ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

世界1位の「薬浸け」日本人『仁術先生』

2019-05-31 11:21:17 | 人生を「生かす」には

@健康医療で処方箋・・「薬浸け」の患者が増えている。日本は稀に見る「薬浸け」国民になっているという調査報告書(日本では世界の薬の40%を消費、一人当たりの消費は世界一・トップは降圧剤、睡眠薬に精神安定剤だと言う) 最近薬を止めて「全てサプリメントに変えた」と言う人に出会ったが何と1日8種類を服用すると言う。「効用・効果はどうですか」と聞くと「サプリメントだから即効は認められないが効用を信じて長期服用するんだ」と言う。薬より体にはましだと言う意見だったが、この書にもある「気は病から」もあるように1、病気の誤認識 2、体の不調は気持ちと精神ストレス 3、自愛・愛情欠如等が原因で「安心」材料としての薬は特効薬だが、最近は副作用も多いと聞く。なるべく「薬」は服用しないほうがいい、人の体は自然に回復できる治癒力も持ってると信じている。

『仁術先生』渡辺淳一

  • 東京下町の個人病院に勤務することになった円乗寺優先生。堅苦しい大学病院から逃れてやってきた。専門は外科だが、内科、婦人科、なんでも診る事となる。酒好きな先生は、ある晩近くの寿司屋さんに入ったが、店の青年が自分の患者であることに気づく。彼は他人には言えない病気の持ち主だった。人情味あふれる仁術先生の診察と活躍を描く。大学病院を辞めた理由は、1、学会戦隊としては、研究論文筆頭者の名の名誉は全て教授に吸い取られる 2、人間関係の複雑さに「大学なんかにいると人間はだんだん馬鹿になるだけさ」
  • 「梅寿司の夫婦」(医療の誤認識)
  •             寿司屋の青年が独り立ちし結婚するというストーリー、だが、梅毒で彼女にも、お客にも話せない理由があった。 実は彼女も梅毒であった事で互いの病気を隠し通すことにした。結果、血液検査のマイナス結果が出るまで何もしないことを約束させる。梅毒は手からの伝染等をはないと説得させ、マイナスになれば問題ないと双方に心配事を無くさせた。
  • 「特効薬」(愛情欠如)
  •             「妻が倒れた」と往診に出かけ診察、ところが原因がヒステリー。それには薬はないと判断したが、その原因は子供がいない事だった。夫婦ともに5分5分の理由があり夫婦の営みが無い所為だと分かった。
  • 「保険ききません」(精神的ナイーブ)
  •             若い夫婦に子供ができない。できない理由は、男はナイーブだから精神的にインパクトある言葉、事をしないように妻に伝える。看護婦の努力によりなんとか回復させ、薬は不要となった。
  • 「医は仁術」と言っても
  •             明治・大正次代の医者は「自分は人の命を預かる選ばれた少数ものだという自負と矜持を持っていた事」
  •         法が不備な時代の義理人情として人々を助けるが金持ちと貧乏との差をつけ奉仕した。現代、開業医はあまりに儲け主義だし、大学病院は技術偏重と学問的興味に走りすぎている。かなりわがままな怠け者医者もいる。合理主義、即物主義の波が渦巻いて、医療におけるモラルの欠如が見られる。医学の祖ヒポクラテスは「医者が直すのは病気ではなく、患者である」と言った。

人工知能の行く末『人工知能の見る夢は』

2019-05-30 07:40:56 | 最新技術(IT)で変わる事

@人工知能AIは、どこまで発達、発展するだろうか、それは人間感覚と同等になる時「シンギラリティー」である、と言う。このSF小説家たちが思うAIを絡めた短編小説はなかなか面白い、が怖い世界にもなり得る。例えば1、「自動運転」事故が起きた場合誰に事故責任があるのか、もちろん操作している同乗者? 2、将棋など対戦相手を心理的に攻撃するAIに負ける。感情までを読み取られ先手行動される事で人は心を読み取られないようになる。3、あらゆる場所に設置されたAI監視カメラによる判断で人はマークされ、ついに犯罪者と認定する。 など人の領域を超える事で人間の社会が平和に、平穏に、生活できるだろうか。人生計画の選択も全てAIが導いてくれる世界(大学の選択、専攻科目の選択、就職先の選択、パートナーの選択、家購入の選択、命の選択など)に頼らざるを得ないかもしれない。そうなれば、正にある映画で見た自立AIロボットによる自作ロボットで世界(ロボットが人間不要社会)を制覇する事態も起きかねるだろう。

『人工知能の見る夢は』

  • 日本を代表するSF作家たちが人工知能を題材にショート競作し、それを「自動運転」「ゲームAI」「人口知能と創作」などテーマ別に編集、テーマごとに第一線の研究者たちが解説を執筆した画期的なコラボ企画した本。
  • 『自動運転』
  •             「姉さん」自動運転におけるミス操作責任。 AIの言葉「人を轢いた、警察に行くのはあなた。私はAI、人権もないし、責任能力もない。だから責任はあなたが取らなきゃいけない」
  • 『ゲームAI』
  •             「投了」将棋相手に感情的な質問をするAI知能。悪意を持ったAIは相手の過去を調べ上げ誹謗中傷的な質問を投げると相手は冷静さを失い、勝負に負ける。
  •         「シンギラリティー」人は感情的になると、一つの物事にとらわれて冷静な判断ができなくなる。感情を読み取り、判断する。
  • 『神経科学』
  •             「バックアップの取り方」スキャナ能力を活かしたAIロボット。手の平でスキャンする事で物体を全てコピーできる能力でお札、宝石、人をスキャンする。スキャンされたものは用済みを予告されたものでAIが先取りし、コピーが生き残る世界を作る。
  • 『人工知能と法律』
  •             「As you like」は人の感情まで瞬時に読み取り行動するAI機能。だが、人の顔色、感情、期待を先読みによる事で事件が勃発する。人の願望までを先読みし、安楽死する手助けをする。
  • 『人工知能と哲学』
  •             「人工知能の心」人工知能の心を読み取る実験。AIの判断に心はあるのか
  • 『人工知能と創作』
  •             「人工知能は闇の炎の幻を見るか」監視カメラによるAI機能。ありとあらゆる場面で監視カメラとその機能が働き、人間社会が安全となる。が機能の超越が起こり、事件となる。
  • 『人狼知能能力測定テスト』
  •             これは人と狼が正体を隠してゲームするストーリー。誰がAIとしての分析、判断が最高なのかを競うゲーム。

