ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

老後の一人旅・何を求めるのか『ノマドランド』⭐️4

2021-03-29 07:47:25 | 映画から見える世の中の動き
老後、一人になると「人は何故、何の為に生きるのか」を知りたくなる。旅に出てそれを確かめる。旅で出会った人々は「さよなら」と誰も言わない。「また逢おう」と言う。人と付き合うのは疲れる、ましてや老後になれば尚更自分のことで目一杯となる。相手がいれば心強いが、気ままさに生きるのを優先したい体と心は生理的に正反対になる。
『人生はいいことも悪いことも連れ立ってやってきます。不幸が続けば不安になり、気が弱くなるのです。でも、そこで運命に負けず勇気を出して、不運や不幸に立ち向かってほしいのです』瀬戸内寂聴 -
『ノマドランド・NOMADLAND』⭐️4
2011年不況で夫、仕事、すべてを失った一人の女性、Fernはアメリカ西部に流浪の旅に出るというドキュメンタリー映画だ。寝泊まりできるバンを利用して旅に出ると同じような老れ者達と会う、その度に人々の様々な人生観を思い知らされ、自分は他人に頼らず孤独でも生き抜いていこうと考えるようになる。行く先々で日雇い労働をしながら旅すると一人の男性Daveと巡り会う。 だが一人で居たいと再び旅に出る。

報道の自由が政治圧力で変化した『失われた報道の自由』

2021-03-28 08:57:37 | 世界の動きから見えるもの
人の判断は「先入観」が主となる判断が多い、ではその先入観は如何にして人の行動を、知識・知恵を取り入れたか、それは「情報」(ここにあるメディア情報)によりまずはイメージを作り上げてしまうからだろう。その最初の情報が偏っていれば偏った方向に進むのは当然だ。この書を読んで米国の政局(民主党VS共和党)と主力メディア、さらにFBI、 CIAなど党閥よりの隠蔽、漏洩、捏造、偽装・偽情報操作、メディア操作行動力など恐ろしいものを感じた。特に歴代の民主党大統領自らがそれらを違法と知りながらも牛耳り政局有利を唱えてきたことは信じ難い。そう言われると、日本で受信している情報はいつも対トランプ批判ばかりだった。
日本の政治家vs報道にも最近富に政治圧力があり、突然あるテレビ局の司会者が交代、左遷など情報操作を政治家自らがでしゃばって来ているのは誠に残念で、今後「報道の自由」が米国並みに崩れ落ちる可能性も大だ。ただ、もう一つ残念なのが記者自体の勉強不足からくだらない質問、記事も多く信頼と信用をなくしていることを感じて欲しい
『失われた報道の自由』マーク・レヴィン
「概要」現代のメディアでは、報道に携わる人々自らが「報道の自由」を踏みにじっている。報道の自由が失われているのは、政府による弾圧や抑圧があるからでも、ドナルド・トランプ大統領がメディアを非難しているからでもない。原因は、放送局や新聞社、そこで働くジャーナリストたちにある。かつて、ニュースといえば客観的な事実を集めたものだったが、いまは特定の意見やプロパガンダをニュースとしてまことしやかに流し、メディアがつくった「偽物」の出来事をあたかも事実のように報道し、ときにあえて事実を報道しないという選択をする。
メディアの信頼度(2017年ギャラップ調査)
    民主党支持者の信頼度は76%、好意的に見ている支持者は54%
    無党派支持者は42%
    共和党支持者は21%、好ましくないと見ている支持者は68%
・メディアの役割が重要だと思っている支持者(2018年ナイト財団調査)
    84%は極めて重要だと感じているが、その役割ははたされていないと言う、44%    
・主力メディア(トランプ政権下)
    民主党:ニューヨークタイムズ、CNN、CBS、 ABC、 NBC、 ワシントンポスト
    共和党:FOX News    その他中堅以下
信頼できない理由
    営利企業がニュースを作るようになった事で中立が噂や利己的な商業主義に報道される
    ジャーナリズム職業倫理の崩壊(真実の追及・忠実・中立・独立・平等、報道の責任)
歴代大統領の権力の共謀・濫用・反逆行為
    トランプ大統領は政府当局の力を使い口を封じ込めることはしていないが、他の歴代大統領アダムズ、リンカーン、ウイルソン、ルーズベルト、ケネディ、ジョンソン、クリントン、オバマ等は違法的事実はあるが報道されていないだけで、それは違法な権限を利用しFBI/CIAを操作、内国歳入庁の権力乱用、違法盗聴による情報収集、不倫性的問題、その他媒体の編集権限など多種多用ある(民主党の場合はほとんど事件どころか記事にもされないケースが多数)
    ヒラリークリントンvsトランプ・ロシア疑惑に関しても証拠は出てきていない、また「フェイクニュース」などと言うものは主に共和党・トランプおろしの記事が多く、捏造も多いという
・過去の捏造・嘘の記事
    ホロコースト(ユダヤ大量虐殺):ニューヨークタイムズは社主がユダヤ人にも関わらず関与しない方を選んだ、また当時のルーズベルト大統領は一才無言
    ウクライナ大飢餓700万人の餓死:ニューヨークタイムズモスクワ支社支局長デュランティーは一才事に触れないで報道し続け、ピューリッツア賞を受賞、さらにルーズベルト大統領と内密関係にあり優れた海外特派員として紹介
    FBI/マーチンルーサーキング:J/ケネディ大統領はFBIを利用し徹底的に監視、捜査させる、その他富豪者への税金優遇(石油王ゲティーは所得税$500)  
・現状
    自制心と節度を持って注意深く行動し、人々や自由な社会に役立つ知識や知恵をもたらす源から離れ始めており個人的、政治的、イデオロギー的な思考や怒りに囚われ始めている。
    ジャーナリスト職業倫理崩壊で報道機関に疑いと不信感を抱き、無責任と見なすようになり「報道の自由」が自滅しかねない状態になっている。
    米国大統領選挙に於いて大手メディアは共和党側の動向を極めて否定的、批判的に報じる



