ここ数年、にわかうどんファンと化した私は、ソバを食べる回数がだいぶ減ってしまった。
このブログでも、うどん店は何度も取り上げているのに、ソバ屋さんは、
十割ソバが安価で食べられる、いわゆる路麺店の『嵯峨谷』さんと、
※この画像を撮影した、水道橋店は閉店
真っ黒なツユに興奮の厚肉が乗る、立ち食い店の『豊しま』さんのみ。
おまけに、写真のとおりどちらのソバも、チャーシューや巨大な肉などが鎮座しており、
真の蕎麦愛好家が見たら、「こんなのは邪道だ!」とお怒りになるようなメニューである。
しかし、今回紹介するお店は、立ち食いでも激安店でもなく、本格的なソバ屋さんである。
お店は神楽坂にあり、創業は明治17年(1884年)という老舗で、屋号は『翁庵』。シブいね。
神楽坂の老舗なんて、いかにも高級そうなお店は、普段なら真っ先に避ける私だが、
こちらには、店頭で表示していた「名物メニュー」に惹かれ、吸い寄せられるように入店してしまった。
店頭に記してあったその料理とはズバリ、「翁庵名物 かつそば」であった。
結局は、またもや蕎麦愛好家に怒られそうなメニューである(笑)。
入店すると、店内はテーブル席と小上がり席のみで、ひとり用のカウンター席などはなし。
「そちらへどうぞ」と、ホール係…あ、こういう店は「花番」って呼ぶんだっけ。
その、花番のお姉さんに、ひとり客なのにテーブル席へと案内され、ちょっと恐縮。
こちらのお店はうれしいことに、平日のランチタイムは生玉子のサービスがあり、卓上に用意されている。
名物のかつそばを「冷やし」でオーダーすると、すぐに冷奴と薬味とソバ湯がやってきた。
熱いお茶をすすり、豆腐をかじりつつ待っていると、いよいよ「かつそば・冷」880円(増税前)が登場。
想像以上に大きめのとんかつだ! かつの厚さがわかるように、ヨコにしてみた。分厚すぎず、ちょうどいい。
「冷やし」なのでツユは少なめ、麺は白っぽく、クセのないタイプ、具材は小松菜のみ。
気になる、かつとツユとソバの相性は…おお、悪くないぞ。
そういえば、カツ丼もソバツユ(に近いタレ)で味付けるのだから、合うに決まってるよな。
少し食べ進めたところで、私の大好きな玉子ちゃんを投入。ますますカツ丼に近くなった。
玉子を、かつやソバに絡めて食べれば、ウへへへ…と笑いたくなるウマさである(←ナニ言ってんだ)。
調子に乗って、玉子をもう1個もらい、丼に割り入れた直後、
花番のお姉さんが飛ぶようにやってきて、無言で玉子を補充し引き返すではないか。
「何個も使うなよ」&「常に見張ってるぞ」という強烈なプレッシャーだ(笑)。
どうやら、生玉子サービスは、1個までにしておいた方がいいようで…。
結局、食べたときは真夏だったのに、冷たいソバと一緒だったので、かつを重く感じず最後までおいしく食べられた。
あと、食べたときは真夏だったのに、お姉さんが怖かったので、ひんやり涼しく感じた…というのはウソだ。
お会計でも当然、苦言も呈されず普通に接してもらったので、「また来ます」と告げて退店。
数日後、ランチタイムに再訪。ここ翁庵は、毎月5の付く日は「かつそばデー」でかつそばが500円になり、
8が付く日は「いなりずしデー」で、いなりずしがサービスされる ※両日とも玉子サービスはなくなる
この日はいなりずしデーだったため、注文後には薬味や冷奴と一緒に、おいなりさんが提供された。
今回のオーダーは、「かつそば、温かいのをうどんで」。一応うどん好きだからね。価格は冷やしと同額。
しばらくすると、かつうどんのかけ、が登場。相変わらずとんかつが大きい。
丼のサイズはこの通り。そこそこ深めで、けっこう量多いよね。
さっそく食べてみたら…うどんが柔らか~い! ランチタイムゆえ茹で置きなのかな。
