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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

老舗蕎麦店の意外な名物 飯田橋『翁庵』

2019年10月12日 | そば、うどん
ここ数年、にわかうどんファンと化した私は、ソバを食べる回数がだいぶ減ってしまった。
このブログでも、うどん店は何度も取り上げているのに、ソバ屋さんは、
十割ソバが安価で食べられる、いわゆる路麺店の『嵯峨谷』さんと、

※この画像を撮影した、水道橋店は閉店

真っ黒なツユに興奮の厚肉が乗る、立ち食い店の『豊しま』さんのみ。


おまけに、写真のとおりどちらのソバも、チャーシューや巨大な肉などが鎮座しており、
真の蕎麦愛好家が見たら、「こんなのは邪道だ!」とお怒りになるようなメニューである。

しかし、今回紹介するお店は、立ち食いでも激安店でもなく、本格的なソバ屋さんである。
お店は神楽坂にあり、創業は明治17年(1884年)という老舗で、屋号は『翁庵』。シブいね。
神楽坂の老舗なんて、いかにも高級そうなお店は、普段なら真っ先に避ける私だが、
こちらには、店頭で表示していた「名物メニュー」に惹かれ、吸い寄せられるように入店してしまった。
店頭に記してあったその料理とはズバリ、「翁庵名物 かつそば」であった。
結局は、またもや蕎麦愛好家に怒られそうなメニューである(笑)。

入店すると、店内はテーブル席と小上がり席のみで、ひとり用のカウンター席などはなし。
「そちらへどうぞ」と、ホール係…あ、こういう店は「花番」って呼ぶんだっけ。
その、花番のお姉さんに、ひとり客なのにテーブル席へと案内され、ちょっと恐縮。
こちらのお店はうれしいことに、平日のランチタイムは生玉子のサービスがあり、卓上に用意されている。
名物のかつそばを「冷やし」でオーダーすると、すぐに冷奴と薬味とソバ湯がやってきた。


熱いお茶をすすり、豆腐をかじりつつ待っていると、いよいよ「かつそば・冷」880円(増税前)が登場。


想像以上に大きめのとんかつだ! かつの厚さがわかるように、ヨコにしてみた。分厚すぎず、ちょうどいい。


「冷やし」なのでツユは少なめ、麺は白っぽく、クセのないタイプ、具材は小松菜のみ。
気になる、かつとツユとソバの相性は…おお、悪くないぞ。
そういえば、カツ丼もソバツユ(に近いタレ)で味付けるのだから、合うに決まってるよな。
少し食べ進めたところで、私の大好きな玉子ちゃんを投入。ますますカツ丼に近くなった。


玉子を、かつやソバに絡めて食べれば、ウへへへ…と笑いたくなるウマさである(←ナニ言ってんだ)。
調子に乗って、玉子をもう1個もらい、丼に割り入れた直後、


花番のお姉さんが飛ぶようにやってきて、無言で玉子を補充し引き返すではないか。
「何個も使うなよ」&「常に見張ってるぞ」という強烈なプレッシャーだ(笑)
どうやら、生玉子サービスは、1個までにしておいた方がいいようで…。
結局、食べたときは真夏だったのに、冷たいソバと一緒だったので、かつを重く感じず最後までおいしく食べられた。
あと、食べたときは真夏だったのに、お姉さんが怖かったので、ひんやり涼しく感じた…というのはウソだ。
お会計でも当然、苦言も呈されず普通に接してもらったので、「また来ます」と告げて退店。

数日後、ランチタイムに再訪。ここ翁庵は、毎月5の付く日は「かつそばデー」でかつそばが500円になり、
8が付く日は「いなりずしデー」で、いなりずしがサービスされる ※両日とも玉子サービスはなくなる
この日はいなりずしデーだったため、注文後には薬味や冷奴と一緒に、おいなりさんが提供された。


今回のオーダーは、「かつそば、温かいのをうどんで」。一応うどん好きだからね。価格は冷やしと同額。
しばらくすると、かつうどんのかけ、が登場。相変わらずとんかつが大きい。


