獅子風蓮のつぶやきブログ

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乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その8

2023-03-27 01:10:31 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆宗教法人法違反による創価学会解散請求
こうした創価学会の実態を、朝木さんの意志を継ぐ直子さん、矢野さんは厳しく批判。 95年11月24日には、創価学会を宗教法人法第81条に基づいて法定解散させるよう求める訴訟を東京地裁に提起するとともに、同日行われた記者会見の席上、直子さんが、来る衆議院総選挙に東京新二十区から出馬し、創価学会問題を国政の場で追及する姿勢を明らかにした。
創価学会の法定解散命令を求める訴訟を提起したのは、大統さんと直子さん、そして矢野氏の3人で、東京地裁に提出した「宗教法人解散命令請求申立書」の趣旨は次のようなものとなっている。

創価学会は日蓮正宗の信徒団体として発足し、1952年(昭和27)8月27日付けで東京都知事の認証を受け、宗教法人資格を取得したが、認証された宗教法人規則の第3条(目的)ならびに法人登記簿の目的の欄には、「この法人は、日蓮大聖人御建立の本門戒壇の大御本尊を本尊とし、日蓮正宗の教義に基づき、弘教および儀式を行ない……」とある。また、規則の第32条(公益事業に対する支援)には、「この法人は、宗教法人日蓮正宗を外護すべく供養し……」と記載されている。
しかし、現実の創価学会は、1991年(平成3)11月に日蓮正宗から破門され、この前後からは、日蓮正宗を日顕法主の名を冠した「日顕宗」と呼称。これを「撲滅」するまで闘うとして、暴行、脅迫、尾行など違法行為、不法行為をともなう激しい攻撃を加えている。
要するに、「日蓮正宗の教義に基づき、弘教および儀式を行なうことを目的にして設立された宗教法人、しかも「日蓮正宗を外護すべく供養」することをうたっている宗教法人が、逆に日蓮正宗を攻撃、これを撲滅するまで闘うとして活動を続けているのが実態なのである。
宗教法人の解散を規定した宗教法人法第81条の一項には、宗教法人が「宗教団体の目的を著しく逸した行為をしたこと、又は一年以上にわたってその目的のための行為をしない」場合は、所轄庁、検察庁、利害関係人の請求により、裁判所は解散を命令することができると規定している。
直子さんらは、破門前から創価学会が、日蓮正宗を激しく攻撃している事実はこの解散事由に当たるとして、また、創価学会の数々の社会的不正行為は、オウム真理教の解散命令の根拠となった、宗教法人法81条二項の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」にも該当するとして、東京地裁に解散命令を求めたのである。
同日、午前11時から霞が関の弁護士会館で行われた記者会見の席上、矢野氏は、請求の趣旨を次のように説明している。

「日蓮正宗を守るとして認証された宗教法人が、逆に日蓮正宗を攻撃している。これは明らかにおかしい。当法人としての資格を取り消されるべきではないのかというのが、請求の趣旨です。本来、宗教法人として認証されるためには、信仰の対象である本尊、教義が不可欠ですが、創価学会は自前の本尊、教義すらもっていない。その意味では、宗教団体として成り立ちうるのかという疑問すらある。そうした団体が宗教法人法を隠れ蓑にして、巨額の金を集め、税法上の優遇措置を受け、その巨額の金の力を背景に、政治をしようとしている。とても見過ごすことができないので、訴えを起こすことにしました」
もともと学会員でもなんでもない直子さんらが訴訟を提起することができたのは、朝木さんの不可解な死をめぐる報道の過程で、創価学会が、『週刊現代』の元木編集長と、大統さん、直子さんを被告として名誉棄損で告訴。あわせて名誉棄損に基づく1億円の損害賠償請求訴訟を起こしたから。
「1億円の損害賠償請求訴訟を起こされたことで、債権、債務の関係が発生した。それが利害関係人にあたると判断した」(朝木さんの訴訟代理人を務める中田康一弁護士)
直子さんらは、この日、提訴に先だって青島都知事に対し、オウム真理教同様、創価学会の解散請求を速やかに行うよう請求した。


