前回紹介した、恵比寿『長命うどん』の本店は名古屋にあり、創業は大正2(1913)年。
実は、私の地元立川市にも、同じ時期に開業した、老舗の飲食店が存在する。
そのお店とは、昔から地元民に親しまれてきた、中華食堂の『福来軒』。
創業は、長命うどんより1年早い大正元(1912)年。今年で110周年だ。
「ラーメン店 日本最古」でネット検索すると、浅草の『来々軒』が1910年オープン。
こちらのお店は、だいぶ前に閉店しており、現存する店舗では、兵庫県尼崎市の『大貫(だいかん)本店』が最古とのこと。
ただ、そちらの開業は1912年。福来軒と同じ年ではないか!
大貫本店は知ってか知らずか、HPで「日本最古の中華そば」と大々的に宣伝している。
一方の福来軒は、HP自体がないし、「日本最古」とは主張していない様子。
地元民としては、競艇場があるガラの悪い街(※あくまで個人の意見です)尼崎市の飲食店に、
競輪場がある品のいい街(※あくまで個人の戯言なので、本気にしないように)立川市の飲食店が負けてほしくないので、
「福来軒も日本最古かもしれない」説を新たに唱え、拡散したい。
ここで、現在の福来軒の外観を紹介。長い歴史を誇る割には、そんなにボロくないだろう。
お店の歴史を簡単に振り返ると、1912年に初代店主が、立川駅の北口で屋台を引き始める。
戦後、店舗を構えたところ、1964年、米軍車両の事故が原因の大火事に遭い一時閉店。
跡地に建てられた第一デパート内で営業を再開し、1976年に南口に移転。1993年に全面改装し、現在に至る。
外観が古くないのは、現店舗は29年前に改装したから。私は別の店になったのかと勘違いしたよ。
こちらが現在の店内の様子。老舗中華食堂独特の乱雑さはなく、落ち着いた喫茶店のようであろう。
ここ数年はご無沙汰していたが、コロナ禍で地元の飲食店を巡る中、久々に訪問。
現在は4代目の若い男性が軸となり、ご家族でお店を守っておられる。
この日注文したのは、メニューに(一番人気)と記されていた「炒飯と餃子3個」のセット980円。
炒飯は普通or「コーン炒飯」が選択できるので、コーンにしてみた。
まずはキムチとナムルを盛った小皿やスープと一緒に、コーン炒飯が登場。
横からのアングルはこちら。山盛コーンの中央に添えられた、枝豆のグリーンが鮮やかである。
続いて、そこそこ大きめの餃子3個が焼き上がる。
さらに、最初に冷水をいただいたのに、あとから温かい緑茶もやってきた。いろいろ付いてきて嬉しいね。
炒飯はコーンも普通も単品800円。餃子は3個だと240円。セットにすると少しお得だ。
餃子の具材は、お肉が多めの「肉まん」みたいなタイプ。醤油より、お店自家製のラー油が合う。
炒飯は玉子、ネギ、ほぐしチャーシュー、ナルトに、乾燥した小エビも入る。
コーンと枝豆は完成後に加えたのだろうが、コーンは一緒に炒めて、甘味をメシ粒に加わてもよさそう。
溶き玉子と玉ねぎが入るスープは塩分控えめで、炒飯自体もしょっぱくないので、いいコンビといえる。
食後もすぐには退店せず、ゆっくり緑茶を飲み、くつろがせてもらった。
久々の訪問から数ヶ月後、緊急事態宣言が解除され、酒類提供が解禁。福来軒さんでも軽く飲んだ。
メニューも撮影したので、以下で掲載。まずは【ラーメン・餃子】。
こちらは【その他メニュー、セット類】。
最後が【ドリンク・テイクアウト】。
以前は「マーボナス」や「あんみつ」、さらに大昔には「納豆ラーメン」という珍メニューもあった記憶がある。
また、北口に店舗があった頃は、「アイスキャンディー」も提供していたらしい。
戦前は珍しくなかった、食事もデザートも出す、ミルクホールのような業態だったのかもしれない。
この日は「ハートランドビール」500円に、おつまみ兼食事として「揚げ焼きそば」850円を注文。
小瓶からグラスにビールを注ぎ、お通しのモヤシナムルで飲み始める。
しばらくすると、炒飯にも付いてきたスープと一緒に、揚げ焼きそばが運ばれてきた。
