獅子風蓮のつぶやきブログ

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乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その4

2023-03-23 01:36:36 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆衆議院宗教法人等特別委員会での論議
95年11月7日に開かれた衆議院宗教法人等特別委員会の席上、自民党の熊代昭彦委員は、朝木さんの不可解な死についての疑問を取り上げ、その捜査の経過を深谷隆司国家公安委員長(自治大臣)に質している。
熊代委員は、宗教が政党を支配して政権をうかがうことの危険性を指摘し、「創価学会は合法的選挙で(政権奪取を)やろうとした。ナチズムも合法的手段で出てきた」などと述べた後、すでに東村山市では、行政が創価学会によって左右されている危険性があるとしたうえで、次のよう に朝木市議の変死事件に言及した。

「事件死された朝木明代市議は、同市では、市議会、市職員、それに警察署職員に創価学会の方の比率が相当に高いということを批判し、業者との癒着、あるいは採用における癒着を批判しておられたということでございます。
私が特に問題視したいのは、人が事件死した場合に、水に落ちて溺れ死んだというような時にも、まず他殺を疑って、とことんそれを調べると、そしてそれを潰していってはじめて自殺という結論に達するんであって、ところが、この東村山署は、特に副署長さんといわれていますが、直ちに自殺説を出して頑張っていると、で、署長も警視庁もなあなあ主義で、正義を明らかにする情熱に欠けているんじゃないか、そんな風に思います。
アメリカではこういう場面ではFBIが出てくる。ところが日本はFBIがありません。だからこれは、警察庁が出ていただく場面であります。国家公安委員長、この問題についてですね、今後の対応、これまでの対応、特に素早く自殺説を打ち出してしまったのは、私は、捜査のイロハを心得ないことだと思います。この点に力点をおいてご答弁をお願いします」

これに対し深谷国家公安委員長は、マスコミが事件を大きく報道していることから、「極めて深い関心」を抱いており、関係者に事件の経緯について「詳しくしかも何度も聴取をしている」と述べた後、徹底捜査を指示していると、次のように答弁した。

「いま、東村山署の副署長が、直ちに事故死と断定したとおっしゃいましたが、私に対する報告に関して申し上げれば、この副署長は広報担当でございまして、見通しについて記者に聞かれたので『事件性は薄い』と説明しているのでございまして、格別、直ちに事故死と断定したわけではありません。現に、現在も自殺、他殺いずれとも断定しない状態で捜査をいっそう進めている状況でございます。
本件の事案に関しましては、あらゆる条件を視野に入れて捜査を進め、適正な措置がとられるよう指導してまいりたいと思っています」

国家公安委員長は、「(私に対する報告に関して申し上げれば)直ちに事故死と断定したわけではありません。現に、現在も、自殺、他殺いずれとも断定しない状態で捜査をいっそう進めている」と答弁している。だが、東村山署は『潮』の取材に対し、この答弁を1ヶ月以上遡る9月末の段階で「自殺と断定」したと話している。そして、その東村山署は、12月22日、『潮』の11月号に掲載された記事内容とほとんど同一の主張と根拠に基づいて、「犯罪性はない」すなわち自殺と断定している。この事実は、東村山署が、国家公安委員長には「自殺と断定はしていない。鋭意捜査中」と報告しておきながら、実際には、事件発生時点で描いた「万引き事件を苦にしての自殺」とのシナリオ通りの動きしかしなかった可能性を示唆している。
あくまで「万引きを苦にしての自殺」に固執する東村山署だが、遺族や関係者、マスコミ以外にも、朝木さんの死に他殺の疑いをもつ人々は多い。そうした一人に、警察庁出身で連合赤軍のあさま山荘事件の捜査指揮にも携わった亀井静香自民党組織広報本部長(元運輸大臣)がいる。亀井代議士は、『週刊朝日』の取材に対し、朝木さんの死は「他殺の可能性が高い」と次のように述べている。
「警察庁長官や警視総監には『これを単に自殺事件として片づける度胸があるのか』と言いました。客観的な状況からいって、殺人事件の疑いもあるという観点から取り組む事案であることは間違いない」(『週刊朝日』95・11・10)


◆東村山署副署長のマスコミ対応
前述のように亀井代議士は警察庁の出身。捜査のイロハを知らない素人ではない。ところが、東村山署は、亀井代議士が指摘する客観的状況や事件性の根拠をいっさい無視。ひたすら「自殺説」に固執し続けた。『潮』の記事は客観的状況に対するそうした東村山署の姿勢を次のように バックアップする。