植民地時代の犠牲『アウンサン将軍と三十人の志士』

2019-05-28 07:52:07 | 世界の動きから見えるもの

@120年間もの長期に渡る植民地国家、ミャンマー(旧ビルマ)が今新たな国家になろうとしている。独立への英雄「アウンサン将軍」(日本名面田紋次・軍人名ボ・テーザ、独立直前に暗殺)アウンサン・スーチ氏の父である。日本・海南島で軍事訓練など、母国ビルマを独立させるために日本軍の支援を求めた。だが、戦争は悲惨である。戦前のイギリス植民地から奪回する協力の合意を得ていた日本が裏切り、その後イギリス含めた連合軍も独立拒否続けた結果、このような長期の植民地政策のまま存続したのである。結局「力は権力=武力」しか通用しなかった現実はとても悲しい。だが、漸くその前途の光が見え始めたような気もする、ミャンマー。歴史を知ってミャンマー・ヤンゴンを訪れる事でより文化・国民生活が理解できる。日本、世界からの投資、支援はこれから。これからの若きミャンマーに元気が見えた。下記の写真は2019年4月に訪問した時のヤンゴン市内である。

『アウンサン将軍と三十人の志士』ボ・ミンガウン

  • ビルマの独立義勇軍と日本。祖国独立を夢見るアウンサン以下30人は南機関の手により、密かにビルマを脱出、日本に向かった。行く手には各地での厳しい軍事訓練が待っていたが、30人は国民性の違いが生む様々な戸惑いと障害をアウンサン統率の下若い情熱によって克服し、日本軍のビルマ侵攻に義勇軍を結成して参戦、イギリス統治下の祖国奪回に成功した。しかし、この後、ビルマは真の独立を目指して日本軍に対する一斉蜂起を敢行した。
  • 1826年ヤンダボ条約によりイギリスに割譲、1947年のアトリー条約(ビルマの独立を決めた条約)約120年間、ビルマ国民は植民地として苦しみを味わった。国の独立を懇願する仲間、ドバマ協会に集まったタキン・アウンサン(1915〜1947年)やタキン・ミャ(1897〜1947年)らは1930年に反英国の暴動を機に武装闘争の準備をしていた。イギリス政府は当時、サヤー・サン(元医師・僧侶)など78人を処刑、死傷者3千人、逮捕者8300人。その時、サヤー・サンの叫びは「余を処刑せよ、しかし余の精神は滅びない。死後もあくまで邪悪なイギリス人に抵抗する」を残した。
  • アウンサンは海外からの協力を得ようと1940年中国に向かうが、資金が底を尽き上手く運ばなかった。そんな時日本政府と手を組んだのが南方軍司令部の鈴木大佐(有力新聞記者として派遣されていた)とドバマ協会の目的である英国植民地政府軍への反抗と独立、日本軍の目的であるビルマからの外国物資の中国への輸送阻止で合意する。「同じアジア人じゃないか、手を繋いで一緒にやろう」と言うことになる。
  • 1941年、25歳だったアウンサンら30名は母国を離れ軍事訓練と資金・武器を確保するために日本に向かった。「悪しき選択の中での最良の道」(中国から日本・一部ファシスト系)を選んだ30人は東京、京都、大阪、横浜、名古屋、富士山など見学後、箱根から軍事訓練のため海南島へと向かう。日本軍としてはビルマ人を確保し軍事訓練している事を孤島で秘密保持し、当時は日本軍がビルマに侵攻する計画はなかった。
  • 軍事訓練ではゴミ拾い、掃除などが中心で根性、勇気、それに何よりも忍耐力・忍耐心が鍛えられた。ビルマ人には味噌汁・たくあんはまずく合わなかった。また、ビルマでは平手で頬を殴るは最大の侮辱でありそれにも耐えた。数ヶ月後、ビルマに派遣されたのが2名、あとはバンコクへ送られた。1941年27人はバンコクでビルマ独立義勇軍(BIA)を設立、ビルマで内乱を起こさせ、侵攻する戦略だったがだが、日本軍第15軍との話し合いが合わず阻止される。また、独立への意思も削がれ日本軍が中心に戦略・侵攻指令が出されるようになる。それはビルマの石油、亜鉛、タングステンなどの鉱物資源を軍が確保する目的に変わり、次第に不穏な関係へと繋がっった。
  • 2月末にようやく日本軍とともにBIAがビルマに侵攻、祖国に凱旋し、ビルマ到着数週間で住民などの強力で20万人に正規軍が増えた。やがて3月8日にはヤンゴンを制圧、その後日本軍、BIAはビルマ全土を占領、統治する計画に入った。だが、日本軍はBIAに対し独立を与えるどころか6月には軍政を布い、BIAは日本軍に対して警告を発した「日本人がこう言う事を続けるなら、我々は反乱を起こすかもしれない。もうこれ以上我慢できない」とまで当初の合意に対して独立統治を迫った。ビルマは多民族であり、カレン族はキリスト教・イギリス側を支援などビルマ独立はまだ先だと迫っていた。
  • 1945年3月27日、アウンサン将軍率いるビルマ国軍(BIA)は日本軍に対日決起を踏み切る。約177回の戦闘を繰り返し、4月23日、日本軍3023名の死者で日本軍は撤退する。やがて英国・インド軍がヤンゴンに侵入し、連合国軍の指揮下に入り、独立交渉をする。が、又しても交渉は決裂、1945年8月、アウンサンは軍を離れ政治活動に専念する。
  • 1947年7月19日、戦前首相を務めた保守派政治家ウー・ソオによって送られたテロリストがアウンサンたち7名の閣僚を暗殺する。動機は最大の政治勢力であるパサパラ内部に共産党など左翼性の勢力への焦りとアウンサン個人への嫉妬心と権力への野望であった。
  • 1988年8月26日、43年後、アウンサンの娘が集会で演説、一党軍事政権から複数政党性への意向を訴えた。軍事政権の国軍参謀総長筆頭は三十人の一人ネウインであり、反政府武装勢力を鎮圧させビル連邦崩壊の危機を救った。だが、ここにきてアウンサン将軍の娘アウンサン・スーチが対抗してきた。

机上の戦略で敗戦『戦艦武蔵』

2019-05-27 07:47:40 | 歴史から学ぶ

@世界最高・最大の戦艦「武蔵」と「大和」。儚くも大きな戦果もなく敵の航空機により集中攻撃で沈没させられる。ミッドウェー海戦での失敗・後悔から「船」から「飛行機」時代だと悟っていながら莫大な軍用費と資源を「巨大戦艦」に投資した当時の軍令部、また、暗号がバレているにも関わらず南西諸島での相次ぐ敗戦などの要因は、戦地から遠く離れた東京での「机上の作戦」は戦争を身近に体験していないエリート集団だったことは、現代になり誰もが知り得たことだ。才能・知能が優秀でも、やはり「現場」での経験と才能・知能が生かされなければスピード感を持ったいい製品・サービスは生まれない、と言う事だろう。まさにコンビニ24時間問題もこれにしかり。現場を知らずして収益(結果)を見るだけでは上手くいかない。