遺言にスマホ・PCのID・パスワードを追加

2021-03-28 07:49:30 | 人生を「生かす」には
@「デジタル遺品」って聞いたことありますか? スマホ・PCなどに保管してある価値ある財産(銀行口座・仮想通貨・〜ペイなど)、更にサブスク(Subscription=定期購読的支払い)などをしている状況を本人が亡くなった時点で停止、もしくは解約する必要があるが、問題が浮き上がってきていると言う。まず、本人の使っているスマホ・PCにアクセスできない(ID・パスワード)がわからずそれらの遺産をミスミス放棄するという状態だと言うこと。 そんなことがないように遺言ではないが本人以外でも知ることができるようにしておくことだ。詳細はこのサイトへ「デジタル遺品」に潜むワナ 圧倒的に多いトラブルは?
やはり、デジタル財産情報もメモ用紙に書いて保管しておくのが一番なのかも知れない。


空き家利権が狙われる理由『Scooby Doo The Sword and The Scooby』⭐️3

2021-03-28 07:47:00 | 映画から見える世の中の動き
古城の利権を奪い取る為一人の女性が魔女に変身、スクービーたちは古い時代にスリップした世界で争う。タイムスリップしたかのような裏舞台に入り込み争いに巻き込まれるミステリーアニメ映画だ。いつの時代にも「欲張りな人」はいるが、この映画は土地と建物の利権が絡んだストーリーだ。最近はそれを狙った詐欺的事件も多い、地面師による空き家・空き地を勝手に転売される事件は恐ろしい。やがていつの間にか他人に住宅そのものを転売される可能すらある、特に老齢者住宅などは要注意かもしれない(日本の家屋売買の盲点)
日本の空き家は実に846万戸(住宅の13.6%)あるという。
『Scooby Doo The Sword and The Scooby』
旅先で時差変動が起き、王国・騎士のミステリー時代に戻ってしまう。そこに年老いた魔術師と邪悪な魔女が出現。呪文を唱える魔女はギャングを騎士に、火を吐くドラゴンを出現させる。スクービーたちは王宮に平和を取り戻すため邪悪な魔女と戦う。実はそのミステリーは現実から離れた御伽の国への道標で全て俳優たちが演出、邪悪な魔女、一人の欲ある女性が城の利権を奪い取ろうと画策していた。

