@「五十三右衛門」瀕している時の他人の支えは心底有り難く感謝に耐えない。その心理を利用して、その恩を「敵を誅殺」させる交換材料にする。他人を利用して徳を取る。現代でも一部の政治家等が用いる手段である。今は「金」で人を動かし自主保護主義的で最後には自分の地位と職権を保護するという筋書きだ。
『山本周五郎作品集15』山本周五郎
「津山の鬼吹雪」
新手の道場破りとして登場した若い武士が道場主に見せた技は真剣に構えた時にワザと負けを早々と宣言し、道場主を褒め称える。道場主は喜び歓待してくれる。いざという時にはその本能を見せつける、実はその若者は剣術の名人だった。 「脳あるものは爪隠す」
「浪人走馬灯」
出世を目的に家宝の茶碗を盗み出し、失くしたことへの罪として邪魔者を悪役にしたて切腹させた。切腹させられた侍の息子がその茶碗を元に出世を企んだ悪人どもを父の仇として成敗する。 だが、その茶碗を悪人から盗んだ元父の部下がまたしてもお詫びとして切腹してしまう。
「罪の意識を自らが成敗する」
「五十三右衛門」
浪人の侍が母の死に目に嘘でも仕官した立派な姿を見せた。それは藩の重臣の一人と出会い仕官の服と金子をもらった事で、代わりにその敵の重臣を殺戮して欲しいとの交換だった。その意を汲んで敵の重臣へ江戸の密偵だと偽り2人で対座、その時小刀を遠くへ投げ真相を聞く態度を示した。その後その重臣は「誠の忠義の心を持って誅殺すべしと思ったら、君家のため自ら一命を持ってあたるべきではないか」と問われ、その真相が真逆であることを悟る。「真の心は世間の表裏を知らずとも通じ合う、馬鹿正直の一徳だ」
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