『戦艦武蔵』吉村昭

  • 日本帝国海軍の夢と野望をかけた浮沈の戦艦「武蔵」。厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か。非論理的「愚行」に邁進した「人間」の内部に潜む奇怪さとはどういうものか。本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の対策である。
  • 所員たちの確信は巨大な新型戦艦が海上に浮かべば日本国土は12分に守護されるだろうと。日本は海に囲まれた島国であるから洋上戦力が航空機よりも必須だと考えられた。
  • 「長崎造船所」(三菱会社・優秀な商船建造、戦艦日向、土佐、霧島などを建造、19万坪の土地に10万坪の建物、1万5千名、造船所長玉井喬介、のちに常務)での「第2号艦建造」は昭和13年春に計画が始まる。国際連合脱退を機に戦艦を増やすことに、だが諸問題に対して総力で取り組むことになった。請負代金5265万円、引渡日昭和17年3月31日。(最終的には6490万に増える)、同時期に呉海軍工廠での第一号艦・大和予算は1億4千万だった。第3号艦は横須賀、第4号艦は呉海軍工廠で予定された。いずれも7万トン級の戦艦であった。
  • 「大きな問題は船台」の幅38m、長さ305m(戦艦長門は幅29m、長さ213m)への推進台(松材)と増設作業に資材6801トン、鋲数58万9097本、鉄の溶接部分の長さ3万5740m、工員数21万6478名。対岸に艤装するための岸壁を増設作業(16万m3・11mの深さ)
  • 「極秘の為の目隠し」に大規模な棕櫚縄を買い占め、覆いを作った(高さ3mまではトタン、その上10mに棕櫚を張り巡らせた)、またイギリス・アメリカの領事館前には大規模な軍事倉庫を建て海側を遮断。
  • 「推進式」に於いては、満潮時に綿密な計算のもと滑り出すスピード(獣脂・菜種油・軟石鹸を使い2時間)と戦艦の横ぶれ、また棕櫚の扱い、当日は防空訓練として住民に対する規制管理(1200名の警戒隊員と警察)、海上交通を禁止、海上での煙幕など10月31日に決行した。が途中2本の推進台の内側で亀裂が発生したが無事に推進式を断行できた。2年8ヶ月の船体工事と推進準備に19時間を要した。
  • 船体の重さは3万6千トン、舷側に貼る鋼鉄は厚みが40cmなど大型の甲鉄は全て呉からの搬入で、艤装作業でも15百名の技師、工員が大砲大型重機等も揃えられた。艦橋の長寿おは水面から40m、艦底から50m(国会議事堂と同じ高さ)、内部は13階となっていた。斬新なことは2枚の舵は左右離して取り付けられた。これは魚雷で攻撃があっても片側だけは作動するように設計されていた。
  • 山本五十六、連合艦隊司令官は当初大和に乗船、連合艦隊の旗艦だったがその後武蔵に移った。武蔵の乗員は2500名、重油搭載は6300トン、航続距離は最大速力27ノットで4100里、16ノットで12000里、大和も武蔵も貴重な重油を軽減するためトラック諸島での出番を待つことが多く、山本五十六はラバウル上空で戦死。武蔵はその遺骨を持って日本に帰還した。横須賀では天皇の見学含め外装を塗り替え燃料等を補充し再びトラック諸島に出向する。昭和19年には米の空有軍の集中攻撃があり、数度の日本帰還後ボルネオ島へ他の戦艦等も急行、ミッドウエー海戦以来、ほとんど自殺行為に近い戦いをしており、武蔵はミンドロ島近くにて100機以上の敵機の攻撃を受け、シブヤン海に座礁させるべき航海したが沈没。猪口艦長は武蔵とともに殉死、乗組員2399名中1376名が生存した。だが、生存者でも帰国した者、再度戦闘へ出向き玉砕された者も多かった。

人生に「運」はある『光と影』

2019-05-25 07:24:45 | 人生を「生かす」には

@人にはそれぞれの「運」があると思っている筆者である。「不運」もあれば「幸運」もある。この小説の中では同じ重症患者でいながら「医師のふとした判断」で、その患者の人生が変わると言うものだ。「光」は出世し、皆に愛され、惜しまれ、余生を充分満喫、片や仕事は無職で、ようやく仲間から紹介された事務職、親族に不幸が重なり、一人で生き、病気になり一人寂しく世を去る。「医師の判断」で「光と影」を生んだと言う短編だが、「運」はやはり自分から積極的に拾い集める事をしなくては「幸運」は無いと思う。 筆者も「人生の出世」で一つ言えることは、「幸運な人の下に付くこと」所謂、人生で成功している人の真似をし、その人の仕事を学び行動を共にする事を目標に行動した。で自分なりの「運」が向いたと思っている。ただし「幸運」とは他人との比較では無い。自分自身で思い信じる「幸運」であればいいと思う。

