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謎の左足親指物語

2013-02-04 23:33:32 | エッセイ・記憶の彼方に…
私の左足親指には、爪が無い。
私の身体的恥部のトップシークレットただったので、
この話は初公開である。

爪がないと言っても完全に無いわけではなく、
皮膚とも爪ともいえないような薄い爪がかすかに残っている状態なのだ。
その爪も損傷しているので、爪とはいえる形状ではなく、
ガタガタで見る影もなく無残な姿なのである。
だから爪が伸びることもほとんどなく、
数か月に1度かすかに伸びた1ミリもない厚さと長さの、
左先端部分だけ切るだけだ。

どうしてこうなったか?…自分自身はもとより誰も分からない。
もの心がついた子供の頃、母に聞いたことがある。

「どうしてこの親指の爪がないの?…」
母は答えた。
「よちよち歩きの時、怪我をして血だらけで帰って来て、それ以来、爪が伸びてこないの…」
つまり原因は、母も分からない“謎の左足親指”なのだ。

でも、この左足親指に愛着があり、見れば見るほど可愛いのだ。
見慣れて詰めのない親指に愛情が湧いたらしい。
爪がないから、先端部は丸くとても愛嬌がある。
もう長い付き合いになる憎めない親指、可愛い奴だ。





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