獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その7

2023-03-26 01:05:18 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


真相究明を求める

◆『週刊現代』ならびに朝木親子を告訴
月刊ペン事件同様、現在、創価学会は、朝木さんの遺族の大統さんと直子さん、そして『週刊現代』の元木昌彦編集長を、創価学会の名誉を毀損したとして、名誉棄損罪で警視庁に告訴している。
朝木さんの不可解な死については、事件が明らかとなった9月2日に『夕刊フジ』『日刊ゲンダイ』両紙が速報したのをはじめ、『週刊文春』『週刊新潮』『週刊宝石』『週刊実話』『週刊ポスト』『週刊現代』そして『フォーカス』『フライデー』『フラッシュ』などの週刊誌各誌がいっせいに報道。いずれも、朝木さんが創価学会と激しく対立していたことや創価学会関係者が「草の根」攻撃に関与していたことなどを根拠に、創価学会と事件との関係を疑うスタンスで記事を構成している。
このうち、『週刊現代』は、朝木さんの死を他殺と考える遺族の発言を、「夫と娘が激白!『明代は創価学会に殺された』」とのタイトルで報じ、記事中で直子さん、大統さんの次のようなコメントを紹介した。

「まるで坂本弁護士の事件みたいだと思った。絶対に自殺ではありません」(直子さん)
「母が死んだという一報が来たとき、すぐに、母は殺されたんだと思いました。2年くらい前から尾行されたり、いたずら電話が続いたり、私のポケベルに4(死)の数字が並んだり、さらには放火などのいやがらせが続いたので、夜一人で出歩かないようにするなど警戒していたんです。母のような人を自殺に追い込むことはできないと思います」(同)
「創価学会はオウムと同じ。まず汚名を着せてレッテルを貼り、社会的評価を落とす。 そして、その人物が精神的に追い込まれて自殺したようにみせて殺すのです。今回で学会のやり方がよくわかりました。母は生前、『私ぐらいの市民グループレベルの人間だと殺りやすいわよね』といっていました」(同)
「妻が自殺するはずがありません。創価学会に殺されたんですよ。事件後、私と妻が離婚していたとか、妻が死ぬ前に、青白い顔で歩いていたとか、事実でない噂が流されましたが、これも学会の仕業だと思います。妻が万引き事件で逮捕されたことも、学会におとしいれられただけ。万引き事件で悩み、それが原因で自殺したというシナリオを作ったんです。だとすれば、まるでオウムのような犯罪じゃないですか」(大統さん)
「妻が自殺するはずありません。この事件は創価学会と警察によってデッチあげられたとしたか思えない」(同)

これに対し一連の週刊誌報道を不快に思っていた創価学会は、『週刊現代』記事を槍玉にあげて、9月12日、同誌の元木昌彦編集長と、朝木さんの夫大統さん、長女直子さんを名誉棄損で告訴してきたのである。

告訴状にはこうある。
「被告朝木直子及び同朝木大統の告訴人(創価学会)が朝木市議を殺害した旨の発言は、全く事実無根の虚構であり、しかも、オウム真理教によるとされる坂本弁護士事件を引き合いに出して、告訴人があたかもオウム真理教と同じような殺人行為を平然と行なう極めて危険な集団であるとの印象を読者に強く与えようとするものであって、告訴人に対するきわめて悪質な誹謗中傷である」

告訴の後、創価学会は、9月21日付け『聖教新聞』掲載の「秋谷会長 質問に答える」と題するコラムで、「東村山市議の転落死で悪質なデマ報道」「学会本部『週刊現代』編集長らを告訴」との見出しのもと、会長自ら、敵意をむき出しにして、次のように直子さんらを批判した。
「警察の調べによれば、死亡した同市議には外傷や争ったあともなく、その後の捜査・解剖の結果などからも、飛び降り自殺した可能性が極めて高いとされています。いうまでもなく、学会には何のかかわりもない事件です。にもかかわらず同市議の長女は、『創価学会はオウムと同じ』『自殺したように見せて殺すのです。今回で学会のやり方がよくわかりました』などと耳を疑うような学会中傷のコメントを『週刊現代』に寄せた」
「この夫と娘は、その万引き事件も、今回の転落死事件も、なんと“学会が仕組んだ策謀”“学会と警察は共謀している”というのです。いったい彼らは、どんな根拠があって、そう断言できるのか。どこをどう調べてそんな結論が出てきたのか。何の証もなしに、こんな荒唐無稽な『シナリオ』をつくって、何の関係もない学会を「人殺し」呼ばわりするとは、迷惑千万極まる話です」

この後、創価学会は、10月5日付で、朝木さん父子、講談社に対し、名誉棄損に基づく損害賠償請求訴訟も提起。直子さん、大統さんに1億円の損害賠償を支払えと要求している。
現在、警視庁は、この事件の捜査を“熱心”に進めており、警視庁捜査二課の担当刑事
が、東村山署に『週刊現代』の元木編集長や担当編集者を呼びつけ、執拗に事情聴取を行っている。『週刊現代』関係者によれば、警視庁は、朝木さん父子に対する取材メモの提出や、担当記者の事情聴取まで要求するなど、この捜査にかなりの“力”を入れているという。
朝木さんの不可解な死については、ほとんど捜査らしき捜査をしていないにもかかわらず、名誉棄損事件については、わざわざ東村山署まで出向いて、事情聴取を行う。二つの事件に対する警察の捜査姿勢は対象的である。
それにしても、警視庁の捜査二課が担当するのだから、警視庁に呼べばいいものを、わざわざ東村山署に呼びつけ、手間と時間を費やさせるとは。こんなことをするから警視庁は創価学会との癒着を疑われるのである。