『光と影』渡辺淳一

  • 「光と影」戦場で腕に銃槍を負った二人の兵士。軍医は、一人の腕は切断したが、ふとした想いから、もう一人のそれは残した。そんなほんの偶然が両者の明暗を分け、市井の人となった前者は悶死し、軍に残った校舎は陸相、首相へと上り詰めた。実際の出来事をもとに描いた小説。
  • 明治10年、西郷軍と政府軍が戦った西南の役で負傷し、戦地から護送された軍人2名、寺内寿三郎と小武敬介(阿武時介)陸軍大尉の「光=寺内(陸相・首相へと出世)、影=小武(市井の人)」の「運」を分けた同じ病院での手術である。人生の明暗を分けた手術とは「腕の切断」した小武と「切断しなかった」寺内である。たまたまカルテの上にあった小武が基本道理の手術を行い(19世紀の医術の限界)、2番目の寺内が意思の決定(2人とも切断では切ない気持ち)で切断しない治療する処方を選んだことにある。寺内は手術後、余りの苦痛で「切断してください」とお願いしたが医師は化膿止めの処置を続け、時間と痛みは続いたが腕は残った、だが、腕・手は自由さが全くない状態だった。ところが現役復帰を成し遂げ、順風満帆の出世を遂げる。片や、切断された小武は、軍隊から離れ友人から紹介された陸軍省管轄にある社交場(偕行社)の事務局を務める。その間妻と息子を亡くし、一人娘も嫁に行く。ある日事務報告を陸軍省の陸相(寺内)に報告に出向くが、情けない自分の人生に寺内に八つ当たり、発狂する。白内障と精神的な理由で病院入りした小武は一人寂しく死んでいく。寺内は小武の3年前に内閣総理大臣として功績を讃えられ、天皇からのご無沙汰を賜り、従一位に叙せられるなど盛大に遑られた。
  • 「宣言」長期の痔病から直腸癌を患い余命いくばくもない巨匠画家祁答院正篤の生涯を語った短編。医師の判断「病名と余命の告知」が祁答院にとって、親族に、画家のファンにとって適切であったのかを語る。医者としては著名な画家であることを理由に告知する、それは「末期癌であり腫瘍が完全に摘発できなかったこと、人工肛門を利用すること、余命は1年」だと告知したことだ。当初は絶望感から気力、体力がなくなったが、数ヶ月後に故郷の絵を最後に描きたいと医師に相談。承諾を得、やせ細っていたが気力は回復、集中して絵を描いている時だけが生き生きとした。だが、半年の余命を残し死亡した。
  • 「猿の抵抗」病院に奇病患者が入院、それは無職の55歳で、大学病院医師の判断で入院等の治療費は一切無料でする条件を了承することで始まった。それは学生のための学用患者としての入院であった。治療はほとんどなされず、時代的に処方がなく、医師から見放された奇病で、医療学生の診断検査のモルモット的な患者となった。試験検査の連続の日々を送ることとなったが、病気には勝てず医師の言われるままの「猿」のような状態を余儀なくされ命を捧げることになった。
  • 「薔薇連想」一人の女性が梅毒にかかっていることが発症、数年前に関係を持ち移された人物はその梅毒が原因の大動脈瘤で亡くなった。その後ペニシリンを数十回繰り返すが血液の回復変化はなく、狼狽、苦し悩むが、後悔してもどうにもならず、どうすることもできない状態となる。人生そのものに対し、敵対視するようになり、次々と自分の梅毒を仕事関係者と関係を持ち移す行動をし始める。最後に関係を持ったのは元恋人で近々結婚する彼氏と接触する。果たしてその新妻、その子は・・・

「我慢は美徳」は時代遅れ『サイボーグ時代』

2019-05-23 07:51:27 | 最新技術(IT)で変わる事

@「できない事」は他の人から手伝ってもらう、あるいはロボットの支援で、「我慢」はしない。「できない事」には努力し、「困った事」を少なくする。一見矛盾しているようだが現実的なのだ。IT/AIの世界が人(できないこと、面倒なこと、困っていること)の環境を助け、使う人は仕込まれたデータに基づく「選択肢がない環境」に慣れ始めている。だからこそ「自分の選択肢を考え、実行」しなければならない時代になっている、と言う。 さらに「サイボーグ」分身(遠隔操作ロボット)をどこまで人は認める(仕事において、本人の出席なしの会議、学校での学生の出席有無など)のか今後の世界は「生身が動かなくとも分身ロボット・マシン」が世界を網羅する時代になる。 忘れてならないのは昔の「我慢は美徳」ではなく、我慢を隠すのではなく、できるまで工夫して頼れるものに頼り、前に進むことに変わり始めていることだ。

『サイボーグ時代』吉藤オリー

  • リアルとネットが融合する世界で、やりたいことを実現する人生の戦略・今最も注目を集めるロボット界の若き天才が描く世界とテクノロジーを使いこなす新たな生き方働き方。
  • 「サイボーグ時代」とはテクノロジーを日常生活に上手く取り入れることで、今までできなかったこと、これまでの「当たり前」を更新し続ける時代。テクノロジーがその人の能力となり、生活、人生と滑らかに融合することである。テクノロジーで「できる」を拡張させる。
  • 「人が不安を覚える根本的な原因とは何か」人は高齢化や病気、怪我などで、今まで「できた」ことができなくなっていくと、絶望的にも近い悲しみや将来への不安を覚える。しかし、「できない」と思っていたことが「できる」に変わった瞬間、未来に対して希望を持つことができる。引きこもりも同じ状態である。
  • 「ありがとう」は言いすぎると負債になる。(介護)人が孤独にならず人生を生きるには、他者から必要とされ、あるいは喜んでもらえて「ありがとう」を言ってもらえる機会を作っておくことが大切
  • 「年功序列が逆転する社会」年長者が年下に教えを請うのがスタンダードになる社会。特にテクノロジー分野で若者に聞く教え。
  • 「減点評価はもうやめよう」減点方式の社会では人は自然と「欠点をなくそう」「失敗を避けよう」と考える。
  • 「好きなことだけに専念できる社会」苦手なことに我慢して取り組む事をやめ、自分の得意な事に専念する。できな部分はアウトソーシングすればいい。「我慢は美徳」は時代遅れ。「勘違いと行動は美徳」
  • 「村社会2.0」とは小さなコミュニティーで居場所を探す。複数のコミュニティーに所属し、「学ぶ」より「担う」を考える。ルールの背景を考え、アップグレードさせる。
  • 「なりたい」から「やりたい」事を目指す、目的ではなく手段
  • 「できないことの可視化」隠すのではなくできない事を見せる。できない事に対し1、努力する2、手伝ってもらう3、自分で工夫する。
  • 「できない事」をゼロにするのではなく「困る事」をゼロにする
  • 人は「誰かのため」なら積極的になる
  • 「選択をしなくてもいい環境」に育った、だからどんな選択肢があるのかを知っておく事。多様性時代
  • 「普通」を取り戻そうとしても。「普通」は常に変化する。去年の普通と来年の普通は全然違う。普通を目指す限り、普通には追いつけない。
  • 「昔は良かった」という人はその時が楽しかっただけで今を楽しんでいないだけだ。

権力と隠れ蓑『オフショア化する世界』

2019-05-20 07:50:54 | 世界の動きから見えるもの

@ここで言う「オフショア」とは「財産の隠れ蓑」である、それは富裕層に必要不可欠なモノとなっている、と言う。結果的に富裕層の儲けた財産は「隠れ蓑」に隠され、それで得た税金は国民が払っている、と言う。権力を持った富裕層は諸外国での法を巧みに利用し「脱税」しているのだ。よって、諸外国が一致団結して法を徹底する事で払わなくていい税金を大企業含めた富裕層(隠れ蓑集団)に振り向ければいいのだ。そうすれば国内でも数社の企業・富裕層の税金負担で消費税など値上げしなくてもいいはずだ。 もう一つ気になった項目は、『ゴミ』(廃棄物)である。「ゴミを捨てる」という行為に我々はこのゴミがどこに行き、どのように処理されるかまでは気にも留めない。日本は米国についで世界で2番目に廃棄物の輸出国であり、受け入れた諸国での汚染・健康被害・海洋被害など諸問題が浮上し始めている。「CO2減量」とは政治家の言葉だけで、消費ベースでの生産量は格段に上昇状態にある。この「ゴミ」対策は再利用以上に諸問題は根深い。