見てのとおりの具材がてんこ盛りで、数えてみたところ、白菜、キャベツ、玉ねぎ、人参、ニラ、モヤシ、
竹の子、木耳、シメジ、コーン、枝豆、プチトマト、エビ、イカ、豚肉、味玉と計16種類。
熱々のアンの下には、一般的な揚げそばより太めの自家製麺が隠れている。
提供まで少々時間かかったけど、待った甲斐のある商品であった。
この日は、入口近くのテーブルに座れたので、レジ周辺も撮影。
レトロなピンク電話の隣には、会計時にサービスされる、アメちゃんが置かれている。
このときハッカアメをもらい、次の回ではパインアメをいただいた。
次の回=つい最近の訪問では、久しぶりに「ラーメン」をオーダー。
デザートとして「クリームソーダ」も頼んだのだが、例の緑色のソーダ水を切らしているそうで、
「コーラフロート」ならできる、とのことなので変更してもらった。
しばらくすると、110年の歴史を誇る、「ラーメン」620円が運ばれてきた。
スープをひと口すすると、以前は感じなかったゴマ油の香りがする。
しかし、スープ自体の味は以前と変わらず、動物と野菜をベースにした、軽やかな風味の醤油味だ。
具材はチャーシュー2枚、ノリ、ネギ、メンマ、ナルト、青菜。以前はカイワレ大根が入っていた。
特徴はやはり、自家製の麺。揚げそばに使用したのと同じ、腰のある縮れ麺だ。
スープとの絡みはよくないが、噛み応えやのど越しが抜群にいい、上質の麺である。
創業時の大正時代とは、味が異なると思うが、時代に合わせて少しずつ改良を加え、進化を遂げているのは間違いない。
福来軒のラーメンは、決して古臭くはなく、しかしどこか懐かしい、洗練された一杯であった。
その後、メニューに載っていない「コーラフロート」が登場。価格は、クリームソーダと同額の420円。
ラーメンを食べている途中だったので、コーラをひと口飲んだだけで放置したら、アイスが溶けてしまった。
私はそうでもないが、半分溶けた状態が好きな方もいるし、「フロート類のアイスをいつ食べるか」というのは、
「月見うどんの生玉子をいつ崩すか」と同じくらい、難解なテーマである…というのは大げさか。
今の時期は、下記画像の窓から、涼しい風が入り込み、なかなか快適である。
この窓を外から見たアングルがこちら。改装前はこちらに出入口があり、店内はコの字カウンター席だった。
小学校低学年のとき、旧店舗でラーメンを食べたのを覚えている。
店主らしきおじちゃんに、「坊や、ウマいかい!?」などと話しかけられながら、
カウンター席で大人たちと肩を並べて、夢中ですすったラーメンは、すごくおいしかった。
あれからウン十年たった今も、同じ場所でラーメンが味わえることを、素直に喜びたい。
何度か繰り返したように、現存するラーメン店では日本最古かもしれない福来軒さんだが、
取材などはあまり受けていないようだし、老舗であることも特に強調していない。
あえて探し出せば、入口のノレンに記された「創業大正」の文字と、
箸袋の裏に刻まれた「ひとつのことに 心をかさねて 創業大正元年」のコピー。
箸袋の裏というのが、お店の謙虚さを表している。迷惑かもしれないが、私は今後も勝手に、
「立川市の福来軒は、日本最古のラーメン店…かもしれない!」と訴え続けるつもりだ。
福来軒
立川市柴崎町2-18-7
JR立川駅から徒歩約8分
営業時間 12時~19時半ラストオーダー
定休日 不定休だけど月2~6日 入口に掲示してある
※提供まで時間かかるときもありますが、のんびり待ちましょう
実は、私の地元立川市にも、同じ時期に開業した、老舗の飲食店が存在する。
そのお店とは、昔から地元民に親しまれてきた、中華食堂の『福来軒』。
創業は、長命うどんより1年早い大正元(1912)年。今年で110周年だ。
「ラーメン店 日本最古」でネット検索すると、浅草の『来々軒』が1910年オープン。
こちらのお店は、だいぶ前に閉店しており、現存する店舗では、兵庫県尼崎市の『大貫(だいかん)本店』が最古とのこと。
ただ、そちらの開業は1912年。福来軒と同じ年ではないか!