◆「池田大作レイプ事件」
ところで、現在、創価学会ならびに池田大作氏は、元創価学会の北海道副総合婦人部長、全国副婦人部長という要職にあった函館市在住の信平(のぶひら)信子さんの告発手記「私は池田大作にレイプされた」(『週刊新潮』96年2月22日号掲載)に揺れている。
手記によれば、信平さんは、1973年、83年、91年と、3度にわたって池田氏にレイプされたというのである。
先記の月刊ペン事件に象徴されるように、池田氏の下半身スキャンダルは、過去にもマスコミでしばしば取り上げられているが、その多くは伝聞情報に基づいている。今回の信平さんの告発は、そうした伝開情報とは異なり、被害者自身による実名での告発だけに、これまでのスキャンダル報道とは、次元が決定的に異なっている。
それだけに創価学会側は否定に躍起。機関紙誌で大々的に『週刊新潮』批判キャンペーンを展開するととともに、信平さんにはかねてから虚言癖があったなどと、激しい人格攻撃を続けている。
「信平信子は、かねてから自分の意にそわない幹部に対して、金銭問題や女性問題のスキャンダルを捏造する癖があった」(『聖教新聞』96・2・16付)
「(信平)信子は、小さいころから“ズルノブ”“ズルの信子”と呼ばれていた」
同2・25付)
「信子は、年輩の方など弱い者を狙う目は、ヘビのようにいやらしく、執念深くいじめぬく、悪女そのものでした。それで、この純粋な学会の世界にいられなくなった」(同)
それほど問題のある人物なら、なぜ、1973年(昭和48)以来、20年もの長きにわたって婦人部の要職を歴任させたのであろうか。合点がいかない。まして、3回目のレイプがあったとされる91年8月16日の直前、池田氏は信平さんに、創価学会幹部のなかでも特に功績のあった人物にしか贈らない「金褒章」を授与している。この「金褒章」は、副会長クラスにしか与えられない18金の学会マークの記章が与えられる特別の章。とても「虚言癖」のある「悪女」に与えられる章ではない。
いずれにせよ、信平さんの告発が事実無根なら、池田氏にとってこれほどの名誉棄損はないのだから、直ちに刑事告訴すべきである。だが、池田氏はいっこうに告訴する姿勢を見せていない。愛する肉親を亡くした直子さん、大統さんの発言に過剰に反応するよりも、虚偽ならば明らかに名誉棄損に該当するであろう信平さんの告発を問題にすべきだと思うが、創価学会は告訴の意志を見せようとはしない。
それにしても、先年まで婦人部の最高幹部をしていた人物を、「ズルノブ」だの「虚言癖があ」る「悪女」などと罵るさまは、醜悪な限り。もっとも従来から、創価学会は、 造反者や敵対者、批判者に対し、それこそ「事実無根」の誹謗中傷、罵詈罵倒を、それこそ平然と加えてきた。
朝木さんに対しても、「万引き常習者」だの「家族揃って万引きをしている」などと、それこそ根も葉もない誹謗中傷が執拗に加えられているが、そうした誹謗中傷の極めつけにあるのが、W不倫情報。
朝木さんと矢野さんは、以前からW不倫関係にあり、二人が性交渉していた声が、事務所から漏れていたなどとの噂が、東村山市では、創価学会・公明をはじめとする反「草の根」グループからまことしやかに流されているのである。
特に、朝木さんが不可解な転落死を遂げてからは、朝木さんの死は、「矢野と娘の直子が不倫関係に陥り、それにショックを受けたのが朝木の自殺の動機」などという唾棄すべき噂が、創価学会関係者などから流されている。
創価学会は、昨年(1995年)行われた宗教法人法改正の動きを、国家権力による宗教弾圧、人権侵害と主張、これを粉砕する戦いこそ、人権擁護の戦いと位置づけていた。だが、現実の創価学会は、会員に敵対者、批判者を憎み、呪うことを強要し、攻撃することを指示し、平然と他人の人権を侵害しているのである。これが、人に心の平安や安心を与えるべき宗教団体の姿といえるだろうか。

 


解説
「池田大作レイプ事件」については、判断を保留したいと思います。

獅子風蓮


乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その6

2023-03-25 01:26:15 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆集団替え玉投票事件
三重県での選挙違反のもみ消しによって自信をもった創価学会は、「警察だって動かしているのは竹入、井上だよ」との池田発言のあった68年7月実施の参議院選挙で、集団替え玉投票事件という悪質な選挙違反を強行する。
これは、住民の出入りが多く、投票に行く人が少ない新宿区や世田谷区などで、アパート等に投票券が放置されていることに目をつけた創価学会が、組織的にこれを集めて、詐欺投票を行ったもので、新宿区や世田谷区で多くの有罪者を出した事件。この事件に際しても創価学会は、警視庁に泣きついて、事件の上層部への波及を未然に防いでいる。
当時、創価学会の顧問弁護士として事件の処理にあたった山崎正友氏は、その著『懺悔の告発』にその顛末を次のようにナマナマしく記述している。

「創価学会では、この時の選挙で、全都内でこうした投票券を使っての詐欺投票を行ない、新宿区、世田谷区、その他各区で検挙され、多数の有罪者を出した。その総数は、組織内調査の結果、二万を下らなかったと記憶している。新宿区は特にひどく、これは区の選挙責任者だった八矢英世氏(副会長・外郭の設計会社・創造者社長)、男子青年部責任者・松山久夫氏(一橋大卒、副会長)らの指示で全区にわたり組織的に行なわれたもので、総数は五千票を越えた。
その中でも、二千票余は、不在投票による替え玉という手の込んだものだった。
これらは、アパートやマンションの郵便受けから近くの学会員が投票券を抜き取って盗み、これを公明党の区議が選挙人名簿を閲覧して生年月日その他を確認し、格好の合った学会員を替え玉に仕立てる、という超知能犯、悪質犯の手口だった」