あと、ツユが温かいから、かつを揚げる油の匂いもダイレクトに感じてしまった…。
後日、ネットでの評判(当然、食べログは除く)を調べたところ、やはり「かつそばは冷やし」という意見が多かった。
そもそも、お蕎麦屋さんなのだから、素直にそばを選択すべきだったな。
そしてつい先日は、夜の時間帯にお邪魔し、一杯やってからソバで締める、いわゆる「蕎麦前」をたしなむことに。
ちゃんとした老舗店での蕎麦前は、ほとんど経験がなく、「オレも大人になったなあ…」と感無量。
1970年代生まれの分際で「大人になった」は、我ながら遅すぎると思うのだが。
こちらが、翁庵さんのお食事メニュー。増税後なので「かつそば」は900円になっている。
粋で大人な私が選んだ酒とつまみは、びんビール、もつ煮込み、エビクリームコロッケ。
※画像上の方に見えているのは、サービスの冷奴の器
もつ煮はともかく、クリームコロッケは蕎麦前に合わない気がしないでもない。
でもさあ、枝豆や板わさに500円なんて払いたくねえし、玉子焼きは930円とそこそこ高かったし…。
なにより私は、クリームコロッケが大好きなのだ! いいトシこいて、野暮で幼稚なボクちゃんを許してほしい。
ビールは中びんで、確か680円だった。まあ老舗だし神楽坂だし、この価格は仕方ない。
もつ煮630円やクリームコロッケ500円は、値段相応というか、量的には神楽坂ではむしろ安いかも。
味も悪くなかったが、どちらも自家製ではない気がする(違ったらゴメンなさい)。
ビールをもう1本お替りし、まだまだ飲めなくもないが、金銭的な理由(切実)もあり、シメのおソバを注文。
注文したのは、一番ベーシックな「もり」650円。
数分後、茹で立てのソバが、薬味、ツユ、蕎麦湯とともに運ばれてきた。
だいぶ前に食べた、神田の超有名蕎麦店のもり(せいろう)は少なくてガッカリしたが、ここの量は普通かちょい多めかな。
蕎麦通は、麺の先にちょっとだけツユをつけるそうだが、私はいつもでっぷり浸し、一気にすする。
ひと口食べた感想は…「ムムっ、想像以上にウマい!」だ。
ソバは先述したように、白っぽいやさしい味わいだが、ツユがすごい。
見た目は当然、よくあるツユなのだが、濃くてしょっぱいのに、しっかり甘くて、おまけにコクもある。
このコクの成分は…? ゴマやクルミのような風味も感じたのだが、私はバカ舌ゆえ、気のせいかも(←オイオイ)。
甘口ツユを好む私にとっては、こちらのツユは、今まで食べてきたおソバ屋さんの中では一番好きだ。
よせばいいのに、もつ煮込みのタレも取っておいて、行儀悪くひと口つけて食べてみたら…
悪くはないが、ソバツユにはかなわない。まあ当然だわな。
可能ならば、あのもりそばを一気に3人前ほど食べてみたいが…それだと1950円もかかってしまう。
『富士そば』みたいな超大盛(「富士山盛り」って名前だっけ?)があればいいのに。
かつ&そばという斬新な組み合わせを推奨し、ランチでは生玉子のサービスもある、
「老舗だけど一風変わった店」という失礼な評価をしていた翁庵だが、肝心のそばがウマいのには驚かされた。
立ち食い、学食、あるいはカップ麺と、ちゃんとしたお店で食べた機会は少なく、
「ソバ経験値」は相当低い私だが、ここ翁庵さんのもりそばは、自信を持っておススメできるよ。
もちろん、名物のかつそば(冷やし)も、ぜひ食べてもらいたいね。
神楽坂 翁庵(おきなあん)
東京都新宿区神楽坂1-10
地下鉄およびJR飯田橋駅から徒歩約1分~2分(信号待ち時間は含まず)
地下鉄神楽坂駅からも徒歩約7分、牛込神楽坂駅からも多分そのくらい
営業時間 月~金 11時~15時、17時~21時半くらい 土 11時~17時半
定休日 日、祝ほか年末年始など
