もはや、行きつくところまで行ってしまった感のある、近年のラーメン事情。
ぜいたくな食材を使用するようになり、味はどんどん濃くなり、値段も高くなってきている。
やれ「濃厚魚介豚骨鶏白湯トリプルスープ」だの、「厳選小麦真空平手打ち極太麺」だの、
商品の説明が妙に長ったらしい店が多い。麻雀で言えば、「リーチ一発純チャン三色イーペーコー」みたいな。
最近はトシのせいか、そういうラーメンを食べるのが、疲れるようになってきちゃった。
そのような、現在の主流である豪華絢爛なラーメンとは対照的な、昔懐かしい昭和チックな醤油ラーメンを、
「ノスタルジックラーメン」などと称し、愛好している者も少なくない。
見た目や味付けが派手でなく、食べていて疲れるどころか、なんだかホッとするし、飲んだあとのシメにも最適。
そのような昔懐かしいラーメンを出すお店の中で、私が一番気に入っているのが、
新宿の思い出横丁(別名:ションベン横丁)内にある『若月』さん。
いきなりだけど、ここのラーメンの写真をお見せしよう。
どうよ、このシンプルかつ美味しそうなビジュアル!
順番がおかしいけど、こちらが店頭の様子。
赤いのれんと提灯が目に鮮やかで、ラーメンと同様、グッとくる外観だよね。店内はカウンター席のみ。
のれんにも書いてあるように、「自家製麺」の「らーめん」と「焼そば」がこちらの二大名物。
マジメで寡黙なご夫婦が、朝早くから麺を打ち、昼間から深夜まで、大勢のお客さんをさばいている。
下記写真が主なメニュー。この他にライス、お新香、ドリンク類などがある。
基本のラーメンは480円で、他はだいたい580円。最高値のチャーシューメンでも700円。
新宿の一等地でこの値段は安すぎるでしょ。
ラーメンは、私が初めて食べた20年前から、80円しか値上げしていない。ご夫婦の企業努力には頭が下がる。
先代の跡を継いだ平成12年から、わずか8年間で220円も値上げし(この間、消費税は5%のまま)、
その後もさらに30円上げて現在に至る、『蒙古タンメン中本』も少しは見習ってほしいね。
私はだいたい、他の店で散々飲んでからここに来るので、ラーメンだけ食べて帰るケースが多いが、
もちろん若月さんで飲むこともある。先日注文したのは、びんビール大580円に、「餃子」と「焼そば並」。
まずは、店頭の鉄板で焼いていて、その匂いが客寄せにもなっている、焼そばが登場。
サイズは並400円と大480円があるが、量的には並が小で大が並、という印象。
キャベツ、もやし、青海苔と紅生姜だけのシンプルなタイプ。
味付けは薄口なので、「お好みでソースをかけて」という店主の教えに従い、
卓上のウスターソースを垂らすと、ビールのいいツマミになる。
しばらくすると、餃子も焼きあがった。一人前6個で380円。
自家製(?)ラー油に醤油を混ぜたタレを、ちょっとだけ付けて食べる。中身はこんな感じ。
野菜多めで、ほんのりニンニクが効いた、頼りになるヤツ=酒がススム餃子だ。
以前、気分が良くなりビールをお替りしてしまい、うっかり終電に乗り遅れたこともあった(←マヌケ)。
最後に、お店自慢の商品であり、私も一番好きな「手打ちしょうゆラーメン」の写真を再掲載。
小ぶりなチャーシュー、小さい海苔、ほど良い塩分のメンマ、自家製の中太麺、そしてネギが浮いた醤油スープ。
一見、あっさりタイプだと思うだろうが、意外とスープのダシがしっかり出ており、全然物足りなくない。
さっきの麻雀の例えでいえば、「ピンフドラドラ」みたいな、シンプルだけどうれしい和了役だ。
