獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その1

2023-03-20 01:04:22 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき



Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること

朝木事件をめぐる創価学会と東村山署の連携プレー

◆東村山署の最終判断
暮れも押し迫った1995年12月22日、東村山署は朝木さんの不可解な転落死について緊急記者会見を行い、事件後の95年9月下旬に赴任してきた山田正治署長が「転落について他人が介在した状況はなく、犯罪性はない」との捜査結果を発表した。
「犯罪性」がないのだから他の可能性はゼロ。要するに朝木さんの死は自殺だというのである。
東村山署が、朝木さんの死に「犯罪性」がないとした根拠は、以下の3点。
①転落現場近くで争う声や不審な目撃情報がない。
②朝木さんの着衣に突き落とされた形跡がない。
③第一発見者に「大丈夫です」と話し、被害を訴える言葉がなかった。
12月22日の記者会見の席上、山田署長は、「犯罪性はない」と断定した根拠と自殺とすればその動機を、より具体的には次のように説明している。
【動機】
万引き事件で地検に出頭を求められたのを苦にしたのではないか。
【根拠】
1、ビルの聞き込みによると、事件発生当時、「キャーッ」という悲鳴と落ちる音以外に争ったり、助けを求めたりする声がなく、第三者が介在したとはいえない。
2-①、ビルの壁(手すり)は、0・9メートルから1・3メートルの高さであり、身長1・6メートルの朝木さんなら乗り越えられる。
 ②、手のこすった跡が、防護壁(手すり)の階段側に向いてついており、突き落とされた痕跡はない。
3、朝木さんは、裸足で歩いて現場の5階に昇った。根拠はストッキングが破れていること。
4、放物線状ではなく、直下に落下している。突き落とされたのであれば放物線状になる。
5-①、「大丈夫ですか」と聞かれた際、朝木さんは「大丈夫です」と答えている。
 ②、「落ちたんですか」と聞かれて「いいえ」と答えている。
 ③、「急車を呼びましょうか」と聞かれて「いいです」と断っている。
6-①、衣服に争ったときにできる「破れ」や「ボタンが飛ぶ」などの形跡が見られない。
 ②、身体に皮膚の剥離など争ったときにできる傷がない。
7、事件の現場で、事件の前後には、不審な人物や不審な車両の目撃証言がない。


◆“自殺”に歓喜する人々
この捜査結果に、朝木さんの死への関与を疑われていた創価学会は大喜び。捜査結果発表の翌23日、機関誌(ママ)『聖教新聞』に、
「東村山市議の転落死問題 警視庁が『自殺』と最終結論 『学会が関与』とデマ宣伝したマスコミ、自民党議員 問われる重大な責任問題」
との見出しを掲げて次のように速報した。

「警視庁東村山署は22日、東村山市議の朝木明代氏が今年9月、同市内のマンションから転落死した問題の犯罪性を否定し、同市議は飛び降り自殺だったと断定する最終的な捜査結果を発表した。
その理由として同署は、転落現場近くで争う声や不審な目撃情報がないこと、市議の着衣に突き落とされた形跡がないこと、第一発見者に『大丈夫です』と話し被害を訴える言葉はなかったことなど具体的な根拠を示し、『転落について他人が介在した状況はなく、犯罪性はない』としている。
朝木市議は、今年6月、同市内の洋品店でTシャツを万引きした窃盗容疑で、7月に書類送検されていた。
転落死に関し、自民党の穂積良行(旧福島1区)、熊代昭彦(旧岡山1区)の両氏は、警察の調べで「自殺の可能性が極めて高い」とされていたにもかかわらず、週刊誌記事など(『文藝春秋』11月号、『週刊新潮』10月12日号、『週刊朝日』)をもとに、学会が関与したかのようなイメージを抱かせる悪質な中傷質問を国会で行なった(11月7日、宗教法人特別委員会)。
また、『週刊現代』(9月23日号)が、同問題に関して事実無根の学会記事を掲載したことについて、学会本部は、同誌編集長と朝木市議の夫と長女の3人を名誉棄損で警視庁に告訴(すでに正式受理)したほか、同3人と講談社らを相手取り、名誉棄損に対する『謝罪広告』の全国紙5紙等への掲載と1億円の損害賠償を求め、民事裁判を東京地裁に起こしている。
今回、捜査の最終結論が出たことにより、同市議の家族らによる荒唐無稽な話を利用し、学会に対する意図的なデマ宣伝にしたマスコミと自民議員の倫理と責任問題が厳しく問われることになろう」

さらに創価学会は、12月27日付けで、
「東村山市議の『転落死』に決着=警視庁が『自殺』と断定」「学会関与と騒いだ責任重大」「糾弾される悪質マスコミのねつ造体質」
との大見出しをつけた青年部機関『創価新報』の号外を発行。同紙を東村山市内で大量に戸別配布するなど、東村山署の捜査結果の発表を契機に、朝木さんの死は“やっぱり自殺だった”と大々的に宣伝している。

 


解説
朝木事件をめぐる創価学会と東村山署の連携プレーが、このあと明らかにされます。
さらには、検察内部にも創価学会員が……

獅子風蓮