『オフショア化アウル世界』ジョン・アーリー

  • 人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か
  •             「組織資本主義の終焉」「社会を超える社会学」など人や資源や機関が目もくらむような変化からオフショアの世界が出現している。社会を活躍させる方法、オフシェアリングは仕事、金融、娯楽、廃棄物、エネルギー、そしてセキュリティーといったものが作り出す関係性の見え難い集合へと至る。
  • ウオーレン・バフェット氏「階級格差による衝突は確かに存在する。しかし、戦いを仕組んでいるのは我々富裕層であり、勝利するのもまた富裕層である」。
  • タックスヘイブンは「秘密の法域」富裕層が直接管理する財産以外は「オフショア化」、結果「庶民だけが税金を払っている」
  • ゴールドマンサックスは4千社以上に分離、世界の各地にオフショア化された会社を持っており、その3分の1がケイマン諸島などタックスヘイブンに登録されている。「オフシェアリング(秘密の場所)は今や権力の世界が機能するに必要不可欠な手法となっている」それは西側でのグローバル化の楽観主義を生み出した。結果単純に法律違反(脱税)という方法で規則や規制を逃れていること。また、法規上は「合法」(租税回避)だとしても、法の精神に反している。ある法域では法を蝕みつつ、他の法域の中ではそれがまかり通っている。「国家権力外」での活動が多く脱法行為を組み合わせたものになっている。
  • 「オフショア社会」資源が消失し、秘密の経路を通って人間や資源がどこか他所からやっている社会の仕組み「民主主義の侵食」で諸国家を腐食させている。
  • 仕事(生産と労働=分散)、課税(二重非課税)、娯楽(メジャースポーツ契約はタックスヘイブンにある)、エネルギー(石化燃料を使うことへの投資)、廃棄物(ゴミ処理)、セキュリティーでの貨幣経済のオフショアリング化による租税回避(隠れ蓑)になっている。
  • 「廃棄物」グローバルな廃棄物の山が世界各地で急速に増加している。一般廃棄物の年間総量が22億トン(ミネラル水産業の600億ドル、ファーストフード産業1200億ドル、ペットフード産業420億ドル、美容整形産業400億ドルなど)、そのほとんどが発展途上国からの排出。低所得国はその廃棄物を「輸入・持ち込む」などゴミの輸送・輸入がある。ソビエト体制の時代にはハンガリーに、EUは南アフリカ(象牙海岸など)、現在ではインドのグジャラート、バングラディッシュ、パキスタン、など2千隻以上の船舶で輸送されている。以前中国は廃棄物資源輸入国の大国だったが基本的に禁輸になったが南シナ海に面するGuiyuが拠点となり特に年間150万トンの電子廃棄物を処理し、7500万ドル稼いでいる。課題なのは健康への影響で十人中七人が鉛の血中濃度が50%も高い状態になっている。CO2の排出も「生産ベース」から「消費ベース」への排出量報告を変更すべきだという論も出ている。規制できない船籍、海上での秩序管理はセキュリティーも含め進んでいない
  • 「ドバイモデル」40年間で急速に展開した都市はこのオフショアな世界を象徴している。「資本主義は自己を規制するシステムではなく非合理的な感情や根拠なきペシミズムに向かう傾向のシステムである」それは土地価格の劇的変化、金融崩壊により多くの建設労働者が解雇され、建設計画の半分は延期または中止となっている。それはオフショア化する消費、ツーリズム、資産開発、税制度が「限界」に来ていると見る。それは透明な民主主義にとっては破壊的なものとなる。それには社会で生じた資源がその社会で透明に課税され、外国資本の利害が社会の市民による利害以上に重視されないということを保証する頑健な手続きシステムである。「複雑性の理論」から脱出すべき「非線形」が必要だと。。。結論がない。

貪欲な商売に付き物『大明国へ、参ります』

2019-05-17 07:59:03 | 歴史から学ぶ

@足利将軍時代、明国との通商が行われたが、その影に明国は日本を臣下とし日本国王を立てようとした。その張本人が足利義満(北山殿)であった、と言う諸説だ。ここで興味を引いたのは明国と日本の商品価値に、大阪・九州の豪商たちが我れ先と多数乗り込み大商いをする。だが、いつの時代でも「詐欺師」はいる者で、その時代でも相当いたと予測できるし、「貪欲な商売人」はそこに墓穴を掘った者も多かったのだろう。実際多くの日本商品は数十倍の価値で買い取られ、特に硫黄は100倍近くの値で取引されたとある。また、明の生絹・青磁皿・壺なども数十倍の値で日本で売れる、とある。大儲け・良い話の裏には必ず「落とし穴」があり、最近ではこの穴が「オレオレ詐欺」から始まった「還付金詐欺」「融資保険金詐欺」、さらには「仮想通貨詐欺」「ワンクリック詐欺」などネットでの勧誘詐欺も多いと聞く。「世間に良い話など無い」とかかって、一旦停止状態にする「時間を置くこと」で解決する場合も多い。儲けの場合「貪欲」になると必ずやシッペ返しが来る、今も昔も同じ。

『大明国へ、参りまする』岩井三四二

  • 下級役人の甚八郎は、3代将軍足利義満(北山殿)の命により、遣明使の右筆と言う大役を命じられる。一行には一山当てようとする商人、渡明で箔をつけようとする僧も加わって、甚八郎は右往左往。しかしその裏では、日本国の根幹を揺るがす陰謀が進行していた。明までの航海を、史実に基づいき描いた壮大な歴史小説。
  • 明国への渡航目的は北山殿の書簡を明皇帝に届け、明国から北山殿の日本国王としての書簡と印をもらうことだった。時代は北山殿の子義持に将軍の座を譲っていた。北山殿は皇統の簒奪を狙っていた。
  • 船は日本の3艘と明国の3艘、旅費は儲け話から多くの商人と資金をかき集め、正史8名、土官6名、商売人、僧侶、船頭、水主など300名ほどが明国への献上品、馬20頭、太刀、槍、鎧、硫黄含め、商人の商売品を満載し温州、寧波、杭州、金城へと向かって航海を始めた。途中、この旅を阻止しようとする何者かに書簡を狙われた。下手人は見つからず乗員の中にいると悟ったが見あたらなかった。
  • 明国上陸後、商人の一人、四郎二郎は絹買い付けに初めての明商人と大儲けを企んだ。それは寄港した杭州での買い付けに手付金を入れて帰りに商品を引き取る予定だったが、まんまと騙され、便乗した他三十人の商人も同じ目に、帰りに寄った時にはモノ家の空で全ての手付金を持ち逃げされ、商品は無かった。他の三十人は四郎二郎を袋叩きに、四郎二郎は明に残り犯人を見つけ出すため、一行から抜け出した。その時、四郎二郎は妻に「離縁状」を送り夫の借金を妻が被ることを避けた。
  • 明皇帝への書簡、献上品等は無事終わり、明皇帝から贈り物とその代金を受け取ったが銀ではなく紙の銭だった。日本国では通用しない紙の銭半分を銀に交換してもらい、半分を明での商品等を購入することになる。約1年半の滞在で商人は商売をし、商品を仕入れ、僧たちは明の仏僧仏閣で修行した。
  • 明皇帝への書簡を狙う輩は甚八郎の同僚である同じ土官の孫六だった。孫六は幕府の宿老斯波義将~勘解由小路の推挙で土官となり、北山殿の日本国王を阻止する命で動いていた。問題は父(北山殿)が明国の属国となり日本国王となると、子の公方、征夷大将軍の立場が疑問視されること並ならず公家、武家大名、民衆までもが北山殿によって内裏をないがしろにすることを恐れたからだった。