◆弔いのたたかいに立つ
ところで、記者会見の席上、直子さんは、衆議院東京新二十区から出馬し、池田氏の信任厚い新進党の女性局長である大野ゆり子代議士(旧公明)と闘うことを正式に宣言した。直子さんはその決意をこう語っている。
「母も、宗教法人としての資格に疑問のある創価学会が宗教法人としての特権を享受して政権を窺っていることに強い疑問をもっており、つねづね『これは何とかしなくちゃいけないわね』と話していました。今回の提訴で、その意志の一端を継ぐことができたと思っています。また、本日、正式に衆議院選挙への出馬をしましたが、政教一致の創価学会によって日本の政治が支配されるようなことになれば、民主主義は危殆に瀕します。このままではいけないとの危機感からあえて出馬を決意しました。言論によって創価学会を批判していた母が、暴力によって口を封じられてしまった。その無念を晴らすためにも断固創価学会と闘っていきます」

これに先だって創価学会は、10月「東村山戸田区」の座談会強化月間に指定し、森田一哉理事長をはじめ、数十人の副会長を東村山市に投入。組織の引き締めを図った。地元の創価学会幹部が語る。
「朝木さんの死と創価学会の関与を取りざたするマスコミ報道によって、組織内に動揺が広がったため、朝木さんの死は、万引き事件を苦にしての自殺との指導を徹底して行い、組織の引き締めを行った。その際、会員に危機意識をもたせるために、朝木直子が衆議院に出馬する可能性が高い。直子が出馬すれば、大野と朝木の一騎打ちとなり、あるいは大野が負ける可能性もある。先生を守るため、創価学会を守るため、なんとしても大野を勝たせようとの指導も行われ た」

10月30日には、新進党の小沢一郎代表幹事(当時)と江田五月広報企画局長が、わざわざ東村山地域まで足を運んでいる。この日、新進党は、東村山市に隣接する所沢市の西武園内にある「アイドル共和国」で、東京新二十区地域の総支部結成大会を開催。 大野ゆり子氏の必勝を誓い合ったのである。これに参加した全員によれば、参加者の大半は学会員で、小沢氏は、宗教法人法の改正を断固阻止することを約束。会場のヤンヤの喝采を浴びるとともに、大野氏の必勝を要請したという。
来る衆議院総選挙は、21世紀の国政の動向を左右する重大な選挙。と同時に、政権奪還を期す創価学会にとっても、乾坤一擲の決戦となる。昨年来、創価学会が支援する新進党と小選挙区で一騎打ちの対決を余儀なくされた自民党は、創価学会に対する攻撃を強めており、創価学会の政教一致問題や反社会的体質が、複数の選挙で争点となった。朝木事件は、当然、一つのファクターとなる。それだけに朝木さんの死は自殺との結論による引きを、創価学会は切望していた。東村山署の「犯罪性なし」との捜査結果の発表は、そうした創価学会にとってまさに願ったり、叶ったりの内容だったのである。東村山署の捜査結果を創価学会が大々的に宣伝するのは、当然のことだったといえよう。

 


解説
10月30日には、新進党の小沢一郎代表幹事(当時)と江田五月広報企画局長が、わざわざ東村山地域まで足を運んでいる。この日、新進党は、……大野ゆり子氏の必勝を誓い合ったのである。これに参加した全員によれば、参加者の大半は学会員で、小沢氏は、宗教法人法の改正を断固阻止することを約束。会場のヤンヤの喝采を浴びるとともに、大野氏の必勝を要請したという。
来る衆議院総選挙は、21世紀の国政の動向を左右する重大な選挙。と同時に、政権奪還を期す創価学会にとっても、乾坤一擲の決戦となる。昨年来、創価学会が支援する新進党と小選挙区で一騎打ちの対決を余儀なくされた自民党は、創価学会に対する攻撃を強めており、創価学会の政教一致問題や反社会的体質が、複数の選挙で争点となった。朝木事件は、当然、一つのファクターとなる。それだけに朝木さんの死は自殺との結論による引きを、創価学会は切望していた。東村山署の「犯罪性なし」との捜査結果の発表は、そうした創価学会にとってまさに願ったり、叶ったりの内容だったのである。東村山署の捜査結果を創価学会が大々的に宣伝するのは、当然のことだったといえよう。

このあたりの当時の政治的状況が、東村山署の捜査結果を創価学会が大々的に宣伝したことに結びついていたのですね。

獅子風蓮