獅子風蓮のつぶやきブログ

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乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅳ章 その3

2023-03-05 01:17:09 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
■Ⅳ章 たたかいの軌跡
□Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆東村山文化会館固定資産税免除問題
こうした創価学会公明の政教一致体質を議会で厳しく批判していたのが朝木さんだった。朝木さんは、地方議会、そして国政で、公明すなわち創価学会がキャスチングボートを握り、その持てる金と票をフルに活用して日本の政治を掌握したとき、日本社会は極めて危険な全体主義に陥るのではないかと、東村山市政と議会を壟断する創価学会・公明の姿を例にあげて、その危険性を訴えていたのである。
1993年(平成5)6月議会以後も、朝木さんは議会で精力的に創価学会・公明党問題を取り上げているが、その代表的な例として、94年9月議会での一般質問と、95年3月議会での一般質問を紹介しておこう。

「第3点目、通告番号1、行政手続きの適正化、公正の確保について伺いますが、まず、創価学会東村山文化会館固定資産税免除問題等について伺います。
①、市と土地の交換を行なった旧公明会館家屋調査の経過について明らかにしていただきたい。②創価学会東村山文化会館の家屋調査について伺いますが、アとして、いつ調査を行なったか。イ、建物のうち、もっぱら宗教法人本来の用に供するものはどの部分であるか。また、その根拠は何であるか。ウ、建物のうち、もっぱら宗教法人本来の用に供するもの以外のものはどの部分であるか。エ、建物のうち、個人の専用に供される部分があるのではないか。オ、寺の庫裡等、住職及びその家族等、個人が居住の用に供している部分は課税対象であるか否か。カ、寺などで、階上は本堂で階下は会館と称し、一般私人に有料使用させる場合は固定資産税の課税対象であるか。また、無料の場合はどのような扱いになるか、明らかにしていただきたい」(94・9・20)

「戸籍住基台帳事務経費について伺いますが、担当職員の守秘義務について伺いますが、市民の方が非常にいきどおっておられるので……
○議長(倉林辰雄君) 静かに
○5番(朝木明代君) あえて問題にするのでありますが、創価学会を脱会し、住居を知られたくないのでこっそり東村山市に転入したところ、創価学会の東村山市の職員が住居を探し当てて尋ねてきたので、非常に驚いたということであります。担当職員の守秘義務について、どのように指導の徹底を図っているのか明らかにしていただきたい」 (95・3・14)

創価学会は、現在、日本全国に1000を超える会館や研修道場などの宗教施設を保有している。そして、それらの施設のほとんどに、池田氏が独占的に使用する通称、池田専用と呼ばれる施設を設置している。
こうした池田専用施設は、いずれも極めて豪華なものであり、1983年(昭和58)に聖教新聞社の最上階一フロアーを池田専用施設に改装するために使われた費用は、8億円だったことが、84年に学会本部や聖教新聞社に勤務する職員が著した『小説・聖教新聞』と題する内部告発の書によって明らかにされている。
池田氏一人が使用するための改装に8億円も消費するとは、驚くばかりだが、そうした豪華さ、贅沢さの一端を窺わせてくれる証言がある。かつて仙台市にある創価学会東北文化会館の池田施設の内装工事を手がけた学会地域幹部さんの次のような証言である。

「東北文化会館6階にある池田専用施設は、会員の目に触れずに直接、地下駐車場から専用エレベーターで上がれるようになっている。そこは全面床暖房の豪壮な空間。窓は二重ガラスで桧風呂やトレーニングルームも備えられている。欄間や襖は京都の最高の物を使っており、襖は黒漆の艶消しの品で、1枚22万円くらい。扉もタモの柾で40万円位。驚くほど贅沢な作りだった」

もちろん、これらの池田専用施設には、一般の会員はもとより幹部も立ち入ることはできない。立ち入りが許されるのは、池田氏の身のまわりの世話をする第一庶務の女性たちと、池田氏に許可された者だけである。当然のことだが、礼拝や行事に使用されることはない。その意味では、とうてい宗教法人施設とはいえない代物なのである。
だが、創価学会は会館すべてを宗教施設として登記しているため、豪壮な専用施設もすべて非課税扱いされており、固定資産税等は支払われていない。また、本来、法人や団体の役員が、法人ならびに団体が所有する施設を無償で使用している場合、税法上、その行為は贈与ないしは現物給与とみなされ、課税対象となるが、池田氏は専用施設の独占的使用という贈与ないしは現物給与を申告したことはなく、使用料も支払っていない。


◆税務調査と専用施設
もっとも、こうした実態に一度だけメスが入ったことがある。1990年と91年、国税庁の資料調査六課は、創価学会に対する調査を実施したが、91年度の調査の始まる直前、池田氏は、突然、居宅として独占的に使用していた東京・信濃町にある学会第二別館の4年分の家賃二千数百万円を支払ったのである。
「創価学会施設 池田名誉会長 無料で個人使用 4年間、居宅などに 税務調査矢先約2000万円払う」との見出しで報じた94年4月25日付『東京新聞』には、こうある。