また、下記写真で見ての通り、自家製の麺はやや不揃いなのだが、
おかげで、すするたびに異なる食感を楽しめるし、スープの持ち上げもいいので、個人的にはお気に入り。
毎回、あっという間に麺がなくなり、汁まで残さず飲み干してしまっている。
480円で味わえる、至福のひとときだ。
写真はないけど、酸味の効いたタレで食す「つけ麺」や、野菜タンメン風の「塩ラーメン」もおススメだよ。
そんな若月さんは、今年の6月に訪問した際、写真のように「しばらく休業」の貼紙があった。
貼紙に対して書かれた、「がんばれ」「復活希望」「待ってます」というたくさんのメッセージが、
この店のファンの多さを証明している。私も何か書けばよかった。
数日後、再び思い出横丁に足を運び、お店が開いているのを確認したときは、ものすごくうれしかった。
あまりのうれしさに、「再開してくれてよかったです!」と、ご夫婦に話しかけてしまった。
これまで何十回と来ていたが、注文と会計以外の会話は、この日が初めてだった。
「心配かけてすみませんねえ」と奥様が返答してくれ、直後にご主人が「ちょっとヤケドしちゃってね」と、
腕に巻かれた包帯を見せてくれた。かなりの大ケガだったらしい。
無論、完治はしていなかったが、お客様のために早く再開したかったとのこと。これぞプロだ。
その後も、いろいろとお話しさせていただき、ご主人は若月の二代目店主で、
先代が開業したのは昭和23年(1948年)だと教えてもらった。なんと、来年で70周年ではないか。
安くて美味しいラーメンや焼きそばを、70年もの間提供し続けてきた、若月の皆さんに、ただただ感謝。
長年営業をしていれば、今回のヤケドだけでなく、大変だったことはたくさんあったと思うが、
「いろいろあったけど、みーんな忘れちゃったわよ。ねえ」と、奥さんはご主人に賛同を求めたが、
ご主人は返事をせず、「今が良ければいいじゃないか」と言わんばかりに、笑顔を見せるのみであった。
真摯に生きてきたご夫婦の姿に、スープをすすりながら、ジーンときてしまった。
おふたりの愛情がこもったラーメンを、今後も食べ続けるぞ。
若月
東京都新宿区西新宿1-2-7 新宿西口思い出横丁内
JR新宿駅、私鉄・地下鉄新宿駅から徒歩約3分 西武新宿駅から徒歩約2分
営業時間 11時~翌1時(0時半LO)
定休日 日曜
※残念ながら、2018年1月をもちまして、閉店なさったようです
ぜいたくな食材を使用するようになり、味はどんどん濃くなり、値段も高くなってきている。
やれ「濃厚魚介豚骨鶏白湯トリプルスープ」だの、「厳選小麦真空平手打ち極太麺」だの、
商品の説明が妙に長ったらしい店が多い。麻雀で言えば、「リーチ一発純チャン三色イーペーコー」みたいな。
最近はトシのせいか、そういうラーメンを食べるのが、疲れるようになってきちゃった。
そのような、現在の主流である豪華絢爛なラーメンとは対照的な、昔懐かしい昭和チックな醤油ラーメンを、
「ノスタルジックラーメン」などと称し、愛好している者も少なくない。
見た目や味付けが派手でなく、食べていて疲れるどころか、なんだかホッとするし、飲んだあとのシメにも最適。
そのような昔懐かしいラーメンを出すお店の中で、私が一番気に入っているのが、
新宿の思い出横丁(別名:ションベン横丁)内にある『若月』さん。
いきなりだけど、ここのラーメンの写真をお見せしよう。
どうよ、このシンプルかつ美味しそうなビジュアル!