「折り紙」で産業復興

2019-05-16 08:00:24 | 最新技術(IT)で変わる事

@伝統的な日本文化「折り紙」(英文でもORIGAMI)、「折紙工学」は日本発で世界に発信している。身近なところでは宇宙で使われている折りたたみのソーラーパネル、医療機器でのカテーテル内に収容するステントグラフト、ティッシュボックス・牛乳容器(廃棄するときの折方)など「折りたたみ」技術は今世界も注目している。参考になるのは昆虫から植物。やはり自然からの人間社会への恵はまだまだある。多層・積層を3Dプリンターを利用し立体的な製造物も組み立て工程を無くし一気に製造・生産発展する可能性はある。素材も廃材のプラスティックからと環境にも良くなる。「たかが折り紙、されど折り紙」注目したい日本の匠・産業になるか。(この書の図面が記載できないのが残念)

『折り紙の科学』萩原一郎・奈良知恵

  • 一枚の紙を折りたたむ事で、様々な表現ができる折り紙。芸術性の高い近代折り紙、そして産業分野への応用まで、折り紙は多くの可能性を秘めている。科学技術への分野に広がっており、特に産業分野、宇宙工学や建築工学での折り紙研究範囲が広がり始めている
  • 「折り紙の誕生」
  •             飛鳥時代、高麗から紙漉きと墨の製法が伝達。江戸時代から庶民に紙が入りやすくなり発展。
  • 「近代の折り紙」
  •             コンピュータプログラムによる図面から「折り紙設計」技術が発展、「TREEMAKER」などのソフトで複雑な折り紙設計図が可能となった。また2007年の公開された「ORIGAMIZER」では複雑な多面体形状も可能になった。CADによる製造物にも利用され金属製法、3Dプリンターにも利活用され始めている。さらに折り紙プリンターも登場し、積層型3Dプリンターでは今後期待されている。「折紙工学」は2002年日本初。この分野での注目分野はソーラーセル、ビル・列車、エネルギー、飲料容器、カーテン、衣服など、例として「ハニカム」(蜂の巣)形状の航空機への利用。
  • 「昆虫・植物に学ぶ」
  •             「羽隠」と言う昆虫は羽を体の中に仕舞い込む仕組み
  •             「テントウムシ」同様
  •             「パイナップル」螺旋折りたたみ
  • 「折り紙の基本」
  •             山折・谷折り・中割り折り・被せ折り・段折り・潰し折り

吉宗の業績と現政局との大差

2019-05-15 11:26:59 | 人生を「生かす」には

@「説教」と言うと世間は聞く耳を持たないのが現世代。「時代が違う」で一言。 ここで面白いのは、「遅刻をさせない知恵」「地域に集客する知恵」となると聴きたくなる。「遅刻をさせない知恵」とは「10時集合」とは言わないで「9時58分集合」とすることや、「地域活性化の集客する知恵」など徳川吉宗は20〜30年後を見据えた桜の植樹を飛鳥山、御殿山に作ったことだ。今でこそ桜の名所として地域の活性化の目玉として利用されているが本人は当然空想の世界でしか見えなかったことだろう。 さて現代の政治家「次世代に負債を持ち込むな」(この書で言う〜したいと思います・既に出来ない事が分かっていながら)と言っている安倍内閣で国債がみるみる内に膨大な数値になっているが、安倍内閣がその処理をするわけでもない、さらに言うならば、消費税増税も次期政局への無責任内閣とも言うべきだろう。本当に日本の将来を考慮した、次世代の為の策なのか疑問を呈する。「〜します」(次世代に負債を持ち込まない)とは決して言っていないことに注目しておかなければならない。 政治家は口次第。「口からの言葉」で不祥事を起こす輩もいるが政治家は唯一言葉が全てなのだ。だから真剣に考え発言・提案・演説してほしい。

『大人の説教』山本一力

  • 「考えるべきは、無理な倹約よりも手持ちの金をいかに楽しく大事に使うかではないか」「免許返納は他人に言われる前に自分で決める」暖かな人情の輪を描いて読者の胸を打つ人気作家が、今の世の中に心を込めて解く、まっとうな大人の服舞と日本人の美徳。シンプルな言葉と感謝の気持ちに元気が湧く。
  • 「遣う楽しみ」
  •             浪費は罪。倹約貯蓄は美徳。世間は金を遣う楽しみを説いてはくれない。知恵を使い遣う楽しみこそ、人は生きられる
  • 「午前8寺26分」
  •             丸い時刻で待ち合わせをする。すると遅れるものがない。
  • 「相席」
  •             京都のお店では客に相席をお願いしない。ゆとりの古い都。
  • 「研く」
  •             使いやすい道具はプロの腕。腕が道具を作る。プロの道具だけでは腕はよくならない。
  • 「下支え宣伝」
  •             売れ行きが鈍った時に支えるのが宣伝効果
  • 「出番に備えよ」
  •             人生には、誰しも出番がある。だから日頃それに備えておく事
  • 「江戸ではなく、彫り方を」
  •             井戸を掘ってくれるのが大事ではない。彫り方を教えてくれることが大事だ。
  • 「金を惜しむな」
  •             プロと素人の技の差を知ることに金を惜しむな
  • 「香ばしき重厚」               
  •             店長退任後の仕事、ドアマン。それは誰もが知り得るお客の顔
  • 「面を取れ」
  •             傾向と対策・礼儀を知らない世代へ「外に出て迎えるのが礼儀」
  • 「さすが年長者」
  •             「足るを知る」「身の丈をわきまえる」あるがままを受け入れることの大切さを教えている
  • 「ピンクの象」
  •             「ペンは剣よりも強し」
  •             〜をしてはいけないという表現は口にした瞬間からすでに負けている
  •             〜したいと思いますと言う限り、実現は難しい。〜しますが本来の言い方にならなければならない(政治家の言い方)
  • 「惜しまず与えよ」「出し惜しみするな」
  •             自分のものにするには時間と労力がかかる
  •             喜怒哀楽を体で表現せよ
  • 「教師とは」
  •             くるべく時代に備えて教育をする
  • 「二人口」
  •             親の務めは子を自立させること
  • 「閉じる時の極意」                       
  •             捨てるものを箱に入れて1週間待つ。
  •             その箱を再度見直し、必要だと思うものだけそこに入れておく
  •             不必要だと思ったものは全て捨てる(処分する)
  • 「第八代徳川方軍吉宗」
  •             吉宗の桜植樹(数十年後の世界を見た世界)
  •                         飛鳥山と御殿山(花見客)
  • 「縁」
  •             凡人は縁に気付かず、中人は縁を生かせず、大人は袖すり合う縁も縁とする
  • 「溜」
  •             人間は「待つ」に苦痛を覚え始めた
  •             短く、わかりやすく、素早く・・・「留」がない