大貫本店は知ってか知らずか、HPで「日本最古の中華そば」と大々的に宣伝している。
一方の福来軒は、HP自体がないし、「日本最古」とは主張していない様子。
地元民としては、競艇場があるガラの悪い街(※あくまで個人の意見です)尼崎市の飲食店に、
競輪場がある品のいい街(※あくまで個人の戯言なので、本気にしないように)立川市の飲食店が負けてほしくないので、
「福来軒も日本最古かもしれない」説を新たに唱え、拡散したい。
ここで、現在の福来軒の外観を紹介。長い歴史を誇る割には、そんなにボロくないだろう。
お店の歴史を簡単に振り返ると、1912年に初代店主が、立川駅の北口で屋台を引き始める。
戦後、店舗を構えたところ、1964年、米軍車両の事故が原因の大火事に遭い一時閉店。
跡地に建てられた第一デパート内で営業を再開し、1976年に南口に移転。1993年に全面改装し、現在に至る。
外観が古くないのは、現店舗は29年前に改装したから。私は別の店になったのかと勘違いしたよ。
こちらが現在の店内の様子。老舗中華食堂独特の乱雑さはなく、落ち着いた喫茶店のようであろう。
ここ数年はご無沙汰していたが、コロナ禍で地元の飲食店を巡る中、久々に訪問。
現在は4代目の若い男性が軸となり、ご家族でお店を守っておられる。
この日注文したのは、メニューに(一番人気)と記されていた「炒飯と餃子3個」のセット980円。
炒飯は普通or「コーン炒飯」が選択できるので、コーンにしてみた。
まずはキムチとナムルを盛った小皿やスープと一緒に、コーン炒飯が登場。
横からのアングルはこちら。山盛コーンの中央に添えられた、枝豆のグリーンが鮮やかである。
続いて、そこそこ大きめの餃子3個が焼き上がる。
さらに、最初に冷水をいただいたのに、あとから温かい緑茶もやってきた。いろいろ付いてきて嬉しいね。
炒飯はコーンも普通も単品800円。餃子は3個だと240円。セットにすると少しお得だ。
餃子の具材は、お肉が多めの「肉まん」みたいなタイプ。醤油より、お店自家製のラー油が合う。
炒飯は玉子、ネギ、ほぐしチャーシュー、ナルトに、乾燥した小エビも入る。
コーンと枝豆は完成後に加えたのだろうが、コーンは一緒に炒めて、甘味をメシ粒に加わてもよさそう。
溶き玉子と玉ねぎが入るスープは塩分控えめで、炒飯自体もしょっぱくないので、いいコンビといえる。
食後もすぐには退店せず、ゆっくり緑茶を飲み、くつろがせてもらった。
久々の訪問から数ヶ月後、緊急事態宣言が解除され、酒類提供が解禁。福来軒さんでも軽く飲んだ。
メニューも撮影したので、以下で掲載。まずは【ラーメン・餃子】。
こちらは【その他メニュー、セット類】。
最後が【ドリンク・テイクアウト】。
以前は「マーボナス」や「あんみつ」、さらに大昔には「納豆ラーメン」という珍メニューもあった記憶がある。
また、北口に店舗があった頃は、「アイスキャンディー」も提供していたらしい。
戦前は珍しくなかった、食事もデザートも出す、ミルクホールのような業態だったのかもしれない。
この日は「ハートランドビール」500円に、おつまみ兼食事として「揚げ焼きそば」850円を注文。
小瓶からグラスにビールを注ぎ、お通しのモヤシナムルで飲み始める。
しばらくすると、炒飯にも付いてきたスープと一緒に、揚げ焼きそばが運ばれてきた。
見てのとおりの具材がてんこ盛りで、数えてみたところ、白菜、キャベツ、玉ねぎ、人参、ニラ、モヤシ、