順番がおかしいけど、こちらが店頭の様子。
赤いのれんと提灯が目に鮮やかで、ラーメンと同様、グッとくる外観だよね。店内はカウンター席のみ。
のれんにも書いてあるように、「自家製麺」の「らーめん」と「焼そば」がこちらの二大名物。
マジメで寡黙なご夫婦が、朝早くから麺を打ち、昼間から深夜まで、大勢のお客さんをさばいている。
下記写真が主なメニュー。この他にライス、お新香、ドリンク類などがある。
基本のラーメンは480円で、他はだいたい580円。最高値のチャーシューメンでも700円。
新宿の一等地でこの値段は安すぎるでしょ。
ラーメンは、私が初めて食べた20年前から、80円しか値上げしていない。ご夫婦の企業努力には頭が下がる。
先代の跡を継いだ平成12年から、わずか8年間で220円も値上げし(この間、消費税は5%のまま)、
その後もさらに30円上げて現在に至る、『蒙古タンメン中本』も少しは見習ってほしいね。
私はだいたい、他の店で散々飲んでからここに来るので、ラーメンだけ食べて帰るケースが多いが、
もちろん若月さんで飲むこともある。先日注文したのは、びんビール大580円に、「餃子」と「焼そば並」。
まずは、店頭の鉄板で焼いていて、その匂いが客寄せにもなっている、焼そばが登場。
サイズは並400円と大480円があるが、量的には並が小で大が並、という印象。
キャベツ、もやし、青海苔と紅生姜だけのシンプルなタイプ。
味付けは薄口なので、「お好みでソースをかけて」という店主の教えに従い、
卓上のウスターソースを垂らすと、ビールのいいツマミになる。
しばらくすると、餃子も焼きあがった。一人前6個で380円。
自家製(?)ラー油に醤油を混ぜたタレを、ちょっとだけ付けて食べる。中身はこんな感じ。
野菜多めで、ほんのりニンニクが効いた、頼りになるヤツ=酒がススム餃子だ。
以前、気分が良くなりビールをお替りしてしまい、うっかり終電に乗り遅れたこともあった(←マヌケ)。
最後に、お店自慢の商品であり、私も一番好きな「手打ちしょうゆラーメン」の写真を再掲載。
小ぶりなチャーシュー、小さい海苔、ほど良い塩分のメンマ、自家製の中太麺、そしてネギが浮いた醤油スープ。
一見、あっさりタイプだと思うだろうが、意外とスープのダシがしっかり出ており、全然物足りなくない。
さっきの麻雀の例えでいえば、「ピンフドラドラ」みたいな、シンプルだけどうれしい和了役だ。
また、下記写真で見ての通り、自家製の麺はやや不揃いなのだが、
おかげで、すするたびに異なる食感を楽しめるし、スープの持ち上げもいいので、個人的にはお気に入り。
毎回、あっという間に麺がなくなり、汁まで残さず飲み干してしまっている。
480円で味わえる、至福のひとときだ。
写真はないけど、酸味の効いたタレで食す「つけ麺」や、野菜タンメン風の「塩ラーメン」もおススメだよ。
そんな若月さんは、今年の6月に訪問した際、写真のように「しばらく休業」の貼紙があった。
貼紙に対して書かれた、「がんばれ」「復活希望」「待ってます」というたくさんのメッセージが、
この店のファンの多さを証明している。私も何か書けばよかった。
数日後、再び思い出横丁に足を運び、お店が開いているのを確認したときは、ものすごくうれしかった。
あまりのうれしさに、「再開してくれてよかったです!」と、ご夫婦に話しかけてしまった。
これまで何十回と来ていたが、注文と会計以外の会話は、この日が初めてだった。
「心配かけてすみませんねえ」と奥様が返答してくれ、直後にご主人が「ちょっとヤケドしちゃってね」と、
腕に巻かれた包帯を見せてくれた。かなりの大ケガだったらしい。
無論、完治はしていなかったが、お客様のために早く再開したかったとのこと。これぞプロだ。
その後も、いろいろとお話しさせていただき、ご主人は若月の二代目店主で、
先代が開業したのは昭和23年(1948年)だと教えてもらった。なんと、来年で70周年ではないか。
安くて美味しいラーメンや焼きそばを、70年もの間提供し続けてきた、若月の皆さんに、ただただ感謝。
長年営業をしていれば、今回のヤケドだけでなく、大変だったことはたくさんあったと思うが、
「いろいろあったけど、みーんな忘れちゃったわよ。ねえ」と、奥さんはご主人に賛同を求めたが、
ご主人は返事をせず、「今が良ければいいじゃないか」と言わんばかりに、笑顔を見せるのみであった。
真摯に生きてきたご夫婦の姿に、スープをすすりながら、ジーンときてしまった。
おふたりの愛情がこもったラーメンを、今後も食べ続けるぞ。
若月
東京都新宿区西新宿1-2-7 新宿西口思い出横丁内
JR新宿駅、私鉄・地下鉄新宿駅から徒歩約3分 西武新宿駅から徒歩約2分
営業時間 11時~翌1時(0時半LO)
定休日 日曜
※残念ながら、2018年1月をもちまして、閉店なさったようです