「宗教法人『創価学会』(本部・東京、秋谷栄之助会長)の池田大作名誉会長(66)が新宿区信濃町の学会第二別館を家賃を払わないまま個人の居宅として利用していたが、国税当局が学会の公益活動面の税務調査を始めようとした平成3年に急きょ4年間分の家賃二千数百万円を学会に支払っていたことが24日、関係者の証言で分かった。
家賃を払わないと税法上、その分は学会から名誉会長への支払い給与となり、本来なら名誉会長の所得をめぐり申告漏れも指摘されるケースだが、未払い家賃全額が支払われたことなどで国税当局は結局課税問題にしなかった。
この問題について学会は『法人として適正に処置している。 もとより税務上も何ら問題ない』(広報室)とコメントしている。
名誉会長は信濃町の学会本部そばに時価数億円とも言われる木造二階建て、敷地面積約460平方メートルの自宅を所有。同時に自宅から約100メートル離れた第二別館も利用している。
第二別館は敷地面積約2100平方メートルで鉄筋二階建て。礼拝堂や事務所もあるが、昭和62年、二階部分に寝室や居間など数部屋が増築され、名誉会長が個人的に使用していた。
名誉会長が第二別館を利用する理由について学会は『学会本部にかつて右翼が乱入するなどしたため、警備がしやすい第二別館を使うようにしてもらっている』などとしている。家賃は名誉会長が利用し始めた昭和62年以来、請求していなかった。しかし、平成2年に東京国税局が創価学会の収益事業などについて税務調査に着手。
3年には本来の公益活動について調査しようとしたところ、名誉会長は第二別館に居住し始めてからの家賃4年4ヵ月分を学会に支払った。
家賃については公示地価を考慮に学会側が独自に算出したが、月額50万円前後と見られ、総額二千数百万円。この地域の賃貸相場よりも高めに設定されていたという。
池田名誉会長の所得は聖教新聞の役員報酬や著書の印税などが中心。納税額は平成2年からの3年間、それぞれ9854万円、1億3266万円、8715万円となってい る」

学会施設を無償で独占的に使用していた池田氏の行為が、贈与ないしは現物給与に当たるのは当然のこと。国税庁の調査で、そうした事実を指摘され、脱税ないしは申告洩れと判断された場合、会員に神聖不可侵と思われている池田氏のイメージは大いに傷つく。そこで、池田氏は、調査を前にしてあわてて家賃を支払うことで、国税の追及を逃れたのである。


◆非課税の特権を享受
同様に、95年秋の臨時国会、参院宗教法人特別委員会で取り上げられた、静岡県伊東市にある池田氏の専用別荘「東海センター」についても、創価学会は、国会で論議される直前、数年前に遡って固定資産税を地元の市当局に支払っている。
この「東海センター」は、大室山の山麓、相模湾を一望する伊東市富戸の高級リゾート地にある温泉付き別荘。別荘地を開発した伊豆急行のパンフレットには、「紺碧の相模湾を望み、振り向けば天城連山を仰ぎ見る景観リゾート」「迎賓館を建てるのにふさわしい成熟の高級別荘地」とあり、周囲には一流企業の寮や保養所が散在する。そうした高級感溢れる別荘地のなかでも「東海センター」は、ひときわ大きく、広さはなんと甲子園球場の1・5倍、54746平方メートル(16500坪)もある。広大な敷地のなかには、瀟洒な数寄屋風の和風の建物が建てられている。地元会員の間では、「池田先生の別荘」と呼ばれており、1年に一度か二度、池田氏が温泉に入りに来るためにだけ使用されていた。
しかし、この施設を創価学会は宗教施設として登記。95年1月現在の登記簿によると、創価学会所有のこの建物は、礼拝所、研修所、集会所となっている。宗教法人の礼拝所は、当然、非課税。したがって創価学会は、この土地、建物を取得の開始した84年以降、10年にわたって非課税の特権を享受してきたのである。
では、その金額は、いったいどのくらいになるのか。地元の不動産業者によれば、「東海センター」周囲の土地売買価格は、現在、坪35万円程度。だが、土地、建物の取得が始まったバブル最盛期の84年当時の坪単価は80万円を超えていたという。現在の売買価格35万円に16500坪をかけると57億7500万円。バブル最盛期の80万円をかければ、その価格はなんと132億円にもなる。地元の不動産業者の間では、「だいたい百億円」といわれているので、仮に百億円とすれば、不動産取得税は4パーセントで4億円。そして固定資産税は、年間およそ2100万円となる。宗教施設として登記することで、創価学会は、総額6億円近くの税金を免れていたのである。
だが、こうした事実を国会で問題にされることが明らかになった時点で、創価学会は、学会第二別館の家賃同様、固定資産税を急きょ、支払っている。
朝木さんは、東村山文化会館にも、こうした池田専用施設があるのかないのか、その有無を確認し、仮に専用施設があるとすれば、その固定資産税の減免措置を撤回すべきなのではないかとしたのである。
また、95年3月議会での一般質問では、93年6月議会での市民相談に関する質問と同様、市職員が、職務上知り得た情報を、創価学会のために漏洩しているのではないかと、その管理責任、公務員としての守秘義務についての市当局の認識をしたのであった。

 

 


解説
こうした創価学会公明の政教一致体質を議会で厳しく批判していたのが朝木さんだった。朝木さんは、地方議会、そして国政で、公明すなわち創価学会がキャスチングボートを握り、その持てる金と票をフルに活用して日本の政治を掌握したとき、日本社会は極めて危険な全体主義に陥るのではないかと、東村山市政と議会を壟断する創価学会・公明の姿を例にあげて、その危険性を訴えていたのである。

こういった本質的な批判をする朝木さんは、創価学会にとっては目障りでしょうがなかったのでしょうね。
だからこそ「なんとしても『草の根』、朝木を潰せ」ということになったのですね。

獅子風蓮