しかし当日投票に行った何人かの人が、すでに自分の名前で投票されていることを知り、警察に通報したことから捜査が開始され、指紋照合や聞き込みなどの結果、近隣の学会員が割り出され、捜査の手が学会に向くことになる。
その結果、創価学会は全組あげてもみ消し工作に着手する。

「この事件は、北條浩氏(元四代会長)、竹入義勝氏はじめ、創価学会・公明党の全幹部、弁護団が動員されて防衛に当たった。何とか、当初摘発された最小限の範囲に押さえようと、必死で証拠隠滅工作を行なった。しかし、検察庁が本腰を入れて替え玉投票のあったアパートの住民、前住民を当たり、不在投票者総てをチェックする方針を固めたとの情報が入り、創価学会本部はパニックに陥った。そのうち、逮捕者が音を上げて総てを供述し始め、私は証拠隠滅工作を行なった廉で逮捕状を執行されそうな破目に陥った。(中略)
この段階で、竹入委員長は、警視庁首脳とサシで会い、「共産党と本気で戦う我々を見殺しにすると、日本は大変なことになる」と訴え、創価学会の生命乞いをした。
その結果、検察庁側からの捜査要請を警視庁が拒否するという異例の形で、事件拡大は辛うじて防がれた。
この時、警視総監のお目こぼしと検察の断念がなかったら、今頃、公明党は存在していない。竹氏と一緒に検察庁へも頼みに行ったが、河合次席検事は、『あなたは、こんな所に来るべきではない。国の政治の場でお忙しいのでしょう』と嫌味を言った」(『懺悔の告発』)


◆投票所襲撃事件
さらにこの翌年、1969年夏の都議会議員選挙では、学会員による投票所襲撃事件という重犯罪が、公明党書記長市川雄一氏(当時、創価学会青年部参謀長)が選挙指揮をとった練馬区で生じた。
「練馬事件」と呼ばれるこの事件は、7月13日の都議選投票日の投票締め切り直後に起こった次のような事件だった。
練馬区第4投票所に指定された区立豊玉第二小学校に、午後6時の締め切り時刻を2分過ぎて現れた学会員男女2人が投票を求めた。だが、すでに締め切り時刻を過ぎていることから、投票立会人がこれを拒否。すると、2人は一度は立ち去ったものの、すぐに学会員十数人とともに押しかけ、投票立会人と口論となった。やがて学会員の人数は数十人に膨れ上がり、投票立会人を4時間半にわたって吊し上げたばかりか、駆けつけた選挙管理員に対し殴る蹴るの暴行を加えたのである。事件の目撃者の証言にはこうある。
「創価学会の人たちは何十人もが目をつり上げ、唇にあわをため、女性2人を含む4人の選挙立会人を4時間にわたってつるし上げたのです。4人の立会人の中には、70歳のお年寄りもいました。「お前ら、創価学会にたいして申し訳ないと思わんか! 土下座してあやまれ」といって、体育館の床にすわらせてこづきまわすのです」
「選管委員の渕上さんがなぐられ、口の周りをまっ赤にしていたあの姿……忘れようと思っても忘れられないおそろしい光景だった」

選管職員の被害届にはこうある。
「群衆の中の数人の者が、こんなことになったのはお前の責任だと言いながら渕上委員を中央にひきずり出して暴行を加えた。さらに管理者にも暴行を加え、その上、群衆は、管理者、立会人に土下座して謝罪することを要求したので、管理者、立会人はやむなくこれに従った」
この騒乱を指揮し、選管委員に、
「天文台の時計でも、ラジオの時報でも、絶対正確とは言えない。わずか30秒くらい遅れたのに、投票させないお前たちが悪い、投票させろ」
と強要したのが、市川氏であった。

事件の処理にあたった山崎弁護士は、『懺悔の告発』に当時の模様を次のように記している。
「とにかく一時の興奮がさめるにつれて、事件の深刻さに皆が気づいた。もちろん、マスコミも報道するし、捜査当局も動き始めた。創価学会・公明党の首脳も、市川雄一創価学会参謀室長・公明新聞編集局長が百名近い創価学会員を引きつれて投票所を襲撃し、乱暴狼藉を働いた、ということが明らかになった時のダメージを考えて、青くならざるを得なかった。(中略)
私達は、善後策に苦慮した。池田大作は、『出来たことは仕方がない。何とか市川は護ってやれ』と命令を下した。
これを聞いた竹入義勝委員長、矢野書記長ら党の首脳は、“市川を助けるといっても、長時間にわたり現場で姿を見られているのだから、市川が割り出されるのは時間の問題である。学会員が調べられたら、結局、市川の指図でやったという調書をとられてしまう。現場には署長をはじめ警察官がたくさんいたのだから、しっかり見られていて逃れようもない。ここは一つ、新宿の替え玉投票の時と一緒で、警察に腹を割って打ち明けて助けてもらうしかない”と判断し、竹入委員長が、早々に警視庁首脳と会い、『あとで、どんなことでも聞くから』と頭を下げて頼み込んだ」
その結果、投票所襲撃という民主主義否定の暴挙でありながら、結果的には、最初に投票所に来た2名の男女のうちの男1名に「選挙事務関係者・施設に対する暴力罪、騒擾罪等」で、懲役6カ月、執行猶予2年の判決が下されただけで、事件は終息したのである。


