御茶ノ水駅から駿河台の坂道を下ると左手に二つの四角い様式建築らしきビルが並んで建っています。戦前の近代建築かと思いきや、実はこのビルは取り壊された主婦の友社ビル(大正14年竣工)のファサードを新築復元したもので、後ろに高層ビルが増築されています。この高層ビル増築パターンはDNタワー21や明治生命館でおなじみの手法ですが、この主婦の友社ビルが最も先駆的な作品になります。
設計は日本のポストモダン建築を牽引した建築家磯崎新で、コンサートホールやオフィスなどの複合施設(A、B、C館の3棟)の御茶ノ水スクエアA館として1987年に建設されました。A館は室内楽専用のカザスホールとして運営されていましたが、日本大学に買収されたのち2010年に閉鎖されました。現在ホールの存続は白紙状態で、取り壊しか再開館か予断を許さない状態です。
■磯崎新によりファサードのイメージ保存で再建された旧主婦の友社ビル
山の上ホテルとともにヴォーリズ設計の建物が見られるのは嬉しい限り
■モダニズム建築で否定された装飾が、1980年代ポストモダン建築でよみがえりました
■旧主婦の友社ビル/千代田区神田駿河台1-6
竣工:大正13年(1924)/取り壊し後、磯崎新によりイメージ保存(1987)
設計: W.M.ヴォーリズ(ヴォーリズ建築事務所)
施工:大林組
構造:RC造3階
撮影:2017/08/11