「世間知らず」が作り出した若き獅子たちの日本『幕末江戸と外国人』

2021-03-27 07:45:16 | 歴史から学ぶ
幕末から幕府・明治政府の外国人受け入れの経過を辿った書物。「攘夷」と叫びながらいつの間にか西洋文化を積極的に取り得れ経済成長を視野に入れた明治政府古びた幕藩体制をひっくり返す口実が、実は鎖国で「世間知らず」を思い知った幕末の獅子(開拓者)だったことだ。現代、情報ネット社会にも関らず、時代遅れの制度・規制・既得権に縛られたままの「バブル時代の継続」ではこの先日本は「沈没」するかも知れない。若き獅子たちの出番を期待したい
日本のデジタル化の遅れは経済の遅れとも連動していることを知るべきだ。
『幕末江戸と外国人』吉崎雅規
・「鎖国から開港」を機に江戸にも外国人が住みはじめた。
    1854年3月3日ペリーと日米和親条約締結
    1857年10月7日タウンゼント・ハリス初代総領事江戸に入る(江戸市民18万5人見物人)
        ハリスの言葉「サッ」という先触れの言葉しか聞こえず静かだった
        交渉方:川路聖謨海防掛勘定奉行(水戸徳川斉昭らが猛反対、延期させた)
    1858年 4月井伊直弼大老・7月13大将軍家定逝去・7月外国奉行設置
            オランダ、ロシア、イギリス、フランスの欧米5カ国と修好通商条約締結
    1859年 8月安政の大獄・外国人殺傷事件勃発・6月横浜・函館・長崎開港
            アメリカ・イギリス・ロシア・フランス総領事館設置
    1860年 3月桜田門外の変・9月吉原遊廓大火・11月通訳ヒュースケン暗殺
    1862年 12月 高杉晋作らのイギリス公使館炎
    1863年 5月長州藩米商戦砲撃・7月薩摩藩英艦隊交戦(薩英戦争)
    1864年 6月白河藩善福寺警備・8月長州藩と英仏米蘭下関戦争
    1865年 10月孝明天皇条約を勅許
    1866年 7月徳川家茂死去・12月徳川慶喜将軍・孝明天皇崩御
    1867年 10月大政奉還・12月薩摩藩邸焼き討ち
    1868年 1月鳥羽・伏見の戦い・3月江戸開城・10月明治天皇江戸入り
・宿場・滞在場所
    アメリカ ハリス:善福寺  (公家等が宿泊する指定寺)
    イギリス オールコック:東禅寺
    フランス ベルクール:済海寺
    ロシア:天曉院
    オランダ クルチウス:真福寺
・遊歩区域・馬車
    外国人は多摩川(六郷川)を境界線が定められ江戸入りには特別許可証が必要
    1865年には初めて馬車なるものに松平老中が乗りロンドンの新聞にも掲載
    1871年馬車道路を整備(伊皿子坂等)で歩道と車道を分離するようになる
・日本人の洋装・花見・外国人遊興立ち入り
    1866年 幕府から西洋軍服の命令・髷を切り始めるのもこの頃
    1867年 花見(上野公園)規制付き解放・商売拡大(気前の良支払い額)
            外国人の遊興・飲食施設への対地理を許可(吉原は別格で遊女が拒否)
    1869年 外国人向けの市場(開市)が築地に、その後新橋・銀座に広がる
・諸問題
    密航:境界線(多摩川)を越える外国人(日本人に変装)が絶え間なかった
    飲酒:品川宿場での酒飲み・酒盛り女(外国人を取り締まる役人が居ない)
    お賽銭減:檀家・盆暮れの法会によるお賽銭減・各お寺からの苦情・寺移動
    鳥猟:鉄砲で借りをする輩(江戸10里四方猟の禁止)
    吉原と猿若町:大火で仮宅をまとめ外国人出入の管理(新吉原&歌舞伎)
    外国人警備:外国方・町奉行・目付が担当約60名(更に地方の藩にも及ぶ)
        国公舘に100名から170名、公使がいる場合は300名にもなった
        大名任命:越後与板・肥前島原・伊勢亀山・大和郡山・越後高田・美濃大垣
        背景:攘夷の高揚(諸藩の事情:人手不足・武士の魂・礼儀等)