◆月刊ペン事件
同様に、池田大作氏の女性スキャンダルが問題となった月刊ペン事件でも、創価学会は警視庁を動かして、池田氏の女性スキャンダルを執筆した月刊ペン社の隈部大蔵編集長を逮捕させるという乱暴な手段を講じている。
月刊ペン事件とは、雑誌『月刊ペン』の隈部大蔵編集長が、同誌の1976年(昭和51)4月号に、「極悪の大罪犯す創価学会の実相、四重五重の大罪犯す創価学会補論(下)」と題する評論記事を執筆。そのなかで、池田氏には「芸者のめかけT子およびC子がおり、公明党議員として国会に送り込んだT子とM子はお手付きの情婦である。二人の国会議員をめかけに持ち、その女性関係は大先輩を上回る豪華さであり、しかも念のいったことにはこの国会議員であった情婦の一人を会長命令で公明党国会議員のWの正妻にくだしおかれた」等と記し、池田氏の名誉を毀損したというもの。
創価学会ならびに池田氏、そして池田氏の性的スキャンダルの相手と書かれた元公明党衆議院議員の多田時子、渡辺通子両氏が名誉棄損罪で警視庁に告訴。告訴を受理した警視庁が隈部氏を逮捕した後、東京地検に送検、地検が起訴し、公判となり、一審の東京地裁は隈部氏に懲役10月、執行猶予1年の判決を言い渡した。隈部氏は、これを不服として東京高裁に控訴したが、東京高裁も一審の判決を支持し、隈部氏の控訴を棄却したため、隈部氏は最高裁に上告。最高裁で係争中の1981年1月、創価学会を造反した山崎正友元学会顧問弁護士が、最高裁に自らが手がけた月刊ペン事件についての裏工作の実態を上申。これを契機として、裁判の流れは変わり、最高裁は、二審判決を破棄。審理を東京地裁に差し戻した。
山崎氏が、最高裁に提出した上申書には、隈部氏を逮捕させるべく、創価学会・公明党が検察や警察に対して行った工作の事実が、赤裸々に綴られている。

「隈部氏を告訴するに当たっては矢野公明党書記長、大野潔代議士、小谷野三郎弁護士、龍年光、藤井富雄、大川清幸東京都議会議員らが、法務省幹部、検察幹部、警視庁幹部と、綿密な打合わせをしました。衆参両議院法務委員長の権限を背景に、法務省筋に圧力をかける一方、東京都議会におけるキャスチングボートをにぎる与党としての力即ち警視庁予算を左右する力を背景に警視庁に圧力をかけたのであります。ことに、当時の警視庁捜査四課の幹部とは、学会側も小谷野弁護士も特別懇意な関係にあり、従って告訴は、四課で処理されることになりました。今回、私に対する恐喝告訴事件が四課において処理されているのも同じ理由であります。告訴に当たっての条件は、隈部大蔵氏を即刻逮捕すること及び池田大作氏を法廷に証人として立たせないよう配慮することの二つでありました。警察としてはこの要求に充分にこたえました。
事実、この種の事件としてはまことにめずらしいことでありますが隈部氏は、雑誌の編集長という社会的立場にありながら、事情聴取開始直後逮捕されたのであります」
本来、名誉棄損事件は、知能犯事件として捜査二課で扱われる。ところが、隈部氏の事件だけは、なぜか暴力団担当の捜査四課が担当し、即刻隈部氏を逮捕した。その背景には、創価学会との「特別懇意」な関係があったのである。

 

 


解説
山崎弁護士は、『懺悔の告発』などの著書で、創価学会の過去の犯罪的行為の数々を告発しています。
また、原島嵩氏と共謀して聖教新聞社から段ボール13箱分の内部資料を持ち出し、マスコミに流出させたと言われています。
今私たちは、持ちだした資料のおかげで、多くの事実を知ることができます。
山崎氏自身は、顧問弁護士でありながら創価学会を恐喝したなどで逮捕され収監されたりしましたが、刑期を終えて社会に復帰してからも、多くの著書を書き、創価学会の告発を続けました。
しかし、山崎氏は私生活のだらしないことや、自身が創価学会の謀略的工作に深く関わったことから、多くの創価学会員に蛇蝎のように嫌われています。
アンチの中にも、山崎氏のことを快く思っていない人は少なくないでしょう。
Wikipediaを見ると、ほぼ創価学会の主張通りに書かれていて、誰も彼の功績の部分に言及する人はいません。
平成20年に死亡した山崎氏は反論することもできません。
少しかわいそうな気もします。
いつか、山崎氏の功績の部分も含めて、再評価される日が来ることを望みます。

獅子風蓮


乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その5

2023-03-24 01:50:21 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


警察と創価学会の関係

◆龍年光氏・内藤国夫氏の指摘
朝木さんの不可解な死の前日にあたる95年8月31日、東京ではこんな事件も生じている。元都議会公明党の幹事長で、現在、反創価学会の急先鋒として、創価学会ならびに池田大作氏を批判する龍年光氏の東京・西五反田の事務所に、「高野」と名乗る30歳くらいの男が、模造日本刀とバールをもって押しかけ、「俺は池田大作先生の息子だ。(池田)先生のおかげで龍年光は都議になれたのに、先生を裏切った。だから龍をブッ殺しに来た」と、女性事務員を脅したのである。幸い、龍氏は不在だったが、男は、長さ60センチくらいの模造日本刀をちらつかせ、女性事務員に対し「龍を出せ」と強要。女性事務員が、龍氏が不在である旨を告げ、110番通報すると、「(龍氏に)ここに連絡させろ」と電話番号を残して逃走した。
男の逃走後に、事務所に戻った龍氏が、さっそく警視庁大崎署に届出。事情を説明したところ、なんとこの男は、95年3月にも、龍氏を狙って事務所付近をうろつき、龍氏の事務所が入っているテナントビルに入っているホテルに「龍年光」の名前を使って無賃宿泊する事件を起こしており、大崎署では、この男の身元を把握しており、龍氏に顔写真まで見せたのである。
だが、大崎署は、9月4日になってこの男を逮捕したものの、学会員であるかどうかも含めて何も発表せず、容疑内容すら「ノーコメント」の一点張り。逆に龍氏に対し、「マスコミに情報を流さないように。新聞に載るとあなたの身の危険が増す」などと口止めする始末。
やむなく龍氏が、男が残した電話番号に架電したところ、電話に出た女性は、「高野は学会員」と認めた。この事件を取材した『赤旗』記者は、関西出身の高野が居留先にしていた家は、熱心な学会員一家であることを確認している。
事件はその後、れっきとした殺人未遂であるにもかかわらず、大崎署は、所持していた凶器が模造日本刀であることなどを理由に、わずかの罰金で男を釈放してしまったのである。

