獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その7

2023-03-26 01:05:18 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


真相究明を求める

◆『週刊現代』ならびに朝木親子を告訴
月刊ペン事件同様、現在、創価学会は、朝木さんの遺族の大統さんと直子さん、そして『週刊現代』の元木昌彦編集長を、創価学会の名誉を毀損したとして、名誉棄損罪で警視庁に告訴している。
朝木さんの不可解な死については、事件が明らかとなった9月2日に『夕刊フジ』『日刊ゲンダイ』両紙が速報したのをはじめ、『週刊文春』『週刊新潮』『週刊宝石』『週刊実話』『週刊ポスト』『週刊現代』そして『フォーカス』『フライデー』『フラッシュ』などの週刊誌各誌がいっせいに報道。いずれも、朝木さんが創価学会と激しく対立していたことや創価学会関係者が「草の根」攻撃に関与していたことなどを根拠に、創価学会と事件との関係を疑うスタンスで記事を構成している。
このうち、『週刊現代』は、朝木さんの死を他殺と考える遺族の発言を、「夫と娘が激白!『明代は創価学会に殺された』」とのタイトルで報じ、記事中で直子さん、大統さんの次のようなコメントを紹介した。

「まるで坂本弁護士の事件みたいだと思った。絶対に自殺ではありません」(直子さん)
「母が死んだという一報が来たとき、すぐに、母は殺されたんだと思いました。2年くらい前から尾行されたり、いたずら電話が続いたり、私のポケベルに4(死)の数字が並んだり、さらには放火などのいやがらせが続いたので、夜一人で出歩かないようにするなど警戒していたんです。母のような人を自殺に追い込むことはできないと思います」(同)
「創価学会はオウムと同じ。まず汚名を着せてレッテルを貼り、社会的評価を落とす。 そして、その人物が精神的に追い込まれて自殺したようにみせて殺すのです。今回で学会のやり方がよくわかりました。母は生前、『私ぐらいの市民グループレベルの人間だと殺りやすいわよね』といっていました」(同)
「妻が自殺するはずがありません。創価学会に殺されたんですよ。事件後、私と妻が離婚していたとか、妻が死ぬ前に、青白い顔で歩いていたとか、事実でない噂が流されましたが、これも学会の仕業だと思います。妻が万引き事件で逮捕されたことも、学会におとしいれられただけ。万引き事件で悩み、それが原因で自殺したというシナリオを作ったんです。だとすれば、まるでオウムのような犯罪じゃないですか」(大統さん)
「妻が自殺するはずありません。この事件は創価学会と警察によってデッチあげられたとしたか思えない」(同)

これに対し一連の週刊誌報道を不快に思っていた創価学会は、『週刊現代』記事を槍玉にあげて、9月12日、同誌の元木昌彦編集長と、朝木さんの夫大統さん、長女直子さんを名誉棄損で告訴してきたのである。

告訴状にはこうある。
「被告朝木直子及び同朝木大統の告訴人(創価学会)が朝木市議を殺害した旨の発言は、全く事実無根の虚構であり、しかも、オウム真理教によるとされる坂本弁護士事件を引き合いに出して、告訴人があたかもオウム真理教と同じような殺人行為を平然と行なう極めて危険な集団であるとの印象を読者に強く与えようとするものであって、告訴人に対するきわめて悪質な誹謗中傷である」

告訴の後、創価学会は、9月21日付け『聖教新聞』掲載の「秋谷会長 質問に答える」と題するコラムで、「東村山市議の転落死で悪質なデマ報道」「学会本部『週刊現代』編集長らを告訴」との見出しのもと、会長自ら、敵意をむき出しにして、次のように直子さんらを批判した。
「警察の調べによれば、死亡した同市議には外傷や争ったあともなく、その後の捜査・解剖の結果などからも、飛び降り自殺した可能性が極めて高いとされています。いうまでもなく、学会には何のかかわりもない事件です。にもかかわらず同市議の長女は、『創価学会はオウムと同じ』『自殺したように見せて殺すのです。今回で学会のやり方がよくわかりました』などと耳を疑うような学会中傷のコメントを『週刊現代』に寄せた」
「この夫と娘は、その万引き事件も、今回の転落死事件も、なんと“学会が仕組んだ策謀”“学会と警察は共謀している”というのです。いったい彼らは、どんな根拠があって、そう断言できるのか。どこをどう調べてそんな結論が出てきたのか。何の証もなしに、こんな荒唐無稽な『シナリオ』をつくって、何の関係もない学会を「人殺し」呼ばわりするとは、迷惑千万極まる話です」

