@自動車業界にとってEV車は過去のガソリン車の遺産を継続できない窮地に追いやるものとなる。1千社をこえる中国国策での製造販売は世界の車製造会社にとって脅威であり、次なる戦略を立てる必須の課題だ。本書では超高級市場への舵取りをするために、イタリアの手作りの超高級車製造会社と協調・提携に舵を切る。人材の抜擢、人材の活用、日本・イタリヤ固有の文化芸術も取り入れた知恵と工夫を盛り込んだアート的車を手がける。現実、ガソリン車の行末は見えており次なる移動手段の乗り物を作り上げるのは必須であり、安価な製品を持つ中国企業・競争相手との差別化を意識した戦略戦術が今求められていると思う。
『ラストエンペラー』楡周平
「概要」最後にして最高のガソリン車を造れ!EV(電気自動車)全盛の時代が目前に迫っていた。大手自動車メーカー・トミタの社長、村雨克明は、後世に残るガソリンエンジン車として、トミタの最高級車種「エンペラー」の新型モデルの開発を決意する。村雨は、イタリアの老舗自動車メーカー・ガルバルディで働く篠宮凛にプロジェクトリーダーを打診するが、凛からはある条件が。それは新型車の開発のみならず、EV時代のトミタを救うことになるかもしれない、前代未聞の提案であった。日本車の輝かしい歴史の記念碑として、そしてその未来のために、自動車に人生を捧げた者たちの挑戦が始まる。
ーガソリンエンジン車vsEV車 いずれEV車が自動車・乗り物の市場を追い抜き優位に立つことになると経営者トップは次なる戦略を思考する。それは超富裕層を狙ったガソリンエンジンでの最高機種を作り上げること、その意味は安い車はEV車に淘汰されることは目に見えているから、と悟る。
ーその車を「ラストエンペラー」と名付けイタリアの最高峰自動車会社とタックを組んで挑む。それは超富裕層を睨んだ車種から知名度を受け、ランク分けした高級機種を揃えようという狙いを定める。中国のEV車との対抗するには、車自身の工程からディーラー・販売まで全てを見直しが必須となり、リストラで余儀なくされる。
ーEV車は基本的にバッテリーとシャーシが主要な部品である為、中国ではすでに1千社が参入、中国の国策としても2007年に施行された。よって中国で生産された部品でも工場がある国へ労働者も含めて輸出することが国策なのだ。
ー次世代の車種に関しての課題は「EVではエンジン音での魅力を出すことができない、さらにガソリン車の製造を続けても燃料供給のインフラが無くなる事、そしてガソリン車が使えなくなる事」
ーイタリヤの超高級製造会社ガルバルディと提携、新たなエンジンに日本のエンジニアの知恵と工夫で改善していくことを目指した。人材にチャンスを与え続ける事、そこにチームとしての希望、願望、夢を入れた会議を重ねプロジェクトを作る、新たなアイデアを出し合う事で新たな発想からの工夫も生きる。日本とイタリアの伝統工芸技術を活かした内装に仕上げる。「やれる」と「やる」は別物
ーお客様からの発注はメタバースの画面を通じて受けることでディーラー、代理店を通す事なく銃中するシステムを構築
「うまく行く時には実際に仕事に取り掛かった時には、すでにゴールが明確になっている」
「EVになろうと、人間の移動手段として車が使われる限り、快適な空間を提供することが購入につながる」
「経営者は自分の考えに固執する事なく優れた車を作る為なら、他人の意見にも耳を傾ける度量が必要で、何よりも嫌うのは考えない人間、夢を持てない人間なんです」
「ガルバルディの車作りは、メンバーが夢を語り合い、アイデアを出し合うところから始まる」
「人の縁というやつだね」
因みにタイトルの「ラストエンペラー」は中国映画「最後の皇帝」ではない