龍氏が語る。
「公明党の竹入元委員長が都議会公明党の幹事長時代に、学会・公明党は警視庁に猛接近した。当時は、自民党が警視庁を抑えるような動きをしていたが、公明党は、積極的に警察予算や警察人事を都議会で承認した。警察も公明党の協力が得られなければ、予算拡大や増員が図れない。だから、警察は、創価学会がらみの事件になると遠慮し、及び腰となった。また、創価学会は予算や人事を通す見返りとして、選挙違反などに露骨に手心を加えてもらうよう要求。両者は、持ちつ持たれつの関係となった。今回の朝木さんや私の事件の捜査、解明に本腰を入れないのも、そうした関係の現れ」

毎日新聞の都庁キャップとして東京都政や警視庁を取材した経験をもつジャーナリストの内藤国夫氏も、創価学会・公明と警視庁の関係を次のように指摘する。
「都政も都議会も学会・公明が常にキャスチングボートを握ってきた。予算や人事を楯にやりたい放題です。警視庁も予算のためには学会には遠慮する。しかも、都政担当記者をやっていてわかったのですが、学会・公明のあくどいのは、学会と距離を置いたり、学会がらみの事件をやろうとする警察幹部がいると、徹底して出世の妨害をする。署長や副署長にもさせないのです。逆に学会にとって都合のいい警察官は昇進の応援をする。役人である警察官のもっとも弱いところをつくやり方で、これをずっとやってきたものだから、警察は創価学会がらみの事件には触らないという風潮が出来上がっているのです」
それゆえ、警察は朝木事件の解明に及び腰なのだと内藤氏は指摘する。
「坂本弁護士一家事件と、今回の朝木市議事件の展開、プロセスは本当に酷似している。宗教団体の不正や犯罪を追及していた人物が拉致、死亡という形で被害者になった。しかし、警察はまるで及び腰というかやる気なしで、むしろ真相解明を妨害しているフシさえある。ことに朝木事件では、“怪しいから捜査しない”という感じが露骨にする」


◆選挙違反もみけし事件
実際、警察・警視庁と創価学会はなれ合ってきた。創価学会は、これまでに大量替え玉事件、投票所襲撃事件など数々の悪質な犯罪行為をくり広げてきたが、そうした事件の処理方法に、具体的事例をみることができる。
例えば、1965年(昭和40)夏の参議院選挙で創価学会は、大量の選挙違反事件を起こした。この参議院選挙で中部地方を選挙地盤として出馬した小平芳平候補(創価学会教学部長)の選挙運動に関連して、三重地方検察庁は、集団戸別訪問の捜査を執拗に行い、三重県創価学会の支部や地区の幹部活動家十数名を逮捕。捜査の手が創価学会の三重県本部責任者や当選者の小平芳平氏に届くのは必至の情勢となった。
これに慌てた創価学会・公明党は、東京から参議院法務委員長の和泉覚氏、都議会幹事長の竹入氏、そしてのちに公明党の国対委員長となる大野潔氏などを送り、必至に検察首脳、警察首脳に働きかけることで、上層部への捜査の波及をからくも食い止めたのである。
このときに竹入氏が、警察首脳にかけた脅しとはつぎのようなものだったという。
「このまま捜査を拡大させるようだと、警視庁の予算、とくに機動隊の予算を、大幅に削るぞ」公明党は、国政に進出以来、参議院法務委員長のポストを掌握し続けたが、法務省に睨みをきかせることができるこのポストと、都議会のキャスチングボートを握り、警視庁予算を左右することで、事件のもみ消しをはかったのである。
この事件の直後、池田氏は、次のように竹入氏、大野氏を賞賛。事件のもみ消しを評価している。
「くだらない事件であるが、将来起きてくる事件を未然に防いでいるのである。この事件に携わったT(竹入)さん、O(大野)さんは広布になくてはならない人材に成長する。今、やっているのは訓練だ」(65・11号『前進』)
ちなみに創価学会の外郭企業の社長を集めた「社長会」の席上、池田氏は次のように発言している。
「警察だって動かしているのは竹入、井上だよ。龍なんかおどすだけで味方にならない。竹入の一声だよ」(68年7月8日)
この発言からは、警察権力も意のままになるとの池田氏の自信のほどが窺える。

 

 


解説
「公明党の竹入元委員長が都議会公明党の幹事長時代に、学会・公明党は警視庁に猛接近した。当時は、自民党が警視庁を抑えるような動きをしていたが、公明党は、積極的に警察予算や警察人事を都議会で承認した。警察も公明党の協力が得られなければ、予算拡大や増員が図れない。だから、警察は、創価学会がらみの事件になると遠慮し、及び腰となった。また、創価学会は予算や人事を通す見返りとして、選挙違反などに露骨に手心を加えてもらうよう要求。両者は、持ちつ持たれつの関係となった。今回の朝木さんや私の事件の捜査、解明に本腰を入れないのも、そうした関係の現れ」
との龍氏の発言ですが、ここ重要です。
ここを十分に抑えておかないと、「東村山女性市議転落死事件」の解明はできないと思います。