利権がらみの理不尽な社会をぶち壊す『海賊と言われた男』⭐️5

2021-03-26 07:54:29 | 映画から見える世の中の動き
@現代で言うならば、社会の理不尽に立ち向かう起業家だろうか。日本には世界から見るとまだまだ理不尽で不思議な世界がある。特に国に絡む利権を貪り、経済社会の停滞を招いていることが多い。これからの日本にはそういった世界とかけ離れた社会構造を新たに楔を撃ち、世代に合う起業家が現れん事を期待したい。どん底と気づく前に!
『過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望をもつ。大切なことは、何も疑問を持たない状態に陥らないことである』アインシュタイン 
「海賊と言われた男」
國岡商店(出光興産)を切り盛りした海賊と言われた男の生涯映画
油売りの丁稚から稼業を引き継ぎ独立、苦難を幾度か乗り越え独立系の石油事業を立ち上げた男。メジャーが独占する市場に乗り込み奮闘、世界の矛盾、社会の矛盾、国の利権に絡む理不尽な社会構造に立ち向かい生き抜いた男の人生。家族には恵まれなかったが多くの仕事仲間に助けられ、周りを助けて一流を目指した男ロマンに溢れる生涯だった。



バランス感覚で生き抜く『三十路女は分が悪い』

2021-03-25 07:56:38 | 人生を「生かす」には
人は経験することで如何に自分を守るかの本能が芽生える。壇蜜さんの「誉め殺し言葉」はやはりある程度苦い、辛い経験があればこその助言言葉だ。歳と共に「図々しくなる」もその経験値からくる言葉かも知れないが、現代はそうなる環境も無視できなくなった。それは「バランス感覚を失くした自己中心主義者」が多くなったからだ。
『嫌な思いをすると、やり返したくなるもの。優しさで帳消しにすれば、自分が気持ちいい』美輪明宏 -
『三十路女は分が悪い』壇蜜
・「降りかかった火の粉は払わず浴びる」恋愛、仕事、結婚、セックス。女性を取り巻く悩み、壇蜜がどう考えるのか、どう対処するのかなどを読者の悩み相談エッセー集。
・恋愛
「今を受け入れて出口の糸口を探してみる」
「ときめきは一瞬の病、体に毒。それより「大事」の感覚が合う人を探しましょう」
「難儀な思いをした分だけ強くなる。恋は潜んで知る自分の新たな一面を開いてくれます」
「時間という手段で解決してみては」
・結婚
「ピンチこそが妙案が! ゆっくり互いの明日を見つめて」
「悪口は自分の姿の投影かも。嬉しい記憶も加筆して」
「上手に気持ちを伝えましょう」
「並んで前を向いて歩くことは、今後のあるべき姿を探すヒントになります」
「冷静に優しく、交換条件を出していきましょう」
・仕事
「クールな野望より、記憶に残る目標を持ちましょう」
「相手は自分を写す鏡。注目できるのは、向き合える証拠です」
・将来
「誰ものが生きているうちは、宙ぶらりん、迷ううちに決断が見つかります」
「友が周囲にいないのは運命?孤独を知り、痛みのわかる人を目指しましょう
「少しの贅沢を繰り返して満足を積み重ねていけば、次に繋がるはず」
三十路を越える歳になり
    「なるほどこういう考え方もあるのか」と知る歳
    「自分を取り戻す方法を知る:極寒や猛暑は人の羞恥心を打ち砕く
    壇蜜という女:髪を染めない、パーマもかけない、マニキュアも付け睫もしない(セルフプロデュースする力・裸の自分を視る)
    「どんな仕事も手を抜いてはいけない」という学び
    欲しいものは手に入らず、欲しくないものは寄ってくる
    損した自分を許せる自分になること(損しても構わないと思うこと)
    「欲望と夢のバランスをとって生きること」(引くところ、譲るところ)
    「自分のアキレス腱を把握しておくこと」
    「狡くなる」「コイツも人の子」と思う事
「ムカつく男に遭遇したら、あえて謝る」(誉め殺し言葉を使う)

世の矛盾から人助けに命を懸ける『タクシー・ドライバー』⭐️5

2021-03-24 07:46:18 | 映画から見える世の中の動き
@世の中には多くの矛盾と格差がある。一人ではできそうもないことを覚悟してやってのける、「人助け」。「俺たちは負け犬だ。気にするな、のんびりやれよ」とは碌でもない自分にはやり遂げる事は何もないと悟ったのか。人の世に役に立つ事をやり遂げることが「負け犬」として、命をかけ最後の定めだと悟ったのだろうか。たった一人だが少女をどん底から救い出すことができたのだ。
『人は強さに欠けているのではない。意志を欠いているのだ』ヴィクトル・ユーゴー
「タクシードライバー」
ロバートデニーロ主演、タクシードライバーとなった男が漠然とした日々が続き孤独に、世の中の矛盾を感じるようになった。ある時、運転手の先輩から「人間なんてなるようにしかならん。どうせ俺たちタクシードライバーは負け犬さ、どうにもならん。俺たち運転手に何ができる、気にするな、のんびりやれよ」と。 やがて拳銃を購入、体力をつけ、一人の若い娼婦を助けるために命を懸ける。