この後、創価学会は、10月5日付で、朝木さん父子、講談社に対し、名誉棄損に基づく損害賠償請求訴訟も提起。直子さん、大統さんに1億円の損害賠償を支払えと要求している。
現在、警視庁は、この事件の捜査を“熱心”に進めており、警視庁捜査二課の担当刑事
が、東村山署に『週刊現代』の元木編集長や担当編集者を呼びつけ、執拗に事情聴取を行っている。『週刊現代』関係者によれば、警視庁は、朝木さん父子に対する取材メモの提出や、担当記者の事情聴取まで要求するなど、この捜査にかなりの“力”を入れているという。
朝木さんの不可解な死については、ほとんど捜査らしき捜査をしていないにもかかわらず、名誉棄損事件については、わざわざ東村山署まで出向いて、事情聴取を行う。二つの事件に対する警察の捜査姿勢は対象的である。
それにしても、警視庁の捜査二課が担当するのだから、警視庁に呼べばいいものを、わざわざ東村山署に呼びつけ、手間と時間を費やさせるとは。こんなことをするから警視庁は創価学会との癒着を疑われるのである。


◆「池田大作レイプ事件」
ところで、現在、創価学会ならびに池田大作氏は、元創価学会の北海道副総合婦人部長、全国副婦人部長という要職にあった函館市在住の信平(のぶひら)信子さんの告発手記「私は池田大作にレイプされた」(『週刊新潮』96年2月22日号掲載)に揺れている。
手記によれば、信平さんは、1973年、83年、91年と、3度にわたって池田氏にレイプされたというのである。
先記の月刊ペン事件に象徴されるように、池田氏の下半身スキャンダルは、過去にもマスコミでしばしば取り上げられているが、その多くは伝聞情報に基づいている。今回の信平さんの告発は、そうした伝開情報とは異なり、被害者自身による実名での告発だけに、これまでのスキャンダル報道とは、次元が決定的に異なっている。
それだけに創価学会側は否定に躍起。機関紙誌で大々的に『週刊新潮』批判キャンペーンを展開するととともに、信平さんにはかねてから虚言癖があったなどと、激しい人格攻撃を続けている。
「信平信子は、かねてから自分の意にそわない幹部に対して、金銭問題や女性問題のスキャンダルを捏造する癖があった」(『聖教新聞』96・2・16付)
「(信平)信子は、小さいころから“ズルノブ”“ズルの信子”と呼ばれていた」
同2・25付)
「信子は、年輩の方など弱い者を狙う目は、ヘビのようにいやらしく、執念深くいじめぬく、悪女そのものでした。それで、この純粋な学会の世界にいられなくなった」(同)
それほど問題のある人物なら、なぜ、1973年(昭和48)以来、20年もの長きにわたって婦人部の要職を歴任させたのであろうか。合点がいかない。まして、3回目のレイプがあったとされる91年8月16日の直前、池田氏は信平さんに、創価学会幹部のなかでも特に功績のあった人物にしか贈らない「金褒章」を授与している。この「金褒章」は、副会長クラスにしか与えられない18金の学会マークの記章が与えられる特別の章。とても「虚言癖」のある「悪女」に与えられる章ではない。
いずれにせよ、信平さんの告発が事実無根なら、池田氏にとってこれほどの名誉棄損はないのだから、直ちに刑事告訴すべきである。だが、池田氏はいっこうに告訴する姿勢を見せていない。愛する肉親を亡くした直子さん、大統さんの発言に過剰に反応するよりも、虚偽ならば明らかに名誉棄損に該当するであろう信平さんの告発を問題にすべきだと思うが、創価学会は告訴の意志を見せようとはしない。
それにしても、先年まで婦人部の最高幹部をしていた人物を、「ズルノブ」だの「虚言癖があ」る「悪女」などと罵るさまは、醜悪な限り。もっとも従来から、創価学会は、 造反者や敵対者、批判者に対し、それこそ「事実無根」の誹謗中傷、罵詈罵倒を、それこそ平然と加えてきた。
朝木さんに対しても、「万引き常習者」だの「家族揃って万引きをしている」などと、それこそ根も葉もない誹謗中傷が執拗に加えられているが、そうした誹謗中傷の極めつけにあるのが、W不倫情報。
朝木さんと矢野さんは、以前からW不倫関係にあり、二人が性交渉していた声が、事務所から漏れていたなどとの噂が、東村山市では、創価学会・公明をはじめとする反「草の根」グループからまことしやかに流されているのである。
特に、朝木さんが不可解な転落死を遂げてからは、朝木さんの死は、「矢野と娘の直子が不倫関係に陥り、それにショックを受けたのが朝木の自殺の動機」などという唾棄すべき噂が、創価学会関係者などから流されている。
創価学会は、昨年(1995年)行われた宗教法人法改正の動きを、国家権力による宗教弾圧、人権侵害と主張、これを粉砕する戦いこそ、人権擁護の戦いと位置づけていた。だが、現実の創価学会は、会員に敵対者、批判者を憎み、呪うことを強要し、攻撃することを指示し、平然と他人の人権を侵害しているのである。これが、人に心の平安や安心を与えるべき宗教団体の姿といえるだろうか。

 


解説
「池田大作レイプ事件」については、判断を保留したいと思います。

獅子風蓮