紙の宇宙を、筆の宇宙船で旅行する…。
初めて筆を持った子どもに、半紙に向かって『自由に「一」の字を書いてごらん!』と言うと、十人十色です。
紙の真ん中に書く子、上や下に書いたり、端に書く子がいたり、線の太細や字大小、長短、また力強く書いたり、弱々しく書いたり千差万別。
一人ひとり違い、どうしてこんなに違うものかと、首を傾げてしまいますし、またとても面白いと思います。
無論大人もそうです。
同じ手本を見ているはずなのに、一人一人の書き方が違ってくるのです。
少し難しい言い方をすると、やはり個々人世界観や人生観が違うからそうなるのだと思います。その違いがあるから、また書道は面白いものだと思っています。
私は、それはまるで無限の宇宙を旅行するようなものだと思っています。半紙、条幅、全紙、2尺6尺、2尺8尺と紙の大きさにはいろいろありますが、紙の宇宙には無限の広がりがあります。
コースや飛び方に制限のある臨書学習もありますが、臨書は基本的な操縦技術や操縦方法を学ぶ場です。
経験を多く重ね奔放な旅行をするため、そして安全で確かな宇宙旅行のためのものです。NASAの宇宙飛行士たちも、血のにじむような訓練を重ねて宇宙に飛び立ちますが、臨書学習はそれと同じでしょう。
さて、創作は、もう自由です。
筆は宇宙船、書く人はその宇宙船を操縦する宇宙飛行士です。
どのように飛ぶかは自由です。
大きく飛ぶのか、小さく飛ぶのか、力強いのか弱々しいのか、激しいのか静なのか、自由自在です。
そして筆という宇宙船を操縦する人の心が、飛び方(作品の仕上がり)を決めるのです。
さあ~、筆を持って書の宇宙旅行を楽しんで見ましょう!。
(翔雲書道教室・佐藤翔雲)