獅子風蓮


乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その4

2023-03-23 01:36:36 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆衆議院宗教法人等特別委員会での論議
95年11月7日に開かれた衆議院宗教法人等特別委員会の席上、自民党の熊代昭彦委員は、朝木さんの不可解な死についての疑問を取り上げ、その捜査の経過を深谷隆司国家公安委員長(自治大臣)に質している。
熊代委員は、宗教が政党を支配して政権をうかがうことの危険性を指摘し、「創価学会は合法的選挙で(政権奪取を)やろうとした。ナチズムも合法的手段で出てきた」などと述べた後、すでに東村山市では、行政が創価学会によって左右されている危険性があるとしたうえで、次のよう に朝木市議の変死事件に言及した。

「事件死された朝木明代市議は、同市では、市議会、市職員、それに警察署職員に創価学会の方の比率が相当に高いということを批判し、業者との癒着、あるいは採用における癒着を批判しておられたということでございます。
私が特に問題視したいのは、人が事件死した場合に、水に落ちて溺れ死んだというような時にも、まず他殺を疑って、とことんそれを調べると、そしてそれを潰していってはじめて自殺という結論に達するんであって、ところが、この東村山署は、特に副署長さんといわれていますが、直ちに自殺説を出して頑張っていると、で、署長も警視庁もなあなあ主義で、正義を明らかにする情熱に欠けているんじゃないか、そんな風に思います。
アメリカではこういう場面ではFBIが出てくる。ところが日本はFBIがありません。だからこれは、警察庁が出ていただく場面であります。国家公安委員長、この問題についてですね、今後の対応、これまでの対応、特に素早く自殺説を打ち出してしまったのは、私は、捜査のイロハを心得ないことだと思います。この点に力点をおいてご答弁をお願いします」

これに対し深谷国家公安委員長は、マスコミが事件を大きく報道していることから、「極めて深い関心」を抱いており、関係者に事件の経緯について「詳しくしかも何度も聴取をしている」と述べた後、徹底捜査を指示していると、次のように答弁した。

「いま、東村山署の副署長が、直ちに事故死と断定したとおっしゃいましたが、私に対する報告に関して申し上げれば、この副署長は広報担当でございまして、見通しについて記者に聞かれたので『事件性は薄い』と説明しているのでございまして、格別、直ちに事故死と断定したわけではありません。現に、現在も自殺、他殺いずれとも断定しない状態で捜査をいっそう進めている状況でございます。
本件の事案に関しましては、あらゆる条件を視野に入れて捜査を進め、適正な措置がとられるよう指導してまいりたいと思っています」

国家公安委員長は、「(私に対する報告に関して申し上げれば)直ちに事故死と断定したわけではありません。現に、現在も、自殺、他殺いずれとも断定しない状態で捜査をいっそう進めている」と答弁している。だが、東村山署は『潮』の取材に対し、この答弁を1ヶ月以上遡る9月末の段階で「自殺と断定」したと話している。そして、その東村山署は、12月22日、『潮』の11月号に掲載された記事内容とほとんど同一の主張と根拠に基づいて、「犯罪性はない」すなわち自殺と断定している。この事実は、東村山署が、国家公安委員長には「自殺と断定はしていない。鋭意捜査中」と報告しておきながら、実際には、事件発生時点で描いた「万引き事件を苦にしての自殺」とのシナリオ通りの動きしかしなかった可能性を示唆している。
あくまで「万引きを苦にしての自殺」に固執する東村山署だが、遺族や関係者、マスコミ以外にも、朝木さんの死に他殺の疑いをもつ人々は多い。そうした一人に、警察庁出身で連合赤軍のあさま山荘事件の捜査指揮にも携わった亀井静香自民党組織広報本部長(元運輸大臣)がいる。亀井代議士は、『週刊朝日』の取材に対し、朝木さんの死は「他殺の可能性が高い」と次のように述べている。
「警察庁長官や警視総監には『これを単に自殺事件として片づける度胸があるのか』と言いました。客観的な状況からいって、殺人事件の疑いもあるという観点から取り組む事案であることは間違いない」(『週刊朝日』95・11・10)


◆東村山署副署長のマスコミ対応
前述のように亀井代議士は警察庁の出身。捜査のイロハを知らない素人ではない。ところが、東村山署は、亀井代議士が指摘する客観的状況や事件性の根拠をいっさい無視。ひたすら「自殺説」に固執し続けた。『潮』の記事は客観的状況に対するそうした東村山署の姿勢を次のように バックアップする。

「矢野氏側の話では、それまで朝木市議らに対して、脅迫電話、自転車破壊、暴行、燃え新聞の投げ込み……などのいやがらせがあったという。週刊誌ではこれがあたかも学会側の仕業のようなほのめかしをするが、第三者の目撃も、関係者からの正式な警察への届け出も全然なく、いやがらせが本当なのか、あるいは関心を引く作り話なのか、まったくわからない。矢野氏から繰り返しファクスで支離滅裂な文書を送りつけられる地元記者たちは『いやがらせは矢野氏の自作自演』と冷笑している。警察も『証拠があるなら提出してくれ、捜査を行なう』と冷静に対応している」