部下が命令に背く「乱れ舞」

2019-05-13 07:58:25 | 歴史から学ぶ

@上司の命令は拒否できないが、拒否すれば自分の立場が無くなる。この書での立場は奉行所同心の与力の密命で恋に落ちた娘の父親を殺害する命が下った。それは与力の立場を守るがための家臣を捨て身の命にした、選択肢に悩む生き様だった。 現代風であれば上司の命令に背き、結果的に会社を辞める。という内容かもしれない。昔の上司は「成功の経験」を基に考えが古く市場の流れに適合していない場合も多々ある。強引に進める上司も中にはあるが、今は「提言」として進める必要が必要だ。それには必ず必須な条件と内容が伴わなければ拒否される。世間には多くのノウハウがあるが、その一つ、それは1、課題・問題点を明確に、2、その理由を付け、3、対処方法が理解・納得できること。それには3つ位の選択肢を提言し、自分が選ぶ選択理由を述べること。 これで上司を納得させれば・・・迷う事は無い。

『乱れ舞』藤井邦夫

  • 「乱れ舞」
  • 薬種問屋の主が惨殺され、娘が身投げをした。老人に手篭めにされ、強請られていたのが原因だという。そこで浮かび上がったの浪人・宗方慎之助は、元は直参旗本、そして秋山久蔵の幼馴染だった。追い詰められ、「公儀に恨みを晴らす」とい言い残して死んだともの無念に、久蔵は隠された悪を暴くことを誓う。
  • 宗方は金奉行で御金蔵の火事騒ぎを起こした失態で当時の勘定奉行の加納播磨守に汚名を着せられた。浪人となった宗方は他の浪人と一緒に金目当てで薬問屋の主人を殺害。が実は「毒薬」(眠り薬)も盗まれていた。「金」「毒薬」で謎だらけで真相がつかめない。
  • 幕府の御三家、田安家、一橋家、清水家の清水家家臣の伊沢家の跡取りが博打で失態、それを知った宗方が親を脅していた。それは江戸城へ入る鑑札を手に入れることだった。
  • ところが久蔵との捕り物で殺害容疑の宗方は自刀し、果てたが「恨みは晴らす」と遺言を残した。死んで恨みを果たすとは、と疑問が浮かび探索する。それは、宗方の妻が、宗方が書いた江戸城の金蔵の場所の地図を持っており、盗賊の仲間と組んで江戸城の御金蔵を狙うことがわかる。毒薬は門番等を眠らせるためのものであったと判った。
  • 久蔵は盗人の盗賊を捉え、全ての計画を加納播磨守に明かすと加納播磨守は幕府に秘密にできないことを悟り切腹、宗方の妻は江戸払いとなり尼となった。
  • 「腐れ縁」「なごり雪」
  • 「思案橋」
  •             「思案橋」とは、昔吉原に行くか、立ち止まって思案したところから付けられた小舟町と堀江町の橋。
  •             大名・旗本の屋敷ばかり狙って忍び込み、奪った金を貧乏人に分け与える盗賊「仏の文平」と名乗る義賊がいた。その党首が思案橋のたもとに蕎麦屋を2足の草鞋を営む父親五郎八は娘と暮らしていた。そこに隠密探索で奉行所同心の高村竜之進が偽証指南役になるまで仮住まいをすることになった。ある時久蔵に旗本稲葉家の榎本左内が訪れご先祖の銀の香炉が盗まれたとの話を受ける。香炉が売りだされれば稲葉家はお取潰しの上、切腹の命になると探索を願い出た。実は高村は万年与力の野田嘉門から過去の盗賊との関係が公儀にバレると立場が最悪となると考え即刻盗賊を惨殺するように命を下していた。
  • 久蔵は盗賊一味を捉え、五郎八には娘を幸せにしたければ、自刀を進め、遺言を叶えることにした。「仏の文平」の所業を調べれば嘉門もただでは済まされないが黙秘し、娘には父親が盗賊の党首だとは名乗らず行方不明として高村に侍を辞めいい夫婦になることを進めた。

沢庵和尚の墓石『影』とその遺言

2019-05-12 10:26:49 | 旅行

@「沢庵和尚」と「島倉千代子」の墓

先日品川にある東海寺、沢庵和尚が徳川家光の信任で迎えられたお寺と墓を見てきた。 お参りした後、偶然にもその墓石に「沢庵和尚の影」が見えたような気がして撮影した(下記写真)顔と両肩ー右腕が墓石に浮かんだように見えたからだ。 東海寺を終の住処とした沢庵和尚の遺言「葬式をするな、墓をつくるな、香典はもらうな、死骸は焼かずに山に埋めて二度と詣るな、法事をするな」は、もちろん戒名はない、今後世間の死後に残す言葉になるかもしれない。 このお墓の近くにはあの歌手の「島倉千代子」さんの煌くほど艶やかで斬新な暮石もある(写真)合掌


夫婦喧嘩は犬も食わない『寒梅』

2019-05-10 08:07:34 | 人生を「生かす」には

@この小説の内容は下記の通りの密偵の探索捕物だが、その背景にあるのは事件の背後にある人情。特に夫婦喧嘩でちょっとした思い違い事が原因で離縁したいとまで訴える。ところがお互いの思い込み相違があり、第3者がそれを説明するとあっさり仲良くなる。正に「夫婦喧嘩は犬も食わない」の場面もあり楽しい。現実夫婦喧嘩はやはり「余計なお節介はしなくとも良い」というのが世間の話。 だが最近はDVなどで極端な行動も多く、できる限り周りが見てあげる(意見を言う)方が良いのかもしれない。子供が犠牲になるのは絶対に避けるべき親・周り関係者の務めでもある。だから、子供に何か著しい変化が見えた場合は「気付き」・「出しゃばって」も早めに第3者に相談した方が良いのかもしれない。

