、人数を増やして、意図的に差があったことを示そうとするのは間違いです。仮にこの群の人数を2倍にして私がカイ二乗検定で計算してもp=0.10で、それでも違いはありません。

新谷先生がここでも述べています
今日から使える 医療統計

興味深いのは、65歳以上の高齢者で、インフルエンザにかかる率が低いことです。高齢者の健常者はインフルエンザワクチンを接種する必要がないことがわかります。65歳以上の高齢者は昔、インフルエンザの治療薬がなかった頃、症状のあるなしにかかわらず何度もインフルエンザにかかって抗体をいっぱい持っているからとも考えられます。過去にインフルエンザにいっぱいかかっているから現在インフルエンザにかかりにくい、このことはインフルエンザにかかることが「悪」ではない事を示しています。インフルエンザにかかってなぜいけないのですか?この裏にはインフルエンザワクチンを売ろうとする国と製薬会社の陰謀が見え隠れします。

ただし、人工透析している方や、慢性呼吸器疾患など、基礎疾患にかかっている患者はワクチンで病状を軽くすることは大切ですから、混同しないようにする必要があります。

私は、インフルエンザワクチンは接種しません。

昨年のインフルエンザワクチンがどれだけ効いたのか、マスコミでその結果を聴くことはほとんどありませんね。それはインフルエンザワクチンはほとんど効いていないからかもしれませんね。

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コメント (3)
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