「矢野氏側の話では、それまで朝木市議らに対して、脅迫電話、自転車破壊、暴行、燃え新聞の投げ込み……などのいやがらせがあったという。週刊誌ではこれがあたかも学会側の仕業のようなほのめかしをするが、第三者の目撃も、関係者からの正式な警察への届け出も全然なく、いやがらせが本当なのか、あるいは関心を引く作り話なのか、まったくわからない。矢野氏から繰り返しファクスで支離滅裂な文書を送りつけられる地元記者たちは『いやがらせは矢野氏の自作自演』と冷笑している。警察も『証拠があるなら提出してくれ、捜査を行なう』と冷静に対応している」

同様に、千葉副署長が事件性の唯一の根拠とした、朝木さんが履いていた靴が見つからないことについても、『潮』は次のように記す。
「ただ彼女の履いていた靴がみつからないのが気にかかるが、これは他殺の線が残る時に疑惑の対象になるもので、自殺が確認された時点では二次的な意味しかもたない。自殺を他殺に見せかけるためにしようとする者が靴を隠匿したことも考えられぬわけではない」
第Ⅱ章で触れたように、矢野氏に対する威嚇行為を続けていたS・Hが創価学会の活動家であること。また、矢野氏に対する暴行事件や、朝木さんの自宅門柱で灯油を染み込ませた新聞紙が燃やされた事件は、いずれも警察に通報されており、朝木さんの不可解な死の当日、当直だった須田係長が現場を検証している。にもかかわらず、東村山署は、以後、ほとんど捜査をしていない。まして矢野氏の暴行事件に至っては、被疑者を即日、釈放している。こうした事実を指摘すれば、『潮』の記述の欺瞞性は明らかだろう。ちなみに『潮』が引用する 「地元記者たち」の一人である全国紙S紙の地元記者K氏は、業界でも有名な創価学会員である。
ところで、『潮』の記事は、東村山署が「ことさら他殺説を振りまく週刊誌に不信感、不快感を隠さない」と記しているが、東村山署、特に広報担当の千葉副署長のマスコミに対する姿勢には異常なものがあった。当初、千葉副署長は、週刊誌の取材に対しても柔軟に対応していたが、週刊誌各誌の記者が独自の取材結果に基づいて捜査のずさんさを指摘し、疑問点を問いただし始めると、突然、怒りはじめ「捜査妨害だ」などとわめいて、『週刊新潮』『週刊ポスト』『週刊現代』『週刊文春』などに対し「取材拒否」の暴挙に出たのである。
その一方で千葉副署長は、『潮』の取材については、懇切丁寧に応じている。これでは東村山署と創価学会は、連携プレーで朝木さんの死を自殺と喧伝し続けたといわれてもいたしかたあるまい。

 

 


解説
遺族や関係者、マスコミ以外にも、朝木さんの死に他殺の疑いをもつ人々は多い。そうした一人に、警察庁出身で連合赤軍のあさま山荘事件の捜査指揮にも携わった亀井静香自民党組織広報本部長(元運輸大臣)がいる。亀井代議士は、『週刊朝日』の取材に対し、朝木さんの死は「他殺の可能性が高い」と次のように述べている。

その後、自民党が公明党と連立を組んでから以降は、亀井氏は「東村山女性市議転落死事件」に対して発言をしていません。
亀井氏に、現在の心境をお聞きしてみたいものです。

東村山署、特に広報担当の千葉副署長のマスコミに対する姿勢には異常なものがあった。当初、千葉副署長は、週刊誌の取材に対しても柔軟に対応していたが、週刊誌各誌の記者が独自の取材結果に基づいて捜査のずさんさを指摘し、疑問点を問いただし始めると、突然、怒りはじめ「捜査妨害だ」などとわめいて、『週刊新潮』『週刊ポスト』『週刊現代』『週刊文春』などに対し「取材拒否」の暴挙に出たのである。
その一方で千葉副署長は、『潮』の取材については、懇切丁寧に応じている。これでは東村山署と創価学会は、連携プレーで朝木さんの死を自殺と喧伝し続けたといわれてもいたしかたあるまい。

東村山署と創価学会は、連携プレーで朝木さんの死を自殺と喧伝した疑いがあります。

獅子風蓮