同様に、千葉副署長が事件性の唯一の根拠とした、朝木さんが履いていた靴が見つからないことについても、『潮』は次のように記す。
「ただ彼女の履いていた靴がみつからないのが気にかかるが、これは他殺の線が残る時に疑惑の対象になるもので、自殺が確認された時点では二次的な意味しかもたない。自殺を他殺に見せかけるためにしようとする者が靴を隠匿したことも考えられぬわけではない」
第Ⅱ章で触れたように、矢野氏に対する威嚇行為を続けていたS・Hが創価学会の活動家であること。また、矢野氏に対する暴行事件や、朝木さんの自宅門柱で灯油を染み込ませた新聞紙が燃やされた事件は、いずれも警察に通報されており、朝木さんの不可解な死の当日、当直だった須田係長が現場を検証している。にもかかわらず、東村山署は、以後、ほとんど捜査をしていない。まして矢野氏の暴行事件に至っては、被疑者を即日、釈放している。こうした事実を指摘すれば、『潮』の記述の欺瞞性は明らかだろう。ちなみに『潮』が引用する 「地元記者たち」の一人である全国紙S紙の地元記者K氏は、業界でも有名な創価学会員である。
ところで、『潮』の記事は、東村山署が「ことさら他殺説を振りまく週刊誌に不信感、不快感を隠さない」と記しているが、東村山署、特に広報担当の千葉副署長のマスコミに対する姿勢には異常なものがあった。当初、千葉副署長は、週刊誌の取材に対しても柔軟に対応していたが、週刊誌各誌の記者が独自の取材結果に基づいて捜査のずさんさを指摘し、疑問点を問いただし始めると、突然、怒りはじめ「捜査妨害だ」などとわめいて、『週刊新潮』『週刊ポスト』『週刊現代』『週刊文春』などに対し「取材拒否」の暴挙に出たのである。
その一方で千葉副署長は、『潮』の取材については、懇切丁寧に応じている。これでは東村山署と創価学会は、連携プレーで朝木さんの死を自殺と喧伝し続けたといわれてもいたしかたあるまい。

 

 


解説
遺族や関係者、マスコミ以外にも、朝木さんの死に他殺の疑いをもつ人々は多い。そうした一人に、警察庁出身で連合赤軍のあさま山荘事件の捜査指揮にも携わった亀井静香自民党組織広報本部長(元運輸大臣)がいる。亀井代議士は、『週刊朝日』の取材に対し、朝木さんの死は「他殺の可能性が高い」と次のように述べている。

その後、自民党が公明党と連立を組んでから以降は、亀井氏は「東村山女性市議転落死事件」に対して発言をしていません。
亀井氏に、現在の心境をお聞きしてみたいものです。

東村山署、特に広報担当の千葉副署長のマスコミに対する姿勢には異常なものがあった。当初、千葉副署長は、週刊誌の取材に対しても柔軟に対応していたが、週刊誌各誌の記者が独自の取材結果に基づいて捜査のずさんさを指摘し、疑問点を問いただし始めると、突然、怒りはじめ「捜査妨害だ」などとわめいて、『週刊新潮』『週刊ポスト』『週刊現代』『週刊文春』などに対し「取材拒否」の暴挙に出たのである。
その一方で千葉副署長は、『潮』の取材については、懇切丁寧に応じている。これでは東村山署と創価学会は、連携プレーで朝木さんの死を自殺と喧伝し続けたといわれてもいたしかたあるまい。

東村山署と創価学会は、連携プレーで朝木さんの死を自殺と喧伝した疑いがあります。

獅子風蓮


乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅴ章 その3

2023-03-22 01:27:22 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
□Ⅳ章 たたかいの軌跡
■Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき


◆“欺瞞”と叫ぶ『潮』の欺瞞性
創価学会の外郭企業である潮出版社が発行する雑誌『潮』の記事には、そうした東村山署の思惑とこれに同調する創価学会の意向が端的に示されていて興味深い。
周知のように朝木さんと激しく対立していた創価学会は、朝木さんの死後、遺族、関係者、マスコミから不可解な死への関与を取りざたされたことから、声高に関与を否定、執拗に朝木さんの死を自殺だと喧伝し続けた。そうした創価学会の主張を集約したのが、雑誌『潮』95年11月号所載の記事である。
10月5日に発売された同誌には、ジャーナリストの山本芳実氏の筆になる「世間を欺く『東村山市議自殺事件』の空騒ぎ。ことさらに『他殺説』をデッチ上げ、創価学会バッシングを企図する週刊誌報道の欺瞞」と題する記事が掲載されている。タイトルを一瞥すれば分かるように、山本氏の記事は創価学会を擁護するスタンスで書かれているが、そこには「自殺」説に立つ東村山署の本音が赤裸々に記されているのである。同記事は、次のような書き出しで始まっている。

「東京都下、人口約14万の東村山市で、9月1日、女性市議の朝木明代さん(50歳)が、マンションの6階の踊り場から落ちて死亡するという不幸な出来事があった。
彼女の転落死は警察の捜査で自殺と断定された」

冒頭でいきなり朝木さんの死を、警察は「自殺と断定」したと記す山本氏は、次のように筆を進める。

「そして彼女はその2ヶ月半前、市内で万引き事件を起こし、被疑者として9月はじめ、地検に出頭することになっていた。死者にムチ打つつもりはないが、破廉恥な事件そのものは指摘しておかねばならない。
万引きと自殺……この二つが転落死をめぐる騒ぎの構成要件なのである」

要するに『潮』の記事は、朝木さんの死は、万引き事件を苦にしての自殺というシナリオにそって構成されているのである。この『潮』が出版されたのは10月5日、当然、締め切りは最短でもその10日ほど前と考えられる。となれば少なくとも9月20日頃には、東村山署は、朝木さんの死を「自殺と断定」していたことになる。千葉副署長の「慎重な捜査を行う」との発言とは裏腹に、東村山署が当初から「自殺」との結論を出していたことを『潮』の記事は裏付けているといえよう。