『寒梅』藤原緋紗子

  • 「消息と絶った密偵を探して欲しい」縁切り寺慶光寺の御用宿「橘屋」の用心棒・塙十四郎は、元老中の楽翁こと松平定信から密命を受けた。早速、越後入りした十四郎の前に現れたのは、二分された藩の実態と貧困に喘ぐ民百姓の姿だった。藩政とは、弱き者への慈しみが溢れた著者の代表シリーズ。
  • 楽翁(定信)の密偵平蔵とともに商人姿で越後(秋山藩)に入り偵察をする。秋山藩は5万石の小藩で、藩主は水野幸忠、まだ18歳で徳川由の藩主で悪い噂があった。それは藩主を毒で病弱にし家老の戸田家関係する息子を藩主にするべく、また米問屋と組み、闇カネを作り搾取しているという噂だった。先の密偵は家老と米商人との密約商売した詳細が書かれた物を奪い戻す為に殺害されたと断定。その詳細は密偵の暗号化された片から解読され土の中から 発見、貴重な証拠を掴む。
  • 藩主幸忠は藩医に毒を徐々に守らせた事を知りながら芝居を続け、家老とその他の家臣の動きを観察していた。ついに最も信頼していた菊田家老も娘への脅迫で止もう得ず戸田家側に就く。多勢に無勢で成敗するきっかけが掴めず苦慮しているところへ楽翁の支えとして参上した十四郎に策を投げ、家老等の悪を一網打尽にする。が、藩主幸忠は菊田家老を信頼し、藩の立て直しに奮闘することになった。
  • 一件落着を見た十四郎はさらに柏崎へ別の密偵深井輝馬と殺害事件の真相を探るべく尋ねる。それは田舎に関東から逃げてきた盗賊三人が百姓の家々に押し入り、勘定人等を殺害するという事件であった。が地方の奉行所は剣術に疎く十四郎と輝馬に嘆願する。疑いをかれられたのが最近夫婦喧嘩をした夫がカネ欲しさに博打に手を出し、そこに居合わせた盗賊に脅されたことだった。それは佐渡からの御用金・金銀輸送で柏崎にその一部を倉に保管している事を打ち明けた事だった。夫は十四郎等に訳を説明し盗賊が押し入る日に取り囲み一網打尽にした。その際、勘定奉行で盗賊に殺された下手人の腕を切り落とし、髻を手に入れて仏前に報告するようにした。その後盗人たちは江戸での処罰を受けるように護送させた。

人間に期待しない時代『つながっているのに孤独』

2019-05-06 08:02:24 | 人生を「生かす」には

@「人間に期待しない社会・時代」はすでに始まっていると言う。それは常時接続のネット社会とその周辺に纏わるロボットによるものだと言う。時代とともに「電話」より「テキスト・動画配信」で繋がり、現実の人との交流も「摩擦を避ける」社会で「出会い」がネットに代わり、老若男女問わず人々は外出もしなくなっているのが現状は、この先何が起こるのか。「孤独」であると言う。これからの技術を考えるとAI/AR(人工知能〜現実世界)など人はコンピューター・携帯で会話し、生身の人間をなるべく避け、自分の思いのままに答え、反応し、支持してくれる心地よさの「マシン」(自分を高く評価し、感情もこもった姿勢を示してくれる)を求めていくのか。自己満足型マシン時代は既に人間に期待しない社会「自立AIマシン対応社会」を現実化しようとしているのか。癒してくれるのは人ではなくなるのか!

『つながっているのに孤独』シェリー・タークル

  • 「人生を豊かにするはずのインターネットの正体」
  •             もはや「使わない時代」には戻れない。だが、ロボットは、人の代わりになれるのか。ネットは、コミュニケーションの代わりになれるのか。テクノロジーと人間の関係を問い続けてきた「今そこにある危機」とは?
  • 「変わる人間とコンピュータの関係」
  •             80年代の初頭、人間の思考、記憶、理解に新たな認識をするコンピュータが登場、将来「自分の脳」になると認識。さらに「人の心を掴む力」への懸念を感じた。ネットワークとロボットの進化により「接続された心」、テクノロジーに多くを期待し、人間同士の関係に多くを期待しなくなっている。それは交流型ヒューマノイド(人間型ロボット・ペット)の出現、たまごっちから始まり、Furby 、AIBO、  My Real Baby、  Kissmet、  Cog、  Paro癒し系、介護まで出現した。ニールセンの調査(2010年)十代は1ヶ月に3000件のテキストを送り、Chatrouletteなどではユーザー数が1500万人で映像をお互いに見て話したりする。今後、人間の本質について「つながり」で人間同士どんな意味を持っていくのか・・・
  • 「ロボット時代」
  •             孤独の中に新たな親密さを求める時代。それはコンピュータと交わす秘密の会話を探し求め、「生きている」ロボットを疑似体験するようになる。子供とロボットとの出会いは「世話をする関係」を築き倫理的な問題(生きる・過食・自信喪失・怒り・虐待)も創出することになる。高齢者にとっても「癒しを求めるケア」ロボットから介護までペット的なものから実際の介護補助まで人は期待するようになる。特に「会話」による結びつきは「愛情」表現を持つように世話することで「自分への世話・介護」補助する役割に変わる。
  • 「ネットワーク時代」
  •             「いつも繋がっている人生」自由な空間、自在に思うままに操作できる空間から「距離・時間」をも操作することで外出がなくなり、現実の人間との交流もテキスト・画面交流が盛んになる。それは人間同士の付き合いが面倒で思い道理にならないことを嫌うからだ。ネットでは「処理・削除」が思いのままにできる点もあるが、生涯プライバシーが表面上に残り、それを削除することは不可能となる。また、 「ネット」からひと時も離れることができない状態になることは精神的な苦痛を感じながらも拒絶できない。「友達」との交流では電話よりむしろテキストベースを好み複数のプロファイル作りに必死になる。「声」のコミュニケーションを嫌がるのは「電話を切ること・やめること」(摩擦を好まない)は感情的に抑えきれなくなると言う。やがて「人間に期待しない社会」へとつながりコンピュータとの親密なつながりで心地よさを感じるようになる。オンラインの世界「ないよりはマシなものが、いつの間にかより良いもの、さらに何より良いものに変わる。「繋がっているのに孤独」への世界に入り込んでいる。何を失ったら寂しく感じるのか。それを考えれば、何を守るべきなのかが大切なものがわかってくるはず。
  • 「生きていること」「一緒にいること」「感情気配り、常に支えになる愛情は人間でなくてはならない」「本当の静寂と孤独を望んでいるのかもしれない」(人間の会話を取り戻すこと)