※5の付く日の「かつそばデー」は平日限定
このブログでも、うどん店は何度も取り上げているのに、ソバ屋さんは、
十割ソバが安価で食べられる、いわゆる路麺店の『嵯峨谷』さんと、
※この画像を撮影した、水道橋店は閉店
真っ黒なツユに興奮の厚肉が乗る、立ち食い店の『豊しま』さんのみ。
おまけに、写真のとおりどちらのソバも、チャーシューや巨大な肉などが鎮座しており、
真の蕎麦愛好家が見たら、「こんなのは邪道だ!」とお怒りになるようなメニューである。
しかし、今回紹介するお店は、立ち食いでも激安店でもなく、本格的なソバ屋さんである。
お店は神楽坂にあり、創業は明治17年(1884年)という老舗で、屋号は『翁庵』。シブいね。
神楽坂の老舗なんて、いかにも高級そうなお店は、普段なら真っ先に避ける私だが、
こちらには、店頭で表示していた「名物メニュー」に惹かれ、吸い寄せられるように入店してしまった。
店頭に記してあったその料理とはズバリ、「翁庵名物 かつそば」であった。
結局は、またもや蕎麦愛好家に怒られそうなメニューである(笑)。
入店すると、店内はテーブル席と小上がり席のみで、ひとり用のカウンター席などはなし。
「そちらへどうぞ」と、ホール係…あ、こういう店は「花番」って呼ぶんだっけ。
その、花番のお姉さんに、ひとり客なのにテーブル席へと案内され、ちょっと恐縮。
こちらのお店はうれしいことに、平日のランチタイムは生玉子のサービスがあり、卓上に用意されている。
名物のかつそばを「冷やし」でオーダーすると、すぐに冷奴と薬味とソバ湯がやってきた。
熱いお茶をすすり、豆腐をかじりつつ待っていると、いよいよ「かつそば・冷」880円(増税前)が登場。
想像以上に大きめのとんかつだ! かつの厚さがわかるように、ヨコにしてみた。分厚すぎず、ちょうどいい。
「冷やし」なのでツユは少なめ、麺は白っぽく、クセのないタイプ、具材は小松菜のみ。
気になる、かつとツユとソバの相性は…おお、悪くないぞ。
そういえば、カツ丼もソバツユ(に近いタレ)で味付けるのだから、合うに決まってるよな。
少し食べ進めたところで、私の大好きな玉子ちゃんを投入。ますますカツ丼に近くなった。
玉子を、かつやソバに絡めて食べれば、ウへへへ…と笑いたくなるウマさである(←ナニ言ってんだ)。
調子に乗って、玉子をもう1個もらい、丼に割り入れた直後、
花番のお姉さんが飛ぶようにやってきて、無言で玉子を補充し引き返すではないか。
「何個も使うなよ」&「常に見張ってるぞ」という強烈なプレッシャーだ(笑)。
どうやら、生玉子サービスは、1個までにしておいた方がいいようで…。
結局、食べたときは真夏だったのに、冷たいソバと一緒だったので、かつを重く感じず最後までおいしく食べられた。
あと、食べたときは真夏だったのに、お姉さんが怖かったので、ひんやり涼しく感じた…というのはウソだ。
お会計でも当然、苦言も呈されず普通に接してもらったので、「また来ます」と告げて退店。
数日後、ランチタイムに再訪。ここ翁庵は、毎月5の付く日は「かつそばデー」でかつそばが500円になり、
8が付く日は「いなりずしデー」で、いなりずしがサービスされる ※両日とも玉子サービスはなくなる
この日はいなりずしデーだったため、注文後には薬味や冷奴と一緒に、おいなりさんが提供された。
今回のオーダーは、「かつそば、温かいのをうどんで」。一応うどん好きだからね。価格は冷やしと同額。
しばらくすると、かつうどんのかけ、が登場。相変わらずとんかつが大きい。
丼のサイズはこの通り。そこそこ深めで、けっこう量多いよね。
さっそく食べてみたら…うどんが柔らか~い! ランチタイムゆえ茹で置きなのかな。