竹の子、木耳、シメジ、コーン、枝豆、プチトマト、エビ、イカ、豚肉、味玉と計16種類。
熱々のアンの下には、一般的な揚げそばより太めの自家製麺が隠れている。
提供まで少々時間かかったけど、待った甲斐のある商品であった。
この日は、入口近くのテーブルに座れたので、レジ周辺も撮影。
レトロなピンク電話の隣には、会計時にサービスされる、アメちゃんが置かれている。
このときハッカアメをもらい、次の回ではパインアメをいただいた。
次の回=つい最近の訪問では、久しぶりに「ラーメン」をオーダー。
デザートとして「クリームソーダ」も頼んだのだが、例の緑色のソーダ水を切らしているそうで、
「コーラフロート」ならできる、とのことなので変更してもらった。
しばらくすると、110年の歴史を誇る、「ラーメン」620円が運ばれてきた。
スープをひと口すすると、以前は感じなかったゴマ油の香りがする。
しかし、スープ自体の味は以前と変わらず、動物と野菜をベースにした、軽やかな風味の醤油味だ。
具材はチャーシュー2枚、ノリ、ネギ、メンマ、ナルト、青菜。以前はカイワレ大根が入っていた。
特徴はやはり、自家製の麺。揚げそばに使用したのと同じ、腰のある縮れ麺だ。
スープとの絡みはよくないが、噛み応えやのど越しが抜群にいい、上質の麺である。
創業時の大正時代とは、味が異なると思うが、時代に合わせて少しずつ改良を加え、進化を遂げているのは間違いない。
福来軒のラーメンは、決して古臭くはなく、しかしどこか懐かしい、洗練された一杯であった。
その後、メニューに載っていない「コーラフロート」が登場。価格は、クリームソーダと同額の420円。
ラーメンを食べている途中だったので、コーラをひと口飲んだだけで放置したら、アイスが溶けてしまった。
私はそうでもないが、半分溶けた状態が好きな方もいるし、「フロート類のアイスをいつ食べるか」というのは、
「月見うどんの生玉子をいつ崩すか」と同じくらい、難解なテーマである…というのは大げさか。
今の時期は、下記画像の窓から、涼しい風が入り込み、なかなか快適である。
この窓を外から見たアングルがこちら。改装前はこちらに出入口があり、店内はコの字カウンター席だった。
小学校低学年のとき、旧店舗でラーメンを食べたのを覚えている。
店主らしきおじちゃんに、「坊や、ウマいかい!?」などと話しかけられながら、
カウンター席で大人たちと肩を並べて、夢中ですすったラーメンは、すごくおいしかった。
あれからウン十年たった今も、同じ場所でラーメンが味わえることを、素直に喜びたい。
何度か繰り返したように、現存するラーメン店では日本最古かもしれない福来軒さんだが、
取材などはあまり受けていないようだし、老舗であることも特に強調していない。
あえて探し出せば、入口のノレンに記された「創業大正」の文字と、
箸袋の裏に刻まれた「ひとつのことに 心をかさねて 創業大正元年」のコピー。
箸袋の裏というのが、お店の謙虚さを表している。迷惑かもしれないが、私は今後も勝手に、
「立川市の福来軒は、日本最古のラーメン店…かもしれない!」と訴え続けるつもりだ。
福来軒
立川市柴崎町2-18-7
JR立川駅から徒歩約8分
営業時間 12時~19時半ラストオーダー
定休日 不定休だけど月2~6日 入口に掲示してある
※提供まで時間かかるときもありますが、のんびり待ちましょう