丼のサイズはこの通り。そこそこ深めで、けっこう量多いよね。


さっそく食べてみたら…うどんが柔らか~い! ランチタイムゆえ茹で置きなのかな。


あと、ツユが温かいから、かつを揚げる油の匂いもダイレクトに感じてしまった…。
後日、ネットでの評判(当然、食べログは除く)を調べたところ、やはり「かつそばは冷やし」という意見が多かった。
そもそも、お蕎麦屋さんなのだから、素直にそばを選択すべきだったな。

そしてつい先日は、夜の時間帯にお邪魔し、一杯やってからソバで締める、いわゆる「蕎麦前」をたしなむことに。
ちゃんとした老舗店での蕎麦前は、ほとんど経験がなく、「オレも大人になったなあ…」と感無量。
1970年代生まれの分際で「大人になった」は、我ながら遅すぎると思うのだが。
こちらが、翁庵さんのお食事メニュー。増税後なので「かつそば」は900円になっている。


粋で大人な私が選んだ酒とつまみは、びんビール、もつ煮込み、エビクリームコロッケ。

※画像上の方に見えているのは、サービスの冷奴の器

もつ煮はともかく、クリームコロッケは蕎麦前に合わない気がしないでもない。
でもさあ、枝豆や板わさに500円なんて払いたくねえし、玉子焼きは930円とそこそこ高かったし…。
なにより私は、クリームコロッケが大好きなのだ! いいトシこいて、野暮で幼稚なボクちゃんを許してほしい。
ビールは中びんで、確か680円だった。まあ老舗だし神楽坂だし、この価格は仕方ない。
もつ煮630円やクリームコロッケ500円は、値段相応というか、量的には神楽坂ではむしろ安いかも。
味も悪くなかったが、どちらも自家製ではない気がする(違ったらゴメンなさい)。
ビールをもう1本お替りし、まだまだ飲めなくもないが、金銭的な理由(切実)もあり、シメのおソバを注文。
注文したのは、一番ベーシックな「もり」650円。
数分後、茹で立てのソバが、薬味、ツユ、蕎麦湯とともに運ばれてきた。


だいぶ前に食べた、神田の超有名蕎麦店のもり(せいろう)は少なくてガッカリしたが、ここの量は普通かちょい多めかな。
蕎麦通は、麺の先にちょっとだけツユをつけるそうだが、私はいつもでっぷり浸し、一気にすする。
ひと口食べた感想は…「ムムっ、想像以上にウマい!」だ。
ソバは先述したように、白っぽいやさしい味わいだが、ツユがすごい。


見た目は当然、よくあるツユなのだが、濃くてしょっぱいのに、しっかり甘くて、おまけにコクもある。
このコクの成分は…? ゴマやクルミのような風味も感じたのだが、私はバカ舌ゆえ、気のせいかも(←オイオイ)。
甘口ツユを好む私にとっては、こちらのツユは、今まで食べてきたおソバ屋さんの中では一番好きだ。
よせばいいのに、もつ煮込みのタレも取っておいて、行儀悪くひと口つけて食べてみたら…


悪くはないが、ソバツユにはかなわない。まあ当然だわな。
可能ならば、あのもりそばを一気に3人前ほど食べてみたいが…それだと1950円もかかってしまう。
『富士そば』みたいな超大盛(「富士山盛り」って名前だっけ?)があればいいのに。

かつ&そばという斬新な組み合わせを推奨し、ランチでは生玉子のサービスもある、
「老舗だけど一風変わった店」という失礼な評価をしていた翁庵だが、肝心のそばがウマいのには驚かされた。
立ち食い、学食、あるいはカップ麺と、ちゃんとしたお店で食べた機会は少なく、
「ソバ経験値」は相当低い私だが、ここ翁庵さんのもりそばは、自信を持っておススメできるよ。
もちろん、名物のかつそば(冷やし)も、ぜひ食べてもらいたいね。



神楽坂 翁庵(おきなあん)
東京都新宿区神楽坂1-10
地下鉄およびJR飯田橋駅から徒歩約1分~2分(信号待ち時間は含まず)
地下鉄神楽坂駅からも徒歩約7分、牛込神楽坂駅からも多分そのくらい
営業時間 月~金 11時~15時、17時~21時半くらい 土 11時~17時半
定休日 日、祝ほか年末年始など
※5の付く日の「かつそばデー」は平日限定
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