◆牽強付会
同記事は、朝木さんが「かねて反創価学会のリーダーとして、派手な反学会活動を展開していた人物」であったことを紹介した後、さながら朝木さんに対するネガティブキャンペーンを展開するかのように、悪意に満ちた論述を続ける。曰く、議席譲渡によって市民から「議席の私物化で、選挙民を裏切り、愚弄した」との批判を浴びていた人物である。万引き事件を起こし、同僚の矢野市議とともにアリバイ工作に従事した人物である。そして最終的に、朝木さんの死は警察の捜査で「万引き事件を苦にしてのためらい自殺」だと断定されたと結論づけているのである。記事のなかから東村山署の注目すべき主張を拾ってみることにしよう。

①「死因について週刊誌は『外に呼び出されて拉致された……』『自殺するはずがない……』『オウムのような犯行の手口』……などと、いかにも“他殺断定”のような見出しを使うが、警察当局は『どんなに雑音が氾濫しようと100パーセント自殺に間違いない』とし、ことさら他殺説を振りまく週刊誌に不信感、不快感を隠さない」
②「万引きを働くような自制心のない性癖が、地検出頭を控えての不安から衝動的な行動に走ったとみるのが、より常識的ではあるまいか」
③「『救急車を呼びましょうか』という問いかけに、彼女は『いいです』と断っているのである。
警察が重視するのはこの最後の言葉だ(店員と彼女の緊急の会話は警察で何度も確認されている)……警察は週刊誌の取材に、この会話の内容もくわしく説明しているが、各誌とも自殺を示唆するこの部分はことさら欠落させている」
④「警察は『一度、飛び降りようと手すりの上に立ったが、まだ飛び降りの決心はできない。だがなんらかの拍子でバランスを崩し手すりを握った。そして思わずキャーと叫んで、一度は手すりにつかまり、ズルズルと落下した。その時、体が少し傾いた。だから落ちた時に背中ではなく、胸を落下点の棚に強打した。死因は肋骨が肺に突き刺さっての出血死』。正確にいうと自殺しようとしての事故死、つまり、ためらい自殺であることには疑う余地がないとしている」

この記事からは、東村山署が9月の時点で、「100パーセント自殺に間違いない」と考えていたこと。より具体的には、④「飛び降りようと手すりの上に立った……」とする「ためらい自殺」であると断定していたこと。そしてその根拠として、③救急車を断ったとする発言を重要視していることが分かる。また、自殺の動機として山本氏は、②「万引き事件を働くような自制心のない性癖が、地検出頭を控えての不安から衝動的な行動に走った」と指摘するのである。
それにしても、④に記された「一度、飛び降りようと手すりの上に立ったが、まだ飛び降りの決心はできない。だがなんらかの拍子でバランスを崩し手すりを握った。そして思わずキャーと叫んで、一度は手すりにつかまり、ズルズルと落下した。その時、体が少し傾いた。だから落ちた時に背中ではなく、胸を落下点の棚に強打した」とは、まるで見ていたようなディテールに満ちた話である。
だが、東村山署が朝木さんの手の跡だとする「ロックケープ」ビルの踊り場にある手すり(防護壁)に、大人がつかまることはほとんど不可能である。私もビル1階から2階の間にある踊り場の手すりにぶら下がろうとしたが、比較的腕力には自信のある私でも、自重ですぐに落ちてしまった。よほどの腕力がないかぎり、ぶら下がることはできないだろう。まして、立っていた大人がバランスを崩して落下する際に、とっさにつかまることなど、とてもできるとは思えない。
また、自殺断定の根拠となる救急車を断ったとする発言も、事実とは異なる。「警察は週刊誌の取材に、この会話の内容もくわしく説明しているが、各誌とも自殺を示唆するこの部分はことさら欠落させている」とするが、この点については、Ⅰ章でも触れたように、事件性の有無を立証するうえでの重要なポイントだけに、私をはじめとするマスコミ関係者は、第二発見者の店長に対し、二度、三度と発言の有無を確認している。
その結果、店長は、駐車場の管理人との間で「救急車を呼びましょうか」との会話をかわしたことは認めるが、朝木さんに「救急車を呼びましょうか」と問いかけた事実はないと断言している。そうした事実に基づいて週刊誌は、救急車を断ったという発言を取り上げないのであって、存在しない会話を重要な根拠として、自殺説を主張する東村山署と創価学会の姿勢こそ問題である。東村山署は、第二発見者の店長に対しても、第一発見者同様、自分たちの捜査上のシナリオにそった供述を強要ないしは誘導している可能性が高い。第二発見者の店長に対する事情聴取が、9月2日午前7時すぎから11時すぎまでと、実に4時間にも及んだのは、店長が供述する現場の“事実”と警察シナリオとの齟齬を埋めるために時間がかかったからとの見方も可能だ。
同様に、自殺の動機とされる「万引き事件」についても、朝木さんは「万引き事件」そのものを、「創価学会・公明集団によるデッチ上げ」であるとして全面否定。仮に起訴されたとしても断固戦うとの姿勢を見せており、これを苦にしていたようすはない。「万引きを働くような自制心のない性癖」などと断定的に記述し、あたかも起訴を恐れていたかのように書く『潮』の記事、そして東村山署の主張は牽強付会である。

 


解説
創価学会の外郭企業である潮出版社が発行する雑誌『潮』の記事には、そうした東村山署の思惑とこれに同調する創価学会の意向が端的に示されていて興味深い。

(中略)
少なくとも9月20日頃には、東村山署は、朝木さんの死を「自殺と断定」していたことになる。千葉副署長の「慎重な捜査を行う」との発言とは裏腹に、東村山署が当初から「自殺」との結論を出していたことを『潮』の記事は裏付けているといえよう。

創価学会に都合のいい記事しか載せない『潮』は、信用にあたいしません。

店長は、駐車場の管理人との間で「救急車を呼びましょうか」との会話をかわしたことは認めるが、朝木さんに「救急車を呼びましょうか」と問いかけた事実はないと断言している。

この事実は重要です。

獅子風蓮