あと、ツユが温かいから、かつを揚げる油の匂いもダイレクトに感じてしまった…。
後日、ネットでの評判(当然、食べログは除く)を調べたところ、やはり「かつそばは冷やし」という意見が多かった。
そもそも、お蕎麦屋さんなのだから、素直にそばを選択すべきだったな。
そしてつい先日は、夜の時間帯にお邪魔し、一杯やってからソバで締める、いわゆる「蕎麦前」をたしなむことに。
ちゃんとした老舗店での蕎麦前は、ほとんど経験がなく、「オレも大人になったなあ…」と感無量。
1970年代生まれの分際で「大人になった」は、我ながら遅すぎると思うのだが。
こちらが、翁庵さんのお食事メニュー。増税後なので「かつそば」は900円になっている。
粋で大人な私が選んだ酒とつまみは、びんビール、もつ煮込み、エビクリームコロッケ。
※画像上の方に見えているのは、サービスの冷奴の器
もつ煮はともかく、クリームコロッケは蕎麦前に合わない気がしないでもない。
でもさあ、枝豆や板わさに500円なんて払いたくねえし、玉子焼きは930円とそこそこ高かったし…。
なにより私は、クリームコロッケが大好きなのだ! いいトシこいて、野暮で幼稚なボクちゃんを許してほしい。
ビールは中びんで、確か680円だった。まあ老舗だし神楽坂だし、この価格は仕方ない。
もつ煮630円やクリームコロッケ500円は、値段相応というか、量的には神楽坂ではむしろ安いかも。
味も悪くなかったが、どちらも自家製ではない気がする(違ったらゴメンなさい)。
ビールをもう1本お替りし、まだまだ飲めなくもないが、金銭的な理由(切実)もあり、シメのおソバを注文。
注文したのは、一番ベーシックな「もり」650円。
数分後、茹で立てのソバが、薬味、ツユ、蕎麦湯とともに運ばれてきた。
だいぶ前に食べた、神田の超有名蕎麦店のもり(せいろう)は少なくてガッカリしたが、ここの量は普通かちょい多めかな。
蕎麦通は、麺の先にちょっとだけツユをつけるそうだが、私はいつもでっぷり浸し、一気にすする。
ひと口食べた感想は…「ムムっ、想像以上にウマい!」だ。
ソバは先述したように、白っぽいやさしい味わいだが、ツユがすごい。
見た目は当然、よくあるツユなのだが、濃くてしょっぱいのに、しっかり甘くて、おまけにコクもある。
このコクの成分は…? ゴマやクルミのような風味も感じたのだが、私はバカ舌ゆえ、気のせいかも(←オイオイ)。
甘口ツユを好む私にとっては、こちらのツユは、今まで食べてきたおソバ屋さんの中では一番好きだ。
よせばいいのに、もつ煮込みのタレも取っておいて、行儀悪くひと口つけて食べてみたら…
悪くはないが、ソバツユにはかなわない。まあ当然だわな。
可能ならば、あのもりそばを一気に3人前ほど食べてみたいが…それだと1950円もかかってしまう。
『富士そば』みたいな超大盛(「富士山盛り」って名前だっけ?)があればいいのに。
かつ&そばという斬新な組み合わせを推奨し、ランチでは生玉子のサービスもある、
「老舗だけど一風変わった店」という失礼な評価をしていた翁庵だが、肝心のそばがウマいのには驚かされた。
立ち食い、学食、あるいはカップ麺と、ちゃんとしたお店で食べた機会は少なく、
「ソバ経験値」は相当低い私だが、ここ翁庵さんのもりそばは、自信を持っておススメできるよ。
もちろん、名物のかつそば(冷やし)も、ぜひ食べてもらいたいね。
神楽坂 翁庵(おきなあん)
東京都新宿区神楽坂1-10
地下鉄およびJR飯田橋駅から徒歩約1分~2分(信号待ち時間は含まず)
地下鉄神楽坂駅からも徒歩約7分、牛込神楽坂駅からも多分そのくらい
営業時間 月~金 11時~15時、17時~21時半くらい 土 11時~17時半
定休日 日、祝ほか年末年始など
※5の付く日の「かつそばデー」は平日限定