夫を信頼し続ける妻の決意『大将首』(山本周五郎作品集9)

2021-03-23 07:44:47 | 人生を「生かす」には
「大将首」内助の功の小説だ。夫の客人に酒を振る舞うため妻は髪を切り用立てた。長年貧相な暮らしで耐え忍んで生きてきた、それは夫の仕官の夢を見て頑張ったことだった。夫も妻に「己の武運には恵まれない男だが、妻だけは世界随一の良き妻を持つことができた。これだけは、もし果報薄き一生を終えるとしても、生まれてきたことをよかったと思わせてくれるだろう」と。仲間内で悪い噂に対し、正直に告白する事で仲間が同情し一切の噂を断ち切ってくれた。
相手の懐にグサッと立ち入る事、それは正直に嘘をつかない姿勢を見せることは人間関係を強く結びつけることに何より大切な事だ。
『山本周五郎作品集9』山本周五郎
「しぐれ傘」
鯉の木彫をする男宗七、その木彫師が蛙を新たな作として彫っていたが、ある時棟梁の娘がその作品を商売人に見せたところ気に入り購入していった。娘は売れた事で宗七に喜んで報告するとあれはまだ惰作で自分が納得していない作ではないので自分の作として世に出る事に悔いた。宗七はそれを取り返そうと出向くが既に殿様が買い取ったことを知り訴えると、殿様が宗七の思いのこもった作と引き換えにしようと条件を付け、作ができるまで2年でも3年でも他人には一才見せないことを約束した。そこで宗七は、「人間は心を寛く持たなきゃいけねえ。その日の食に不足しても心は大名のように大きく持つんだ」と早速親方に娘を嫁に欲しいと願い出た。(自分の視野の狭さに後悔、心を広くしてクヨクヨしないことだと悟る)
「竜と虎」
性が合わない上士と下臣西郡が勤めで歪みあることが多々あった。ある日、西郡の同士が上士の娘に縁談をつないで欲しいと頼まれ、上士に話をするとまたしても怒鳴られ、勤めの役も降ろされる羽目になる。そんな後、川に流される子供を助けると実はその子供は同士の隠し子だと分かり憤慨する。そして自分自身で上士へ出向き上士の娘を娶ることを強制的に申し出ると、またしても憤慨されるが、「嫁に行くとなれば充分支度をさせた上でなくては嫁には遣わさんぞ。貴様は俺の婿になるやつだろう、俺は舅だ、舅はつまり父であって、子と親とは・・」と喧嘩腰の話がうまくまとまった。(頑固親父でも調子をうまく合わせればわかってもらえるものだ)
「大将首」
ひもじい生活を余儀なくされ既に7年、仕官を夢見て浪人として妻と二人。ある日一人の浪人が突然金欲しさに斬りかかってるくる。それは5年もの浪人生活で世を恨んでおり、その男を家に招いて酒を用意させた。その酒代は妻の髪であることが後から分かり「己の武運には恵まれない男だが、妻だけは世界随一の良き妻を持つことができた。これだけは、もし果報薄き一生を終えるとしても、生まれてきたことをよかったと思わせてくれるだろう」と妻に話をする。 ある時から五十石の武士として奉公すると妻に嘘をつき、足軽の仕事をしていると、その噂が仲間に漏れると正直に仲間に告白、「7年余りの浪人でどん底でも妻は耐えてくれた、一方剣を以て認められるまでは仕官せぬという望みを尊重して、粥も啜れぬ日に耐えて忍んでくれた。妻が髪を切り酒を買ってきてくれた姿を見て、自分の剣法だけを守るのに汲々としてきた、己の我儘さをはっきり悟った」というとそれ以来噂を立てるものはいなくなった。ある日、街道を急ぐ武将三人があまりにも無礼をしたことに腹をたて一振りで斬ってしまう。妻には切腹を覚悟で用意していると、お召し抱えの知らせが届く。実は斬った三人は追手のかかった逃亡武士であった。